ネットワークの中立性 メディアコミュニケーション論Ⅲ 第14回 参考資料 ネットワークの中立性に関する懇談会報告書 (2007年9月 総務省) このスライドの中では,単に“報告書”と呼ぶ ネットワークの仕組み(1) 従来の固定電話(日本国内) 一方の電話機から相手の電話機まで,途中 (電話局など)を含めて,すべて日本電信電話 公社(現 NTT)が管理 1985年に民営化され,第2電電など他の事業 者が参入 ネットワークの仕組み(2) インターネット 例 YouTubu @nifty NTT サービスの階層化 ネットワークの仕組み(3) インターネット 回線を提供する事業者 インターネット接続を提供する 事業者 コンテンツを配信する事業者 利用者の機器を提供する 事業者 別事業者 (同じ場合 もあり) ネットワークの仕組み(4) インターネット いろいろな事業者 ある事業者の回線を使って, あるプロバイダと契約し, あるメーカのパソコンで, あるコンテンツを楽しむ 利用者が選択可能 ネットワークの仕組み(5) 他の選択可 上武大学のインターネット接続 回線 NTT(光ファイバー) プロバイダ SINET(学術情報ネットワーク) パソコン 研究室まで含めるといろいろ コンテンツ いろいろ(図書館のDBには 有料のものもある) ネットワークの仕組み(6) インターネットでのデータの流れ 送り手:データを分割(パケット) インターネット:パケットが流れる 受け手:パケットから,元のデータを復元 ↓ パケット交換(という方式) ネットワークの仕組み(6) 障害が発生すれば迂回する インターネットでのパケット(データ)の流れ A⇒B パケットごとに,どこをどう経由するか分からな 回線のトラブルだけでない, A⇒C⇒ B 利用者が増えた場合も い ネットワークの仕組み(7) インターネットでのパケット(データ)の流れ 異なる事業者を経由する可能性 混んできたら,遅くなる 回線は他の利用者と共有 通信の品質が保証されない(ベストエフォー ト) ネットワークの仕組み(8) インターネットでのパケット(データ)の流れ 一言で言うと,料金の計算が面倒(不可能?) そもそも,インターネットは課金のことを考えて いなかった(実験・実証を目的)? ネットワークの中立性 ネットワークの中立性(1) network neutrality 消費者(ネットワークの利用者)が不利益を受け ないようなネットワーク 適正な対価で利用可能 自由にアクセス可能 このような場合,ネットワークは中立性を確保さ れている ネットワークの中立性(2) 二つの公平性の確保が必須 ネットワークのコスト負担の公平性 ネットワークの利用の公平性 ネットワークの中立性(3) [参考] 報告書では, ① 消費者がネットワーク(IP 網)を柔軟に利用して,コンテ ンツ・アプリケーションレイヤーに自由にアクセス可能で あること ② 消費者が法令に定める技術基準に合致した端末をネッ トワーク(IP 網)に自由に接続し,端末間の通信を柔軟に 行うことが可能であること ③ 消費者が通信レイヤー及びプラットフォームレイヤーを 適正な対価で公平に利用可能であること この三つが確保されていると,ネットワークの中立性が確 保されている ネットワークの現状 背 景 (1) 情報爆発 増え続ける情報がネットワークを流れる 情報の変化 文字 画像 音・動画 リッチコンテンツ 背 景 (2) 情報の流れの変化 消費者(利用者)が“ダウンロード”がほとんど ↓ 消費者が“アップロード”が増加 YouTubu ファイル交換ソフト … 現 状 インターネットを流れる情報量(トラフィック)の増 加 最近は,2年で2倍というペース(報告書の時 点) いろいろな設備の増強が必要 誰がコストを負担 ネットワークのコスト負担の公平性 も し インターネットを一つの会社で運営していたら データの流れを把握することができる それに応じて,課金すればよい トラフィック増(1) に応じるために,設備投資 そのためには,料金の値上げ しかし,一部の利用者(ヘビーユーザ)が,トラ フィックのかなりの部分を占めている(報告書 資 料19) トラフィック増(2) 一部の利用者(ヘビーユーザ)が,負荷をかけて いる 一律,値上げでは不公平 “ネットワークのコスト負担の公平性”を維持しな ければならない 誰が負担(1) ヘビーユーザの料金の値上げ 定額料金制度から従量料金制度へ 誰が負担(2) ヘビーユーザの帯域制限 転送速度を制限する 時間がかかるようにすることで,使いにくくする 誰が負担(3) いずれも“へービーユーザを差別”することにな るか? 電気通信事業法 第七条 電気通信事業者は,電気通信役務 の提供について,不当な差別的取扱いをして はならない 受益者負担の原則から合理的(報告書) ただし,… 誰が負担(4) リッチコンテンツを配布するコンテンツサービス事 業者が負担 あくまでコンテンツプロバイダとプロバイダとの間 の当事者間の協議に委ねることとするのが適当 (報告書) 誰が負担(5) 実は伝送サービス事業者(プロバイダ)間でも, いろいろ問題がある(報告書) ネットワークの利用の公平性 階層間の対立 ネットワークの仕組み(3) 再 インターネット 回線を提供する事業者 インターネット接続を提供する 事業者 コンテンツを配信する事業者 利用者の機器を提供する 事業者 別事業者 (同じ場合 もあり) アメリカの事例 2005年に, マジソンリバー・コミュニケーションズ社(通信事 業者)が ボナージ(VoIP 提供事業者)を排除する 回線サービス事業者が,インターネット電話を使 えないようにした,ということ コンテンツサービス提供者は グーグル,アマゾン,イーベイ,MSN,ヤフー等は、 設備系事業者(回線サービス事業者)による差 別的取扱いが行われないような法制度の整備が 必要である旨主張 コンテンツサービス 通信サービス 事業者 ⇔ 事業者 も し, 日本で同様なことが起きたら 電気通信事業法 第七条 電気通信事業者は,電気通信役務 の提供について,不当な差別的取扱いをして はならないに反するか? つまり 各階層間の対立が生じ,結果として利用者の不 どの層の事業者 利益となる,と困る が儲かるか? ネットワークの中立性(1) 再 network neutrality 消費者(ネットワークの利用者)が不利益を受け ないようなネットワーク 適正な対価で利用可能 自由にアクセス可能 このような場合,ネットワークは中立性を確保さ れている いろいろなコンテンツ,サービスに 消費者が自分で選んでアクセス,利用 参考 日本での動き ドコモ山田社長が中期経営ビジョン解説 (5/30/12) http://ktai.impress.co.jp/docs/event/wj2012/20120530_ 536409.html トラフィック増への別の対応 技術的対応 人気のあるコンテンツ ここがネックになる P2Pの利用(1) P2P Peer to Peer 端末同士が直接データのやり取りをする サーバを介さない “違法なファイル交換”というイメージ P2Pの利用(2) サーバからダウン ロードしたコンテンツ を別の利用者に送る ミラーサーバ コンテンツのコピーを別のサーバに 負荷分散 ま と め ネットワークの中立性 network neutrality 消費者(ネットワークの利用者)が不利益を受け ないようなネットワーク 適正な対価で利用可能 自由にアクセス可能 このような場合,ネットワークは中立性を確保さ れている そのためには 二つの公平性の確保 ネットワークのコスト負担の公平性 ネットワークの利用の公平性 トラフィック増への対応 - コスト負担 実体は,一部のヘビーユーザ 追加料金 帯域制御 技術的対応 P2P ミラーサーバ(3.11でも使われた) サービス階層間の対立 利用者の不利益とならないように,階層間の調 整 ネットワークの中立性と言う問題は 日本では目立たないが, アメリカでは大きな問題 オバマ大統領、“ネット中立性”保護のため「可 能な限りの規制」を求める声明(11/11/14) http://internet.watch.impress.co.jp/docs/new s/20141111_675376.html (続 き) 米連邦通信委員会が「ネットの中立性」規則採択 ──“高速車線”認めず(2/27/15) http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1502/27 /news076.html
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