実橋のPC桁における鋼線破断のAE による連続モニタリング 日本フィジカルアコースティクス(株) 湯山茂徳、李 正旺 NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD 試験の目的 • 実橋で鋼材破断に起因するAE信号を検 出可能か否かを調査する。 • 可能なら、どのような計測装置を用い、 どのようにモニターし、データを評 価・判定したらよいのかを確定する。 本実験の実施項目と手順 • • • • 適切なAEセンサー配置の調査 通常交通下の雑音調査 鋼材破断に起因するAE信号の特徴調査 擬似入力信号に起因するAE信号の特徴 評価 • 連続モニタリングの実施方法の提案 実例1(PC連続合成箱) A 高架橋におけるAEモニタリング実験 NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD 写真1 AE実験を行ったA 高架橋 写真2 A 高架橋のAE実験に おけるAEセンサー取り付け状況 側面図 CH5~CH7 6mごとに ×CH4 ×CH3 CH9 CH12 × CH17 CH14 ○ × CH2× CH15△ × CH11 ×× CH18 CH16 CH10 CH13 × CH1 CH8 × △ ○ 平面図 CH5~CH7 6mごとに ×CH4 ×CH3 CH12 CH14 CH13 × × CH15 × CH2 × CH16 × × CH9 △ CH18 CH11 CH10 ○ CH17 R6I センサー R3I センサー R15I センサー × CH1 × CH8 図 A 高架橋のAE 実験におけるAEセ ンサー配置 各チャンネルで検出されたAEヒット数(しきい値60dB ) AEヒット計数率、および振幅値の履歴(しきい値60dB) 各チャンネルで検出されたAEヒット数(しきい値70dB) 各チャンネルで検出されたAEヒット数(しきい値80dB ) 各チャンネルで検出されたAEヒット数(しきい値90dB) タイプ1、合計40回 タイプ2、合計44回 10/3 10/7 10/11 10/15 10/19 10/23 10/27 A 高架橋における鋼線破断の履歴 10/31 100 C H 11 C H 14 振幅値 (dB ) 90 C H2 80 C H 13 C H 10 C H1 70 60 2002年10月5日2:44:22に検出されたA Eデータ 50 0 1 2 3 4 5 距離 (m ) 鋼線破断で検出されたAE信号セットから得た減衰曲線 6 周波数特性の異なるセンサーで検出されたAEヒット数 (しきい値60dB) 周波数特性の異なるセンサーで検出されたAEヒット数(しきい値 70dB) 周波数特性の異なるセンサーで検出されたAEヒット数 (しきい値80dB) 周波数特性の異なるセンサーで検出されたAEヒット数(しきい値90dB) 実例2(PCポステン桁) B 高架橋におけるAEモニタリング実験 NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD 写真 写真 B 高架橋のAE計測における AEセンサー取り付け状況 AE実験を行った B 高架橋 側面図 タイプ2 CH11 CH12 1800 4800 400 × × CH2 CH3 × CH1 × ×× × × × CH4 CH5 900 タイプ1 2200 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ ▼ × × CH8 CH9 × CH10 3900 平面図 1800 400 × × × CH6CH7 CH15 4800 × ▲ ▲ ▼ ▲ ▲ ▲ ▲ CH13 CH14 ← 東京方向 CH16 静岡方向 → × 側面図におけるR6Iセンサー位置 ▲ 平面図におけるR6Iセンサー位置(側面配置) × 平面図におけるR6Iセンサー位置(天井配置) B 高架橋のAE実験におけるAEセンサー配置 各チャンネルで検出されたAEヒット数(しきい値80dB) 84 147 265 191 378 2031 40000 43700 12600 13400 14600 18500 22800 13000 6422 4507 7897 9709 AEヒット計数率、および振幅値の履歴(しきい値80dB) 日曜日12:00 土曜日12:00 日曜日12:00 土曜日12:00 日曜日12:00 土曜日12:00 日曜日12:00 土曜日12:00 タイプ1、合計56回 タイプ2、合計33回 11/8 11/12 11/16 11/20 11/24 B 高架橋における鋼線破断の履歴 11/28 12/2 直線位置標定結果(しきい値90dB) N o. 日付・時刻 A E源座標(m ) 絶対誤差(m ) ***相対誤差(%) 1 11/9 5:47:55.867 1.718 0.048 0.8 2 11/9 10:22:03.989 1.651 -0.019 0.3 3 11/9 11:11:45.307 2.166 0.496 7.8 4 11/9 11:52:56.968 2.163 0.493 7.7 5& 6 11/9 11:56:29.634 1.949 0.279 4.4 7 11/9 15:16:46.558 2.164 0.494 7.7 8 11/9 16:14:30.596 1.756 0.086 1.3 9 11/9 17:52:20.990 1.878 0.208 3.3 10 11/9 19:57:01.972 2.169 0.499 7.8 B 高架橋のタイプ1供試体におけるAE源位置標定結果と算出された誤差 平面位置標定結果(しきい値90dB) 100 C H4 C H6 C H 12 振幅値 (dB ) 90 80 C H7 C H3 70 60 2002年12月9日20:34:02に検出されたA Eデータ 50 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 距離 (m ) 鋼線破断で検出されたAE信号セットから得た減衰曲線 10 交通騒音によるAE NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD 200 A Eヒット 150 100 50 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11:30 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 15 121 11: 20 151 11: 25 181 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 タンクローリー 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 大型トラック、トレーラー 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 91 10 バス 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 空トラック、トレーラー 2 0 10: 155 11: 3100 11: 6105 11: 9110 5 乗用車 2.5 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 トラック(中、小)、中型車 2 0 10: 155 11: 3100 11: 6105 11: 9110 AEヒット計数率、 および車輌通過の履歴 A 高架橋第1車線(走行)、AE計測 の開始はビデオ撮影より5分程度 遅れている) 100 50 A E振幅値(dB ) 0 10:55 4 11:00 11:05 11:10 11:15 11:20 11:25 11:30 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11:30 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 15 121 11: 20 151 11: 25 181 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 11: 121 15 11: 151 20 11: 181 25 11: 30 211 5 タンクローリー 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 大型トラック、トレーラー 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 バス 2 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 空トラック、トレーラー AE振幅値、および車輌通過の履歴 2 0 10: 155 11: 3100 11: 6105 11: 9110 5 乗用車 2.5 0 10: 155 4 11: 3100 11: 6105 11: 9110 トラック(中、小)、中型車 2 0 10: 155 11: 3100 11: 6105 11: 9110 A 高架橋第1車線(走行)、 AE計測の開始はビデオ撮影より5分 程度遅れている) 時間 11:19:23に大型トラック、トレーラーが第2車線(追越)を通過する時のノイズ例 CH R ISE CO UN EN ER D U R A TIO N AM P 11:19:23.424 7 293 26 35 642 56 11:19:23.470 7 144 153 803 5631 83 11:19:23.471 6 86 57 61 1225 50 11:19:23.490 7 58 7 28 823 50 11:19:23.609 6 505 138 603 4374 82 11:19:23.658 7 16 6 22 374 50 11:19:23.665 7 2 2 18 203 53 11:19:23.694 7 797 87 276 3051 76 11:19:23.749 6 53 10 20 144 50 11:19:23.833 6 815 117 333 3494 76 11:19:23.886 5 392 97 395 3140 80 11:19:24.027 5 177 13 23 313 50 11:19:24.056 5 19 18 35 695 51 11:19:24.164 4 491 110 431 3798 77 A 高架橋において10月4日の11:19:23に、第2(追越)車線を大型トラック が通過した時に検出されたAE信号セット シュミットハンマーの 打撃によるAE NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD N o. 1 日付・時刻 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 10/23 9:25:22.553 9:25:22.553 9:25:22.556 9:25:22.556 9:25:22.631 9:25:22.632 9:25:22.634 9:25:22.712 9:25:22.713 9:25:22.715 9:25:22.795 9:25:22.796 9:25:22.798 9:25:22.883 9:25:22.884 9:25:22.886 A Eパラメーター(各チャンネルは到達順によりリストされている) CH 3 4 18 9 3 4 18 3 4 18 3 4 18 3 4 18 R ISE 576 34 1039 162 532 302 613 548 260 515 561 26 238 417 142 84 CO UN 238 88 52 16 198 60 33 110 41 31 95 10 17 82 3 7 EN ER 3780 1734 1718 168 2655 838 959 1434 453 587 970 123 291 574 109 95 D U R A TIO N 10861 5553 5129 373 6897 3628 3072 4070 2271 2886 3846 784 1750 3145 861 699 AM P 100 92 92 78 100 80 83 97 77 78 89 69 74 77 65 64 A 高架橋において、シュミットハンマーにより 入力されたAE信号の検出例 メモ 信号の強さと到達順によ り、ハンマリング入力位置 はC H 3とC H 4の間で、C H 3 に近いと判断される。 10月23日 9:35:50 ハンマリング入力推定位置 CH17 CH1 CH11 × × ◎ ◎ × CH2 × × 10月23日 9:40:05ハンマ CH18 リング入力推定位置 タイプ2 10月23日 9:25:23 ハンマリング入力推定位置 × CH9 ◎ CH3 × ◎ CH4 × 10月23日 9:30:09ハンマ × CH10 リング入力推定位置 タイプ1 ← 千葉方向 東京方向 → × AEセンサー位置 ◎ ハンマリング入力推定位置 A 高架橋におけるシュミットハンマー によるAE信号の入力推定位置と時刻 入力時刻 橋軸方向入力位置(m ) (千葉方向の端横桁を原点とする) 橋横方向入力位置(m ) (路側帯側のウェブを原点とする) 10/23 9:25:22.553 14.937 中央分離帯側のウェブ 10/23 9:25:56.451 14.971 中央分離帯側のウェブ 10/23 9:30:09.329 8.822 中央分離帯側のウェブ 10/23 9:30:37.446 8.150(C H 13)付近 1.312 10/23 9:35:49.871 1.430 中央分離帯側のウェブ 10/23 9:37:26.421 1.580 中央分離帯側のウェブ 10/23 9:40:04.746 2.804 中央分離帯側のウェブ * 実際の入力位置がセンサーグループの外側にある場合に、正確な入力位置は得られないことがある。 ** 文字を加えて表示されている位置はセンサーの配置により正確に計算できないものである。 A 高架橋におけるハンマリングによる擬似AE信号入力位置 異なるAE発生源に起因する 信号セットの模式図 NIPPON PHYSICAL WA ACOUSTICS LTD 鋼線破断 × CH1 × CH2 × CH3 × CH4 × CH10 ~100dB CH1 CH2 CH3 CH4 ~10ms 0 鋼線破断によるAE 0 ~80dB × CH1 0.2秒 × CH2 0.2秒 × CH3 0.2秒 × CH4 1秒 × CH10 CH1 CH2 CH3 CH4 0 1~2 s 交通雑音によるAE ハンマー打撃 × CH1 ~100dB × CH2 × CH3 × CH4 × CH10 ~5ms CH1 CH2 CH3 CH4 ~80ms シュミットハンマー打撃によるAE AE発生源 特徴 振幅レベル 鋼材破断 ● 数ms以内にデータセットは終了。 ● 信号到着順番あるいは到着時間差を利用して、 AE源の発生位置の特定化が可能。 80~100dB ● 車両の移動に伴い、AE信号を検出するセンサー 番号が移動。 ● 1つのデータセットに、数10~100以上のAE信号 交通雑音 が含まれる。 ● データセットは、1~2s(秒)で完了。 ● およそ0.08秒の時間間隔で、2回以上の振幅値 シュミットハンマー入力 ピークが観察される。 最大で 80~90dB ~100dB 表12 考慮すべき各AE発生源に対して、検出される信号の特徴 PC桁のAEモニタリングシステム(提案) AE計測システム:市販の標準システムを利用、 但し遠隔通信・インターネット利用が対応可能な もの、また直線位置標定機能をもつもの。 AEセンサー:プリアンプ内蔵60kHz共振型AEセ ンサー AE計測しきい値:計測を実施する橋梁の種類に よって多少異なるが、通常はセンサー出力換算 で80~85dB(ただし 0dB=1μv)程度。 有意なAE信号抽出のためのアルゴリズム 第一段階 第二段階 しきい値を適切に設定 データ採取 有意な信号セットの抽出 (信号到着時間差、順番 および信号の特徴) 第三段階 AE源の位置標定 あるいは AE源発生領域の確定 第四段階 総合判定 報告(警報)
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