スライド 1

平成26年度 ウェブアクセシビリティ研修会
宮城県内自治体サイトの
アクセシビリティ調査結果
2015年2月25日
浅野 陽子 (NTT)
ウェブアクセシビリティ推進協会
品質維持向上部会
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1.ウェブアクセシビリティ対応の動向
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ウェブアクセシビリティに関する国内動向
 「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフ
トウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」JIS X 8341-3策定
(2004年)
• 内容が曖昧。技術依存
 総務省「みんなの公共サイト運用モデル」策定(2005年)
• 地方公共団体等で実践可能なウェブアクセシビリティ維持・向上の取組
モデル
 JIS X 8341-3改正(2010年)
• 国際規格(WCAG 2.0)と同じ基準になるように改正。
 「みんなの公共サイト運用モデル(改定版)」改定(2011年)
• JIS改正に基づき見直し、地方公共団体等で実施すべき取組を具体化
※WCAG: W3Cが作成したWeb Content Accessibility Guidelines
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JIS X 8341-3:2010の基準



4つの原則(知覚可能、操作可能、理解可能、頑健性)、12
のガイドライン、61の達成基準から成る
3段階の達成等級 (A、AA、AAA): Aの数が増えるほど高度
(すべて必須)
各達成基準には対応する達成等級が明記されている
達成基準1.1.1
達成基準1.2.1
達成基準1.2.2
達成基準1.2.3
達成基準1.2.4
達成基準1.2.5
達成基準1.2.6
…
達成等級A
達成等級A
達成等級A
達成等級A
達成等級AA
達成等級AA
達成等級AAA
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達成等級Aに必要
達成等級AAに必要
達成等級AAAに必要
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達成等級対応度の表記
表記
アクセシビリ
ティ方針の提
示又は公開
目標とする等級の達 追加表記事項
成基準の試験結果
適合
必須
試験を実施し、達成
基準を全て満たすこ
とを確認
なし
JIS Q1000
等による
準拠
必須
試験を実施し、達成
基準を全て満たすこ
とを確認
なし
できない
一部準拠
必須
試験を実施し、達成
基準を全て満たすこ
とを確認
満たせなかった理由
準拠に向けたスケジュ
ール
できない
配慮し試験 必須
試験を実施するが、
結果は問わない
なし
できない
配慮
なし
参照した達成基準一覧
できない
必須
自己適合
宣言
※ (引用元)ウェブアクセシビリティ基盤委員会WAIC「ウェブコンテンツのJIS X
8341-3:2010対応度表記ガイドライン 」
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「みんなの公共サイト運用モデル(改定版)」の
概要と特徴
 国及び地方公共団体等の公的機関を対象
 特徴
• 必要性や取り組み内容等を簡潔にまとめた手引書を作成
• 手順書やワークシートを見直し
• 実施すべき取り組みを一覧で提示
 資料の構成
•
•
•
•
•
ウェブアクセシビリティ対応の手引き
ウェブアクセシビリティ対応の手引き概要版
付属資料1:ウェブアクセシビリティ方針策定・公開の手順書
付属資料2:外部発注におけるアクセシビリティ確保手順書
付属資料3:高齢者・障害者のホームページ利用確認ガイド
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「みんなの公共サイト運用モデル(改定版)」に
記載された期限と達成等級の目安
 既に提供しているホームページ等
• 2012 年度末まで 「ウェブアクセシビリティ方針」策定・公開
• 2013 年度末まで JIS X 8341-3:2010 の等級A に準拠(試験結果の公開)
• 2014 年度末まで JIS X 8341-3:2010 の等級AA に準拠(試験結果の公開)
 ホームページ等を新規構築する場合
• 構築前に 「ウェブアクセシビリティ方針」策定
• 構築時に JIS X 8341-3:2010 の等級AA に準拠(試験結果の公開)
※(引用元)「ウェブアクセシビリティ対応の手引き」
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2.アクセシビリティ調査方法
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ウェブアクセシビリティ対応状況調査概要
 調査目的: 「みんなの公共サイト運用モデル(改定版)」に基
づき、ウェブサイトのウェブアクセシビリティ対応の現状を調査
し、今後の取り組みに向け意識啓発を図る
 調査対象:宮城県および宮城県内の市町村(仙台市の区部
は除く) 計36件
 調査時期: 2014年12月上旬から2015年1月中旬
 調査手順:JWAC品質維持向上部会メンバ8名で、同一サイト
を2名ずつで分担し、 アクセシビリティ対応についてダブル
チェックして、結果を照合
 調査内容: JWACがJIS X 8341-3:2010に基づいて選定したアク
セシビリティ対応の主要10項目
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詳細調査項目
トップページについて
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
すべてのimg要素(画像)にalt属性がある
意味のある画像をCSS背景画像で指定しない
見出し要素が適切に使われている
ページを開いても自動で音声が再生されない
200%に拡大しても問題無く利用できる
すべてキーボード操作可能である
動き、点滅、スクロールしない
メニューを読み飛ばす機能がある(以下のうちいずれかを満たせば良い)
-
メニューを読み飛ばすページ内リンクがある
本文を示す見出し要素がある
トップページまたはトップページからのリンクがあるページについて
9. アクセシビリティに関する記述がある
10. 複数の問合せ手段がある(電話、FAX、住所、電子メール、フォームのうち2種以
上)
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(参考)今までに実施した同様の調査
 「47都道府県ホームページおよび12府省ホームページ」のア
クセシビリティ方針公開状況
http://www.jwac.or.jp/activity/quality/02-1.html
 「東京都23区および人口上位7市」のアクセシビリティ方針公
開およびアクセシビリティ対応状況
http://www.jwac.or.jp/activity/quality/tokyo1.html
 「仙台市に拠点を置く公共性の高い団体・組織」のアクセシビ
リティ方針公開およびアクセシビリティ対応状況
http://www.jwac.or.jp/activity/quality/sendai1.html
 「東京都各部局」のアクセシビリティ方針公開およびアクセシ
ビリティ対応状況
http://www.jwac.or.jp/activity/data/141126_houkokusyo.doc
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3. 調査結果
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アクセシビリティ対応度
 JWACがJIS X 8341-3:2010に基づいて選定した主要な10項目に
ついて、対応できているか?
1.
対応の割合(%)
100.0
2.
90.0
80.0
3.
70.0
4.
60.0
5.
50.0
40.0
6.
30.0
7.
20.0
8.
10.0
9.
0.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
10.
すべてのimg要素(画像)にalt属性
がある
意味のある画像をCSS背景画像で
指定しない
見出し要素が適切に使われている
ページを開いても自動で音声が再
生されない
200%に拡大しても問題無く利用で
きる
すべてキーボード操作可能である
動き、点滅、スクロールしない
メニューを読み飛ばす機能がある
アクセシビリティに関する記述があ
る
複数の問合せ手段がある
対応度が高い項目:4)自動音声再生なし、 5)拡大 、10)問い合わせ手段
対応度が低い項目:2)CSSに画像 、9)アクセシビリティの記述、など
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問題が多かった項目
9. アクセシビリティに関する記述がない
完全にアクセシビリティに対応するには時間がかかるが、いつまでに、
どの範囲について、どのレベルまで対応させようとしているかの計画を
立て、方針と公開して、改善に向けて取り組んでいる姿勢を示すことが、
まず重要である。
2. 意味のある画像をCSS背景画像で指定している
視覚に障がいのあるユーザが用いるハイコントラストモード(Windowsの
ユーザ補助機能)にしたり、印刷時に背景を印刷しない設定にすると、
CSSで背景画像として指定されている情報が落ちる(表示されない、印刷
されない) 。
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他の自治体との比較
 2013年度に調査した東京都23区+上位7市の調査結果との
比較
1.
対応の割合(%)
2.
100.0
90.0
80.0
3.
70.0
4.
60.0
5.
50.0
40.0
6.
30.0
7.
20.0
8.
10.0
9.
0.0
1
2
3
宮城県自治体
4
5
6
7
8
9
東京都自治体(2013)
10
10.
すべてのimg要素(画像)にalt属性
がある
意味のある画像をCSS背景画像で
指定しない(※東京23区は未調査)
見出し要素が適切に使われている
ページを開いても自動で音声が再
生されない
200%に拡大しても問題無く利用で
きる
すべてキーボード操作可能である
動き、点滅、スクロールしない
メニューを読み飛ばす機能がある
アクセシビリティに関する記述があ
る
複数の問合せ手段がある
比較して高い項目:8)メニューを読み飛ばす機能、10)問い合わせ手段
比較して低い項目:3)見出し要素、6)キーボード操作、7)画像の動き、など
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東京都自治体と比較して顕著に問題が多かった項目
3. 見出しが適切に設定されていない
見出しを表すh要素でマークアップすると、支援技術(音声読み上げソフトな
ど)では、各見出にスキップさせたり、「ピッ」と音を出すなどして、そこが見出
しであることを伝えることができる。
6. キーボードでは操作できない部分がある
音声読み上げソフトのユーザ等、マウスを使わずキーボードのみで操作す
るユーザがいる。例えば、Tabキーで、フォーカス部分を順次移動したりする
ことができる。スクリプトやFlashコンテンツを含めコンテンツ全体を、入力装
置に依存せず操作できるようにする必要がある。
7. 画像が自動で切り替わり止められない
最近のWebサイトでは、カルーセル(横に自動でスクロールするスライドギャ
ラリー)が多く使われているが、自動で更新されるコンテンツは、すばやく情
報を読み取れないユーザには、内容を把握できない可能性がある。また、
動いているコンテンツに気を取られて他のコンテンツに集中できなくなる場
合がある。一時停止や再開が自分で制御できるようにする必要がある。
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4. まとめと提言
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宮城県内自治体のアクセシビリティ対応状況
 使いやすくしようという姿勢は見受けられるが、アクセシビリ
ティについて陽に意識して作成しているサイトは半分以下で
ある
 JIS X 8341-3:2010の意識やみんなの公共サイト運用モデルに
基づいてアクセシビリティ方針を策定・公開しているサイトは
わずかである
 まず、いつまでにどのレベルまでの改善を目指すかを決め、
アクセシビリティ方針を策定・公開することを推奨する
 すべてキーボードで操作できるか、200%にしてもきちんと見え
るかなどは、簡単にチェックできるので、少しずつでもできると
ころから対応していくことを推奨する
※調査結果は、JWACのウェブサイトにも掲載
http://www.jwac.or.jp/activity/quality/pref_Miyagi.html
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今後への提言と取り組み
 アクセシビリティに関する意識啓発を推進する必要がある
 JIS X 8341-3および「みんなの公共サイト運用モデル」のさらな
る理解促進と具体的実施プロセス検討の支援が必要
 先行してアクセシビリティ対応を進めているサイトの事例は取
り組みの参考となるためベストプラクティスとして広く紹介すべ
き
JWACとして
 アクセシビリティ方針の公開やJIS準拠の状況を継続的に調
査・報告
 取り組みの参考となるように、ベストプラクティスを収集・蓄積
して紹介
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