戦後の日米経済 戦後の混乱から高度成長へ 日米経済摩擦 グローバリゼーション下の日本経済 戦後の日本経済の流れ 国内面 混 乱 期 復 興 期 高度 成長期 転 換 期 サ ラ 金 財 政 期 ド ル の 独 歩 高 バ ブ ル 期 失 わ れ た 一 〇 年 1945 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 00 国際面 ブレトンウッズ体制 転 換 期 変動相場制 戦後の混乱期(1940年代後半) • ヤミの横行 – 敗戦と政府の統制力の低下 – 公定価格とヤミ価格 • 新円切り替え(1946.3.3) • 傾斜生産方式(1646.12~) – 経済安定本部設置(1946.8) • 新物価体系(1947.7.5) ヤミ価格の実態 昭和20年10月 警視庁経済第3課調べ 品目 基準価格 白 米 一 升 53銭 ヤミ価格 倍率 70円 132倍 さつまいも 一 貫 目 1円20銭 50円 42倍 み 貫 目 1円32銭 60円 45倍 2円 40円 20倍 40円 20倍 そ 一 し ょ う ゆ 二リットル 塩 一 貫 目 2円 砂 糖 一 貫 目 3円79銭 1000円 264倍 鶏 卵 百 匁 1円82銭 21円 12倍 牛 肉 百 匁 3円 22円 7倍 着 18円 160円 9倍 冬オーバー 一 戦後の復興期(1950年代前半) • ドッジ・ライン(1949~1950) – ドッジ来日(1949.2.1) – 超均衡予算 • 昭和24年度予算、1,567億円の黒字を計上 – 為替レートの決定 • 1ドル=360円 • 朝鮮戦争と景気の回復(1950~1953) – アメリカの対日政策の変化 戦前水準の回復 • 消費の回復(1951.10~1954.1) • 国際収支の天井 – ストップ・アンド・ゴー政策の始まり(1953.9) • 神武景気(1954.11~1957.6) – 三種の神器 • 白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫 • 「もはや戦後ではない」 – 1956年(昭和31年)『経済白書』 高度成長期(1955~1970年) • 所得倍増計画(1960.12) • 岩戸景気(1958.6~1961.12) • 国際社会への復帰 – IMF8条国、GATT11条国へ(1964.4) • IMF加盟、1953年、ガット加盟、1955年 – OECD正式加盟 – 東海道新幹線、東京オリンピック(1964.10) • いざなぎ景気(1965.10~1970.7) 転換期(1970年代前半) • ニクソン・ショック(1971.8.15) – 金の兌換性停止 • スミソニアン合意(1971.12.18) – 通貨の多角的調整 • 変動相場制へ(1973.2.14) • 石油ショック – 第4次中東戦争勃発(1973.10.16) サラ金財政期(1970年代後半) • 財政赤字との格闘 – 税収の落ち込み – 景気刺激策の必要 • 社会保障関係経費の増大 • 資金の流通構造の変化 – 赤字部門、企業から国家へ • 特例法(1975)による国債の急増 公債発行額と公債依存度 %・兆円 50 臨時特別公債 建設公債 特例公債 公債依存度 45 40 42.1 公債発行額と公債依存度 41.8 42.9 41.8 40.3 36.9 34.7 32.6 29.7 27.5 25.3 25 28.0 27.6 26.6 23.2 16.3 14.9 10 11.3 7.1 7.8 7.0 6.8 6.4 6.3 7.0 5.0 6.3 6.0 5 7.0 11.6 10.1 10.6 9.5 6.2 11.0 96 94 92 90 88 86 84 82 80 78 76 3.2 74 72 70 68 25.8 26.8 23.5 21.9 20.9 21.1 17.0 16.2 年度 24.3 12.3 9.5 6.2 6.4 6.3 6.7 6.3 7.2 5.9 7.0 6.7 6.4 6.0 5.0 4.1 4.8 3.5 4.5 4.3 2.5 2.0 1.8 2.2 2.1 1.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.4 0.3 1.2 0 28.7 9.9 16.4 6.9 3.7 4.2 6.4 10.7 13.5 12.0 7.8 9.1 23.5 22.4 16.3 13.9 12.4 66 21.5 21.0 20 15 11.1 17.1 24.8 8.7 9.2 8.5 2 29.4 98 30 6.7 13.2 0 31.3 6 32.9 4 35 36.6 35.4 37.6 ドルの独歩高(1980年代前半) • レーガノミックス – 規制緩和と減税による経済活性化 – マネタリズム • 双子の赤字 – 財政赤字と高金利 – 空洞化と国際収支赤字 • プラザ合意(1985.9.24) レーガンの診断 アメリカの弱体化の原因 改善策 「大きな政府」 「小さな政府」 規制による企業家精神の衰退 規制緩和 高福祉・高負担による 貯蓄と投資の不足 減税と 政府支出の削減 レーガノミックス • サプライサイド・エコノミックス – 「大きな政府」から「小さな政府」へ • 規制緩和 • 高福祉・高負担からの脱却 • マネタリズム – マネー・サプライ重視の金融政策 財政赤字の発生 10億ドル 3,000 連邦政府財政状況 2,500 2,000 歳入 歳出 1,500 1,000 500 0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 高金利とドル高 財政赤字 + マネタリズム ↓ 高金利 ↓ アメリカへの資金の流入 アメリカの高金利 % 25 20 日米のプライム・レート アメリカ 日本 15 10 5 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 ドルの独歩高と日米経済摩擦 アメリカへの資金の流入 ↓ ドルの独歩高 ↓ 国際収支の赤字 国内産業の空洞化 日米経済摩擦 ← 強いアメリカへの 信認という 幻想 円ドルの為替レート 50.00 100.00 外国為替相場 150.00 200.00 250.00 300.00 東京・円・年末値 350.00 400.00 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 2005 アメリカの国際収支赤字 100万ドル 40000 日米の経常収支 20000 0 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 -20000 -40000 アメリカ 日本 -60000 -80000 ドル高是正と円高不況 • プラザ合意(1985.9.22) – ドルの過大評価認識 • ドル高是正 – 1ドル250円から125円へ – 円高不況への不安 プラザ合意とドルの下落 バブルへの道(1980年代後半) • ドルの低下 – 円高不況のおそれ • 金融緩和と民活 – 国債累積 – 財政政策の余地なし • バブルの発生 – 土地、株の値上がり 円高不況からバブルへ 円高 内需拡大要請 日本の財政赤字 民活 金融緩和 低金利時代 バブルの発生 低金利時代 地価の上昇 株価の上昇 資産効果 資金調達の容易さ 消費の増大 投資の増大 好景気 株価の上昇 40,000 35,000 30,000 25,000 東証平均株価 20,000 15,000 10,000 5,000 0 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 失われた10年(1990代) • バブルの崩壊 – 総量規制(1990) • 不良債権問題の発生 – 不景気と不良債権の発生の悪循環 – Too small, too late. • 国債累積と不景気 – 財政再建への遠い道のり バブルの崩壊 平成景気(?) 円高効果の終了による インフレ傾向の発生 総量規制による金融引締 バブルの崩壊 地価・株価の低迷 不良債権問題の発生 地価・株価の低落 BIS自己資本比率規制 不良債権の発生 金融機関の経営悪化 失われた15年 改善の兆しとその崩壊(1997) • 景気の回復の兆し(1997) – 消費税3%から5%へ引き上げ(1997.4.1) • 再び危機へ – アジア通貨危機 • タイ・バーツ変動相場制へ(1997.7.2) • 各国へ通貨危機の波及(contagion) – 国内金融危機の発生 • 三洋証券によるコール市場のデフォルト(1997.11.4) • 山一証券自主廃業(1997.11.24) • 小渕内閣の危機感 – なんでもありの危機対策 アメリカ発大不況?(2008) • サブプライム・ローン問題 – サブプライム・ローン市場でのデフォルト • 誤ったリスク管理 – 金融機関への波及 金融機関の破綻の続発 • 大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャ ル経営破綻懸念でNYSEの上場廃止 (2007.3.13) • ベア・スターンズ傘下のヘッジ・ファンドの 破綻が判明(2007.6.22) • ベア・スターンズがJPモーガン・チェースに 買収される(2008.5.30) 大不況への懸念 • 広がる影響 – 実体経済への波及 • 自動車産業の痛手 – 他国への波及 • 1929年の記憶 – 大恐慌から大不況へ • 各国の協調体制樹立へ サブプライム・ローンとは何か • プライム・ローン – 最優良貸付 • サブプライム・ローン – プライムに準ずる貸付 – 現実には • 過去に延滞履歴がある等で • 信用リスクの高い顧客層への • 住宅ローン リスクについて • 金融にはリスクが付き物 – ハイ・リスク=ハイ・リターンの原則 • 金融におけるリスク – 信用リスク • 貸し倒れで貸したお金が回収出来ないリスク – 価格リスク • 株式、為替等、価格の変動が生ずるリスク – 流動性リスク • 資金繰りがつかなくなるリスク サブプライム・ローンの問題 • 全体像は誰も見えない – 貸付の証券化 – さまざまな金融手法によるリスク分散 • 当初の想定以上の延滞の発生 – 金融機関の巨大な損失の発生 – 疑心暗鬼の蔓延 貸付の証券化 個別の住宅ローン 貸し倒れの危険性 まとめられた 住宅ローン 貸し倒れは一部 危険分散 貸付の証券化2 まとめられた 住宅ローン 細分化して証券として販売 さまざまな金融手法(一例) 優先は安全で高利回り 優先 まとめられた 住宅ローン 劣後 貸し倒れはまず劣後で処理 なぜ証券化か • 住宅ローン貸付を業務とする銀行 – リスクを投資家に移転することが出来る • • • • 信用リスク 流動性リスク 金利リスク 繰り上げ償還リスク • 投資家 – 多様なリスク選好に応じた高金利商品 アメリカの住宅ローン市場 • 市場規模 – 年間新規融資額 2.5兆ドル(2007年) – 残高 10.5兆ドル(2007年末) • 約6割が証券化 – MBS(Mortgage Backed Securities) • 残高 約6兆ドル – 問題はその内の一部(約15%) 住宅ローンの内訳 • Agency MBS – 連邦政府機関が発行 • ジニー・メイ – それに準ずる機関が発行・保証 • ファニー・メイ、フレディ・マック • 民間住宅ローン – 一般の住宅ローン – 特に信用力の低い債務者向けローン • サブプライム・ローン サブプライム・ローンの定義 • FICOスコア620点以下 – 金融機関によっては660点以下 – FICO Fair Isacc社開発の信用力スコア • 連邦金融監督当局のガイドライン – – – – – – 過去12ヶ月に30日延滞を2回以上、または 過去24ヶ月に60日延滞を1回以上 過去24ヶ月以内に抵当権実行、債務免除 過去5年以内に破産 FICOスコア660点以下 返済負担率50%以上 危機の現状 • 証券化商品の価格下落 – 金融機関の損失拡大 – 1990年のS&L危機をしのぐ金融危機へ • 止まらない株価下落 – 1929年の悪夢の再来? – 金融恐慌の恐怖 – アメリカ政府の対応と各国の協力 問題の経緯 • サブプライム・ローンの発生 – 1990年代半ば? • 2004年頃からの急拡大 – 2000年代に入ってからの金利低下 • 2001.9.11による景気後退懸念を背景に – 金余りから住宅ローン市場への流入 • 厳正さを欠く融資審査 金融節度の崩壊 • さまざまな新しいローン – IOローン • 当初は金利のみ返済 – ペイオプションARM • (Pay-Option Adjustable Rate Mortgage) • 返済額を自由に設定 – ハイブリッドARM • 最初の2年間は低金利 住宅バブルの発生 無理な金利での住宅購入 住宅価格の値上がり 値上がりした住宅を売って返済 バブルの崩壊 • 住宅価格上昇の終焉 – サブプライム・ローンの返済停滞 • 貸し倒れの激増(2006年頃から) – 金融機関の巨額の損失 • 複雑な金融商品 • 逆資産効果による消費の低迷 – 大不況への入口か?
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