地図情報論

第1回 地理情報システム論
入門
~“3つ”のGIS~
2006年 秋
地理情報システムとは
 地理情報システム(Geographic Information
Systems: GIS)


地図や画像をはじめとするさまざまな地理情報を収
集・管理・分析・表示するコンピュータシステム
読み方:ジー・アイ・エス
GIS:一つ、カーナビ
 カーナビが持つ3つの基本機能

現在地が教えてくれる

目的地への経路が教えてくれる

道路状況が教えてくれる
道路状況を示すシステム:VICS(車両情報通信システ
ム)
経路を探すシステム:GIS(地理情報システム)
現在地を測るシステム:GPS(地球測位システム)
ナビゲーションの仕組み
 電子化された街の地図がモニターに表示され、
その上にGPSで計った車の現在地が落とされる
VICSセンター
から5分おき
に交通情報
GPSで
計った現
在地
ディスクより現在地周
辺の地図を読み出し
カーナビができるまで
収集
 地理情報の収集に専門とする人
抽出
 地理情報の解析をビジネスとする人
製造
加工


宇宙航空産業、情報ネットワーク機器開発業
画像処理産業、地図製図業、データ処理ソフトウェア
 デジタル地図データを提供してくれる人

地理調査専門業、測量業、地図出版
 デジタル地図データを加工して商品としている人

電気メーカのカーナビ用地図、NTTタウンページ
 地図が無くてはビジネスできない人
付加

建設・建築、環境コンサルタント
 デジタル地図があると、ビジネスが変わる人
利用

金融、保険、情報サービス業
 デジタル地図で新しいビジネスを拓こうとする人
開発

WWW、モバイル、地域情報サービス、・・・
GIS:二つ、GoogleEarth/GoogleMaps
インターネット上のさまざまなマップサービス
 ビジネスドメインのマップサービス
 MapFan
 Mapion
 Alps
 Zenrin
 政府・自治体のマップデータサービス
 国土交通省の国土数値情報ダウンロードサービス
 国土地理院の地図閲覧・航空写真ダウンロードサービス
 Yokohama City
 Shimane Prefecture
 Tokyo Metro.
 Fujisawa City
新しいWebマップサービスの特徴
 オープンソースベース


費用がかからない環境整備
利用できるリソースが多い
 インターネットと親和性


簡単で共通のインターフェイス
インターネットの情報利用が可能
 Ajax技術、APIを提供

レスポンスが速い。特殊なハード・ソフトが必要ない。
 データがフリー

高精細な画像、詳細なデータが無償でみれる
 ユーザ参加型

Hackerらのコミュニティ、ユーザコミュニティによって支持される
 常時更新

ソフトウェアのバージョンアップで利益を得るのではなく、良質なサービスを提供
することで、ユーザをひきつける。
→Web2.0ファミリの一員の地位を獲得
GIS、3つ、ArcGIS
 GISソフトウェアの最大手。
 SFCではサイトライセンス
 履修者は自分のノートPCにインストール可
ArcGISパッケージの構成
皆さんがインス
トールして使うの
はArcViewだけ
GISでできること
 作業の効率化
 地図の計測
 データの分析
 ・・・
 視覚化
 統計の地図表示
 地図の3D表示
 ・・・
 紙地図でできること
 ・・・
 紙地図でできないこと
 ・・・
もう一度、GISとは
 GISは自然的、社会的事象を空間的な見地から
学問領域を横断的にアプローチし、問題の解決
を図る学問です。
 GISは地理情報科学(Geographic Information
Science)ともいえます。
「地理情報システム論」で何を学ぶのか
 GISを学ぶ=ArcGISの操作を覚える?
 GISを学ぶ≠ArcGISの操作を覚える!
“地理情報システム”のとらえ方~3つのGIS
知識
データ
情報
定
量
的
に
記述
理解
ユニット
環境
地理
地域
分析
地理システム
システム
リレーション
3つのGIS
価値観・信条・理念の
創造
流通・広報
行動規範
政策立案
合意形成
シミュレーション
人間行動・情報流
のモデル化
状態方程式
場の方程式
(プロセスモデル)
人間圏
環境・空間の認知
モニタリング
センシング
(観測/
野外調査)
GIS・RS
進め方と予定
講 義
演習(課内)
演習(課外)
1.なぜGISなのか
課 題
ArcGISをインストール
地理・情報・システムをとらえる
2.Google EarthでGISを学ぶ
Google Earthでなにができるか。
Google Earthは何を意味するか。
3.地理情報の世界
地形図を配布.(左は図,右は凡例)
地図の要素を理解.読図の基礎.
地図の分類.地理情報のプロパティを理解
4.GISに触れてみる
二つの特教で操作を説明.SA二人が1つずつ担当
Google Earthで地球を
遊ぶ。
課題:
ArcGISになれる
図形,属性,属性の演算,きれいな出
力の作り方.
5.地図から情報を読む
地形の分類.地図での現れ方と読み方
SFC周辺の地形図を配布.等高線をト
レーシング.地形区分の違いを理解.
地図の理解
6.画像から情報を読む
土地被服の分類,画像での現れ方と読み方
SFC周辺の航空写真を配布(ダウン
ロード).土地被服の判別.
画像の理解
7.統計から情報を読む
統計データの取り方,地図による表現
SFC周辺の統計地図を配布.人口密
度地図を作成.
統計の理解
8.地理情報のデジタル化
ベクター,ラスター,グリッド,サーフェイス,・・・
SFC周辺のデジタルデータの表示.配
布.
9.GISで地域分布をとらえる
点分布の意義,計測指標.
コンビニと福祉施設の分布.サービス
エリア.サービス人口.両者の違い
地域分布をみる
10.GISで地域構造をとらえる
地域構造のとらえ方と取り方(構造化).
地域構造のさまざまなとらえ方.
地域構造をみる
11.GISで環境変化をとらえる
人間活動と環境変化.変化の過程とパターン.
地域構造の形成要因の複合的解釈.
地域変化をみる
12.GISで都市をビジュアルにとらえる
(GISと景観デザインの話)
GISとCADの統合による都市解析
13. 再度,なぜGISなのか
環境問題や地域社会の動きからGISを再考
課題:
地理情報からSFCの立地
環境をとらえる.
①課題の提出
②まとめの提出
GISが対象とする問題,
GISの効用と学び方等
③最終課題の提出
今週・来週の授業の参考文献
 厳網林,GISの原理と応用,日科技連出版社,2003,286p.
 阿久津 良和・大崎 誠・オンサイト、地球を新体感!Google Earth入
門、翔泳社、2006.9.
 稲葉一浩、Google Maps API徹底活用ガイド、毎日コミュニケ-ショ
ンズ、2006.
 リッチ・ギブソン/スカイラ-・ア-ル /オライリ-・ジャパン、Google M
aps hacks:地図検索サ-ビス徹底活用テクニック、オ-ム社、2006.
7
 米田聡、Googleマップ+Ajaxで自分の地図をつくる本:Google Maps
API徹底活用、ソフトバンククリエイティブ 2005.12
履修者へのリクエスト
 毎週、出席すること
 参考図書を読むこと
 GISソフトウェアに触れること
 身の回りの問題を地理空間的に考えること
 成績評価は出席と課題の総合によるもの
授業に関する最新情報:
Http://ecogis.sfc.keio.ac.jp/gis/2006