発売元 製造販売元 2013年11月作成 RIT0138.09 140564 悪性リンパ腫 リツキサン注使用ガイド 監修:名古屋第二赤十字病院 血液・腫瘍内科 小椋美知則 国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科 飛内賢正 日本標準商品分類番号 874291 抗CD20モノクローナル抗体 生物由来製品、処方せん医薬品注) 薬価基準収載 リツキシマブ(遺伝子組換え)製剤 注)注意 -- 医師等の処方せんにより使用すること 【警告】 1. 本剤は、 緊急時に十分に対応できる医療施設において、 造血器腫瘍及び自己免疫疾患の治療に対して、 十分な知識・ 経験を持つ医師のもとで、 本剤の使用が適切と判断される症例のみに行うこと。 また、 治療開始に先立ち、 患者又は その家族に有効性及び危険性を十分に説明し、 同意を得てから投与を開始すること。 2. 本剤の投与開始後30分∼2時間よりあらわれるinfusion reactionのうちアナフィラキシー様症状、肺障害、心 障害等の重篤な副作用(低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等) によ り、死亡に至った例が報告されている。これらの死亡例の多くは初回投与後24時間以内にみられている。また、本 剤を再投与した時の初回投与後にも、 これらの副作用があらわれるおそれがある。本剤投与中はバイタルサイン (血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状態を十分観察す ること。特に以下の患者については発現頻度が高く、かつ重篤化しやすいので注意すること (「重要な基本的注 意」、 「重大な副作用」の項参照)。 (1)血液中に大量の腫瘍細胞がある (25,000/μL以上) など腫瘍量の多い患者 (2)脾腫を伴う患者 (3)心機能、肺機能障害を有する患者 3. 腫瘍量の急激な減少に伴い、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高Al-P血症等の腫瘍崩壊 症候群(tumor lysis syndrome) があらわれ、本症候群に起因した急性腎不全による死亡例及び透析が必要と なった患者が報告されている。血液中に大量の腫瘍細胞がある患者において、初回投与後12∼24時間以内に 高頻度に認められることから、急激に腫瘍量が減少した患者では、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、 患者の状態を十分観察すること。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、 これらの副作用があらわれるお それがある (「重大な副作用」の項参照)。 4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全に よる死亡例が報告されている (「重要な基本的注意」、 「重大な副作用」の項参照)。 5. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)等の皮膚粘膜症状があらわれ、 死亡に至った例が報告されている (「重大な副作用」の項参照) 。 6. ゼヴァリン イットリウム (90Y)静注用セット及びゼヴァリン インジウム (111In)静注用セットの前投薬として本剤 を用いる場合には、ゼヴァリン イットリウム (90Y)静注用セット及びゼヴァリン インジウム (111In)静注用セット の添付文書についても熟読すること。 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 本剤の成分又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症又はアナフィラキシー反応の既往歴のある患者 「効能・効果」、<効能・効果に関連する使用上の注意>、 「用法・用量」、<用法・用量に関連する使用上の注意>、 「警告、禁忌を含む使用上の注意」等の詳細は巻末のDI又は製品添付文書をご参照ください。 C O N T E N T S はじめに………………………………………………………… 2 効能・効果… …………………………………………………… 3 <効能・効果に関連する使用上の注意>…………………… 3 用法・用量… …………………………………………………… 4 <用法・用量に関連する使用上の注意>…………………… 4 リツキサン注投与スケジュール… …………………………… 5 リツキサン注投与に関するフローチャート…………………… 6 1. 患者の選択について……………………………………… 7 2. 注射液調製時の注意… ………………………………… 11 前投与(Premedication) ・患者への説明について… …… 13 3. 4. 新投与方法(投与法A)…………………………………… 15 5. 従来投与方法(投与法B)………………………………… 17 6. 再投与(再治療) について………………………………… 19 7. 相互作用… ……………………………………………… 20 8. 観察期間について………………………………………… 20 副作用及び臨床検査値異常の発現状況……………………… 21 副作用(非血液毒性) について………………………………… 26 血液毒性について……………………………………………… 31 特に注意を要する副作用とその対策………………………… 33 1. infusion reaction……………………………………… 33 2. 腫瘍崩壊症候群… ……………………………………… 35 3. B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪………… 36 4. 肝機能障害、黄疸… ……………………………………… 36 5. 皮膚粘膜症状… ………………………………………… 37 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少… ……… 37 6. 7. 感染症… ………………………………………………… 38 8. 進行性多巣性白質脳症(PML)… ……………………… 39 9. 間質性肺炎… …………………………………………… 39 10. 腎障害…………………………………………………… 40 11. 可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状…………… 40 12. その他…………………………………………………… 40 化学療法との併用について…………………………………… 41 インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換 イブリツモマブ チウキセタン え)注射液及びイットリウム(90Y) ( 遺 伝 子 組 換 え )注 射 液 投 与 に お け る 、前 投 与 として の リツキシマブについて… ……………………………………… 43 Q&A… ………………………………………………………… 45 参考文献……………………………………………………… 52 リツキサン注 Drug Information…………………………… 54 1 はじめに リツキサン注10mg/mLは、 アメリカのIDEC Pharmaceuticals Corporation(現 Biogen Idec Inc.) で 創薬されたマウス−ヒトキメラ型モノクローナル抗体であるリツキシマブ (遺伝子組換え) を含有する 点滴静注用製剤です。 本剤は、 ヒトBリンパ球表面に発現する分化抗原C D*20に結合し、補体依存性細胞傷害作用 (CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用 (ADCC) など、既存の化学療法剤、免疫抑制剤とは 異なる作用機序により効果を発揮します。 国内の臨床試験において、CD20抗原陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対し効果が認められ ています。 さらに日本造血細胞移植学会より 「免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患」 について、 日本リウマチ学会より 「ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎」について開発要望が 出され、2012年12月に開催された「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において検 討され、 その結果公知申請の妥当性が認められ、2013年6月に承認されました。 本剤の点滴投与に関連し、腫瘍量の多い患者等では重篤な副作用が発現したという報告があり、 また、効能・効果が追加となった「免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患」、 「ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎」については国内における使用経験が十分ではないこと から、使用に際しては十分な注意が必要です。 この使用ガイドは、 リツキサン注の調製及び投与に関する注意やモニタリング項目、副作用とその 対策について解説したものです。 リツキサン注のご使用にあたっては、添付文書ならびに使用ガイドを熟読のうえ、適正使用をお願 いいたします。 *CD:cluster of differentiation 2 効能・効果 用法・用量 効能・効果 ○ CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫 ○ 免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患 ○ ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎 ○ インジウム( 111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液及びイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液投与の前投与 *CD:cluster of differentiation <効能・効果に関連する使用上の注意> 1. 本剤投与の適応となる造血器腫瘍の診断は、病理診断に十分な経験をもつ医師又は施設により行うこと。 2. C D20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に 用いる場合は、 免疫組織染色法又はフローサイ トメトリー法等によりCD20抗原の検査を行い、 陽性であること が確認されている患者のみに投与すること。 3. ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎については、既存治療で十分な効果が得られない患者、疾患活 動性が高い患者等に対して本剤の投与を考慮すること。 3 効能・効果 用法・用量 用法・用量 1. <CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として1回量375mg/m2を1週間間隔で点滴 静注する。最大投与回数は8回とする。 <免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に用いる場合> 通常、 リツキシマブ(遺伝子組換え) として1回量375mg/m 2を1週間間隔で点滴静注す る。最大投与回数は8回とする。 <ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回 点滴静注する。 <インジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液及びイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液投与の前投与に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として250mg/m2を1回、点滴静注する。 2. 本剤は用時生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて10倍に希釈調製し使用する。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 1. 本剤投与時に頻発してあらわれるinfusion reaction (発熱、悪寒、頭痛等) を軽減させるために、本剤投与 の30分前に抗ヒスタミン剤、 解熱鎮痛剤等の前投与を行うこと。 また、 副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合 は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮すること。 2. 初回投与時は、最初の30分は50mg/時の速度で点滴静注を開始し、患者の状態を十分観察しながら、 そ の後注入速度を30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで速度を上げることができる。 また、2回目 以降の注入開始速度は、初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて開始 し、 その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる。 なお、患者の状態によ り、注入開始速度は適宜減速すること。 3. 注入速度に関連して血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫等の症状が発現するので本剤の注入速度を守り、 注入速度を上げる際は特に注意すること。症状が発現した場合は注入速度を緩めるかもしくは中止する。重 篤な症状の場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う。 また、投与を再開する場合は症状が完全に消 失した後、 中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始する。 4. 本剤の再投与に関しては、実施の可否を慎重に検討すること (【臨床成績】 の項参照) 。 イ ンジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え) 注射液 (ゼヴァリン インジウム (111In) 静注用セット) 90 イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え) 注射液 (ゼヴァリン イットリウム (90Y) 静注用セッ 及びイットリウム ( Y) ト) につきましては、各製品の添付文書をご参照ください。 4 リツキサン注投与スケジュール ● 検査について P7 一般状態の観察、血液一般検査、血液生化学的検査、尿検査、腫瘍病巣の計測等、通常の悪性リンパ腫の治 療に準じ、適宜実施してください。 ● 初回治療 投与前 検査等の実施 投与直前 前投与(Premedication) 患者の選択について P 7 注射液調製時の注意 P11 前投与・患者への説明について P13 30分 リツキサン注投与開始 第1週 治療期間︵1週間間隔、最大8回点滴静注︶ 投与中 30分 50mg/時 30分 100mg/時 30分 150mg/時 30分 200mg/時 30分 250mg/時 30分 300mg/時 30分 350mg/時 残りの時間 400mg/時 初回投与時∼投与直後の注意 P15、17 2回目以降の投与について P16、18 投与後 第2週以降 投与直前 前投与(Premedication) 投与中 投与後 ● 再投与(再治療) 再投与前 再投与 治療期間 投与直前 患者の選択基準の調査 検査等の実施 再投与について 前投与(Premedication) 初回治療に準じる P19 投与中 投与後 ● 観察期間について P20 用語解説:リツキサン注の添付文書及びこの使用ガイドでは、 「投与中」、 「治療期間中」 という用語を使い分けています。 投 与 中…リツキサン注の点滴静脈内投与中 治療期間中…リツキサン注の用法に記載されている1週間間隔、最大8回点滴静注を行う期間 5 リツキサン注 の投与 リツキサン注の投与に際し、各頁の注意事項をご参照ください。 リツキサン注投与に関するフローチャート(参考) リツキサン注 の投与 リツキサン注の投与に際し、治療上の必要性を十分検討の上、本剤の投与の可否を判断してください。 医師・施設条件 患者条件 患者への説明 病理組織診断 CD20抗原測定 適応外 他の治療法を検討 一般状態の観察、血液一般検査、 血液生化学的検査、尿検査 等 他の治療を考慮すべき患者、特に注意を要する患者 必ずP8∼10を参照してください 腫瘍量の多い患者 50,000/μL以上 腫瘍量の多い患者 25,000/μL∼50,000/μL 前投与(Premedication) 抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤 等 ※副腎皮質ホルモン剤 と併用しない場合は、 副腎皮質ホルモン剤 の前投与も考慮する こと 脾腫を伴う患者 心機能、肺機能障害のある患者 点滴静注液の調製 リツキサン注投与 点滴静注 注入速度厳守 infusion reaction 等 の有害事象の発現 発現なし又は 軽微∼中等度 経過観察又は対症療法の実施 適宜検査を行い、患者の状態を観察 2回目以降の投与 6 本剤投与中:バイタルサイン (血圧、脈拍、呼吸数等)の モニタリングや自他覚症状の観察を実施 本剤投与後:患者状態を十分に観察 ※心機能障害のある患者では投与中又は投与直後に ∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼∼ 心機能検査 (心電図、心エコー等) によるモニタリング 等を実施 重篤 直ちに投与を中止し、適切な処置を 実施 症状が回復するまで頻回に臨床検査 を行い、患者の状態を十分に観察 1 患者の選択について 投与に際しては、緊急時に十分対応できる施設及び造血器腫瘍の治療に対して十分な経験をもつ医師のも とで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに投与してください。 また、本剤投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験をもつ医師又は施設により実施してくだ さい。 CD20抗原は、免疫組織染色法又はフローサイトメトリー法等により検査を行い、陽性であることが確認さ れている患者のみに投与してください。 検査項目 本剤投与前には必ず臨床検査を実施し、全身状態と主要臓器の状態を観察の上、本剤投与の実施の是 非について検討してください。 一般状態の観察 [血圧・体温・脈拍・体重] 血液一般検査 [白血球数・白血球分画・赤血球数・血色素量・血小板数] 血液生化学的検査 [総蛋白・アルブミン・総ビリルビン・Al-P・AST(GOT) ・ALT(GPT) ・ LDH・BUN・クレアチニン・尿酸・電解質(Na, K, Cl, Ca, P) ・CRP] 尿検査 [蛋白・糖・ウロビリノーゲン・潜血] 心機能検査 * [左室駆出率・心電図] 肺機能検査 * [PaO2] 肝炎ウイルス検査 [HBV・HCVのマーカー 、 ウイルス量] *:心機能、肺機能障害が疑われる場合 ♯ ** **:検査実施済みの場合は結果を再確認 ♯:HBV、HCVの各種抗原、抗体検査 7 リツキサン注 の投与 施設条件及び診断 患者条件 ●【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 リツキサン注 の投与 本剤の成分又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症又はアナフィラキシー反応の既往歴のある 患者 ●慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1) 感染症 (敗血症、肺炎、 ウイルス感染等) を合併している患者 [免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。HBs抗体陽性患者に本剤を投与した後、HBs抗体 が陰性の急性B型肝炎を発症した例が報告されている。] (2) 心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者 [投与中又は投与後に不整脈、狭心症等を悪化又は再発させるおそれがある (「重大な副作用」の項参 照) 。] (3) 肺浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者 [投与中又は投与直後に気管支痙攣や低酸素症を伴う急性の呼吸器障害があらわれ、肺機能を悪化さ せるおそれがある (「重大な副作用」の項参照) 。] (4) 重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者 [好中球減少及び血小板減少を増悪させ重篤化させるおそれがある (「重大な副作用」の項参照) 。] (5) 降圧剤による治療中の患者 [本剤投与中に一過性の血圧下降があらわれることがある。] (6) 薬物過敏症の既往歴のある患者 (7) アレルギー素因のある患者 他の治療を考慮すべき患者 ◆血液中に50,000/μL以上の腫瘍細胞がある患者 致死的な副作用が発現するおそれがあります。 →他の治療法を検討してください。 →他の治療法により腫瘍細胞が5,000/μL未満*に低下した場合は、本剤による治療も考慮してく ださい。 *:国 内臨床試験は、低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫では血液中腫瘍細胞が 5,000/μL未満の患者を対象として行われました。 8 特に注意を要する患者 ◆血液中に25,000〜50,000/μLの腫瘍細胞がある患者 →やむを得ず本剤による治療を行う場合は、他の治療法により腫瘍細胞を25,000/μL未満 (望まし くは5,000/μL未満*) に減らしてから投与を行ってください。 ◆脾腫を伴う患者 国内の臨床試験において、脾腫を伴う患者に本剤を投与し、infusion reaction(Grade 1〜3)及び 脾臓病巣部の疼痛や違和感等の発現により中止した症例(2例)が報告されています1)。これらの症状の 多くは、初回投与の1回目の増量後に認められています。 また、国内の市販後の使用成績調査では、脾腫を有する患者では490例中333例(68.0%)、脾腫の ない患者では2,085例中1,060例(50.8%) に非血液毒性が発現しました**。 →注入速度を減速したり、注入開始速度を維持する投与方法も考慮してください。 →患者の状態を十分に観察してください。 ◆心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者 海外での市販後の使用において、不整脈や狭心症等の心機能障害を合併する患者又はその既往歴の ある患者に本剤を投与し、 これらの症状が悪化又は再発した症例が報告されています2)。 →投与中又は投与直後に心電図や心エコー等によるモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に 観察してください。 ◆肺浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者 海外の臨床試験や市販後の使用において、肺へのリンパ腫浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往 歴のある患者に本剤を投与し、重篤な肺うっ血を生じ、呼吸困難におちいった症例や肺機能障害が悪化し た症例が報告されています。 また、国内の市販後の使用成績調査では、肺浸潤、肺機能障害を合併しているか又は既往のある患者 では300例中182例(60.7%)、 これらのない患者では2,275例中1,211例(53.2%) に非血液毒性 が発現しました**。 →十分注意して経過を観察してください。 ◆咽頭扁桃、口蓋扁桃部位に病巣のある患者 国内の臨床試験において咽頭扁桃、口蓋扁桃部位に病巣のある患者に本剤を投与し、病巣の一過性腫 脹により呼吸困難をきたした症例(2例) が報告されています1)。病巣の位置によっては気道を圧迫して呼 吸困難をきたすことがあります。 →患者の状態を十分に観察してください。 →このような症状が発現した場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど、適切な処置を行ってくだ さい。 *:国 内臨床試験は、低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫では血液中腫瘍細胞が 5,000/μL未満の患者を対象として行われました。 **:2005年3月 使用成績調査最終結果(調査対象:CD20陽性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マ ントル細胞リンパ腫) 9 リツキサン注 →原則として、他の治療法を検討してください。 の投与 重篤な副作用が発現するおそれがあります。 ◆B型肝炎ウイルス感染のある患者又はその疑いのある患者 海外での市販後の使用において、HBs抗体陽性患者に本剤を投与した7ヵ月後に、HBs抗体が陰性の リツキサン注 の投与 B型肝炎を発症した症例が報告されています3)。 また、国内の市販後の使用において、 B型肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与し、劇症肝炎又は 肝炎の増悪により死亡した症例、及び、本剤の投与開始前にHBs抗原陰性の患者に本剤を投与して、B型 肝炎ウイルスによる劇症肝炎で死亡した症例が報告されています。 →本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行ってく ださい。また、治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカー(HBs 抗原、HBs抗体、HBc抗体等)、HBV-DNA量のモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察 し、異常が認められた場合は本剤の投与を中止し、抗ウイルス薬の投与等の適切な処置を行って ください(B型肝炎の詳細は「特に注意を要する副作用とその対策」 P36参照)。 ◆感染症を合併している患者 本剤の治療中より末梢血リンパ球、特にBリンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続します。 また、免疫グロブリンが減少した症例も報告されています。 このように、本剤を投与することにより免疫が抑制された状態になり、感染症を合併している患者では、 病態を悪化させるおそれがあります。 →患者の状態を十分に観察してください。 →感染症が生じた場合は適切な治療を行ってください。 関連情報 末梢血リンパ球、免疫グロブリンの減少について 国内臨床第Ⅱ相試験において、本剤の投与中より末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了9ヵ月後も 持続する症例が報告されています。特に、中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象としたリツキサン注8回投与 による臨床第Ⅱ相試験において、 リツキサン注4回投与による臨床第Ⅱ相試験と比較してリンパ球の回復が 遅れる傾向が認められました。 また、免疫グロブリンが減少し、治療終了6ヵ月後の時点でも正常値まで回復しない症例が報告されてい ます。さらに、国内の市販後の使用においても、本剤投与後にガンマグロブリン値の低下を示した症例が報 告されています。 ◆重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者 重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者に投与した場合、好中球減 少、血小板減少があらわれ重篤化するおそれがあります。 →治療期間中及び投与終了後は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が 認められた場合は、休薬等の適切な処置を行ってください。 ◆降圧剤による治療中の患者 本剤投与中に一過性の血圧下降があらわれることがあります。 →投与中より血圧の変動に注意し、患者の状態を十分に観察してください。また、投与終了後の起立 性低血圧による転倒等にも注意してください。 本剤投与中はバイタルサインのモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状 態を十分に観察してください。 10 2 注射液調製時の注意 1. 体 表 面 積からリツキサン注 の 必 要 量〔 通 常 成 人には、リツキシマブ( 遺 伝 子 組 換え)として 1 回 量 375mg/m2〕 と10倍希釈に必要な生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液の量を算出します。 ☞希釈液として生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外は使用しないでください。 2. 用 時、 リツキサン注の必要量を無菌下に取り出し、10倍希釈に必要な量の生理食塩液又は5%ブドウ糖注 射液の入った点滴静注用バッグに注入します。 リツキシマブ最終濃度1mg/mL 3. 点 滴静注用バッグを穏やかに反転して溶液を混和します。抗体が凝集するおそれがあるので、希釈時及び 希釈後に泡立つような激しい振動を加えないようにしてください。 4. 希 釈後の液は速やかに使用するようにしてください。また、本剤には防腐剤が含まれていないため、瓶に 残った未使用のリツキサン注は細菌汚染のおそれがあるので使用しないでください。 他の薬剤と混合した場合、製剤の安定性及び安全性に問題が生じる可能性がありますので他剤との混 ☞ 注はしないでください。 5. 点滴静注用バッグ中の溶液について、外観上の異常がないことを投与前に目視にて点検してください。 【参 考】調製方法 1 体表面積からリツキサン注と10倍希 釈に必要な希釈液の量を算出します。 2 10倍希釈に必要な希釈液を用意し ます。 3 注射器で瓶からリツキサン注の必要 量を抜き取ります。 リツキサン注の9倍量に なるよう、希釈液量を 調製します。 4 希釈液にリツキサン注を静かに注入し ます。 リツキシマブ最終濃度1mg/mL 5 点滴静注用バッグを穏やかに反転して混和します。 6 点滴静注用バッグを セットします。 激しく振らないでください。 11 リツキサン注 の投与 リツキサン注の調製方法 【参 考】 体表面積当りのリツキシマブ投与量(mg) とリツキサン注量(mL)及び希釈液量(mL) リツキサン注 の投与 体表面積 (m2) リツキシマブ (遺伝子組換え) 投与量(mg)/回 リツキサン注 (mL) 希釈液※ (mL) 総量 (mL) 1.2 450 45 405 450 1.3 488 49 441 490 1.4 525 53 477 530 1.5 563 56 504 560 1.6 600 60 540 600 1.7 638 64 576 640 1.8 675 68 612 680 1.9 713 71 639 710 2.0 750 75 675 750 2.1 788 79 711 790 2.2 825 83 747 830 ※生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液 リツキサン注 (mL) の小数第一位を四捨五入した値 調製例1) 体表面積1.5m2の場合 リツキシマブ 563mg/回 リツキサン注 希釈液 56mL 504mL 50mL瓶×1 500mL 規格×1 10mL瓶×1 100mL 規格×1 ○500mL規格の希釈液から50mLを抜き450mLとし、そこへリツキサン注50mLを加え、混和します。 次に、100mL規格の希釈液から46mLを抜き54mLとした後、10mL瓶より抜き取ったリツキサン注6mL を加え、混和します。 調製例2) 体表面積1.7m2の場合 リツキシマブ 638mg/回 リツキサン注 希釈液 64mL 576mL 50mL瓶×1 500mL規格×1 10mL瓶×2 200mL規格×1 ○500mL規格の希釈液から50mLを抜き450mLとし、そこへリツキサン注50mLを加え、混和します。 次に、200mL規格の希釈液から74mLを抜き126mLとした後、10mL瓶2本より抜き取ったリツキサン注 14mLを加え、混和します。 12 ・患者への説明について 3 前投与(Premedication) 国内臨床第Ⅰ相試験、低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした 臨床第Ⅱ相試験(4回投与)、中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与)、海外の臨床 試験及び市販後において、 リツキサン注を投与した患者に発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱 感、血管浮腫等のinfusion reactionが高頻度 (国内では患者の約90%) に発現することが報告されています (infusion reactionの詳細は「特に注意を要する副作用とその対策」P33参照)。 本剤投与時に頻発するinfusion reaction(発熱、悪寒、頭痛等) を軽減させるために、 リツキサン注の各回 点滴静注開始30分前に抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤等の前投与を行ってください。また、副腎皮質ホルモ ン剤と併用しない場合は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮してください。 【参 考】 国内における臨床第Ⅰ相、第Ⅱ相試験では次の薬剤が使用されました。 第Ⅰ相試験 解熱鎮痛剤 アセトアミノフェン 500mg 抗ヒスタミン剤 塩酸ジフェンヒドラミン 30mg 第Ⅱ相試験 イブプロフェン 200mg マレイン酸クロルフェニラミン 2mg ☞抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても、重篤なinfusion reactionが発現したとの報告があります。患者の状態を十分に観察してください。 13 リツキサン注 の投与 前投与の必要性 患者に対する説明 リツキサン注の治療対象に選択された患者又はその家族に対しては、投与前に本剤の効果、副作用、副作用 リツキサン注 の投与 対策等の治療上のリスクとベネフィットを十分に説明し、同意を得てください。 伝達性海綿状脳症(TSE) について 本剤は、マスターセルバンク構築時にカナダ、米国又はニュージーランド産ウシの血清由来成分(フェツイ ン、 ウシ胎児血清) を使用していますが、理論的なリスク評価を行って一定の安全性を確保する目安に達して いることを確認しています。 しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないこと から、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、本剤を投与してください。投与に先立ち、患者への有用性と 安全性の説明も考慮してください。なお、本剤は1997年12月に米国で発売されて以来、2010年5月現在 100ヵ国以上で承認され、約230万人の患者に投与されていますが、本剤の投与により伝達性海綿状脳症 (TSE) をヒトに伝播したとの報告はありません。 副作用について 本剤投与前に、次のような症状が高頻度に発現しやすいことを患者に説明してください。 これらの症状は投与開始後や注入速度上昇後に突然あらわれることもあります。 ・発熱 ・悪寒(戦慄) ・悪心 ・頭痛 ・疼痛 ・そう痒 ・発疹 ・咳 ・虚脱感 ・血管浮腫(舌、咽喉の腫れとして認められることもあります) (発現頻度等についてはP21〜32参照) 避妊について 本剤のがん原性、変異原性に関するデータ、胎児に及ぼす影響に関するデータ、あるいは男女の生殖能に及 ぼす影響に関するデータはございません。 したがって、本剤投与中及び投与後12ヵ月の間は避妊していただ くよう、患者に説明してください。 【参 考】Rituxan米国添付文書 (2013年5月改訂) より がん原性、変異原性、生殖への影響 本剤のがん原性や変異原性を検討する長期動物試験、あるいは雌雄の生殖能への影響を 検討する長期動物試験は行われていない。 患者指導のための情報 投与終了後6ヵ月間は血清中に本剤が検出される。 生殖可能な患者では、本剤投与中及び投与後12ヵ月まで有効な避妊法を使用すること。 14 4 新投与方法(投与法A) ◆初回投与時~投与直後の注意 の投与はできるかぎり入院で実施してください*。 ・患者の状態に応じて、従来の投与方法(P17参照)による投与も可能です。また、注入開始速度を適 宜減速することができます。 投与経路:必ず点滴静脈内投与としてください。 急速静注、静脈内大量投与及び皮下投与、筋肉内投与等、静脈以外の経路による投与はしないで ください。 投与直前:点滴静注用バッグ中の溶液について、外観上の異常がないことを目視にて点検してください。 注入速度:初回投与時は、最初の30分は50mg/時の速度で点滴静注を開始し、患者の状態を十分観察しな がら、その後注入速度を30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで速度を上げること ができます。 注入速度を守るために必ず輸液ポンプを使用してください。 初回投与の注入速度 前投与 50 100 150 200 250 300 350 400mg/時 30分 30分 30分 30分 30分 30分 残りの時間 リツキサン注 投与開始 30分 30分 ■本剤の注入速度を守り、投与中から投与終了後1時間はバイタルサインのモニタリング、自他覚症状の観察 を十分に行ってください。 ■本剤の注入速度に関連して血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫等の症状が発現するので注入速度を守ってく ださい。これらの症状は注入速度を上げた直後に発現しやすいので、注入速度を上げた後は特に注意深く 観察してください。 ■軽微から中等度の症状が認められた場合、症状により注入速度を緩めるか、投与の中断も考慮してくださ い。また、重篤な症状が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行ってください。 ■投与を再開する場合は、症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始してくだ さい。 ☞患者の状態によっては、注入速度をさらに減じることも考慮してください。 *:外来化学療法センター等で初回投与を実施する場合は、緊急時に迅速かつ十分な対応が可能な施設において、入院時と同等 以上に注意深い観察を行ってください。 15 リツキサン注 の投与 ・本剤の投与に関連して発現する重篤な副作用等は初回投与時に高頻度に認められることから、初回 ◆2回目以降の投与について リツキサン注 の投与 2回目以降の投与前にも臨床検査等を実施し、患者の状態を確認してから投与を決定してください。 前 投 与:2回目以降もリツキサン注の各回点滴静注開始30分前に前投与(Premedication) を行ってく ださい。 注入速度:2回目以降の注入開始速度は初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時ま で上げて開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることがで きます。 前回投与時に発現した副作用が軽微でなかった場合の注入速度 前投与 50 100 150 200 250 300 350 400mg/時 30分 30分 30分 30分 30分 30分 残りの時間 リツキサン注 投与開始 30分 30分 前回投与時に発現した副作用が軽微であった場合の注入速度 前投与 100 200 300 400mg/時 30分 30分 残りの時間 リツキサン注 投与開始 30分 30分 ☞初回投与時と同様に本剤の注入速度を守り、バイタルサインのモニタリングや患者の観察を十分に行って ください。 ☞初回投与時に副作用が認められない症例においても、2回目以降に初めて副作用が発現することがありま すので患者の観察を十分に行ってください。 16 5 従来投与方法(投与法B) ◆初回投与時~投与直後の注意 本剤の投与に関連して発現する重篤な副作用等は初回投与時に高頻度に認められることから、初回の 投与はできるかぎり入院で実施してください*。 投与経路:必ず点滴静脈内投与としてください。 急速静注、静脈内大量投与及び皮下投与、筋肉内投与等、静脈以外の経路による投与はしないで ください。 投与直前:点滴静注用バッグ中の溶液について、外観上の異常がないことを目視にて点検してください。 注入速度:初回投与時は、最初の1時間は25mg/時の速度で点滴静注を開始し、患者の状態を十分観察し ながら、その後注入速度を100mg/時に上げて1時間点滴静注し、 さらにその後は200mg/時 まで速度を上げることができます。 注入速度を守るために必ず輸液ポンプを使用してください。 初回投与の注入速度 前投与(Premedication) :抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等 リツキサン注点滴静注 25mg/時 ↑ 30分 1時間 100mg/時 1時間 200mg/時 残りの時間 投与開始 ■本剤の注入速度を守り、投与中から投与終了後1時間はバイタルサインのモニタリング、自他覚症状の観察 を十分に行ってください。 ■本剤の注入速度に関連して血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫等の症状が発現するので注入速度を守ってく ださい。これらの症状は注入速度を上げた直後に発現しやすいので、注入速度を上げた後は特に注意深く 観察してください。 ■軽微から中等度の症状が認められた場合、症状により注入速度を緩めるか、投与の中断も考慮してくださ い。また、重篤な症状が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行ってください。 ■投与を再開する場合は、症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始してくだ さい。 ☞患者の状態によっては、注入速度をさらに減じることも考慮してください。 *:外来化学療法センター等で初回投与を実施する場合は、緊急時に迅速かつ十分な対応が可能な施設において、入院時と同等 以上に注意深い観察を行ってください。 17 リツキサン注 の投与 患者の状態に応じて、従来の投与方法による投与も可能です。 ◆2回目以降の投与について リツキサン注 の投与 2回目以降の投与前にも臨床検査等を実施し、患者の状態を確認してから投与を決定してください。 前 投 与:2回目以降もリツキサン注の各回点滴静注開始30分前に前投与(Premedication) を行ってく ださい。 注入速度:2回目以降の注入開始速度は初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時ま で上げて開始することができます。 前投与(Premedication) :抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等 前回投与時に発現した副作用が軽微でなかった場合の注入速度 リツキサン注投与 前投与(Premedication) :抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等 25mg/時 200mg/時 100mg/時 リツキサン注投与 30分 1時間 ↑25mg/時 1時間 100mg/時 残りの時間 200mg/時 投与開始 30分 ↑ 1時間 1時間 残りの時間 投与開始 前回投与時に発現した副作用が軽微であった場合の注入速度 前投与(Premedication) :抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等 リツキサン注投与 前投与(Premedication) :抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等 100mg/時 200mg/時 リツキサン注投与 30分 1時間 ↑100mg/時 200mg/時 残りの時間 投与開始 30分 ↑ 1時間 残りの時間 初回投与時と同様に本剤の注入速度を守り、バイタルサインのモニタリングや患者の観察を十分に行って 投与開始 ください。 ☞ ☞初回投与時に副作用が認められない症例においても、2回目以降に初めて副作用が発現することがありま すので患者の観察を十分に行ってください。 18 6 再投与(再治療)について にご参照の上、実施可否を慎重に検討してください。 ・初回治療時と同様に、再投与時の初回投与はできるかぎり入院で実施してください*1。 ・再投与時も初回治療時と同様の検査を実施し、患者の状態を確認してから投与を決定してください。 国内臨床第Ⅱ相試験*2における再投与症例は16例でした。 再投与時の副作用は、程度、頻度ともに初回治療(リツキサン注による初めての治療)時より高くなる傾向は 認められませんでした。ただし、症例数が少ないことから新たな有害事象が発現する可能性は否定できません。 前 投 与:リツキサン注の各回点滴静注開始30分前に前投与(Premedication) を行ってください。 注入速度:本剤の再投与時の初回投与においても重篤な副作用が発現するおそれがあることから、最初の 30分は50mg/時の速度で開始してください。 2回目以降の注入開始速度は初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時ま で上げて開始できます。 患者の状態に応じて、投与法Bによる投与も可能です。 初回投与の注入速度 前投与 50 100 150 200 250 300 350 400mg/時 30分 30分 30分 30分 30分 30分 残りの時間 リツキサン注 投与開始 30分 30分 2回目以降の投与:前回投与時に発現した副作用が軽微であった場合の注入速度 前投与 100 200 300 400mg/時 30分 30分 残りの時間 リツキサン注 投与開始 30分 30分 ☞初回治療時と同様に本剤の注入速度を守り、バイタルサインのモニタリングや患者の観察を十分に行って ください。 ☞本剤が投与された患者では異種抗体(ヒト抗キメラ抗体)を生じることがあります。このような患者に再投 与された場合は、アレルギー、過敏反応等が発現するおそれがあります。 ☞再投与の可否を判断するための基準は確立されていません。 *1:外来化学療法センター等で初回投与を実施する場合は、緊急時に迅速かつ十分な対応が可能な施設において、入院時と同 等以上に注意深い観察を行ってください。 *2:低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回投与)及び中・高 悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与) 19 リツキサン注 の投与 ・本剤の再投与時の有効性に関する情報は、本剤添付文書【臨床成績】の項に記載しましたので、十分 7 相互作用 リツキサン注 の投与 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 生ワクチン又は 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現 本剤のBリンパ球傷害作用により発病す 弱毒生ワクチン した場合には適切な処置を行う。 るおそれがある。 不活化ワクチン ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。 Bリンパ球傷害作用によりワクチンに対 する免疫が得られないおそれがある。 免疫抑制剤 発熱などの感染症(細菌及びウイルス等)に基 過度の免疫抑制作用による感染症誘発 づく症状が発現した場合は、適切な処置を行う。 の危険性がある。 8 観察期間について 検査値の変動に留意し、異常が認められた場合には正常化するまで十分に観察を行ってください。 投与開始より6〜12ヵ月間はできるかぎり患者の状態を観察してください。 【参 考】国内、海外の臨床試験及び市販後の報告による副作用発現時期の傾向 初回投与時 投与中から 投与終了後1時間 ・バイタルサインの モニタリング ・自他覚症状の観察 (15∼30分毎) 初回投与後 2回目以降 (2週以降) infusion reaction ほとんどは初回点滴静注開始後30分∼2時間より24時間以内 腫瘍崩壊症候群 初回投与後12∼24時間以内 B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪 投与開始日∼投与終了後12ヵ月* 皮膚粘膜症状 投与開始後1∼13週* 間質性肺炎 投与開始後1∼13週* 治療終了後 6ヵ月 可逆性後白質脳症症候群、失明、難聴等の視聴覚障害、感覚障害、 顔面神経麻痺等の脳神経障害 投与開始日∼投与終了後6ヵ月* 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少 投与開始翌日∼投与終了後8ヵ月* 感染症 投与開始から、投与終了後6∼12ヵ月* (本剤によるBリンパ球や好中球の減少が認められる期間) 12ヵ月 進行性多巣性白質脳症(PML) 投与開始から、投与終了後12ヵ月* *発現時期に一定の傾向は認められていません。この期間外であっても、発現に十分注意してください。 20 副作用及び臨床検査値異常の発現状況 副作用の概要 国内の安全性評価症例157例中、副作用は147例(93.6%)に認められ、主な副作用は発熱101例 副作用 国内臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫承認時) (64.3%)、悪寒54例(34.4%)、そう痒34例(21.7%)、頭痛33例(21.0%)、ほてり32例(20.4%)、血 圧上昇28例(17.8%)、頻脈27例(17.2%)、多汗25例(15.9%)、発疹22例(14.0%)等であった。臨床 検査値異常は白血球減少75例(47.8%, 2,000/μL未満の白血球減少12.1%)、好中球減少72例 (45.9%, 1,000/μL未満の好中球減少18.5%)、血小板減少16例(10.2%, 5万/μL未満の血小板減少 1.9%)、AST(GOT)上昇17例(10.8%)等であった。 国外臨床試験成績(CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫承認時) 海外の安全性評価症例356例の主な有害事象(本剤との因果関係の有無にかかわらず発現した事象)は 発熱(53%)、悪寒(33%)、感染症(31%)、虚脱/倦怠感(26%)、悪心(23%)、頭痛(19%)、発疹 (15%)、寝汗(15%)等であり、臨床検査値異常は白血球減少(14%, 2,000/μL未満の白血球減少4%)、 好中球減少(14%, 1,000/μL未満の好中球減少6%)、血小板減少(12%, 5万/μL未満の血小板減少 2%)等であった。 なお、重大な副作用としてアナフィラキシー様症状・肺障害・心障害(infusion reactionの症状としてあら われることがある)、腫瘍崩壊症候群、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎・肝炎の増悪、肝機能障害・黄疸、皮膚 粘膜症状、汎血球減少・白血球減少・好中球減少・血小板減少、感染症、進行性多巣性白質脳症(PML)、間質性 肺炎、心障害、腎障害、消化管穿孔・閉塞、血圧下降、可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状が報告されてい る (2013年6月改訂時)。 21 国内における副作用及び臨床検査値異常の発現頻度4) 副作用 調査症例数 副作用の発現症例数 副作用の発現件数 副作用の発現率 157例 147例 623件 93.6% 臨床検査値異常 調査症例数 臨床検査値異常の発現症例数 臨床検査値異常の発現件数 臨床検査値異常の発現率 157例 124例 285件 79.0% 副作用 副作用の種類 例数(%) 副作用の種類 例数(%) 臨床検査値異常 例数(%) 感染症および寄生虫症 17(10.8) 胃腸障害 41(26.1) 血液検査値異常 95(60.5) 咽頭炎 9 (5.7) 嘔気・悪心 17(10.8) 白血球減少 75(47.8) 帯状疱疹 3 (1.9) 嘔吐 13 (8.3) 好中球減少 72(45.9) 感冒症状 3 (1.9) 口内乾燥 7 (4.5) ヘモグロビン減少 18(11.5) 胃腸炎 1 (0.6) 腹痛 5 (3.2) 血小板減少 16(10.2) 単純ヘルペス(単純疱疹§) 1 (0.6) 下痢 3 (1.9) 血液生化学的検査値異常 58(36.9) 細菌感染 1 (0.6) 腹部膨満 2 (1.3) AST(GOT)上昇 17(10.8) 感染 1 (0.6) アフタ性口内炎 1 (0.6) ALT(GPT)上昇 12 (7.6) 白癬 1 (0.6) 口内炎 1 (0.6) Al-P上昇 7 (4.5) 免疫系障害 1 (0.6) 歯肉炎 1 (0.6) 総ビリルビン上昇 5 (3.2) アナフィラキシー様反応 1 (0.6) 胃もたれ感 1 (0.6) クレアチニン上昇 2 (1.3) 代謝および栄養障害 2 (1.3) 胃不快感(胃部不快感§) 1 (0.6) BUN上昇 7 (4.5) *1 (しぶり腹§) 食欲不振 2 (1.3) 直腸しぶり 1 (0.6) 高Ca血症(n=155) 1 (0.6) *1 神経系障害 41(26.1) 便秘 1 (0.6) 低Ca血症(n=155) 2 (1.3) 頭痛 33(21.0) 脱出痔核 1 (0.6) 低Na血症 3 (1.9) *2 頭重感 4 (2.5) 皮膚および皮下組織障害 61(38.9) 高血糖(n=134) 5 (3.7) *2 めまい感(眩暈を含む) 4 (2.5) そう痒 34(21.7) 低血糖(n=134) 2 (1.5) 傾眠(眠気を含む) 4 (2.5) 多汗(発汗を含む) 25(15.9) 尿酸値上昇 7 (4.5) *3 しびれ感 3 (1.9) 発疹 22(14.0) LDH上昇(n=67) 7(10.4) *3 味覚異常(味覚障害を含む) 2 (1.3) 蕁麻疹 5 (3.2) CRP上昇(n=67) 14(20.9) 異臭感 1 (0.6) 紅斑(発赤を含む) 3 (1.9) 尿検査値異常 10 (6.4) 異常感覚 1 (0.6) 皮疹 3 (1.9) 尿糖 3 (1.9) 眼障害 1 (0.6) 湿疹 1 (0.6) 尿潜血 5 (3.2) 結膜充血 1 (0.6) 筋骨格系および結合組織障害 8 (5.1) 尿蛋白 5 (3.2) 耳および迷路障害 1 (0.6) 関節痛 4 (2.5) *1:2例は測定値なし 耳管狭窄 1 (0.6) 背部痛 3 (1.9) *2:23例は測定値なし 耳鳴 1 (0.6) 肩こり 1 (0.6) *3:低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリン パ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床 心臓障害 29(18.5) 筋痛(筋肉痛§) 1 (0.6) 第Ⅱ相試験(4回投与)では測定項目に含まれ 頻脈 27(17.2) 腎および尿路障害 3 (1.9) ていない 動悸(心悸亢進§) 2 (1.3) 血尿 1 (0.6) 不整脈 1 (0.6) 排尿痛 1 (0.6) 血管障害 64(40.8) 尿路結石 1 (0.6) ほてり 32(20.4) 全身障害および投与局所様態 121(77.1) 101(64.3) 高血圧(血圧上昇を含む) 28(17.8) 発熱 低血圧(血圧低下を含む) 18(11.5) 悪寒 54(34.4) 潮紅(顔面潮紅を含む) 6 (3.8) 倦怠感 17(10.8) 血管拡張 17(10.8) 3 (1.9) 疼痛 末梢性虚血 15 (9.6) 1 (0.6) 虚脱感§ 呼吸器、胸郭および縦隔障害 30(19.1) 浮腫 7 (4.5) § 咳(咳嗽を含む) 5 (3.2) 9 (5.7) 口渇 咽頭異和感 3 (1.9) 6 (3.8) 胸痛 咽頭不快感 2 (1.3) 4 (2.5) 不快感 鼻炎 2 (1.3) 4 (2.5) 胸部不快感 鼻汁 3 (1.9) 無力症(脱力感を含む) 2 (1.3) 低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マ 咽頭痛 1 (0.6) ントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回 2 (1.3) 疲労 鼻閉 1 (0.6) 投与)、並びに中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とし 2 (1.3) インフルエンザ様症候群 呼吸障害 1 (0.6) た臨床第Ⅱ相試験(8回投与)において発現した副作用 2 (1.3) 熱感および冷感 咽頭浮腫 2 (1.3) につき、原則としてMedDRA(ver.6.0)による読替え 1 (0.6) 臨床検査異常 を行い集計した。 咽頭狭窄 1 (0.6) 1 (0.6) 体重増加 急性上気道炎 1 (0.6) §:「医薬品副作用用語集(1996年)」による副作用名 1 (0.6) 胸部X線異常 喘鳴 1 (0.6) アレルギー性鼻炎 1 (0.6) 低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回投与)及び中・高悪性度B細胞リン パ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与)のそれぞれの副作用発現頻度は、P24∼25を参照 22 米国における有害事象の発現頻度* 5) 調査症例数 有害事象の発現率 有害事象の種類 356例 99% 発現率(%) 有害事象の種類 発現率(%) 86 代謝・栄養系障害 38 発熱 53 血管浮腫 11 悪寒/寒気 33 高血糖 9 感染 31 末梢性浮腫 8 虚脱/倦怠感 26 LDH上昇 7 頭痛 19 筋・骨格系障害 26 腹部痛 14 筋肉痛 10 疼痛 12 関節痛 10 背部痛 10 中枢・末梢神経系障害 32 咽頭刺激感 9 眩暈 10 潮紅 5 不安 5 心・血管系障害 25 呼吸器系障害 38 低血圧 10 咳の増加 13 高血圧 6 鼻炎 12 消化器系障害 37 気管支痙攣 8 悪心 23 呼吸困難 7 嘔吐 10 副鼻腔炎 6 下痢 10 皮膚・付属器障害 44 血液・リンパ組織障害 67 寝汗 15 リンパ球減少 48 発疹 15 白血球減少 14 そう痒 14 好中球減少 14 蕁麻疹 8 血小板減少 12 貧血 副作用 一般的全身障害 8 *米国の臨床試験において5%以上の患者であらわれた有害事象(本剤との因果関係の有無にかかわら ず発現した事象)の発現頻度 23 国内の臨床第Ⅱ相試験における副作用及び臨床検査値異常の発現頻度 低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床試験(4回投与) 及び中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床試験(8回投与) における、それぞれの非血液毒性、臨床検 査値異常の発現頻度を示します。 非血液毒性のうち、両試験間で発現頻度に大きな違いが見られたものは、高血圧、頻脈、そう痒、発疹、嘔吐 副作用 で、いずれも追加投与試験での発現頻度が低くなっています。このうち、高血圧、頻脈については、2つの臨床 試験における集計方法の違いによるものと考えられます。 ■低悪性度リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験※1における副作用及び臨床検査値異常 4) 副作用 臨床検査値異常 調査症例数 90例 調査症例数 90例 副作用の発現症例数 88例 臨床検査値異常の発現症例数 77例 副作用の発現件数 362件 臨床検査値異常の発現件数 172件 副作用の発現率 97.8% 臨床検査値異常の発現率 85.6% 副作用の種類 例数(%) 副作用の種類 皮膚・付属器障害 30(33.3) 呼吸器系障害 そう痒 25(27.8) 咽頭炎 発疹 19(21.1) 咳 例数(%) 臨床検査値異常の種類 66(73.3) 9(10.0) 白血球減少 50(55.6) 5 (5.6) 好中球減少 50(55.6) 蕁麻疹 3 (3.3) 鼻炎 4 (4.4) ヘモグロビン減少 18(20.0) 筋・骨格系障害 2 (2.2) 呼吸障害 2 (2.2) 血小板減少 14(15.6) 1 (1.1) 血液生化学的検査値異常 24(26.7) 78(86.7) AST(GOT)上昇 10(11.1) 関節痛 2 (2.2) 喘鳴 筋肉痛 1 (1.1) 一般的全身障害 心・血管障害(一般) 33(36.7) 発熱 60(66.7) ALT(GPT)上昇 6 (6.7) 血圧上昇 26(28.9) 悪寒(※戦慄含む) 34(37.8) Al-P上昇 3 (3.3) 血圧下降 11(12.2) 頭痛 21(23.3) 総ビリルビン上昇 3 (3.3) 心拍数・心リズム障害 25(27.8) ほてり 16(17.8) クレアチニン上昇 1 (1.1) 15(16.7) BUN上昇 4 (4.4) 15(16.7) 低Ca血症 1 (1.1) 6 (6.7) (n=73) 高血糖* 3 (4.1) 1 (1.4) 頻脈 心悸亢進 不整脈 23(25.6) 多汗 2 (2.2) 虚脱感 1 (1.1) 疼痛 血管(心臓外)障害 7 (7.8) 浮腫 5 (5.6) (n=73) 低血糖* 潮紅(フラッシング) 3 (3.3) 倦怠感 3 (3.3) 尿酸値上昇 3 (3.3) 血管拡張 3 (3.3) 胸痛 3 (3.3) 尿検査値異常 4 (4.4) 末梢性虚血 1 (1.1) 無力症 1 (1.1) 尿糖 2 (2.2) 尿潜血 2 (2.2) 尿蛋白 1 (1.1) 中枢・末梢神経系障害 眩暈 異常感覚 消化器系障害 嘔吐 悪心(嘔気) 口内乾燥 腹痛 しぶり腹 便秘 下痢 1 (1.1) アナフィラキシー様 反応 1 (1.1) インフルエンザ様 1 (1.1) 症候群 24(26.7) 体重増加 10(11.1) 咽頭浮腫 9(10.0) 抵抗機構障害 7 (7.8) 帯状疱疹 4 (4.4) 単純疱疹 1 (1.1) 細菌感染 1 (1.1) 1 (1.1) 1 (1.1) *17例は測定値なし 1 (1.1) 1 (1.1) 3 (3.3) 1 (1.1) 1 (1.1) 1 (1.1) 国内臨床第Ⅱ相試験で初回投与開始後から観察 期間を終了するまでに発現した副作用及び臨床 検査値異常について集計した。なお、同一症例に 同一副作用が複数回発現した場合は1件とした。 1 (1.1) ※1:低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回投与) 24 例数(%) 血液検査値異常 19(21.1) ■中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験※2における、副作用及び臨床検査値異常 4) 副作用 調査症例数 67例 副作用の発現症例数 59例 臨床検査値異常 調査症例数 臨床検査値異常の発現症例数 67例 47例 副作用の発現件数 261件 臨床検査値異常の発現件数 113件 副作用の発現率 88.1% 臨床検査値異常の発現率 70.1% 例数(%) 副作用の種類 例数(%) 臨床検査値異常の種類 例数(%) 皮膚・付属器障害 21(31.3) 呼吸器系障害 18(26.9) 血液検査値異常 29(43.3) 多汗 10(14.9) 咽頭異和感 6 (9.0) 白血球減少 25(37.3) そう痒 9(13.4) 咽頭不快感 4 (6.0) 好中球減少 22(32.8) 発疹 3 (4.5) 咳嗽 4 (6.0) ヘモグロビン減少 0 (0.0) 皮疹 3 (4.5) 鼻汁 3 (4.5) 血小板減少 2 (3.0) 帯状疱疹 2 (3.0) 咽頭痛 2 (3.0) 血液生化学的検査値異常 発赤 2 (3.0) 胸部不快感 2 (3.0) AST (GOT) 上昇 7(10.4) 蕁麻疹 2 (3.0) 鼻閉 2 (3.0) ALT (GPT) 上昇 6 (9.0) 紅斑 1 (1.5) 咽頭狭窄 1 (1.5) AI-P上昇 4 (6.0) 湿疹 1 (1.5) 急性上気道炎 1 (1.5) 総ビリルビン上昇 2 (3.0) 白癬 1 (1.5) 全身障害 55(82.1) クレアチニン上昇 1 (1.5) 筋・骨格系障害 3 (4.5) 発熱 41(61.2) BUN上昇 3 (4.5) 関節痛 2 (3.0) 悪寒 20(29.9) *1 高Ca血症 (n=65) 1 (1.5) 1 (1.5) ほてり 16(23.9) *1 低Ca血症 (n=65) 1 (1.5) 12(17.9) 倦怠感 14(20.9) 低Na血症 3 (4.5) 2 (3.3) 1 (1.6) 肩こり 心血管系障害 34(50.7) 低血圧 7(10.4) 頭痛 12(17.9) *2 高血糖 (n=61) 頻脈 4 (6.0) 疼痛 11(16.4) *2 低血糖 (n=61) 高血圧 2 (3.0) 口渇 5 (7.5) LDH上昇 7(10.4) 神経系障害 8(11.9) 頭重感 4 (6.0) CRP上昇 14(20.9) めまい感 3 (4.5) しびれ感 3 (4.5) 尿酸値上昇 4 (6.0) 傾眠 2 (3.0) 感冒症状 3 (4.5) 尿検査値異常 6 (9.0) 異臭感 1 (1.5) 顔面潮紅 3 (4.5) 尿糖 1 (1.5) 味覚異常 1 (1.5) 背部痛 3 (4.5) 尿潜血 3 (4.5) 1 (1.5) 不快感 2 (3.0) 尿蛋白 4 (6.0) 味覚障害 消化器系障害 18(26.9) 眠気 副作用 副作用の種類 2 (3.0) *1:2例は測定値なし 嘔気・悪心 8(11.9) アレルギー性鼻炎 1 (1.5) *2:6例は測定値なし 嘔吐 3 (4.5) 感染 1 (1.5) 下痢 2 (3.0) 脱力感 1 (1.5) 食欲不振 2 (3.0) 熱感および冷感 1 (1.5) 腹部膨満 2 (3.0) 疲労 1 (1.5) アフタ性口内炎 1 (1.5) 腹痛 1 (1.5) 胃もたれ感 1 (1.5) 代謝栄養障害 2 (3.0) 胃腸炎 1 (1.5) 浮腫 2 (3.0) 胃部不快感 1 (1.5) 特殊感覚器障害 2 (3.0) 口内炎 1 (1.5) 結膜充血 1 (1.5) 歯肉炎 1 (1.5) 耳管狭窄 1 (1.5) 脱出痔核 1 (1.5) 耳鳴 1 (1.5) 泌尿器系障害 3 (4.5) 臨床検査異常 1 (1.5) 血尿 1 (1.5) 胸部X線異常 1 (1.5) 排尿痛 1 (1.5) 尿路結石 1 (1.5) 国内臨床第Ⅱ相試験で初回投与開始後から観察 期間を終了するまでに発現した副作用及び臨床 検査値異常について集計した。 なお、同一症例に同一副作用が複数回再発した 場合は1件とした。 ※2:中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与) 25 副作用(非血液毒性)について ■投与法Aにおける有害事象の発現頻度 国内で実施した投与法A(P15参照) を用いたCHOP療法と併用の臨床試験*1において有害事象は62例 副作用 全例に合計1,042件認められました。主な副作用は脱毛症50例(80.6%)、末梢性ニューロパチー43例 (69.4%)、便秘40例(64.5%)、悪心38例(61.3%)、倦怠感36例(58.1%)、味覚異常36例(58.1%)、 食欲減退34例(54.8%)、口内炎31例(50%)、発熱21例(33.9%)、下痢20例(32.3%)、嘔吐20例 (32.3%)、背部痛20例(32.3%)、頭痛19例(30.6%)等でした。 ■投与サイクル毎のinfusion reactionの発現頻度 投与サイクル毎のinfusion reactionの発現は、初回投与時に多く認められた。初回投与時における発現 頻度(発現例数/登録例数[62例]) が30%以上のinfusion reactionは、悪心29例(46.8%)、倦怠感27例 (43.5%)、食欲減退25例(40.3%)、味覚異常22例(35.5%)、口内炎21例(33.9%)、発熱20例 (32.3%) でした。 ●投与法Aに関する臨床試験*1におけるinfusion reactionの発現件数(投与回別集計) 発現件数 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 3 Grade 1 Grade 2 Grade 3 33 157 1 7 7 70 7 8 4 2 2 5 8 11 初回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 (評価例数) (62) (62) (61) (61) (61) (60) (59) (59) 1症例当たり 3.11 発現件数 1.26 42 43 38 27 0.80 0.82 0.75 0.52 0.22 0.25 投与回数 *1:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブ維持療法の臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-6) 注)本臨床試験において、前治療薬として副腎皮質ホルモン剤を投与した症例も含まれています。 【まとめ】 投与法Aを用いたCHOP療法併用の臨床試験における、投与サイクル毎のinfusion reactionの発現は、 初回投与時に最も多く、そのほとんどが軽微(Grade 1以下)でありました。また、2回目以降は減少する 傾向を示しました。 26 国内で実施した投与法B(P17参照)を用いたC H O P療法と併用の臨床試験*2においてi n f u s i o n reactionは34例全例に合計355件認められました。主な副作用は発熱26例(76%)、悪寒16例(47%)、 頭痛14例(41%)、潮紅12例(35%)、そう痒11例(32%)、悪心11例(32%) でした。 ●投与法Bに関する臨床試験*2におけるinfusion reactionの発現件数(投与回別集計) 140 発現件数 120 Grade 1 Grade 2 Grade 3 16 副作用 160 100 80 60 122 40 8 1 2 52 44 33 41 36 初回 (評価例数) (34) 第2回 (34) 第3回 (34) 第4回 (33) 第5回 (33) 第6回 (33) 1症例当たり 4.06 発現件数 1.76 1.32 1.00 1.30 1.09 20 0 投与回数 *2:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブとCHOP療法の併用臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-4) 【まとめ】 投与法A、Bのいずれの投与法においても、初回投与時に最もinfusion reactionの発現頻度が高く、2回 目以降は減少する傾向を示しました。また、注入速度によるinfusion reactionの発現頻度の差は認めら れませんでした。 27 ■投与開始後の経過時間別infusion reactionの発現頻度(初回投与時) 投与法Aを用いた臨床試験*1ならびにこれまでに実施された臨床試験等から、本剤におけるinfusion reactionの多くは、注入速度を最初に上げた後の30分間に認められています。注入速度を上げる回数を重ね るごとに症状の発現は少なくなりますが、注入速度を上げた後は特に注意深く観察を行ってください。 副作用 ●投与法Aに関する臨床試験*1におけるinfusion reactionの発現件数 (初回投与時・投与開始後経過時間別集計) 発現件数 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 Grade 1 Grade 2 Grade 3 1 1 8 5 3 10 3 36 21 1 6 14 37 10 24 2 2 3 2 1 0 1 2 ∼ 180 ∼ 210 ∼ 240 ∼ 270 ∼ 300 29 59 89 119 149 179 209 239 269 299 329 投与開始後時間 (分) *1:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブ維持療法の臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-6) 注)本臨床試験において、前治療薬として副腎皮質ホルモン剤を投与した症例も含まれています。 28 翌日発現 ∼ 150 当日発現 ∼ 120 ∼ 90 ∼ 60 ∼ 30 ∼ 0 また、投与法Bにおいても初回投与時における投与開始からの経過時間で見ると注入速度を上げた際に infusion reactionの発現が多く認められています。特に最初に注入速度を上げた後、30~60分の間はご 注意ください。 ●投与法Bに関する臨床試験*2におけるinfusion reactionの発現件数 (初回投与時・投与開始後経過時間別集計) Grade 1 30 5 発現件数 2 25 1 20 15 10 5 0 Grade 2 副作用 35 3 1 26 22 12 1 4 2 1 17 3 2 1 4 2 6 ∼ 180 ∼ 210 ∼ 240 ∼ 270 ∼ 300 29 59 89 119 149 179 209 239 269 299 329 8 翌日発現 ∼ 150 当日発現 ∼ 120 ∼ 90 ∼ 60 ∼ 30 ∼ 0 8 投与開始後時間 (分) *2:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブとCHOP療法の併用臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-4) 【まとめ】 本剤におけるinfusion reactionの多くは、注入速度を最初に上げた際に認められています。 注入速度を上げる回数を重ねるごとに症状の発現は少なくなりますが、注入速度を上げた後は特に注意深 く観察を行ってください。 なお、副作用により投与を中断しその後投与を再開する場合は、症状が完全に消失した後、中止時点の半 分以下の速度で再開してください。 29 ■未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象とした2つの臨床試験の比較 ●投与継続状況について 投与法Aを用いた臨床試験*1において、infusion reactionの発現により投与速度の維持、減速、中断をし た患者はそれぞれ8.1%(5/62例)、3.2%(2/62例)、29.0%(18/62例) でした。 投与法Bを用いた臨床試験*2において、infusion reactionの発現により投与速度の維持、減速、中断をし 副作用 た患者はそれぞれ20.6%(7/34例)、8.8%(3/34例)、0%(0/34例) でした。 なお、投与法Aを用いた臨床試験においては、前投薬として副腎皮質ホルモン剤を投与した症例も含まれて います。 2つの臨床試験における本剤の投与継続状況(速度維持・減速、投与の中断等) を比較したところ、infusion reactionによって本剤の投与を一時中断した症例数等は投与法Aで多い傾向を認めました。 しかし、投与を中 断した全例で本剤の投与を再開することができ、最終的に全量投与が可能でした。なお、投与を再開する場合 は症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始してください。 ●infusion reactionの発現状況について 投与法A及び投与法Bを用いた臨床試験(いずれも未治療indolent非ホジキンリンパ腫を対象とした CHOP併用試験) におけるinfusion reactionの発現頻度を示します。 発現例数/投与例数 ︵%︶ Grade 1 5 2 15 8 48 Grade 2 Grade 3 32 29 65 44 62 10 11 59 36 7 8 55 28 45 3 3 14 投与法A 6サイクル 投与法A 投与法B 5サイクル 投与法A 投与法B 4サイクル 58 36 投与法A 投与法B 3サイクル 投与法A 投与法B 投与法A 2サイクル 6 3 34 投与法B 1サイクル 投与法A 投与法B 投与法A 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 5 7 7サイクル 8サイクル *1:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブ維持療法の臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-6、n=62) *2:未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたリツキシマブとCHOP療法の併用臨床第Ⅱ相試験(IDEC-C2B8-4、 n=34) 30 血液毒性について 低悪性度B細胞リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験※1における評価対象症例90例(再投与時を除く) におけ る血液毒性の主なものは白血球減少50例(55.6%, 2,000/μL未満の白血球減少15.6%)、好中球減少 減少3.3%)等でした。 低悪性度リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験※1における血液毒性 血液毒性 発現例数#1 副作用 50例(55.6%, 1,000/μL未満の好中球減少20.0%)、血小板減少14例(15.6%, 5万/μL未満の血小板 n=90 Grade別発現例数(%) (JCOGの毒性判定基準) 発現頻度 G1 G2 G3 G4 白血球減少 50 55.6% 17 (18.9) 19 (21.1) 13 (14.4) 1 (1.1) 好中球減少 50 55.6% 19 (21.1) 13 (14.4) 13 (14.4) 5 (5.6) 血小板減少 14 15.6% ヘモグロビン減少 18 20.0% 2 9 2 1 (2.2) (10.0) (2.2) (1.1) 9 (10.0) 9 (10.0) 0 (0) ー 血液毒性 最低値 中央値(範囲) 最低値発現までの期間 中央値(範囲) 回復までの期間#2 中央値(範囲) 白血球減少 2,510 /μL (900∼3,900 /μL) 12.5日 (1∼266日) 13日 (3∼125日) 好中球減少 1,370 /μL (250∼1,980 /μL) 29.5日 (1∼266日) 14日 (3∼154日) 血小板減少 6.75万 /μL (2万∼9.9万 /μL) 2日 (0∼201日) 5.5日 (2∼42日) ヘモグロビン減少 9.95 g/dL (9.0∼10.9 g/dL) 20日 (1∼178日) 7日 (2∼63日) #1 Japan Clinical Oncology Groupの毒性判定基準により、同一Grade内での変動は「なし」 とした。 #2 最低値(Nadir) から起算して投与前のGradeに回復するまでの日数とした。 本剤の好中球減少や血小板減少の発現メカニズムは、抗原抗体反応を介したBリンパ球の傷害とそれに続 く一連の免疫応答にFc受容体を有する好中球や血小板等が巻き込まれ、消費されるために発現すると推定さ れています。特に血液中や骨髄中に腫瘍性B細胞が多い場合、Bリンパ球傷害が急激に進むため、高度の好中 球減少や血小板減少が発現しやすくなります。 臨床第Ⅱ相試験において、腫瘍細胞の骨髄浸潤例や末梢血中に腫瘍細胞が流出した症例にGrade 3〜4の 好中球減少や血小板減少が発現しており、 このような背景を有する症例に本剤を投与する場合には、投与後の 血液検査を定期的に行い、高度の好中球減少や血小板減少の発現を十分モニターする必要があります。 31 中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験※2における評価対象例67例(再投与時を除く) に おける血液毒性の主なものは白血球減少25例(37.3%、2,000/μL未満の白血球減少7.5%)、好中球減 少22例(32.8%、1,000/μL未満の好中球減少16.4%) でした。 本試験における血液毒性の発現頻度は、低悪性度リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験※1(P31) より相対的に 低い傾向がみられましたが、本試験では腫瘍の進行に伴う早期脱落例の存在により、長期間観察を行った症例 副作用 の割合が低悪性度リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験 ※1と比較して低かったことなどによるものと考えられま す。 中・高悪性度B細胞リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験※2における血液毒性 血液毒性 発現例数#1 n=67 Grade別発現例数(%) (JCOGの毒性判定基準) 発現頻度 G1 G2 G3 G4 白血球減少 25 37.3% 11 (16.4) 9 (13.4) 4 (6.0) 1 (1.5) 好中球減少 22 32.8% 6 (9.0) 5 (7.5) 7 (10.4) 4 (6.0) 血小板減少 2 3.0% 2 (3.0) 0 (0) 0 (0) 0 (0) 血液毒性 最低値 中央値(範囲) 最低値発現までの期間 中央値(範囲) 回復までの期間#2 中央値(範囲) 白血球減少 2,800 /μL (960∼3,700 /μL) 35日 (2∼148日) 6日 (1∼77日) 好中球減少 1,061 /μL (10∼1,870 /μL) 39日 (2∼148日) 5日 (1∼35日) 血小板減少 9.05万 /μL (8.50万∼9.60万 /μL) 33日 (31∼35日) 7日 (7∼7日) ヘモグロビン減少は認められなかった。 #1 Japan Clinical Oncology Groupの毒性判定基準により、同一Grade内での変動は「なし」 とした。 #2 最低値(Nadir) から起算して1段階下のGradeに回復するまでの日数とした。 ※1:低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回投与) ※2:中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与) 32 特に注意を要する副作用とその対策 ※最新の副作用情報につきましては、担当MRまでお問い合わせください。 1 infusion reaction ます。 副作用 リツキサン注の投与に関連して、投与中から投与開始24時間以内に多くあらわれる副作用のことをいい 一般の点滴静注に伴う過敏症、ショック等と類似した発熱、悪寒、そう痒等の症状があらわれますが、 リツキ サン注特有の発現状況がみられることから、一般的な過敏症状と区別するため日本語に訳さず英文表記を用 いています。 発現状況 国内臨床第Ⅱ相試験*では、 合計873件の非血液毒性が発現しましたが、そのうちの約90%にあたる 790件がinfusion reactionでした。なお、 これらのほとんどは軽微から中等度であり、重度(Grade 3)の非血液毒性は5件(疼痛、血圧上昇、悪寒、虚脱感、多汗、各1件) でした。 発現時期 ほとんどは初回点滴静注開始後30分〜2時間より24時間以内にあらわれます。 症 状 主な症状(通常は軽微〜中等度) 発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱感、血管浮腫、口内乾燥、多汗、眩暈、倦怠感等 重篤な症状 アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害等の重篤な副作用(低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候 群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック、低血圧、血管浮腫、気管支痙攣、肺炎、閉塞性細気管支炎等) 発現機序 infusion reactionの発現機序については、明らかにされていません。 臨床上の症状は過敏症、アナフィラキシーに似ている場合がありますが、初回投与で発現した症例の約半数 の症例で、2回目の投与時に症状が認められていません。 *:低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(4回投与)及び中・高 悪性度B細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験(8回投与) 33 注意を要する患者 次の患者については、infusion reactionの発現頻度が高く、かつ重篤化しやすいので患者の状態を 十分に観察して投与してください。 ●血液中に大量の腫瘍細胞がある (25,000/μL以上) など腫瘍量の多い患者 ●脾腫を伴う患者 副作用 ●心機能、 肺機能障害を有する患者及びその既往歴がある患者 観察項目 本剤投与中は、血圧、脈拍、呼吸数等のバイタルサインのモニタリングや自他覚症状の観察を行い、 ま た投与後も患者の状態を十分に観察してください。 対 処 法 軽微〜中等度の場合 投与中に異常が認められた場合は、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて対症療法を行ってくだ さい。 場合により注入速度を緩めるか投与を中断することも考慮してください。 中断後に投与を再開する場合は、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始してください。 投与終了後に症状が発現した場合も、必要に応じて対症療法を行うとともに、症状が回復するまで慎 重に経過観察を行ってください。 (対症療法)解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の投与等 重篤な場合 投与中に異常が認められた場合は、直ちに投与を中止し、支持療法を行うとともに、症状が回復するま で患者の状態を十分に観察してください。投与を再開する場合は、症状が完全に消失した後、中止時点 の半分以下の注入速度で患者の状態を十分に観察しながら投与を再開してください。 (支持療法)酸素吸入、昇圧剤、気管支拡張剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等 なお、重篤なinfusion reactionが認められた患者に対する再投与(再治療)の可否を判断するための基準 については確立していないため、本剤投与によるリスク・ベネフィットを評価の上、 このような患者に投与する 際には、 より注意深く患者の状態を観察してください。 34 2 腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome) 治療により腫瘍細胞の急速な崩壊が起こる結果、大量の核酸、 リン酸、カリウムが細胞内より血中に放 出され、致命的な電解質異常及び尿酸やリン酸カルシウムの析出による重篤な腎不全が生じる病態をい 発現時期 副作用 います。 初回投与後12〜24時間以内に多くあらわれます。 注意を要する患者 ●末梢血液中の腫瘍細胞数が多い患者 ●脱水、 腎機能障害のある患者 予 防 腫瘍崩壊症候群の危険因子をもつ患者には、あらかじめ高尿酸血症治療剤(アロプリノール等)の投 与、補液による十分な尿量の確保等を行ってください。 観察項目 血清中電解質(Na、K、Cl、Ca、P)、LDH値の測定、腎機能検査(BUN、 クレアチニン、尿酸)等を行い、 患者の状態を十分に観察してください。 対 処 法 点滴中に認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投 与、尿のアルカリ化、透析等) を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察してくださ い。投与を再開する場合は、症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度にて患者の状 態を十分に把握しながら投与を再開してください。 なお、腫瘍崩壊症候群が認められた患者に対する再投与(再治療)の可否を判断するための基準については 確立していないため、本剤投与によるリスク・ベネフィットを評価の上、 このような患者に投与する際には、より 注意深く患者の状態を観察してください。 35 3 B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪 B型肝炎ウイルスキャリア又はその疑いのある患者に本剤を投与し、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全によ り死亡した症例が報告されています。 副作用 発現状況 国内での市販後の使用において、B型肝炎ウイルスキャリア又はその疑いのある患者に本剤を投与し て、176例に劇症肝炎、重篤な肝炎、肝不全等が発現しました。このうち、併用の有無不明の8例を除 く168例中158例が、化学療法併用症例でした (2011年6月19日現在)。 発現時期 大半の症例が治療終了1年以内に発現し、80%以上が半年以内に発現していました。また、一部の症 例で1年以上経過後(最大4年) に発現したとの報告があります。 観察項目 本剤投与前にB型肝炎ウイルス (HBV) マーカー(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体等) やHBV-DNA量 等の検査値の確認を行うとともに、治療期間中から治療終了後にも継続してHBVマーカー、HBVDNA量のモニタリングや肝機能検査などを行って十分患者の状態を観察してください。 本剤の投与開始前にHBs抗原陰性の患者に本剤を投与して、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症し死亡した症例が報告 されています。 対 処 法 B型肝炎の発症又は増悪が認められた場合は、本剤の投与を中止するとともに抗ウイルス剤の投与を 行うなどの適切な処置を行ってください。 厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に対する調査研究」班及び同肝炎等克服緊急 対策研究事業「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究」班より 「免疫抑制・化学療法により発症するB 型肝炎対策ガイドライン (2011年9月26日改訂) が示されています。投与にあたっては本ガイドラインを熟読ください。 4 肝機能障害、黄疸 本剤の投与により、肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害や黄疸を発現した症例が報告されています。AST (GOT)、ALT(GPT)、Al-P、総ビリルビン等の上昇や黄疸が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を 行ってください。 36 5 皮膚粘膜症状 本剤の投与により皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、天疱瘡様症状、苔癬状皮膚炎、小水疱性皮膚炎等があらわれ、死亡に至った 例が報告されています。 副作用 発現時期 これら皮膚粘膜症状が発現したのは、本剤投与開始後1〜13週であり、発現時期に一定の傾向は認め られていません。 対 処 法 重篤な皮膚粘膜症状が発現した場合には、本剤による治療を中止し、適切な処置を行ってください。 6 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少 本剤の投与により、重篤な血球減少を発現した症例が報告されています。 発現状況 国内の臨床第Ⅱ相試験*の投与症例157例中、Grade 3以上の好中球減少が29例(18.5%)、白血 球減少が19例(12.1%)、血小板減少が3例(1.9%) に認められました (P31〜32参照)。 また、市販後の使用成績調査の投与症例3,712例中、重篤な汎血球減少が50例(1.3%) が報告され ています。 この50例のうち47例が癌化学療法剤併用症例、 また、残り3例中2例は本剤投与前1ヵ月以内に癌化 学療法剤による治療を受けていました。 発現時期 ●これらの血球減少が発現した時期は、投与開始翌日から投与終了後8ヵ月の間であり、発現時期に 一定の傾向は認められていません。 ●海外及び国内の市販後の使用において、本剤の最終投与から4週間以上経過して好中球が減少し た症例が報告されています。また、国内の臨床試験において、本剤の最終投与から8ヵ月後に好中球 数が最低値に達した症例が報告されています。 対 処 法 重篤な好中球減少が認められた場合は、本剤を休薬するとともにG-CSFを投与するなどの支持療法 を行ってください。 *:低悪性度リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験(90例)及び、中・高悪性度B細胞リンパ腫に対する臨床第Ⅱ相試験(67例) 37 7 感染症 本剤の投与により、細菌、真菌、 ウイルスによる重篤な感染症(敗血症、肺炎等)があらわれ、死亡に至った例 が報告されています。 副作用 発現状況 国内での市販後の使用において、重篤な感染症*1が257例報告されています。感染原因の内訳*2は、 ウイルス98例、細菌51例、真菌61例、原虫2例、不明71例でした。257例中230例が、癌化学療法 剤や免疫抑制剤を併用した症例であり、感染症発現前の血球数が明らかな73例中20例でGrade 3 以上の好中球減少が認められています (2011年6月19日現在)。 発現機序 リツキサン注の投与によりBリンパ球の枯渇(場合により、 これに伴う免疫グロブリン値の低下) が生じ、 また、 リツキサン注の副作用である白血球減少、好中球減少が発現した場合、上記防御機構が破綻し、 感染症が発現しやすくなると考えられます。 注意を要する患者 ●感染症を合併している患者 ●白血球、 リンパ球が減少している患者 ●免疫グロブリン値が減少している患者 発現時期 これらの感染症は、投与開始直後から3年の間に発現しており、発現時期に一定の傾向は認められて いません。 対 処 法 感染症の徴候が認められた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行ってください。 *1:肝炎ウイルス感染を除きます。 *2:重複感染例が存在するため、各原因の和は190例と一致しません。 本剤の治療中より末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続すること、 また免疫グロブリンが減 少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は悪化する 可能性があります。 本剤によりニューモシスチス肺炎発現のおそれがあるので、適切な予防措置を考慮してください。 38 8 進行性多巣性白質脳症(PML) 本剤の投与により進行性多巣性白質脳症(PML) が発現し、死亡に至った症例が報告されています。 国内での市販後の使用において、PMLが13例報告されています。このうち11例は癌化学療法剤を 併用していました (2011年6月19日現在)。 副作用 発現状況 発現時期 発現した時期は、投与開始1ヵ月半後から3年後であり、発現時期に一定の傾向は認められていま せん*。 発現機序 血液系悪性腫瘍など免疫不全となる疾患への罹患、免疫を抑制する薬剤投与などが要因となり、健康 人の80%が潜在的に保有しているJCウイルス (ポリオーマウイルス)の活性化により発現すると考え られます。 対 処 法 意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI による画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、本剤の投与を中止し、適切な処置を行ってくだ さい。 *:米国の添付文書(2008年9月改訂) には「PML発症症例の多くは、 リツキサン注最終投与から12ヵ月以内に診断さ れている。」 と記載されています。 9 間質性肺炎 本剤の投与により、間質性肺炎が発現し、死亡に至った例が報告されています。 発現状況 国内での市販後の使用において、135例に重篤な間質性肺炎が発現しました。このうち、併用の有無 不明の5例を除く130例中119例が化学療法を併用しており、 また、61歳以上が101例を占めてい ます (2011年6月19日現在)。 発現時期 多くは本剤の投与開始から12週後までに発現しており、発現時期に一定の傾向は認められません。ま た、投与開始後25週以上経過してから発現した症例も報告されています。 対 処 法 発熱、呼吸困難、低酸素血症、乾性咳嗽、胸部X線やC Tでの異常陰影など間質性肺炎が疑われ る症状や検査所見が認められた場合、直ちにステロイドパルス治療など適切な処置を行ってくだ さい。 39 10 腎障害 国内での市販後の使用において、腎障害が発現し、その後の検査で腫瘍崩壊症候群によるものと判断され た症例が報告されています。 副作用 尿量減少、血清クレアチニンやBUNの上昇などが認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行ってく ださい。また、腫瘍崩壊症候群による可能性を考慮してください(腫瘍崩壊症候群の詳細はP35参照)。 11 可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状 本剤の投与により、可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神症状、視覚障害、高血圧等) が発現 したとの報告があります。 また、本剤の治療終了後6ヵ月までの間に、失明、難聴等の視聴覚障害、感覚障害、顔面神経麻痺等の脳神 経障害が報告されています。 患者の状態を十分に観察し、このような症状があらわれた場合は投与を中止し、適切な処置を行ってくだ さい。 12 その他 心障害 不整脈、狭心症、心筋梗塞等の心機能障害があらわれた場合は直ちに投与を中止して適切な処置を行っ てください。 消化管穿孔・閉塞 消化管穿孔・閉塞があらわれることがあります。初期症状である腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の 観察を十分行い、異常が認められた場合は、直ちにX線、CT検査等を実施して出血部位、穿孔・閉塞所見 の有無を確認し、適切な処置を行ってください。 血圧下降 一過性の血圧下降が発現することがあるので、 このような症状があらわれた場合は投与を中止して適切 な処置を行ってください。 40 化学療法との併用について 国内の市販後の使用成績調査では、化学療法とリツキシマブを併用した場合には1,292例中284例 (22.0%)、 リツキシマブ単独投与の場合には1,283例中142例(11.1%) に血液毒性が発現しました*。 を以下に記します (MabThera 英国添付文書(2004) より抜粋)。 副作用 参考として、欧州における、代表的な化学療法であるCHOP療法又はCVP療法と併用した場合の有害事象 ●CHOP療法と併用した場合(CHOPとR-CHOPを比較した第Ⅲ相臨床試験成績より) CHOP療法群と比べR-CHOP療法群により高い頻度(≧2%の差)で報告されたGrade 3、4の有害事象 (Grade 2の感染症を含む)6) R-CHOP (%) (n=202) CHOP (%) (n=196) 気管支炎 11.9 8.2 帯状疱疹 4.0 1.5 急性気管支炎 2.5 0.5 副鼻腔炎 2.5 ̶ 呼吸器系障害 呼吸困難 8.9 3.6 一般的障害及び投与部位の障害 悪寒 3.5 1.0 循環器系障害 高血圧症 2.5 0.5 心臓系障害 心房細動 2.5 0.5 感染症及び寄生虫感染症 Infusion-related reaction Grade 3及び4のinfusion-related reaction(リツキシマブ投与開始時から、投与中又は1日以内と定 義) が、R-CHOP療法初回サイクル時に患者の約9%で発現した。Infusion-related reactionの発現頻 度は、R-CHOP療法8サイクル目には1%未満まで減少した。その徴候及び症状は、単独療法の際に観察 されたものと同一であり、発熱、悪寒、低血圧、高血圧、頻脈、呼吸困難、気管支痙攣、悪心、嘔吐、疼痛及び 腫瘍崩壊症候群の特徴を含んでいた。R-CHOP療法群のみに認められた反応として、心筋梗塞、心房細 動及び肺水腫が報告された。 感染症 Grade 2〜4の感染症及び/又は発熱性好中球減少症を発現した患者の割合は、R-CHOP療法群で 55.4%、CHOP療法群で51.5%であった。発熱性好中球減少症(感染症として報告されていない)は、 投与期間中にのみ報告され、R-CHOP療法群で20.8%、CHOP療法群で15.3%であった。Grade 2〜 4の感染症の全発現率は、R-CHOP療法群で45.5%、CHOP療法群で42.3%であり、全身性の細菌性 又は真菌性感染症の発現頻度に差を認めなかった。Grade 2〜4の真菌性感染症は、R-CHOP療法群に より高頻度に発現した (CHOP療法群の2.6%に比し4.5%)。この差は、投与期間中の限局性カンジダ感 染症の発現頻度がより高かったことによる。眼の帯状疱疹を含めGrade 2〜4の帯状疱疹は、CHOP療 法群の1%に比し、R-CHOP併用群で4.5%と高頻度であり、R-CHOP併用群の総計9例中7例が投与 期間中に発症した。 血液学的所見 各投与サイクル後に、Grade 3及び4の白血球減少(88%対79%)並びに好中球減少(97%対88%) が、CHOP療法群に比しR-CHOP療法群により高頻度に発現した。R-CHOP療法群で好中球減少が遷延 するという結果は認められなかった。Grade 3及び4の貧血(CHOP療法群の19%に対しR-CHOP療法 群の14%)及び血小板減少(CHOP療法群の16%に対しR-CHOP療法群の15%) に関しては、2つの 治療群の間に差は認められなかった。全ての血液学的異常値から回復するまでの期間は、2つの治療群で 同等であった。 41 心臓に関する事象 頻脈のような心室性不整脈や心房粗動/細動を主とするG r a d e 3及び4の不整脈の発現頻度は、 CHOP療法群(3例、1.5%) に比し、R-CHOP療法群(14例、6.9%) でより高頻度であった。これら不整 脈の全ては、 リツキシマブ投与下、もしくは発熱、感染症、急性心筋梗塞、又は呼吸器系及び心血管系障害 の既往のような素因を有する条件下に発現した。心不全、心筋障害及び冠状動脈障害を含む、その他の 副作用 Grade 3及び4の心臓に関する事象の発現頻度は、CHOP療法群とR-CHOP療法群との間に差を認め なかった。 神経学的事象 投与期間において、心血管系の危険因子を有するR-CHOP療法群の4例の患者(2%) に、第1回目の投 与サイクル中に血栓性脳血管障害が発現した。他の血栓性の事象に関して、両治療群間の発現頻度に差 は認めなかった。CHOP療法群で脳血管障害3例(1.5%)が認められたが、いずれも追跡期間中に発現 した。 ●CVP療法と併用した場合(CVPとR-CVPを比較した第Ⅲ相臨床試験成績より)6) CVP療法群と比べR-CVP療法群により高い頻度(≧2%の差)で報告されたGrade 3、4の有害事象 R-CVP (%) (n=162) CVP (%) (n=159) 疲労感 3.7 1.3 好中球減少 3.1 0.6 Infusion-related reaction 重症な又は生命を脅かす (NCI CTCのGrade 3及び4)のinfusion-related reaction(リツキシマブ投 与開始時、投与中又は1日以内と定義)の徴候又は症状が、R-CVP療法を受けた全患者の9%に発現し た。これらの結果は、単独療法の際に観察されたものと同一であり、悪寒、疲労感、呼吸困難、消化不良、 悪心、発疹、潮紅を含んでいた。 感染症 治療中又は治療終了28日後までに認められた感染症の割合は同等であった(R-CVP療法群33%、 CVP療法群32%)。最も多く認められた感染症は上気道感染症であり、R-CVP療法を受けた患者の 12.3%、CVP療法を受けた患者の16.4%に認められた。これらの感染症の多くは鼻咽頭炎であった。 重篤な感染症はR-CVP療法を受けた患者の4.3%、CVP療法を受けた患者の4.4%において報告され た。生命を脅かす感染症はこの試験中には報告されなかった。 血液学的検査値異常 治療期間中に、R-CVP療法群の24%、CVP療法群の14%の患者に、Grade 3又は4の好中球減少が 認められた。Grade 4の好中球減少を認めた患者の割合は、両群で同等であった。これらの検査値所見 は有害事象として報告され、R-CVP療法群の3.1%、CVP療法群の0.6%が医学的介入を受けた。他の 検査値異常は治療されず、医学的介入を受けることなく回復した。また、R-CVP療法群で好中球減少発 現率が高かったが、感染症の発現率が高くなることはなかった。 Grade 3及び4の貧血(R-CVP療法群0.6%、CVP療法群1.9%)、及び血小板減少(R-CVP療法群 1.2%、CVP療法群では報告なし) に関しては、両群間に差は見られなかった。 心臓に関する事象 安全性評価例における心臓に関する事象の発現頻度は低く (R-CVP療法群4%、CVP療法群5%)、両群 間に差はみられなかった。 *:2005年3月 使用成績調査最終結果(調査対象:CD20陽性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マ ントル細胞リンパ腫) 42 インジウム(111In)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射 液及びイットリウム(90Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え) 注射液投与における、前投与としてのリツキシマブについて 調 製 釈に必要な生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液の量を算出します。 ☞CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対して、リツキシマブ単剤もしくはリツキシマブと化学療法剤を ゼヴァリン 前投与 体表面積からリツキサン注の必要量〔通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として250mg/m2 〕 と10倍希 併用して使用する場合とは用量が異なりますのでご注意ください。 必要量算出後の調製手順につきましては、 「リツキサン注の調製方法」 (P11) をご参照ください。 投 与 下図のように、解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン剤等の前投薬、 リツキシマブ (遺伝子組換え)、 インジウム (111In)又 はイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)の順で投与します。 ☞ CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対して、リツキシマブ単剤もしくはリツキシマブと化学療 法剤を併用して使用する場合とは用法が異なりますのでご注意ください。 なお、本剤の投与に当たりましては、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対して、 リツキシマブ単剤 もしくはリツキシマブと化学療法剤を併用して使用する場合と同様に「用法・用量に関連する使用上の注意」 (P4) に従ってください。 また、 インジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)及びイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)投与に関する詳細につきましては、ゼヴァリン インジウム (111In)静注用セット及 びゼヴァリン イットリウム (90Y)静注用セットの各添付文書をご参照ください。 解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン剤 等 解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン剤 等 リツキシマブ(250mg/m2) リツキシマブ(250mg/m2) インジウム(111In) イブリツモマブ チウキセタン (130MBq) イットリウム(90Y) イブリツモマブ チウキセタン (11.1又は14.8MBq/kg) 7日目から9日目の間に1回 又は 1日目 2日目 3日目 4日目 撮像 5日目 6日目 7日目 又は 8日目 9日目 日数 追加撮像 (必要な場合) 43 インジウム( 1 1 1 I n )イブリツモ マブ チウキ セタン( 遺 伝 子 組 換 え)注 射 液 及 び イットリウム( 90 Y)イブリツモマブ チウキセタン(遺伝子組換え)注射液投与の前 投与としてリツキシマブの投与を行った臨床試験*1における副作用発現状況一覧表 調査症例数 副作用の発現症例数 副作用の発現件数 副作用の発現率 ゼヴァリン 前投与 副作用の種類*2 感染症および寄生虫症 鼻咽頭炎 膀胱炎 単純ヘルペス 帯状疱疹 慢性気管支炎 感染 咽頭炎 肺炎 血液およびリンパ系障害 発熱性好中球減少症 代謝および栄養障害 食欲不振 低アルブミン血症 高Ca血症 高K血症 高リン酸塩血症 低Na血症 精神障害 不眠症 神経系障害 頭痛 浮動性めまい 傾眠 顔面神経麻痺 眼障害 アレルギー性結膜炎 眼の障害 耳および迷路障害 感音性難聴 心臓障害 動悸 心室性期外収縮 血管障害 潮紅 ほてり 高血圧 末梢冷感 呼吸器、胸郭および縦隔障害 咽頭不快感 咳嗽 咽喉頭疼痛 呼吸困難 鼻出血 上気道の炎症 鼻閉 アレルギー性鼻炎 息詰まり感 55例 51例 440件 92.7% 例数 (%) 11(20.0) 4 (7.3) 2 (3.6) 2 (3.6) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 13(23.6) 6(10.9) 4 (7.3) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 3 (5.5) 3 (5.5) 13(23.6) 9(16.4) 3 (5.5) 2 (3.6) 1 (1.8) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 8(14.5) 3 (5.5) 2 (3.6) 2 (3.6) 1 (1.8) 21(38.2) 7(12.7) 4 (7.3) 4 (7.3) 3 (5.5) 3 (5.5) 3 (5.5) 2 (3.6) 2 (3.6) 1 (1.8) 副作用の種類*2 胃腸障害 便秘 下痢 悪心 口内炎 胃不快感 腹痛 消化不良 上腹部痛 鼓腸 胃炎 萎縮性胃炎 歯肉痛 痔出血 痔核 肛門周囲痛 逆流性食道炎 嘔吐 皮膚および皮下組織障害 蕁麻疹 皮下出血 発疹 アレルギー性皮膚炎 多汗症 点状出血 接触性皮膚炎 皮膚乾燥 色素沈着障害 そう痒症 皮膚剥脱 皮膚病変 限局性蕁麻疹 筋骨格系および結合組織障害 関節痛 筋痛 腎および尿路障害 血尿 全身障害および投与局所様態 発熱 倦怠感 悪寒 疲労 熱感 胸部不快感 胸痛 注入に関連した反応 口渇 例数 (%) 23(41.8) 9(16.4) 5 (9.1) 4 (7.3) 4 (7.3) 3 (5.5) 2 (3.6) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 22(40.0) 7(12.7) 3 (5.5) 3 (5.5) 2 (3.6) 2 (3.6) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 2 (3.6) 1 (1.8) 1 (1.8) 3 (5.5) 3 (5.5) 27(49.1) 11(20.0) 10(18.2) 4 (7.3) 4 (7.3) 3 (5.5) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 副作用の種類*2 臨床検査 リンパ球数減少 白血球数減少 血小板数減少 好中球数減少 ヘモグロビン減少 ヘマトクリット減少 赤血球数減少 血中乳酸脱水素酵素増加 ALT (GPT) 上昇 血中ビリルビン増加 AST (GOT) 上昇 尿中血陽性 Al-P上昇 総蛋白質減少 血中クレアチニン増加 血中アルブミン減少 血中免疫グロブリンM減少 血中尿素増加 血中尿酸増加 尿中ブドウ糖陽性 例数 (%) 42(76.4) 37(67.3) 33(60.0) 30(54.5) 29(52.7) 23(41.8) 20(36.4) 18(32.7) 12(21.8) 7(12.7) 7(12.7) 6(10.9) 6(10.9) 4 (7.3) 4 (7.3) 3 (5.5) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) 1 (1.8) *1:国内の臨床第Ⅰ相試験および第Ⅱ相試 験で認められた副作用(リツキシマブと の因果関係が否定されなかった有害事 象) を合算した *2:副作用名はMedDRA/J version8.1 の基本語 (PT) にて表記した (網掛け部 は器官別大分類 (SOC) ) イ ンジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え) 注射液 (ゼヴァリン インジウム ( 111In) 静注用セット) 90 イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え) 注射液 (ゼヴァリン イットリウム (90Y) 静注用セッ 及びイットリウム ( Y) ト) につきましては、各製品の添付文書をご参照ください。 44 Q &A Q 投与前に準備しておいた方がよいことはありますか? A 気管支痙攣、 アナフィラキシー様症状等が生じることがあるので、 緊急事態に即応できる態勢 (酸素吸入の用意等)をとった上で、 抗ヒスタミン剤、 解熱鎮痛剤、 気管支拡張剤、 副腎皮質ホル モン剤等の薬剤を用意することが望ましいです。 10倍希釈を守らなければならないですか? A これまでの本剤の使用経験から、 注入速度とinfusion reaction等の副作用の発現に相関があ Q&A Q ることがわかっています。 したがって、 希釈操作の誤り等により、 急速に本剤が静注されることの ないよう、 10倍(1mg/mL)に希釈調製し、 使用することとしています。やむを得ず10倍希釈以 外で使用される場合は、 必ず点滴静注速度を守ってください。 Q 希釈後はいつまで使用できますか? A 希釈後は直ちに使用し、 室温での保管が24時間を超える場合には使用しないでください。 (米国添付文書には、 「投与用に調製した本剤は、 2〜8℃で24時間、 さらに追加して23℃以下 の室温で24時間安定であるが、 防腐剤を含まないため、 2〜8℃で冷蔵保存すること」と記載さ れています。) Q フィルター付きのルートを使用してもよいですか? A 日本における臨床試験では、 テルモ社製の孔径0.2μmのインラインフィルター(テルフュージョ ン®ファイナルフィルターPS)の使用経験があります。 Q 既に確保されているルートを他剤投与後に使用してもよいですか? A 原則的には残液が存在しなければ可能と考えられますが、 本剤はpHの変化による影響を受け やすい性質を有していますので、 生理食塩液などでルート全体をフラッシングの上、 本剤を投与 してください。 45 Q 別ルートで他剤の同時投与をしてもよいですか? A 別ルートでの同時投与の使用経験はなく、 また、 薬剤により副作用発現時の対処法が異なるた め、 別ルートであっても同時投与は行わないでください。 なお、 本剤が凝集あるいは分解するおそれがあるため、 混注を禁止しています。 Q&A Q 点滴静注にかかる時間はどれくらいですか? A 投与法Aによる点滴静注にかかる時間を解析した国内臨床試験において、 サイクルごとの所要 時間は下記のとおりです。 初回投与時 2時間50分〜6時間54分(中央値 3時間33分) 2回目 2時間0分 〜5時間30分(中央値 2時間27分) 3回目 2時間5分 〜2時間51分(中央値 2時間24分) 4回目 2時間0分 〜3時間4分(中央値 2時間25分) 5回目 2時間5分 〜2時間56分(中央値 2時間25分) 6回目 1時間55分〜3時間5分(中央値 2時間25分) 7回目 2時間5分 〜3時間15分(中央値 2時間26分) 8回目 2時間0分 〜2時間59分(中央値 2時間25分) 投与法Bによる点滴静注にかかる時間を解析した国内臨床第Ⅱ相試験において、 サイクルごと の所要時間は下記のとおりです。 初回投与時 3時間40分〜22時間(中央値 4時間36分) 2回目 2時間45分〜 7時間(中央値 4時間) 3回目 2時間33分〜 7時間(中央値 3時間46分) 4回目 2時間45分〜 6時間(中央値 3時間45分) 5回目 2時間45分〜 6時間(中央値 3時間43分) 6回目 2時間48分〜 6時間(中央値 3時間41分) 7回目 2時間46分〜 5時間3分(中央値 3時間49分) 8回目 2時間45分〜 5時間3分(中央値 3時間45分) Q 点滴時間を短縮するために注入速度を上げてもよいですか? A 注入速度とinfusion reaction等の副作用の発現に相関がみられているので、 添付文書に記載 されている注入速度を超えて投与しないでください。 46 Q &A Q 標準的な注入速度よりも速度を遅くしてもよいですか? A 注入速度とinfusion reaction等の副作用の発現に相関がみられているので、 患者の状態に よっては、 注入速度を遅くする必要があります。このような場合にも、 患者の状態を十分に観察 してください。 従来の投与方法による投与も可能ですか? A 患者の状態(腫瘍量、 脾腫の有無、 主要臓器や骨髄の状態、 感染症リスク等)や担当医の判断に Q&A Q より、 従来の投与方法による投与も可能です。 このような場合にも、 投与中、 投与後は患者の状態を十分に観察してください。 Q 従来の投与方法が適している患者とはどのような患者ですか? A 慎重投与が必要となる患者等が該当しますが、 基準はありません。患者の状態に応じて担当医 の判断により検討してください。 Q A 投与法Aと投与法Bとの間に、有害事象の発現頻度など差はありま すか? 未治療indolent B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象とした2つの臨床試験の比較において、 リ ツキサン注の投与継続状況(投与速度維持・減速、 投与の中断等)を比較したところ、 infusion reactionによりリツキサン注の投与を一時中断した症例数は投与法Aで多い傾向を認めました が、 投与を中断した全症例でリツキサン注の投与再開ができ、 最終的に全量投与が可能でした。 Q 点滴漏れに対する対処法は? A リツキサン注は、 本質的に免疫グロブリン製剤であること、 pH6.5±0.3、 浸透圧比は約1に調整 されていることから、 従来の化学療法のような皮膚や皮下組織の障害が生じる可能性は低いと 考えられます。もしも発赤・腫脹が発現した場合には、 必要に応じて外用剤(抗炎症剤、 ステロイ ド剤等)による一般的な対処を行ってください。 47 Q infusion reactionとアナフィラキシーとはどう違うのですか? A infusion reactionはアナフィラキシーとは異なり、 初回投与時と比較して2回目以降の投与時 には、 投与回数の増加に伴い症状の発現頻度が低下し、 症状の程度も軽減します。 Q&A Q CHOP療法と併用する場合、どのような投与スケジュールがありますか? A CHOP療法と同日に投与する方法(化学療法剤の投与直前にリツキサン注を投与する)や、 CHOP療法の2日前にリツキサン注を投与する方法など、 何種類かの異なった投与スケジュール についての報告があります。ただし、 CHOP療法との併用でリツキサン注の投与スケジュールを 比較検討した報告は現時点ではありません。 Q 巨大腫瘤(bulky disease)のある患者には投与できないのでしょうか? A 最大腫瘍径が10cm以上のbulky病巣を有する、 ろ胞性リンパ腫を中心とする低悪性度B細胞 性非ホジキンリンパ腫患者に対するリツキシマブ単剤投与の臨床試験が米国で行われました。 その報告によりますと、 (既報の)巨大腫瘤のない患者と同等の抗腫瘍効果が得られ、 31例中4 例にGrade 3もしくは4の非血液毒性が認められたものの全例回復していることから、 治療中、 注意深くかつ十分なモニタリングが必要ではあるが、 巨大腫瘤のある患者に対してもリツキサン 注は単剤で安全かつ明らかな抗腫瘍効果を示したとの結論が示されています*。 したがって、 巨 大腫瘤が認められる患者に対しても投与は可能です。 *:Davis TA et al:J Clin Oncol 17:1851-1857, 1999 Q A 多剤併用化学療法の治療歴のある患者にリツキサン注の投与を開始 する場合、どのような点に注意が必要ですか? リツキサン注による治療に入る直前まで数種類の多剤併用化学療法が前治療として施行されて いる患者では、 臓器障害を合併している可能性があります。 したがって、 このような患者への投与 にあたっては、 患者の一般状態(P.S.)や主要臓器(心臓・肺・腎臓・肝臓等)の機能を十分確認し てください(患者の選択についてはP7〜10参照)。 Q 化学療法との併用治療では、どのような点に注意が必要ですか? A 併用する化学療法による骨髄抑制などの副作用や、 骨髄抑制に伴う感染症の発現等に注意し、 十分な対応をとる必要があります。 また、 リツキサン注により認められる副作用への対策もより徹 底し、 予防措置(ステロイド剤の前投与など)を行ってください。症状があらわれた場合には投与 48 の中断や中止など、 迅速な処置を行ってください。 Q &A Q A 「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫」が効能・効果とされてい ますが、高悪性度B細胞リンパ腫に対する効果の報告はありますか? 中・高悪性度B細胞リンパ腫を対象としたリツキシマブの臨床第Ⅱ相試験では、 68例の登録症例 で、 高悪性度B細胞リンパ腫は2例のみであり、 また、 症例報告はあるものの、 高悪性度B細胞リン パ腫を対象とした臨床試験によるリツキシマブの有効性や安全性に関する十分な報告はあ Q A Q&A りません。 従来はHBs抗原陽性例がB型肝炎増悪のリスク群とされてきました が、 リツキサン注を使用する場合は、この他どのような患者に注意す る必要がありますか? HBs抗原陰性であっても、 HBc抗体またはHBs抗体陽性の患者ではB型肝炎増悪に対する注 意が必要です*1。 化学療法を施行したHBs抗原陰性の悪性リンパ腫患者244例中HBc抗体またはHBs抗体が陽 性の8例でHBVの再活性化による肝炎を発症、 リツキサン注とステロイドを含む化学療法での 発現率が12.2%(6/49例)に対し、 リツキサン注とステロイドを含まない化学療法では1.0% (2/195例)であり、 リツキサン注とステロイドを含む化学療法がB型肝炎発症のリスクファクター であったとする報告があります*2。 また国内での市販後の使用において、 B型肝炎ウイルスキャリア又はその疑いのある患者に本 剤を投与して、 176例に劇症肝炎、 重篤な肝炎、 肝不全等が発現しており、 このうち87例がHBs 抗原陰性からの発症でした。 *1:楠本茂 他:血液・腫瘍科 54:737-742, 2007 *2:Hui CK et al:Gastroenterology 131:59-68, 2006 Q B型肝炎増悪の早期診断には、どのような検査が有用ですか? A ALT上昇、 肝炎増悪に先行してHBV-DNA量が上昇するとの報告*1、*2があり、 HBV-DNA量の 測定が有用であると考えられます。 *1:楠本茂 他:血液・腫瘍科 54:737-742, 2007 *2:Hui CK et al:Gastroenterology 131:59-68, 2006 49 Q B型肝炎再活性化予防のためのガイドラインなどはありますか? A 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に対する調査研 究」班及び同肝炎等克服緊急対策研究事業「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化 に関する研究」班より、 「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」が報告さ れています。 Q&A Q A 進行性多巣性白質脳症(PML)診断のためには、どのような検査を行う 必要がありますか? 意識障害、 認知障害、 麻痺症状(片麻痺、 四肢麻痺)、 言語障害等のPMLを疑うべき大脳症状が あらわれた場合は先ずMRI検査を施行し、 PMLの可能性があると判断される場合は、 脳脊髄液 中の原因ウイルス(JCウイルス)のDNAを検査します。 脳脊髄液中のJCV-DNA検査については、 厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 プリオン及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班、 国立感染症研究所がPCR法による 検査を受託しています。 Q A 感染症の発現時期には一定の傾向はみられないとありますが、病原体 別による発現時期の違いはありますか? 国内市販後に報告された257例の内、 発現日までの期間が算出できる198例における病原体別 の発現時期を示します。 病原体 症例数*1 発現時期*2 中央値(日) 範囲 75 95 1日~3年 細菌 42 36.5 4日~1年 真菌 38 87.5 8日~1年 原虫 2 不明 60 ウイルス *3 175 38.5 31日~319日 1日~286日 *1:重複感染例が存在するため、 各原因の和は198例と一致していません。 *2:リツキサン注投与開始から発現までの期間。 *3:肝炎ウイルス感染を除きます。 50 Q &A Q A リツキサン注の投与を予定している患者に不活化ワクチンの接種を行 う場合、ワクチン接種はいつ行うべきですか? 関節リウマチ*1患者については、 リツキサン注の初回投与の少なくとも4週間前までにワクチン の接種を行うことが推奨されています*2。 *1:国内では効能・効果未承認の疾患です。 Q A Q&A *2:Company Core Data Sheet(CCDS:企業中核データシート)Ver. 10.0 リツキサン注による治療を受けた患者がインフルエンザ・ワクチンの接 種を希望していますが、予防効果は期待できますか? リツキサン注などの抗体を含む治療を受けているリンパ腫患者では、 インフルエンザ・ワクチン接 種への反応が著しく劣るとの報告*1が、 更に、 R-CHOP治療中ないしは治療終了後11ヵ月以内 のリンパ腫患者に対してワクチンを接種したところ、 新規インフルエンザ・ウイルス株に対しては 抗体価の上昇が認められなかったとの報告*2があります。 また、 関節リウマチ*3患者においては、 リツキサン注投与終了後70日経過した直後、 B細胞が十分 回復していない状態でインフルエンザ・ワクチンを接種した場合、 リツキサン注の投与を受けてい ない対照と比較して抗体価の上昇が有意に劣るとの報告*4、 あるいは、 リツキサン注投与終了後 18ヵ月以内の患者では、 ワクチン接種時のCD19陽性細胞数に関わらず、 十分な抗体価の上昇 が認められない株が存在したとの報告*5があります。 *1:Ljungman P et al:Br J Haematol 130:96-98, 2005 *2:Takata T et al:J Clin Exp Hematopathol 49:9-13, 2009 *3:国内では効能・効果未承認の疾患です。 *4:Gelinck LBS et al:Ann Rheum Dis 66:1402-1403, 2007 *5:Oren S et al:Ann Rheum Dis 67:937-941, 2008 51 参考文献 1)国内臨床試験における副作用症例経過 脾腫を伴う患者、咽頭扁桃・口蓋扁桃部位に病巣のある患者(全 薬工業株式会社 社内資料) 2)Maloney DG et al:Blood 90:2188-2195, 1997 3)Dervite I et al:N Engl J Med 344:68-69, 2001 4)IDEC-C2B8 国内臨床試験の概要(全薬工業株式会社 社内資料) 5)Rituxan 米国添付文書:2001 6)MabThera 英国添付文書:2004 参考文献 52 53 警告、禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分ご留意ください。 リツキシマブ(遺伝子組換え)製剤 薬 効 分 類 販 一 売 般 抗CD20モノクローナル抗体 日本標準商品分類番号 874291 名 名 リツキシマブ (遺伝子組換え)Rituximab (Genetical Recombination) 製剤 規 制 区 分 承 認 番 号 21300AMY00273 承 認 年 月 2001年6月 薬 価 基 準 収載 (2001年8月) 販 売 開 始 年 月 2001年9月 効 能 追 加 年 月 2013年6月 再審査期間満了年月 2011年6月 製 造 販 売 会 社 全薬工業株式会社 販 中外製薬株式会社 売 会 社 生物由来製品、 処方せん医薬品注1) 警 告 【警告】 1.本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器腫瘍及び自己免疫疾患の治療に対して、十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤 の使用が適切と判断される症例のみに行うこと。 また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投 与を開始すること。 (低酸素血症、肺 2.本剤の投与開始後30分∼2時間よりあらわれるinfusion reactionのうちアナフィラキシー様症状、肺障害、心障害等の重篤な副作用 浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等) により、死亡に至った例が報告されている。 これらの死亡例の多くは初回投与後 24時間以内にみられている。 また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、 これらの副作用があらわれるおそれがある。本剤投与中はバイタルサイン (血 圧、脈拍、呼吸数等) のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状態を十分観察すること。特に以下の患者については発現 頻度が高く、 かつ重篤化しやすいので注意すること (「重要な基本的注意」、 「重大な副作用」の項参照) 。 (1) 血液中に大量の腫瘍細胞がある (25,000/μL以上) など腫瘍量の多い患者 (2) 脾腫を伴う患者 (3) 心機能、肺機能障害を有する患者 (tumor lysis syndrome) 3.腫瘍量の急激な減少に伴い、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高Al-P血症等の腫瘍崩壊症候群 があらわれ、本症候群に起因した急性腎不全による死亡例及び透析が必要となった患者が報告されている。血液中に大量の腫瘍細胞がある患者にお いて、初回投与後12∼24時間以内に高頻度に認められることから、急激に腫瘍量が減少した患者では、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うな ど、患者の状態を十分観察すること。 また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、 これらの副作用があらわれるおそれがある (「重大な副作用」の項参 照) 。 B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている (「重要 4. な基本的注意」、 「重大な副作用」の項参照) 。 (Stevens-Johnson症候群) 、中毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis:TEN) 等の皮膚粘膜症状があらわれ、死亡 5.皮膚粘膜眼症候群 に至った例が報告されている (「重大な副作用」の項参照) 。 (90Y) 6.ゼヴァリン イットリウム 静注用セット及びゼヴァリン インジウム (111In) 静注用セットの前投薬として本剤を用いる場合には、 ゼヴァリン イットリウム (90Y) 静注用セット及びゼヴァリン インジウム (111In) 静注用セットの添付文書についても熟読すること。 禁 忌 【禁忌 (次の患者には投与しないこと) 】 本剤の成分又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症又はアナフィラキシー反応の既往歴のある患者 成分・含量(1瓶中) 有効成分:リツキシマブ (遺伝子組換え)注2) 添 加 物:ポリソルベート80 組 成・性 状 塩化ナトリウム クエン酸ナトリウム水和物 効 能・効 果 10mL 50mL 100mg 500mg 7mg 35mg 90mg 450mg 71.4mg 357mg 無水クエン酸 1.4mg pH調整剤 適量 7mg 適量 性状 無色∼淡黄色の澄明又はわずかに白濁した液 pH 6.5 ± 0.3 浸透圧比 約1 (生理食塩液に対して) 注2)本剤は、 チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。 マスターセルバンク構 築時にはウシの血清由来成分(ウシ胎児血清及びフェツイン) を使用している。 また、 製造工程において、培地成分としてウシの乳由来成分(D-ガラクトース) を使用して いる。 ○CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫 ○免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患 ○ヴェゲナ肉芽腫症、 顕微鏡的多発血管炎 ○インジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液及びイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液投与の前投与 ※CD:cluster of differentiation <効能・効果に関連する使用上の注意> 1.本剤投与の適応となる造血器腫瘍の診断は、 病理診断に十分な経験をもつ医師又は施設により行うこと。 2.CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に用いる場合は、免疫組織染色法又はフローサイトメトリー法等により CD20抗原の検査を行い、 陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。 3.ヴェゲナ肉芽腫症、 顕微鏡的多発血管炎については、 既存治療で十分な効果が得られない患者、 疾患活動性が高い患者等に対して本剤の投与を考慮すること。 1. <CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として1回量375mg/m2を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。 <免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に用いる場合> 通常、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として1回量375mg/m2を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。 <ヴェゲナ肉芽腫症、 顕微鏡的多発血管炎に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として1回量375mg/m2を1週間間隔で4回点滴静注する。 <インジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液及びイットリウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液投与の前投与に用いる場合> 通常成人には、 リツキシマブ (遺伝子組換え) として250mg/m2を1回、 点滴静注する。 2. 本剤は用時生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて10倍に希釈調製し使用する。 用 法・用 量 <用法・用量に関連する使用上の注意> 1.本剤投与時に頻発してあらわれるinfusion reaction(発熱、 悪寒、 頭痛等) を軽減させるために、 本剤投与の30分前に抗ヒスタミン剤、 解熱鎮痛剤等の前投与を行うこと。 また、 副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合は、 本剤の投与に際して、 副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮すること。 2.初回投与時は、 最初の30分は50mg/時の速度で点滴静注を開始し、 患者の状態を十分観察しながら、 その後注入速度を30分毎に50mg/時ずつ上げて、 最大400mg/時まで 速度を上げることができる。 また、 2回目以降の注入開始速度は、 初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、 100mg/時まで上げて開始し、 その後30分毎に100mg/時 ずつ上げて、 最大400mg/時まで上げることができる。 なお、 患者の状態により、 注入開始速度は適宜減速すること。 3.注入速度に関連して血圧下降、 気管支痙攣、 血管浮腫等の症状が発現するので本剤の注入速度を守り、 注入速度を上げる際は特に注意すること。症状が発現した場合は注 入速度を緩めるかもしくは中止する。重篤な症状の場合は直ちに投与を中止し、 適切な処置を行う。 また、 投与を再開する場合は症状が完全に消失した後、 中止時点の半分以 下の注入速度で投与を開始する。 4.本剤の再投与に関しては、 実施の可否を慎重に検討すること (【臨床成績】 の項参照)。 注1)注意−医師等の処方せんにより使用すること。 使 用 上 の 注 意 4) 肝機能障害、黄疸 (0.1∼5%未満) :AST (GOT) 、 ALT (GPT) 、 Al-P、 総ビリルビン等の 1.慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること) 肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、 肝機能検 (1)感染症(敗血症、肺炎、 ウイルス感染等) を合併している患者[免疫抑制作用により病 査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。 異常が認められた場合は投与を中止 態を悪化させるおそれがある。HBs抗体陽性患者に本剤を投与した後、HBs抗体が し、 適切な処置を行うこと。 陰性の急性B型肝炎を発症した例が報告されている。] 5) 皮膚粘膜症状(頻度不明注3)) (2)心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者[投与中又は投与後に不整脈、 狭 :皮膚粘膜眼症候群 (Stevens−Johnson症候群) 、中 心症等を悪化又は再発させるおそれがある (「重大な副作用」の項参照)。] 毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis:TEN) 、天疱瘡様症状、苔癬 (3)肺浸潤、 肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者[投与中又は投与直後に 状皮膚炎、小水疱性皮膚炎等があらわれ、死亡に至った例が報告されている。 これ 気管支痙攣や低酸素症を伴う急性の呼吸器障害があらわれ、 肺機能を悪化させるお らの症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 それがある (「重大な副作用」の項参照)。] 6)汎血球減少(頻度不明 注3))、白血球減少、好中球減少(10%以上)、血小板減少 (4)重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者[好中球 (5%未満) :重篤な血球減少があらわれることがあり、 好中球減少については、 本剤の 減少及び血小板減少を増悪させ重篤化させるおそれがある (「重大な副作用」の項 最終投与から4週間以上経過して発現する例が報告されているので、本剤の治療 参照)。] 期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、 患者の状態を十分に観察 (5)降圧剤による治療中の患者 [本剤投与中に一過性の血圧下降があらわれることがある。 ] し、 異常が認められた場合は休薬等の適切な処置を行うこと。 (6)薬物過敏症の既往歴のある患者 7) 感染症(頻度不明注3)) :細菌、真菌、 あるいはウイルスによる重篤な感染症(敗血症、 (7) アレルギー素因のある患者 肺炎等) があらわれることがあるので、 本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の 2.重要な基本的注意 状態を十分に観察し、 異常が認められた場合は投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 (1)本剤の初回投与中又は投与開始後24時間以内に多くあらわれるinfusion reaction 8) 進行性多巣性白質脳症 (PML) (頻度不明注3)) :進行性多巣性白質脳症(PML) が (症状:発熱、 悪寒、 悪心、 頭痛、 疼痛、 そう痒、 発疹、 咳、 虚脱感、 血管浮腫等) が約90% あらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十 分に観察し、 意識障害、 認知障害、 麻痺症状(片麻痺、 四肢麻痺) 、 言語障害等の症 の患者において報告されている。 これらの症状は、通常軽微∼中等度で、主に本剤の 状があらわれた場合は、 MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、 投与 初回投与時にあらわれている。患者の状態を十分に観察し、 異常が認められた場合は を中止し、 適切な処置を行うこと。 適切な処置(解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤等の投与) を行うとともに、症状が回復するま 注3) 9) 間質性肺炎(頻度不明 ) で患者の状態を十分に観察すること (「重大な副作用」の項参照)。 :間質性肺炎があらわれることがあるので、 患者の状態を (2)抗ヒスタミン剤、 解熱鎮痛剤、 副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても、 重 十分に観察し、 異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 篤なinfusion reactionが発現したとの報告があるので、 患者の状態を十分に観察すること。 10) 心障害(頻度不明注3)) :心室性あるいは心房性の不整脈、 狭心症、 心筋梗塞が報告 (3)不整脈や狭心症等の心機能障害を合併する患者又はその既往歴のある患者に投与 されている。 これらの症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し、 適切な処置を行 する場合は、投与中又は投与直後に心電図、心エコー等によるモニタリングを行うな うこと。 注3) ど、 患者の状態を十分に観察すること (「重大な副作用」の項参照)。 11) 腎障害(頻度不明 ) :透析を必要とする腎障害が報告されていることから、患者の (4) B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、 本剤の投与により、 劇症肝炎又は肝炎が増悪する 状態を十分に観察し、 尿量減少、 血清クレアチニンやBUNの上昇が認められた場合 ことがある。本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前 は投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 に適切な処置を行うこと。 また、 本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能 12) 消化管穿孔・閉塞(頻度不明注3)) :消化管穿孔・閉塞があらわれることがあるので、 初 検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察し、 期症状としての腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の観察を十分に行い、異常 異常が認められた場合は投与を中止し、 直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置 が認められた場合は、直ちにX線、 CT検査等を実施して出血部位、穿孔・閉塞所見 を行うこと。 なお、 投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、 B型肝炎ウイルスによる の有無を確認し、 適切な処置を行うこと。 劇症肝炎を発症し、 死亡に至った症例が報告されている (「重大な副作用」の項参照) 。 13) 血圧下降(頻度不明注3)) :一過性の血圧下降が発現することがあるので、 このような (5)本剤の治療中より末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続すること、 ま 症状があらわれた場合は投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 注3) た免疫グロブリンが減少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌 14) 可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状(頻度不明 ) :可逆性後白質脳症症 やウイルスによる感染症が生じる又は悪化する可能性がある。本剤によりニューモシ 候群(症状:痙攣発作、 頭痛、 精神症状、 視覚障害、 高血圧等) があらわれることがあ スチス肺炎発現のおそれがあるので、適切な予防措置を考慮すること (「重大な副 る。 また、本剤の治療終了後6か月までの間に、失明、難聴等の視聴覚障害、感覚障 作用」の項参照)。 害、 顔面神経麻痺等の脳神経障害が報告されている。患者の状態を十分に観察し、 (6)咽頭扁桃、 口蓋扁桃部位に病巣のある患者で、 本剤投与後、 炎症反応に起因する病 このような症状があらわれた場合は投与を中止し、 適切な処置を行うこと。 巣の一過性の腫脹がみられ、 病巣腫脹により呼吸困難をきたしたという報告がある。 こ (3) その他の副作用 (頻度不明は※) 注3) のような症状が発現した場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど、適切な処置を 5%以上又は頻度不明 5%未満 ※ 行うこと。 呼吸器 咽頭炎,咳,鼻出血 鼻炎,呼吸障害,喘鳴,咽頭異和感 (7)現在迄に、 本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE) をヒトに伝播したとの報告はな 心悸亢進,血管拡張,潮紅, 循環器 血圧上昇,頻脈,徐脈※ い。本剤は、 マスターセルバンク構築時にカナダ、米国又はニュージーランド産ウシの血 末梢性虚血 清由来成分を使用しているが、 理論的なリスク評価を行い一定の安全性を確保する目 腹痛,下痢,便秘,しぶり腹, 安に達していることを確認している。 しかしながら、 TSEの潜在的伝播の危険性を完全 消化器 悪心・嘔吐 食欲不振,口内乾燥 に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分検討の上、本剤を 蕁麻疹,インフルエンザ様症候群, 発熱,悪寒,そう痒,発疹,ほてり, 投与すること。 なお、 投与に先立ち、 患者への有用性と安全性の説明も考慮すること。 過敏症 ※ 関節痛,筋肉痛 血清病 (8)免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患に本剤を使用する際に 全身状態 体重増加,胸痛,無力症,浮腫 は、 関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への 頭痛,虚脱感,疼痛,多汗, 怠感 ※ 該当性に係る報告書: リツキシマブ (遺伝子組換え) (免疫抑制状態下のCD20陽性の 精神神経系 不眠症 眩暈,異常感覚,しびれ感 B細胞性リンパ増殖性疾患(成人))」等) を熟読すること。 貧血,好酸球増多※,フィブリン分解 血液・凝固 ※ 3.相互作用 産物〔FDP,Dダイマー〕増加 併用注意 (併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 生ワクチン又は 接種した生ワクチンの原病に基づく 弱毒生ワクチン 症状が発現した場合には適切な処置 を行う。 機序・危険因子 本剤のBリンパ球傷害作用 により発病するおそれがあ る。 不活化ワクチン ワクチンの効果を減弱させるおそれ がある。 Bリンパ球傷害作用によりワ クチンに対する免疫が得ら れないおそれがある。 発熱などの感染症(細菌及びウイル ス等)に基づく症状が発現した場合 は、適切な処置を行う。 過度の免疫抑制作用によ る感染症誘発の危険性が ある。 免疫抑制剤 4.副作用 (1) 副作用の概要 1) 国内臨床試験成績 (CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫 承認時) 安全性評価症例157例中、副作用は93.6%に認められ、主な副作用は発熱(64.3%)、 悪寒(34.4%) 、 そう痒(21.7%) 、頭痛(21.0%) 、 ほてり (20.4%) 、血圧上昇(17.8%) 、頻 脈(17.2%) 、 多汗(15.9%) 、 発疹(14.0%)等であった。臨床検査値異常は白血球減少 (47.8%, 2,000/μL未満の白血球減少12.1%) 、 好中球減少(45.9%, 1,000/μL未満の好 中球減少18.5%)、血小板減少(10.2%, 5万/μL未満の血小板減少1.9%)、AST (GOT)上昇(10.8%)等であった (血液障害については 【臨床成績】 の項参照)。 2) 国外臨床試験成績 (CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫 承認時) 安全性評価症例356例中、主な有害事象(本剤との因果関係の有無にかかわらず発 現した事象) は発熱(53%)、悪寒(33%)、感染症(31%)、虚脱/ 怠感(26%)、悪心 (23%)、頭痛(19%)、発疹(15%)、寝汗(15%)等であり、臨床検査値異常は白血球 減少(14%, 2,000/μL未満の白血球減少4%)、好中球減少(14%, 1,000/μL未満の好 中球減少6%) 、 血小板減少(12%, 5万/μL未満の血小板減少2%)等であった。 (2) 重大な副作用 1) アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害(頻度不明注3)) :低血圧、血管浮腫、低酸素 血症、気管支痙攣、肺炎 (間質性肺炎、アレルギー性肺炎等を含む) 、閉塞性細気管 支炎、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等が infusion reactionの症状としてあらわれることがある (【警告】欄参照)。 バイタルサイン (血圧、 脈拍、 呼吸数等) のモニタリングや自他覚症状の観察など、 患者の状態 を十分に観察すること。 異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、 適切な処置 (酸素吸入、 昇圧剤、 気管支拡 張剤、 副腎皮質ホルモン剤の投与等) を行うとともに、 症状が回復するまで患者の状態を十分 に観察すること。 2) 腫瘍崩壊症候群(頻度不明注3)) :腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清 中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常 が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治 療剤等の投与、 透析等) を行うとともに、 症状が回復するまで患者の状態を十分に観察 すること。 3) B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪(頻度不明注3)) : B型肝炎ウイルスによる 劇症肝炎又は肝炎の増悪による肝不全があらわれることがあるので、肝機能検査値 や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察すること (「重要な基本的注意」の項参照)。 腎臓 肝臓 その他 BUN上昇,クレアチニン上昇, 電解質異常 AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇 Al-P上昇,総ビリルビン上昇 CRP上昇,投与部位反応(疼痛,腫脹 帯状疱疹,LDH上昇,尿酸値上昇 等)※,総蛋白減少※,アルブミン減少※, しゃっくり※, 筋攣縮※ 注3) 自発報告又は国外において報告された頻度を算出できない副作用のため頻 度不明とした。 5.高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しなが ら慎重に投与すること。 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠してい る可能性のある婦人には投与しないことを原則とするが、 やむを得ず投与する場合 には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。 [本剤を 用いた動物での生殖・催奇形性試験は実施されていないが、 ヒトIgGは胎盤関門を 通過することが知られている。] (2)授乳中の投与に関する安全性は確立していないので、 授乳婦に投与する場合には授乳を 中止させること[ 。ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。 ] 7.小児等への投与 (1)CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、 ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管 炎、 インジウム (111In) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液及びイットリ ウム (90Y) イブリツモマブ チウキセタン (遺伝子組換え)注射液投与の前投与:低出生 体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。 [使用経 験がない。] (2) 免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患:低出生体重児、 新生児、 乳児に対する安全性は確立していない。 [使用経験が少ない。 ] 8.適用上の注意 調製時: (1)希釈液として生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外は使用しないこと。 (2)抗体が凝集するおそれがあるので、 希釈時及び希釈後に泡立つような激しい振動を 加えないこと。 (3)希釈後の液は速やかに使用すること。 また、使用後の残液は、細菌汚染のおそれが あるので使用しないこと。 投与時: (1)本剤の投与は点滴静注のみとし、 急速静注、 静脈内大量投与はしないこと。 (2)他剤との混注はしないこと。 (3) タンパク質溶液であるために、 わずかに半透明の微粒子がみられることがあるが、 こ れにより本剤の薬効は影響を受けない。 なお、 これ以外の外観上の異常を認めた場 合には使用しないこと。 9.その他の注意 本剤が投与された患者ではヒト抗キメラ抗体を生じることがあり、 これらの患者に再投与さ れた場合は、 アレルギー、 過敏反応等が発現するおそれがある ( 【臨床成績】 の項参照) 。 承 認 条 件 取扱い上の注意 使用成績調査について、 提出された市販後調査に関する計画の概要を踏まえ、 速やかに調査成績をとりまとめて提出すること。 包 リツキサン注 10mg/mL:10mL瓶×1, 50mL瓶×1 装 貯法 : 凍結を避け冷所 (2∼8℃) に保存 使用期限 : 瓶ラベル及び外箱に表示の使用期限内に使用すること ●その他の詳細については製品添付文書をご参照ください。 http://www.chugai-pharm.co.jp 2013年6月改訂第17版
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