東日本大震災と福島第一原発事故における 漁村と水産関連産業の復興と再編の研究: 松田裕之 日経エコロジー対談 東大・ウッズホール行事 主な成果・活動 • 12/10/26 津波被災地での防潮堤建設にあたっての自然 環境への配慮のお願い(日本生態学会委員会・日本水産 学会委員会)の提案 • 12/5/13 自然災害と野生動物の保護管理 – 日本霊長類学会、日本野生動物医学会、日本哺乳類学会、野 生生物保護学会主催シンポジウム「どうなる野生動物!東日 本大震災の影響を考える」 東京大学で講演 • 12/11/14、 13/5/9 水産食品と公共政策 – 東大、Woods Holeで「フクシマと海」公開コロキアムを企画 • 3/30 水産学会シンポジウムで講演 – 福島第一原発事故による放射線の健康リスク • Miura G, Munakata A, Schreck CB, Noakes DLG, Matsuda H (in press) Effect of short-term decrease in water temperature on body temperature and involvement of testosterone in steelhead and rainbow trout, Oncorhynchus mykiss. Comparative Biochemistry and Physiology 日本生態学会生態系管理専門委員会 委員長 京都大学 竹門康弘 植生学会企画委員会 委員長 兵庫県立大学 藤原道郎 日本水産学会水産環境保全委員会 委員長 東京海洋大学 河野博 (1)防潮堤の建設にあたっては、生態系からの恩恵が大きく損なわれないよう、水産 資源を含む野生生物の現状、生育・生息環境条件、ならびに人と自然の関係に 関する事前調査を十分に行うべきであると考えます。そのための適切な調査内 容、調査法、評価法に関して、生態学・植生学・水産学の最新の知見を活用した ご提案や、専門家のご紹介といったご協力をさせていただきたいと考えておりま す。 (2)復興工事に伴って生物多様性保全の上で特に重要な場所を破壊することがな いよう、地域の状況に詳しい研究者から絶滅危惧種の分布等について情報をご 提供するなどのお手伝いをさせていただきたいと考えております。 12/5/13 自然災害と 野生動物の保護管理 • 自然災害一般が生物 多様性と生態系サー ビスに及ぼす影響 文科省21世紀気候変動革新プロジェクト – 気候変動の影響 – 稀に起こる生態系過程の一部 – 防災対策が及ぼす正と負の影響 • 311大震災の地震と津波の影響、 • 福島第一原発事故の影響 • 結論 4 自然災害は生態系を一変させる 潮間帯生態系の回復には数年から数十年以上か かるといわれる。これは2004年スマトラ沖大地震 でも報告されている。 2004.12.16スマトラ沖地震 プーケット島マイカオ海岸 津波前2004年6月 Hayasaka et al 2009: 津波後2005年9月 環境研PD・早坂大亮氏 5 エンドポイント(避けるべきこと) • 原発事故による放射線被曝の影響は、野生 生物にも及ぶ。しかし、個体への影響と個体 群や種への影響は分けて考えるべきである。 • 人間への影響については、個体の健康への 影響が大きな問題となる。野生動物において、 個体の機能、繁殖、寿命に影響が検出される ということと、個体群の絶滅リスクや個体数減 少に及ぼす影響が定量的に検出できるという ことは別のことである。 6 チェルノブイリでは議論中 WIRED記事 「チェルノブイリのいま – 死の森か、エデンの園か」より VS Sergey P. Gaschak Anders Pape Møller • 放射線の影響はある(あった)が、 全体として動物相は回復している • 形態的・生理的に異常が見られ、 種数も減っている 早い段階からの放射線影響モニタリングが必要 (Geras‘kin et al. 2008) 7 営農できない農家が増えている • 規準を厳しくすれば、ますます増える 2010年9月 2011年9月 http://www.iitate-madei.com/village06_2011.html 8 内部被曝量の実態と守るべきルール • 災害が人と野生動物に 及ぼす影響は、その対 策がもたらす副次的な影 響も含めて考えるべき 0.02mSv/年 • 平常時には、実現可能な 厳しい基準(ルール)を 課すべき(そればかり食 べても1mSv/年) • 実際の被曝量ははるか 松田の2011.5の予測=食品 からの内部被曝1mSv/年 に低い それを許容するか否かは社会の選択 9 まとめ(2) ほどほどの自然保護 • 自然は物言わぬ弱者か? – 「文明崩壊」局所的乱獲、絶滅は有史以前から – 「ガラスの王国(Fragile Dominion)」 • 人知を超えた畏敬の対象か? – 自然災害は人災より「怖い」?(世界戦争を除く) – 天罰が下る(まず人間が困る) – 天変地異は「天罰」のバロメータ • 人間中心か、Deep Ecologyか、その中間か – 都市住民が斜里市街地のヒグマ駆除に抗議する – 行き過ぎた自然保護は新たな災害を招く 10 総被曝量と発癌リスク • 福島原発事故の場合、主たる被曝源 は外部被曝である(遠隔地を除く)。 • 食品からの被曝量はわずかである • 暫定規制値で も、食品から の内部被曝 線量は年 1mSvという平 常時の基準 値より1桁から 2桁低く、十分 に安全 11 Concentrations in meal in Fukushima Cs-137 Cs-134 K-40 <1 Bq/kg (Coop Fukushima) 2 families detection(max; 3.2 Bq/kg) in 100 families. http://www.fukushima.coop/kagezen/2012.html 2012年11月に青森県などの野生キノ コが新基準値を超えた • 半減期の短いセシウム134が検出されない • 米ソ核実験時代の影響か 朝 日 新 聞 14 Chernobyl事故後のノルウェーの対応 食品中の放射性Cs最大値 ‘86/’87 牛乳: 650 Bq/kg 山羊乳: 1350 Bq/kg 淡水魚: 30 000 Bq/kg 羊肉: 40 000 Bq/kg トナカイ: 150 000 Bq/kg キノコ: 1-2 MBq/kg 食品の一般的な基準値は600 Bq/kg 1987年のトナカイ肉の>9割が基準値超 トナカイ、キノコ、狩猟肉、淡水魚の基準 値を6000 Bq/kgとした Deborah Oughton ベラルーシの農村風景 地産地消がもたらした内部被曝 • 日本は迅速な出荷規制 • 日本は基準超ならLotごと処分 日本学術会議会長談話と ICRP3原則 • 公正化、最適化、線量限度適用の3原則に 沿った基準を設けるべきである。 1. 正当化=被曝は「害よりも便益が大となる」 場合に許容される 2. 最適化=経済的社会的要因を考えて、被曝 する線量と人数を合理的に達成できる限り 低く保つ 3. 線量限度適用=放射線作業や防災活動な ど、個人の被曝総線量の適切な限度を守る 日本農学会技術勧告 の3つの指摘 1. 「村に一切の放射能がない状態への復元」という実 現不可能な除染を望む声を生み、結果的に除染が 一向にすすまない状況を生んでいる場合さえある。 2. 放射性物質による汚染がほぼ正確に理解され、出 荷、流通段階での検査等で安全性が確認された現 在、依然として過度に事故地周辺の農産物を避け るのは公正な市場を損ねることになりかねない。 3. 残念ながら、ときに、他地域の地方自治体と住民ま でが「風評加害者」となり、放射能汚染は、差別のよ うな日本人の心の汚染にまで広がっているという指 摘さえある。 新基準値に関する意見 • 暫定規制値を守っていても、食品からの内部被曝 線量は年1mSvという平常時の基準値より1桁から2 桁低く、十分に安全である。 • 緊急時としての政策を行うべきである。 • 過度な安全基準は復興の妨げとなり、被災地により 多くの犠牲を強いる。これは多大な経済負担となり、 最適化原則に反する。 • 低いリスクを受け入れることで被災者を支援するこ とは社会の利益となる。その機会を奪うことは公正 化原則に反する。 • 暫定規制値を順守することが線量限度適用原則の 精神である。 A home delivery company大地を守る会 sells BOTH less contaminated foods and foods from Fukushima One reason why we conserve nature is rebuilding linkage between producers and consumers(鬼頭秀一) 「食べて被災者を支援する」 選択の自由 • 低いリスクを受け入れることで被災者を支援 することは社会の利益となる。その機会を奪 うことは公正化原則に反する。 • 暫定規制値を守る(さらなる基準緩和は政治 的に得策とは言えない)。暫定規制値を超え た食品は流通させない=線量限度適用原則 • 低濃度汚染の食品については情報を示し、 消費者の選択の自由に委ねる。 Seafood Safety and Public Policy Tsunami Prof. Hiroyuki MATSUDA Yokohama National University President, Ecological Society of Japan Chair, Fisheries Policy Committee, JSFS Pew Marine Conservation Fellow 2007 Comparison of regulatory limits for fishery products Restricted distribution of cod Cs134 + Cs137 (Bq/kg-wet) Codex 1000 * Japan 500 → 100 USA 1200 EU 1250 Thai 500 Singapore 500 South Korea 370 Hong Kong 1000 Chinese Taipei 370 Philippines 1000 Vietnam 1000 Malaysia 1000 China 800 *This index includes S-35, Co-60, Sr-89, Ru-103, Ce144, Ir-192 Takami Morita Production Prefecture value in 2010 (billion yen) Restricted distribution 4.68 - 0.86 2012.8.27~10.31 Iwate 1.04 2012.5.2~ 2013.1.17 (some areas) Miyagi 2.12 2012.5.2~2013.1.17 Fukushima 0.29 After accident ~ Ibaragi 0.04 2012.11.9~ Hokkaido (Pacific side) Aomori (Pacific side) Contamination in inland fish • →Game fishing must release in Nikko, 150km far from F1NPP • ↘Inland fish is still contaminated. • ↓Rivers and lakes where 134/137Cs conc. > 100Bq/kg Jpn dace 下野新聞2013.3.29 Char, Masu trout Masu trout Pond smelt 朝日新聞2011.5.29 23 Radioactive Cs Contamination in inland fish Concentration of Cs-134 & Cs-137 (Bq/kg) Char, Masu trout Fukushima Miyagi Tochigi, Ibaraki, Gumma Radioactive Cesium concentration of char and masu trout in rivers of Tochigi, Ibaraki, Gumma Prefectures. Broken 24 Lines mean the 100Bq/kg standard Shoichi Yamamoto 2013, FRA
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