市町村補助金の交付金化

資料4-2【別紙】
さらなる権限移譲を進めるに当たっての論点整理
区 分
項 目
点
整
理
未移譲事務
の取扱い
○府提案事務に対し、約8割の移譲が完了した
が残り2割の事務について、市町村ごとのバラつ
きの解消方策の検討が必要【課題】
○件数が僅少な事務の取扱いをどうするのか?
(意見)
◎「特例市並みの権限移譲」は、処理件数に関わらず市町
村優先の原則に基づき、基礎自治体である市町村が住民に
身近な行政サービスを総合的に担うために設定した事務・権
限である
◎底上げ(充実)を図る場合は、「専門性が低い」「多くの団
体で移譲事務を執行している」など移譲を進めやすい事務に
重点化するなどの工夫をする
権限移譲の
最終目標
○大阪発“地方分権改革”ビジョンに基づく最終
目標が、「関西州」の実現を目指すことを前提に
し、府の権限のうち半分を市町村へ移譲すること
を目標としているのではあれば、道州制などのタイ
ムスケジュールも踏まえ、基礎自治体へ移譲する
事務、権限を設定すべきではないか?(意見)
◎最終目標は、「大阪発“地方分権改革”ビジョン」に掲げら
れていることから変わりない。
一方で、道州制の動向など、広域自治体と基礎自治体の
役割が著しく変化していない状況においては大幅な権限移譲
の推進は難しい状況であるが、地方分権の歩みを止めることな
く推進することが重要であり、これまで成果を上げてきた「特例
市並みの権限移譲」の充実を図りながら、他府県実績のある
事務のうち、現時点で移譲可能な事務について整理の上、リ
スト化
新たに移譲
設定する事
務の取扱い
○「特例市並みの権限移譲」のような全市町村
に対し一律に移譲するべきか?(意見)
○件数が僅少な事務について、移譲可能リスト
に計上するべき?(意見)
○一定の専門性を有する事務が多く、小規模な
市町村にとっては体制整備が困難ではないか?
(意見)
◎これまでのような一律に移譲という手法ではなく、市町村種
別(規模)ごとに提示
◎件数が僅少な事務など、事務の移譲効果などを踏まえ、事
務をランク付けし、重点化する。
◎重点化以外の事務において、「手挙げ方式」による移譲を
可能とすることで、市町村の自主性を高める
府からの支
援
○住民に身近な事務が少なく、スケールメリットの
点からも移譲に伴う市町村の負担を考えると、
「特例市並みの権限移譲」のようなインセンティブ
となる支援が必要ではないか?(意見)
◎市町村振興補助金において、地方分権改革の推進に重
点化を図り、権限移譲に取り組む市町村に対し支援
第1
フェーズ
第2
フェーズ
論
1
「特例市並みの権限移譲」
重点取組対象事務(「移譲効果の高い事務」3項目を含む)についての状況
◆ 処理件数、専門職要否、マニュアル・説明会有無 状況
※事務別詳細状況は別紙参照
(1)未移譲団体 全団体において処理件数がない事務(29項目)
【まちづくり分野】20項目
【公害分野】4項目
・農用地区域内における開発行為の許可等
・騒音規制法に係る規制基準設定事務等
・国土利用計画法に基づく事後届出に関する事務
・振動規制法に係る規制基準設定事務等 など
・宅地造成工事規制区域指定等
【生活分野】1項目
・優良住宅の認定等
など
・砂利採取時における採取計画の認可
【福祉分野】4項目
・特別養護老人ホーム(定員29人以下の施設)の設置の認可
・社会福祉事業(老人福祉センター)開始の届出の受理等
など
【専門職要否】
必要:16項目
不要:13項目
【マニュアル有無】
有:14項目
無:15項目
【府-市町村説明会有無】
有:14項目
無:15項目
(2)未移譲団体 一部団体(=町村)において処理件数がない事務(3項目)
【生活分野】2項目
・高圧ガス保安法に基づく許認可等
・火薬類製造販売営業の許可等
【福祉分野】1項目
・児童福祉施設設置(助産施設・母子生活支援施設)にかかる認可等
【専門職要否】
必要:1項目
不要:2項目
【マニュアル有無】
有:3項目
無:―
【府-市町村説明会有無】
有:2項目
無:1項目
(3)未移譲団体において処理件数がある事務(10項目) ※「移譲効果の高い事務(3項目)」を含む
【福祉分野】5項目
・児童福祉施設設置(保育所、児童館)にかかる認可等
・認可外保育施設からの届出の受理等の事務
・社会福祉法人の設立認可等
●身体障がい者手帳の交付
●精神障害者保健福祉手帳の交付
【生活分野】2項目
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化
に関する法律に基づく許認可等
・特定非営利活動法人の設立の認証等
【まちづくり分野】3項目
●農地転用の許可等
・路外駐車場設置(変更)の届出の受理等
・特定都市河川浸水被害対策法に関する事務
※●印の3項目は未移譲団体が6団体上ではあるものの
「移譲効果の高い事務」(申請者が住民、処理件数が多数、専門職は不要)
【専門職要否】
必要:1項目
不要:9項目
【マニュアル有無】
有:9項目
無:1項目
【府-市町村説明会有無】
有:7項目
無:3項目
2
他府県実績を踏まえた新移譲事務リスト(案)
◆ 移譲候補事務の選定方法(案)
他府県実績があり、府において移譲していない事務(214事務)について、所管部局とのヒアリングを経て、移譲の
可否を検討したもの。今後分権協議会での議論を経て、市町村へ提示する。
移譲事務候補数
分
H26.1.24現在
移譲する方向の事務数(新規)
市町村種別ごとの提示数
政令市 中核市 特例市 一般市
町村
野
まちづくり・土地利用規制
4
福祉
3
医療・保健・衛生
6
3
18
2
農林水産
環境
1
1
その他
1
1
2
1
2
2
2
1
4
3
3
3
15
15
14
14
14
1
1
既移譲事務に係る
移譲に課題が多い事務数 今後検討が必要な事務数
付帯事務の追加
6
39
3
18
4
44
2
1
1
15
17
教育
7
生活安全
1
1
1
1
1
1
10
産業振興
その他
合
計
1
35
1
22
1
23
1
22
1
22
1
23
1
5
1
8
8
5
163
8
※市町村の種別ごとの合計はそれぞれで集計しているため、移譲する方向の事務数(新規)の合計とは、一致しない。
※市町村種別の「その他」は、建築主事を置く特定行政庁や法令等で指定された地域に係る対象団体等をいう。
※既移譲事務に係る付帯事務の追加は、既に元の事務の移譲を受けている市町村を対象とする。(ただし、住宅造成事業法に係る事務は河内長野市のみ対象。)
※湖沼水質保全特別措置法、首都圏近郊緑地保全法 、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法などの法令において、府域が対象地域等となっていない事務は除いている。
(14事務)
3
新たに移譲する方向の事務の特徴(分野別)
◆ 移譲する方向の事務(35事務)の特徴(分野別)
(1)まちづくり・土地利用規制分野 ⇒ 都道府県のみの権限が多い
・事業者向けの事務が大部分。許認可権限が多い。
(例)「建築物環境計画書の届出受理等(温暖化防止条例)」・・・計画書の届出受理、指導助言、勧告 等
(2)福祉分野 ⇒ 中核市権限の事務が中心
(例)「民生委員の指揮監督、定数設定、費用負担等(民生委員法)」・・・定数の決定、委員の推薦
等
(3)医療・保健・衛生分野 ⇒ 中核市以上を移譲対象とした事務が半数
・事業者向けの事務が多い
(例)「動物取扱業の登録等(動物の愛護及び管理に関する法律及び条例)」・・・取扱業への勧告・命令 等
(4)農林水産分野 ⇒ 都道府県のみの権限が大部分
・農林水産分野では、緑地保全事務、農地や森林管理などの農業振興など多岐にわたる。
⇒ 水産協同組合に係る事務は漁場などを有する市町村に限定
(例)「エコファーマーの認定(持続性の高い農業生産方式導入促進に関する法律)」・・・計画の認定、報告徴収等
(例)「水産業協同組合の検査指導監督(水産業協同組合法)」・・・組合設立等認可、解散命令、検査、調査 等
(5)環境分野 ⇒ 都道府県のみの権限が中心
・事業者向けの事務
(例)「廃棄物再生事業者の登録に関する事務(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」・・・事業者指導監督 等
(6)生活・安全分野
・事業者向けの事務が中心
(例)「有害図書類の陳列場所の変更等に係る勧告等の事務(青少年健全育成条例)」・・・立入、撤去命令 等
4
移譲に課題が多い事務①
◆ 移譲に課題が多い事務リスト(163事務)に係る課題別内訳
(1) 財源と権限のミスマッチ(全体の約1割程度)
事務に関連する国補助金等制度があり、要綱等により市町村に対して交付できないもの
【例】
●第一種社会福祉事業の許可(社会福祉法)
・第一種社会福祉事業(婦人保護施設)の許可に関連する当該施設の建設に係る国庫補助金は、市町村を交付対象としていない。
●家畜防疫員による検査、注射、薬浴又は投薬、証明書の発行等(伝染病予防法)
・家畜防疫員による注射、薬浴等の予防事業に係る国庫補助金は、市町村を交付対象としていない。
(2) 法等の趣旨により府実施が望ましい(全体の約2割程度)
①法令等の趣旨、目的から、都道府県のみの事務として考えられるもの
【例】
●給食開始・廃止届出受理に関する事務(学校給食法)
・学校給食開始の届出・受理については、市町村へ移譲すれば同一人が法律行為の当事者の双方代理となることを禁じた
民法第108条の規定に抵触する。
●社会教育主事の資格に係る認定(社会教育法)
・社会教育主事の資格に係る認定については、法の趣旨から、都道府県が認定等を統一的に行うことを目指したものである。
(文部科学省確認済)
②法令等において、特定の市町村あるいは市町村に配置されていない専門職しか執行できないもの
【例】
●第一種・第二種特定建築物に係る届出等(エネルギーの使用等の合理化に関する法律)
・第一種・第二種特定建築物に係る届出については、法令により特定行政庁の権限とされており、建築主事を置かない市町村への移譲は
できない。
●各種申請受理、免許交付、返納受理等(医師法)
・医師免許の再交付申請は、国通知により、当該申請者を管轄保健所に出頭させ、事情聴取することとなっており、保健所で受付することを
そもそも想定している。
5
移譲に課題が多い事務②
(3) 住民等に現行以上の効果が見出せない(全体の約1割程度)
移譲によって住民や事業者、市町村の利便性が損なわれる又は向上しないもの
【例】
●生活保護法に基づく医療費審査・支払(生活保護法)
・生活保護法に基づく医療費審査・支払事務について、福祉事務所を設置する市町へ移譲しても、被保険者に対する支払窓口は福祉事務所
のままであり、権限移譲による住民サービスの向上が期待できない。
●蜜蜂の転飼規制等(蜜蜂の飼育の規制に関する条例、同施行規則)
・蜜蜂の飼育の規制に関する条例、同施行規則に基づく蜜蜂の転飼許可等については、市町村へ移譲すれば転出市町村及び転入
市町村双方での許可が必要となり、事業者にとって不利益となる。また、市町村間の調整も必要となり、事務が煩雑化する。
(4) 事務内容から府実施が効果的(全体の約6割程度)
①事務の対象が複数市町村域におよぶもの(全体の2割程度)
【例】
●運輸開始の許可、立入検査等事務(軌道法)
・軌道法に基づく運輸事業(府においては、モノレールや阪堺軌道など)の開始については、複数市町村にまたがり府が処理すべき。
●猟区の認可等(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)
・猟区の認可や指定猟法禁止区域の指定等は、面を捉えて一体的に管理すべきものである。
②既に広域自治体の事務として整理されているもの
【例】
●製菓衛生師、調理師免許に係る申請受理、交付等(製菓衛生師法、調理師法)
・製菓衛生師及び調理師の各種申請受理等は、既に関西広域連合で事務処理しており、特例条例の廃止により、
中核市以上の市から事務を返上してもらったところ。
●環境影響評価制度の適正運用のための事業者指導、事業内容の審査等(環境影響評価条例)
・環境影響評価条例に基づく制度運用、事業者指導については、府は事業規模が大きく広域的な環境評価が必要なもの、政令市は
独自の条例により対応、他市町村は小規模事業に対応する評価条例を制定という役割を、府市統合の議論を踏まえて明確にされている。
③国機関等が関係する事務のため、調整・協議等が二度手間になるもの
【例】
●道路敷地交換に係る同意(道路法、国有財産法)
・同一市町村内の府道及び市町村道に係る道路敷地の交換同意について、財務局は府及び市町村との事前調整が必要となり、
相当な事務の非効率化が見込まれる。
●けしの研究栽培等の許可申請受理等(あへん法 他)
・あへん法、覚せい剤取締法、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法に基づく事務については、
行政監視員の施設監視と司法警察員である麻薬取締員(国)との連携が必要。
6
移譲に課題が多い事務③
(4) -2 事務内容から府実施が効果的
④他事務(他権限)と分離することが困難なもの
【例】
●都市公園の占用の許可等(都市公園法、都市公園条例)
・府営公園に係る都市公園法及び条例に基づく各種許可等の権限については、公園管理者としての権限と切り離すことはできない。
⑤府の出先機関で処理しているため移譲効果がなく、引き続き府で担うべきもの(経由事務)
【例】
●歯科医師免許に係る申請受理、交付、返納受理等(歯科医師法)
・歯科医師の各種申請等(経由事務)については、府では保健所が窓口になっており、市町村への移譲による申請者の利便性は向上しない。
⑥移譲することによって他府県へ支障をおよぼすもの
【例】
●米トレーサビリティ法に係る米穀等の流通の適正化の推進に関する事務(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)
・米穀等の産地情報や流通ルートの伝達については、他府県との情報交換が不可欠であり、移譲により他府県へ支障をおよぼすことになる。
⑦市町村において、事務処理に専門知識を有する職員がほぼ配置されていないもの
【例】
●温泉の利用の許可、法人合併の承認等(温泉法)
・温泉の利用の許可等については、公衆衛生の専門知識を持つ職員が必要。
⑧府において、特定の者に対し委託、指定しているもの
【例】
●二級建築士・木造建築士の登録、試験実施等(大阪府建築士法施行細則)
・二級建築士・木造建築士の登録事務等は、府が指定試験機関として建築技術センターを指定しており、市町村へ移譲しても同様の指定を
行うのみで事務が煩雑化する。
⑨府等の方針と相反するもの
【例】
●港湾区域・港湾施設の維持等(港湾法、大阪府港湾施設条例)
・港湾法及び条例に基づく港湾区域・港湾施設の維持等の事務については、府の方針として、国際競争力の強化に向けて港湾の統合
(阪神港)を検討中であり、移譲は適当ではない。
●第一種社会福祉事業の許可等(社会福祉法)
・社会福祉法に基づく施設の届出受理等については、府障がい者計画により、施設定員を20%削減(国基準では10%削減)することを
目標としているため、届出を抑制し、総量規制を行う必要があることから、市町村への移譲は困難。
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