情報システム管理 第9回 DNSサーバ 水野嘉明 本日の内容 1. ドメイン名 1.1 ドメイン名 1.2 ホスト名とドメイン名 1.3 ドメイン名の管理 2. DNSサーバの役割と仕組み 3. DNSサーバの設定 2 1. ドメイン名 IPアドレスは、全世界のホストを識別 するための ユニークなID 32ビット(IPv4) または 128ビッ ト(IPv6)の数値 例) 192.168.11.1 人間には覚えにくい ⇒ ドメイン名とホスト名で、 ホストを特定する 3 1.1 ドメイン名 ドメイン名 ネットワークの所属を表す (住所のようなもの) 階層構造を持つ これにより、重複を避けることが 可能 管理主体を分割 4 1.1 ドメイン名 ドメイン名の階層構造 toyo.ac.jp jp ドメイン ac ドメイン toyoドメイン 5 1.1 ドメイン名 ドメイン名の規則 toyo.ac.jp (3) (2) (1) ← 右から 第一レベル (TLD:Top Level Domain) ccTLD:国を表す gTLD :組織の属性 第二レベル 第三レベル 6 1.1 ドメイン名 ドメイン名の種類 ccTLD (countrycode TLD) 国別ドメイン名 gTLD (generic TLD) 国や地域の概念のない、世界中 を対象としたドメイン名 Infrastructure TLD インターネットインフラ用 (後出) 7 1.1 ドメイン名 ccTLD (countrycode TLD) 国別ドメイン名 -- 日本は jp 属性型JPドメイン名 汎用JPドメイン名 地域型JPドメイン名 ccTLDは、国別に管理する 8 1.1 ドメイン名 toyo.ac.jp 第一レベル 2文字のアルファベットで国を表す –jp: 日本 –uk: イギリス –fr: フランス –ca: カナダ 等 9 1.1 ドメイン名 toyo.ac.jp 第二レベル (属性型の場合) 組織の種類を表す co or ne ac ed go :会社組織 :医療法人,宗教法人,協同組合 :ネットワークサービス :大学 :小学校、中学、高校 :官庁、国立機関 など 10 1.1 ドメイン名 toyo.ac.jp 第三レベル 自分の好きな名前で申請する すでに存在していたら、ダメ 11 1.1 ドメイン名 汎用ドメイン名 第二レベルのドメイン名を、自由 に取得できる 例) toyota.jp canon.jp 12 1.1 ドメイン名 地域型ドメイン名 登録者の所在地をもとに、都道 府県名、市町村名などで分類 自治体などの利用が多い 例) city.kawagoe.saitama.jp mizuno.aoba.yokohama.jp 13 1.1 ドメイン名 gTLD (generic TLD) 国名はなく、第一レベルに属性 アメリカでは、gTLDの方が一般的 日本でも、広まってきた 誰でも登録できるもの(.com等) と、 一定の要件があるもの(edu, .gov 等)がある 14 1.1 ドメイン名 主な gTLD .com .net .org .edu .gov .int : : : : : : 商業組織 ネットワーク 非営利組織 教育機関 米国政府機関 国際機関 15 1.2 ホスト名とドメイン名 ホスト名+ドメイン名により、ホストを 識別する www PC1 PC2 インターネット toyo.ac.jp www.toyo.ac.jp ホスト名 ドメイン名 16 1.2 ホスト名とドメイン名 ドメインは、さらにサブドメイン に分割 されることもある eng.toyo.ac.jp toyo.ac.jp 17 1.3 ドメイン名の管理 ICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) ドメイン名、IPアドレス、ポート 番号等の割り振り・調整 DNSルートサーバシステムの運用 これらの技術的業務に関連するポ リシー策定の調整 18 1.3 ドメイン名の管理 日本の .jpドメインは、「(株)日 本レジストリサービス(JPRS)」と いう組織が管理 以前は、JPNICが管理していた 19 本日の内容 1. ドメイン名 2. DNSサーバの役割と仕組み 2.1 DNSサーバの役割 2.2 DNSの仕組み 2.3 プライマリとセカンダリ 3. DNSサーバの設定 20 2. DNSサーバの役割と仕組み DNS (Domain Name Service) とは 名前 ⇒ IPアドレスの変換 を行う インターネット上のコンピュータに アクセス = IPアドレスを指定 IPアドレスは覚えにくい ⇒ 名前でアクセスしたい (例) http://home.a01.itscom.net/mizuno/ 21 2.1 DNSサーバの役割 ドメインを取得したら、ドメイン管理の ため、DNSサーバ が必要 ドメイン名を取得 = 外部から、そのネットワーク 内のホストにアクセスする 外部から、ドメイン内のホスト名を 検索できるようにすることが必要 22 2.1 DNSサーバの役割 ドメイン内のホスト名とIPアドレス の変換 DNSサーバ ホスト名と IPアドレスの 対応表 ゾーンデータベース 23 2.1 DNSサーバの役割 IPアドレスへの変換 www.toyo.ac.jpのIP アドレスを問い合わせ ゾーン データベース DNSサーバ 133.79.224.15を 返答 133.79.224.15にアクセス ホスト名 www.toyo.ac.jp IPアドレス 133.79.224.15 24 2.1 DNSサーバの役割 正引きと逆引き ゾーンデータベースには、正引き 用と逆引き用がある www.toyo.ac.jp 正引き (名前解決) 逆引き 133.79.224.15 25 2.2 DNSの仕組み 自ドメイン内のホストについて ゾーンデータベースを調べ、 名前⇔IPアドレスの変換をする 他のドメインの情報 上位のDNSサーバに問い合わせる インターネット全体に広がる「分散 データベース」となっている 26 2.2 DNSの仕組み DNSサーバは、ドメインの階層構造 に従い、以下のような構成である ルートサーバ TLDのDNSサーバ 第二レベルドメインのDNSサーバ : 実際に各ホスト名を登録する(末 端の)DNSサーバ 27 2.2 DNSの仕組み Root Server Find DNS server: .com jp co ac … … ne … com org edu … Find DNS server: google.com google toyo cs Find IP address: www.google.com Find host’s IP address: nantoka www.google.com www 28 2.2 DNSの仕組み 一度問い合わせた結果は、しばらく の間は キャッシュ しておく 同じドメインへの参照を繰り返すとき は、問い合わせは1回ですむ 29 2.3 プライマリとセカンダリ DNSサーバがダウンすると・・・ 名前をIPアドレスに変換できない = ほとんど、インターネットに アクセスできない DNSサーバを 多重化 30 2.3 プライマリとセカンダリ プライマリとセカンダリの、どちらに問 い合わせてもよい プライマリ(マスタ) DNSサーバ セカンダリ(スレーブ) DNSサーバ 定期的に同期 31 本日の内容 1. ドメイン名 2. DNSサーバの役割と仕組み 3. DNSサーバの設定 3.1 BINDのインストール 3.2 BINDの設定 3.3 BINDの起動とテスト 32 3. DNSサーバの設定 BIND とは (Berkeley Internet Name Domain) 最も広く使われているDNSサーバ 名前解決を行う実体は named と いうデーモン 33 3.1 BINDのインストール 「アプリケーションのインストール」を 参照 bind9_9.7.3.dfsg-1_i386.deb BINDのバージョン 4.x、8.xは、古いためセキュリティ ホールがある 9.x 以降を使用すること 34 3.2 BINDの設定 BINDの設定ファイルは、2種類 BIND自体の設定 /etc/named.conf ゾーンデータベース (ゾーンの数だけある) ディレクトリやファイル名は、 named.conf で指定する –通常 /var/named/ にある 35 3.2 BINDの設定 設定の流れ ① 基本的な設定を、設定ファイル (/etc/named.conf)に記述 ② ゾーン名を決定し、追加 ③ ゾーンデータベースを各ゾーンに 対して作成する 正引き用/逆引き用 ④ BINDの起動とテストを行う 36 3.2 BINDの設定 ゾーン ホスト名とIPアドレスの対応表を管 理する単位 正引きゾーンと逆引きゾーンがあ り、セットで設定する 正引きゾーン名は、設定するドメイ ン名、サブドメイン名と一致 " cs.toyo.ac.jp " 37 3.2 BINDの設定 逆引きゾーン名 ネットワークアドレス部を逆 + "in-addr.arpa" 例 133.79.60.0 / 24 60.79.133.in-addr.arpa 38 3.2 BINDの設定 /etc/named.conf の設定項目 option 全体的なサーバ設定オプション や 各種デフォルトを記述 –作業ディレクトリ名 –PIDファイル名 –アクセス制御 など 39 3.2 BINDの設定 zone ゾーンを定義する logging ログに関する設定 acl アドレスリストを定義 include 他のファイルをインクルード その他 40 3.2 BINDの設定 /etc/named.conf の例 // アドレスリスト acl toyo { 133.79.0.0/16; }; // オプション設定 options { directory "/etc/namedb"; pid-file "/var/run/named.pid"; dump-file "/var/dump/named_dump.db"; statistics-file "/var/stats/named.stats"; 41 3.2 BINDの設定 (続き) forwarders { 133.79.5.1; }; allow-query { toyo; localhost; }; allow-transfer { 127.0.0.1; 192.168.254.1; }; // sinet.toyo.ac.jp 42 3.2 BINDの設定 (続き) allow-recursion { toyo; }; }; ルートサーバの定義 // Root DNS zone "." { type hint; file "root.cache"; }; 43 3.2 BINDの設定 (続き) // ゾーンファイル zone "prrc.itakura.toyo.ac.jp" { type master; file "master/prrc.zone"; }; ドメイン名 プライマリ ゾーンデータベース 設定ファイル名 44 3.2 BINDの設定 逆引き用ゾーン名 (続き) zone "254.168.192.in-addr.arpa" { type master; file "master/192.168.254.rev"; }; zone "0.0.127.in-addr.arpa" { type master; file "master/localhost.rev"; }; 45 3.2 BINDの設定 ゾーンデータベース レコードの基本構造 server IN A 名前: 検索 のキー クラス: INはイン ターネットを表す 219.166.277.154 レコードの 種類 データ: 検索 の結果となる 46 3.2 BINDの設定 cs.toyo.ac.jpゾーンの例 $TTL @ 86400 IN SOA csgwy.cs.toyo.ac.jp. postmaster.cs.toyo.ac.jp. ( 2006061501 ; Serial # 10800 ; Refresh (3h) 3600 ; Retry (1h) 3600000 ; Expire (1000h) 86400 ; Minimum TTL (1day) ) (続く) 47 3.2 BINDの設定 IN IN IN localhost IN ;; aliases for mail IN www IN ;; define host tanigawa IN IN (続き) NS A MX 10 A service CNAME CNAME names A MX 10 csgwy.cs.toyo.ac.jp. 133.79.60.1 csgwy.cs.toyo.ac.jp. 127.0.0.1 csgwy csgwy 133.79.60.23 csgwy 48 3.2 BINDの設定 各レコードの説明 (正引き用) $TTL (Time To Live) データの有効期限。キャッシュに 保存される時間 SOAレコード (Start Of Authority) ドメイン自体に関する情報 ゾーンデータベースの最初に記述 する 49 3.2 BINDの設定 NSレコード (Name Server) ゾーンを管理するDNSサーバの 一覧 MXレコード (Mail Exchange) メールの配送先の設定 Aレコード (Address) ホスト名に対応したIPアドレスを 設定する 50 3.2 BINDの設定 CNAMEレコード (Canonical Name) 別名をつける www IN CNAME csgwy "www.cs.toyo.ac.jp" は、 "csgwy.cs.toyo.ac.jp" の別名と なる 51 3.2 BINDの設定 逆引き用ゾーンデータベース 正引き用と同様、$TTLが必要 SOAレコードでゾーン名と有効時 間等を宣言する ゾーンを管理するネームサーバを NSレコードで列挙する 逆引きゾーンでは、PTRレコードで ホスト名を宣言する 52 3.2 BINDの設定 PTRレコード (Pointer) IPアドレスをホスト名に変換する ためのレコード 23 IN PTR tanigawa.cs.toyo.ac.jp. (60.79.133.in-addr.arpa ゾーンの例) IPアドレス133.79.60.23 を、ホスト名 "tanigawa.cs.toyo.ac.jp"に変換する 53 3.3 BINDの起動とテスト BINDの起動 $ invoke-rc.d named $ service named start start 自動起動の設定 $ update-rc.d named defaults $ chkconfig named on 54 3.3 BINDの起動とテスト データベースの読み直し $ kill -HUP (リロード) 2345 $ invoke-rc.d named reload プロセスIDは、/etc/named.conf で 指定されたファイルに書き込まれ ている 設定を変更した場合は、必ずシリ アル番号を増やしてリロードする 55 3.3 BINDの起動とテスト ファイアウォールの設定を変更 DNSサーバへの接続を許可する ★ iptablesでの設定例 $ iptables -I INPUT -p udp -m udp --dport domain -j ACCEPT $ iptables -I INPUT -p tcp -m tcp --dport domain -j ACCEPT $ service iptables save 56 3.3 BINDの起動とテスト 問い合わせ先のDNSサーバを変更 Linux の場合 /etc/resolve.conf ファイルを修 正 nameserver 192.168.11.4 57 3.3 BINDの起動とテスト Windowsの場合 58 3.3 BINDの起動とテスト DNSサーバの動作テスト nslookup コマンド UNIX、Windowsなどに付属 DNSに様々な問い合わせを行う 引数にホスト名やIPアドレスを指 定すると、該当するDNSレコード が表示される dig コマンド DNSに様々な問い合わせを行う 59 【付録】 hosts ファイル DNSが使用できないとき /etc/hosts ファイルを、個々のホス トに設定 IPアドレスとホスト名の対応表 アップデートが大変 102.54.94.97 38.25.63.10 127.0.0.1 rhino.acme.com #source server x.acme.com #x client host localhost 60 【課題7】 下記の話題について、討論し、自分の 考えをまとめよ 『 情報システムを管理するにあたっ ての、システム管理者としての責務 や役割、心構えについて 』 61 【課題7】 最終講義(7月19日)の最後の45 分間に、討論します 各人、必ず発言してもらいます 発言内容を用意しておいて下さい 討論の結果により、自分の考えをま とめて下さい 62 お疲れ様でした
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