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初級ミクロ経済学
ミクロ経済学Ⅰ
-生産者行動理論-
長期の続き
2015年6月26日
古川徹也
2015年6月26日
ミクロ経済学
1
長期の企業行動
短期であっても長期であっても,企業の行動は
利潤最大化として特徴づけられる。
短期と長期の違い:生産要素がすべて可変生産
要素
すべて可変によって・・・
(1)「生産要素の代替」という問題が発生
(2)「赤字であっても生産を続ける」がなくな
る。
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長期の費用曲線の考え方(1)
短期の費用曲線の包絡線をとったものが長期の
費用曲線。
各生産量に対して,もっとも費用が低くなるよ
うな資本の投入量を選ぶことができる(短期で
は固定要素だった)。その結果,それが選べな
いときにくらべて費用を下げることができる。
→ 最適な生産要素投入量を選ぶことができる。
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長期の費用曲線の考え方(2)
等量曲線:同じ生産量を生産する生産要素の組
合せを平面にあらわしたもの。無差別曲線と同
じ考え方。
w
等量曲線上のそれぞれの点をとおり,傾きが 
r
となる右下がりの直線を描く。その直線の縦軸
との交点は,必ず総費用を r で割ったものと
なっている。
したがって,総費用最小化=縦軸との交点を
もっとも原点に近づけること。
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等量曲線と等費用直線
K
C1
r
( L1, K1)
C*
r
C  wL  rK
( L* , K * )
( L1, K1)
x0  f ( L, K )
L
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長期の費用曲線の考え方(2)続き
等量曲線と等費用線の接点を考えることで,各
生産量に対して費用を最小にする生産要素の組
合せを考えることができる。それが生産要素需
要関数と言える。
生産要素需要関数を総費用を求める式に代入し
たものが,費用関数である。これを図に描いた
ものが総費用曲線となる。
C ( y; w, r )  wL( y; w, r )  rK ( y; w, r )
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短期と長期の違い
短期の場合,固定生産要素が与えられると,生
産量と可変生産要素需要とは1対1の対応関係
ができて,生産要素需要量は生産要素の価格に
依存しない。
C ( y )  wL( y )  rK
しかし長期の場合には価格に依存する。これは,
生産要素価格に応じて企業がもっとも費用を安
くできる生産要素の組合せを選べるということ
を意味している。
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等量曲線と等費用直線
K
労働の価格が相対的に高い場合には,
1の組合せ,資本の価格が相対的に
高い場合には,2の組合せを選ぶ。
( L1 , K1 )
( L2 , K 2 )
L
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C( y)
長期の費用関数
C( y)
わずかでも生産するには一
定の費用がかかるとする
F’
y
0
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この費用関数はいったい何?
生産量をゼロとする(完全に生産を止め
る)ときは,費用をゼロとすることがで
きる(長期だから)。
生産量をごくわずかでも生産するにはF’
の大きさの「固定」費用のようなものが
必要となるとする。
短期ではF’は生産量ゼロでも必要となる
が,長期では生産量ゼロのときゼロにで
きる費用である点に注意。
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LMC ( y )
LAC ( y )
長期の限界費用曲線と平均費用曲線
LMC ( y )
LAC ( y )
p*
0
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y
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長期の損益分岐価格:p
*
*
長期では,市場価格が p よりも低くな
ったとき,企業は生産量をゼロにすれば
費用をゼロにできるので,企業は短期の
ときのように無理に生産をする必要はな
い。
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LMC ( y )
長期の供給曲線
LAC ( y )
LMC ( y )
LAC ( y )
p*
p  p* ではLMCに一致。それ以
下では縦軸と重なる。
0
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y
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長期の損益分岐価格と参入・退出
p* を上回る価格では,超過利潤(正常利潤を上
回る利潤)が発生するので,参入が生じる。
p* を下回る価格では,損失が発生するので,退
出が生じる。
参入は市場価格を引き下げ,退出は市場価格を
引き上げるので,結局長期の市場均衡価格は
に落ち着く。
*
p
また,産業全体の供給曲線は で水平のものと
なる。
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産業全体(市場全体)の
長期の需要・供給曲線
p
p*
供給曲線
需要曲線
0
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