関節リウマチ関連遺伝子 PADI4 と シトルリン・抗シトルリン化ペプチド抗体 ~最近の話題~ 平成18年3月23日 東京女子医科大学附属 膠原病リウマチ痛風センター 京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センター 理化学研究所遺伝子多型研究センター 関節リウマチ関連遺伝子研究チーム 山田 亮 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデル ? 遺伝子アレル差解析 ? 発現解析 ? 酵素特性解析 ? 基質解析 ? シトルリン化タンパク質解析 ? シトルリン化タンパク質と 自己免疫反応関係の解析 ? 抗シトルリン化ペプチド抗体解析 ? 抗シトルリン化ペプチド抗体と関節炎・関 節リウマチとの因果関係 ? 動物モデル解析 ? 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項オーバービュー 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデルの視点からのサマリー フリーアミノ酸としての 出納と代謝 アルギニン シトルリン アミノ酸代謝 NOS、NO産生 尿素サイクル コーディングアミノ酸 : 20種 必須アミノ酸 : ヒト9種 (+準必須アミノ酸 3 種(Arg,His,Tyr)) ラット10種(ヒト+アルギニン) シトルリン 対応tRNAなし 非コーディングアミノ酸 ペプチジルシトルリン化 とその代謝サイクル 遊離アミノ酸 抗原提示 ペプチド化 分解と抗原処理 ? PADI基質 シトルリン化タンパク ? アミノ酸の翻訳後修飾としてのシトルリン化 • リン酸化 • メチル化 • 水酸化 • アセチル化 • カルボキシル化 • シトルリン化 • グリコシル化 分子内反応関連 周辺残基影響 残基特異性 翻訳後修飾間相互作用 メチル化・アセチル化・シトルリン化 翻訳後修飾間関連 メチル メチル化・シトル リン化相互作用 メチルメチル 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項オーバービュー 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデルの視点からのサマリー 遺伝子アレル差解析 ? Korean PADI4 gene structure and association-positive SNPs EXONs exons 1 2 3 4 5 6 78 9 10 11 1213 1415 SNPs SNPs Caucasians Japanese 16 K562細胞におけるmRNA安定性解析 Vector : pcDNA-DEST40 CMV promoter PADI4 (susceptible and non susceptible type cDNA) 5’UTR 25bp 3’ UTR 218bp Ratio of gradiation (%) 実験方法 K562細胞にTransfectionし、48時間培養後、 5ug/ml actinomycin D処理 し、RNAを回収、 TaqMan assayによりPADI4 RNA量を測定する。18S rRNA (細胞数), Neomycin遺伝子 (transfection効率)を用いて補正を行った。 S: susceptible type N: non-susceptible type 100 * 50 * p<0.05 (t-test) S N 0h S N 2h S N 4h PADI4におけるRA関連ハプロタイプと非関連ハプロタイプ のアレル別発現量比較 Standard curve -2.00 -1.50 -1.00 0.00 -0.50 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 -1.50 -2.00 -2.50 -3.00 -3.50 -4.00 y = 0.7775x - 3.1847 R2 = 0.9894 -4.50 サンプルDNA, cDNA: PADI4遺伝子上padi4_89 (A/G)をヘテロ接合体でもつ健常人4 人の末梢血リンパ球から精製したgenomic DNAとRNA Probe: Padi4_89 (A/G) genotyping用TaqMan probe -5.00 Log2G/A 1.6 1.4 1.2 Ratio of G: A alleles Log2VIC/FAM -1.00 1 cDNA genomic DNA 0.8 0.6 0.4 0.2 0 Normal 1 Normal 2 Normal 3 Normal 4 Ave. genomic DNA: 0.99 Ave. cDNA (4samples): 1.26 RA関連ハプロタイプは非関連ハプロタイプと比較して、ゲノムの場合は1なのに対し て、cDNAでは平均1.3となっている。 アレル差解析 まとめ • PADI4多型とRA発病リスクは – アジアン>コーカシアン • 発病リスク多型は – コーディングSNPs / イントロンSNPs 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項オーバービュー 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデルの視点からのサマリー PADI酵素反応 • 発現・局在レベルの特異性 – 発現している臓器・組織・細胞内外・細胞内部 位による特異性 • • • • 反応環境による特異性(Ca2+など) 基質特異性 残基特異性 残基修飾状態特異性 PADIアイソザイム 種間保存 ?生理的役割分担? 発現特異性 PADIアイソザイムの臓器・組織・細胞分布 脳 肝 腎 肺 PADI1 ● ● PADI2 ● ● PADI3 PADI4 ● ● PADI6 脳 肝 腎 肺 虚血性脳変性 多発性硬化症 Apoptosis ->MBP cit-MBP: チャージの喪 失=タンパク分 解を受けやす くなる 消化管 ● ● 消化管 脾 胸腺 骨髄 血球 心 ● ● ● ● ● ● ● ● ● 脾 胸腺 骨髄 血球 心 骨格筋 ● ● ● 骨格筋 皮膚 毛嚢 子宮 卵巣 胎盤 胎児 滑膜 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 皮膚 毛嚢 子宮 卵巣 胎盤 胎児 滑膜 表皮形成時 (アポトーシス) KeratinFillaghrinとそ の重合 in Vitro マクロファージ Caionophoreinduced アポ トーシス Vimentin 炎症滑膜 Fibrin PADI1 PADI2 PADI3 PADI4 PADI6 核内発現 Histones Sm いずれも、核 内メチル化基 質 [Ca 2+]~10-3M 反応環境特異性 [Ca 2+]~10-7M [Ca 2+]による PADI活性制御 細胞外・細胞内 核外・核内 Nakayama HM, Suzuki A, Yamamoto K et al. BBRC 327; 192-200:2005 発現・活性化調節 monocytes and macrophages Macrophage Monocyte Transcriptional regulation DNA RNA PADI4 Enzyme DNA RNA Enzyme Enzymeactivational regulation Translational regulation PADI2 ER Vossenaar WJ vanVenrooij LAB Joosten et al. Arthritis & Rheum 2004 基質特異性 Nakayama HM, Suzuki A, Yamamoto K et al. BBRC 327; 192-200:2005 残基特異性 Nakayama HM, Suzuki A, Yamamoto K et al. BBRC 327; 192-200:2005 Nature Structural & Molecular Biology 11, 777 - 783 (2004) Published online: 11 July 2004; | doi:10.1038/nsmb799 残基修飾状態特異性 メチル a-ジメチルArg メチル メチル メチル メチル モノメチルArg s-ジメチルArg メチル メチル メチル メチル メチルメチル メチル メチル ?PADIの生理機能? 翻訳後修飾 リン酸化、グリコシル化、アセチル化、ヒドロキル化、シトルリン化 両方向性反応・逆方向酵素ペア 修飾のON・OFF機能 リン酸化 アセチル化 メチル化 キナーゼ⇔フォスファターゼ アセチラーゼ⇔デアセチラーゼ PRMT⇔?デイミナーゼ? ヒストンのメチル化・シトルリン化の場合 Arg と メチルArg はシトルリン化される ジメチルArg はシトルリン化されない 翻訳後修飾間関連 メチル メチル化・シトルリ ン化相互作用 メチル メチル 少なくとも単純なON-OFF機構ではない ?シトルリン→アルギニン酵素の存在の有無? シトルリン化ヒストンのサルベージ(仮説) メチル化とシトルリン化が知られる基質 Histone Sm (Small nuclear ribonucleoproteins) Autoantigen その他基質 • Fibrinogenと重合性 • ATIIIとその活性 • Myelin Basic Protein(MBP)と脱髄 ATIII was inactivated by citrullination and citrullinated fraction of ATIII was higher in RA plasma. Chang X, Yamada R, Yamamot K et al. Rheumatology 44:238-9;2005 Fibrinogen citrullination inhibits thrombincatalyzed fibrin polymerization. Nakayama HM, Suzuki A, Yamamoto K et al. MBPシトルリン化、シトルリン化残基 特性についても知見あり(1970年代 より2005年まで) 遊離アミノ酸・ペプチド・PADI酵素の細胞・細胞内器官別分布の解析 生理的処理 アポトーシスを含めて? 抗原提示細胞によ る処理を経て自己 免疫反応成立の可 能性? 存在・局在確認のためのシトルリン・PADIの解析抗体など 抗シトルリン 抗体 基質 遊離シトルリン 抗MC抗体 (Senshu) RA3抗体 RA患者自 己抗体 比色法 抗PADI4抗 体 vitro,組 免染、ウェス 織 タン 人工基質シトルリン化物 vitro OD測定 ペプチジルシトルリン 組織 免染 ELISA, 免染, ウェスタン ELISA OD測定 シトルリン含有タンパク 組織 免染 ELISA, 免染, 免染、ウェ ウェスタン スタン ELISA OD測定 PADI4 組織 RA3抗体はRA患者のB細胞を取ってきて、scFv(抗 体の可変領域)をファージベクターに組み込みます。 ファージの表面に発現したscFvは抗体の種類だけ存 在していることになり、RA患者由来のライブラリでは 自己抗体もクローニングされます。ただし、その抗体 の抗原が特定のタンパクのみを認識しているかどう かは不明であり、そのほかの様々なタンパクとクロス リアクションしている可能性が実験的にも示唆されて います。 免染、ウェ スタン 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項オーバービュー 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデルの視点からのサマリー RA滑膜シトルリン化蛋白の存在 抗CCP抗体の局所産生 抗CCP抗体の特異性 破壊性亜型との関連 抗CCP抗体の発病前出現 ~9年 発病予測性 非RA(OA・Reactive arthritis)での シトルリン化蛋白の存在 抗CCP抗体産生B細胞の局所存在 HLA・TCR と シトルリン化ペプチドの関係 Augmentation of T-cell response by citrullinated peptides J.Hill E Cairns et al. J Immunol 2003 Shared epitope 塩基性アミノ酸による ペプチド認識フロア形成 HLA-SE aCCP(+) ? Multi-hit model CCP(+)-RA CCP(-)-RA シトルリン化エピトープ探索 3. What are Substrates of PADI4 and Epitopes of anti-CCP Ab? Immunoscreening of citrullinated epitopes of RA autoantibodies Yamanaka OM, Suzuki A, Yamamoto K et al. 2005 Identification of citrullinated eukaryotic translation initiation factor 4G1 as novel autoantigen in rheumatoid arthritis Okazaki Y, Suzuki A, Yamamoto K et al. BBRC 341;94-100 (2006) Anti-citrullinated collagen type I antibody is a target of autoimmunity in rheumatoid arthritis Suzuki A, Yamada R, Yamamoto K et al. BBRC 341;94-100 (2006) シトルリン化自己抗原 シトルリン化寛容抗原 • cit’d Fib • cit’d Fillagrin • cit'd Fib • cit'd Fillagrin • • • • • • • • • • • • • • • anti-Sa anti-perinuclear cit'ed CI cit'ed CII Eukaryotic elongation Factor cit’d alpha Enolase anti-Sa ? anti-perinuclear ? cit'ed CI ? cit'ed CII ? Eukaryotic elongation Factor ? cit’d alpha Enolase ? Hisrone ? Sm ? MBP ? 項目 1. シトルリン・PADI・抗シトルリン化ペプチド抗体 に関する基礎事項オーバービュー 2. 遺伝子 1. アレル差解析(関連解析) 3. PADI・シトルリン・シトルリン化 1. 2. 3. 4. 発現解析 酵素特性解析 基質解析 シトルリン化タンパク質解析 4. PADI・シトルリン化タンパクの病理 1. 関節リウマチ 2. その他の疾患 5. 動物モデルの視点からのサマリー CIAでシトルリン化蛋白 細胞核内・核外 ~PADI2・4分布と相関? Streptococcal cell wall-inducedで シトルリン化蛋白 シトルリン化Fibrin その他 抗シトルリン化ペプチド抗体が 産生されがたい・・・? シトルリン化抗原による感作増強? CIAラット Center for Genomic Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan – Fumihiko Matsuda – Shohei Chida – Alexandre Vasilescu – Hitomi Hiratani – Sachiko Toyoda – Justine Yovo-Vasilescu – Chanavee Ratanajaraya – Miki Kokubo – Kenei Ohigashi – Victor Renault – Masao Yamaguchi – Katsura Hirosawa • SNP Research Center, RIKEN, Yokohama, Japan – Lab. for Rheumatic DIseases • Kazuhiko Yamamoto • Akari Suzuki • Yuta Kochi • Mikako Mori • Kyoko Kobayashi • Miyako Yamanaka • Emi Kanno • Keiko Myouzen – Akihiro Sekine – Tatsuhiko Tsunoda – Yusuke Nakamura • Clinical Institutes of Collaboration – University of Tokyo Hospitals • – Tetsuji Sawada National Sagamihara Hospital • • Shigeto Tohma Toshihiro Matsui
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