スライド 1

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高齢者を中心とする雇用・失業情勢
09.10.17~18京都・高齢者事業団交流会
●この1年-完全失業者は89万人増え、361万人。過去最悪水準。
●事態をどうとらえるか-従来の資本主義システムの崩壊。
●高齢者の雇用・就業状況-日本の高齢者は働き続けている。シルバー人材セン
ターはその”部分“であり、低賃金・無権利の重しとなっている。
●麻生内閣の対策の限界-従來政策でのとりつくろい。
①「雇用調整給付金」-景気回復まで耐えよ。隠された失業が顕在化する。
②「緊急人材育成・就職支援基金」-民間職業訓練に丸投げ。再就職は自己責任。
③「緊急雇用創出事業」-あくまでも臨時的対応。
④シルバー人材センター-制度の根幹の矛盾が噴出・露呈。
●新政権の試金石-補正予算の組替、10年度予算。雇用対策は国家戦略局?
①労働者派遣法の抜本改正-連合大企業労組とのせめぎ合い。
②「雇用調整給付金」-制度緩和を検討?
③「緊急人材育成・就職支援基金」-通常国会に「恒久法」を提出。11年度から?
④「緊急雇用創出事業」-言及なし。制度は10年度、11年度の残り2年間。
⑤高齢者雇用-言及なし。このままではシルバー人材センターオンリーとなる。
この1年(リーマンショック08.9)
日本の労働力はどう変化したか
( )内がこの1年
間の増減
(前年同月比)
労働力人口
6657万人(-20万人)
完全失業者
361万人
(+89万人)
その他
83万人
(+10万人)
09.2以降、雇調金の対象者
は200万人前後-隠れ失業
の顕在化を食い止めている
15歳以上の人口
1億1050万人(±0)
非労働力人口
4390万人(+4万人)
自己都合
111万人
(+4万人)
09.8 完全失業率-5.5%
有効求人倍率-0.42倍
就業者
6296万人
(-109万
人)
会社都合
124万人
(+61万人)
●この1年、実際に就業者
が増えたのは
・医療・福祉-40万人
・飲食サービス-17万人
●減ったのは
・ 製造業-112万人
●会社都合の失業は2倍の
スピードで増えている
定年・契約満
了40万人
(+14万人)
朝日09.10.2
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「構造改革」下の失業情勢
完全失業率-過去最高は2003年4月の5.5%、385万人
2009年6月は5.4%,346万人
有効求人倍率-過去最低は1999年6月の0.46倍
直近のピークは2007年6月の1.06倍
2009年4月は0.46倍
雇止め・解雇状況
(08.10~09.6)
派遣 -135,065人
期間工- 47,100
請負 - 16,795
その他- 17,448
計 216,408
失業情勢の模式図
5.5%
1.06倍
5.5
5.0
5.4%
1.1
1.0
完全失業率
4.5
0.9
4.0
0.8
3.5
有効求人倍率
0.7
3.0
0.6
0.43倍
2.5
01.4
00年
01年
06.9 安倍 福田 麻生
小泉
02年
03年
04年
05年
06年
07年
08年
0.5
09年
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今日の失業をどうとらえるか!
「月刊全労連」の5月号を参照
●日本の経済危機は、先進国の中でも最悪のものとなる可能性が高い。不況の底なし
の闇を雄弁に物語っているのが失業の広がりである。
●時間が経過すれば、資本主義の活力がまた上昇局面へ回復してくると期待できる性
格のものではない。従来の資本主義システムが崩壊し、機能しなくなってしまった大
不況である。
厚労省の発表-非正規労働者が08.10~3月末に
124,802人が失職する。実際は216,448人(09.6)だった。
実態はさらに深刻-「労働力調査」(詳細集計09.4~6)
●非正規労働者が47万人減少。うち派遣労働者は26万
人。(登録型は含まず)
●正規労働者も29万人減少し、リストラは正規にも広
がっている。
これまでと異なる特徴
突然、大企業職場で派遣労働者をいきなり失業者にし
てしまう「派遣切り」が始まった。背景-雇用形態の変化
-派遣、請負、期間工やパートなど中小企業では半数、
大企業でも1/3~半数近くを占めている。
完全失業者347万
人の状況から
●「条件にこだわらないが
仕事がない」-48万人
(前年同期比+24万人)
●「求人と年齢が合わな
い」-57万人(+14万人)
●「技術や技能が求人要
件に満たない」-26万人
(+15万人)
「労働力調査」
(詳細集計09.4~6)
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雇用機会はどの程度失われるのか?
2つのシュミレーション←09.2月時点
(09.2.12「日本総合研究所」)
●過去最悪(03.4)は
5.5% -385万人
●09.6は5.4%-346万人
1.実質GDPの減少(2010年度末までの試算)
①年平均▲1% →118万人
②
▲1.5%→156万人
③
▲2% →193万人
08.10-12のピーク対比
21.6%の減少
2.輸出の減少
輸出が2割削減し、その水準に対応する形で国内生産基盤が恒常的に失われた場
合-約200万人の雇用機会が失われる。輸出産業の他に商業、運輸、事業所サー
ビス業も影響が大きい。
助成率 中小企業-9/10 大企業-6/10
雇用調整助成給付金
09.6の実施計画は61.349事業所、2,382,931人。
制度は3年で300日分。その後、一気に解雇が増える?
厚労省幹部は失業率6%の危ぐを持っている。
「経済財政白書」(09年度)-企業が余剰人員として抱えている「潜在的失業者」が80年
代以降最大の608万人と推計。正社員のリストラが危ぐされる。
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「高齢者の所得と就労」-国が示す2つの基本
公的年金 (しかし、生活できない水準)
いくつになっても働ける社会の実現
国民年金被保険者
の就業状況
●国民年金(第1号被保険者)2,123万人
●40年加入で月額66,008円-高齢者の基礎
就業状況
%
自営業者
17.7
家族従事者
10.5
常用雇用
12.1
的な消費支出を賄う
●厚生年金-退職前の生活水準を一
定程度反映した生活
臨時・パート
24.9
●保険料は現在13,410円が16,900円へ(2017年度)
無職
31.2
不詳
3.6
(05年)
第1号被保険者
第2号
第3号
計
2,123万人
3,836万人
1,079万人
7,038万人
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日本の高年齢者は働き続けている
 60歳~64歳の男性の68.8%が働いている。女性は42.3%
 65歳~69歳の男性の49.5%が働き、女性は28.5%
就業者
就業希望
非就業希望
55~59歳 男
女
90.1
62.2
7.7
14.1
2.8
23.7
60~64
男
女
68.8
42.3
16.1
19.7
15.1
38.0
65~69
男
女
49.5
28.5
21.0
18.3
29.5
53.2
「高年齢者就業実態調査」 (04年、厚労省)
●仕事をしているのは- 「自分と家
族の生活を維持するため」
男 60~64-71.8% 女 56.9%
65~69-60.3
46.6
就業者の内、シルバー
人材センターを通じて
仕事をした人
男 60~64 2.2%
65~69 3.2
女 60~64 0.9
65~69 1.5
高齢者の完全失業率
男5.1%(総数4.1%)
女2.5%(総数3.8%)
09.6
生きがい・社会参加
男10.5%
女11.9
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高齢労働者に対する勧告
「労働権」と「休息権」の両
面からとらえている
(ILO第162号勧告、1980年)
①高齢労働者の雇用の機会と待遇の均等をはかり、雇
用及び職業における差別防止の措置をとること。
②高齢労働者に対する雇用上の保護措置をとること。
③高齢労働者が労働生活から自己の意志によって退
職しうる措置をとること。
日本政府の考え方
少子高齢化の急速な進行により、今後、労働力人口の減少が見込まれる中
で、我が国経済の活力を維持していくためには、高年齢者の能力の有効な
活用を図ることが重要な課題である‥。「高年齢者等職業安定対策基本方
針」(09.3)
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国の高年齢者の雇用・就業対策は大きく3つが
実施されている
1. 安定した雇用の確保
65歳までの定年引上げ、継続雇用
 「70歳まで働ける企業」の促進
定年引上げ等奨励金の活用
2.再就職の促進
再就職の促進
募集・採用時の年齢制限の禁止
再就職援助を行う事業主への援助
3.多様な就業・社会参加
シルバー人材センター事業の推進
シニア就業支援プログラム事業
共同就業機会創出助成金
「高年齢者等職業安定
対策基本方針」(09
~12年度末)が定め
られた。
①65歳までの雇用確
保措置、②70歳まで
働ける企業、③多様
なニーズに対応し、
60~64歳の就業率を
2012年度末に56~
57%、65~69歳の就
業率を37%とする。
60~64歳(常用)は08
年129万人。就業率は
57.2%。男72.5%.
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麻生内閣-実施されている雇用・失業対策①
08年度までの対策
09年度対策(「経済危機対策」-雇用関連約2.5兆円)
●雇用調整助成金
実施計画受理数(09.6)
対象者数2,382931人
(61,349事業所)
3年で300日分。その後、一
気に解雇?6%の失業率
●ふるさと雇用再生特別交付
金(2,500億円)
●緊急雇用創出事業(1,500
億円,15万人)
●雇入れ助成
6,066億円
・助成率-9/10(中小企業)、3/4(大企業)
・残業削減による雇用維持-契約労働者は年30万円、
派遣労働者は年45万円(大企業は20万円、30万円)
・派遣元、先指針の改正(元の雇用維持、先から元へ
の賠償)
民家委託。08・09年度計画数 18,545人
●離職者訓練の規模を拡大
145億円
・職業訓練の拡大
・委託訓練の拡大
●内定取り消し対策
76億円
●障害者の雇用対策
5.5億円(雇調金の助成率引き上げ)
08・09年度計画数 82,016人
3,000億円(30万人)の基金積み増し
正規、直接雇用に1人100万円(大企業50万円)
前年同月比5%以上の
減少の要件緩和
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麻生内閣-実施されている雇用・失業対策②
08年度までの対策
09年度対策(「経済危機対策」-雇用関連約2.5兆円)
●雇用促進住宅(7,345 7.24
現在)
●最大186万円貸付(雇用保
険受給者60万円)
●社宅・寮貸与助成(月4~6
万円、6ヶ月、5,569人 09.4
分)
●訓練中の生活保障(決定
117件/申請183件 09.5.
29現在)
1,704億円-住居確保の支援、生活費の貸付
09年10月 住宅手当制度創設
2年以内の離職に最大6ヶ月
23区の単身者は月54,000円。
貸主に振込。(朝日09.8.3)
「貸付」と連帯保証人 利用362件
(朝日09.8.2)
●緊急人材育成・就職支援基金-7,000億円(09.7.29
開始)
●外国人への支援(7000億円の内数+16億円)
・通訳・相談員の増員
・日本語就労準備研修
・家族を含む帰国支援
・研修生・技能実習生に対する帰国支援
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09年度補正予算による「2事業」の助成金拡充
雇用調整助成金
(中小企業緊急雇用安定助成
金)
09年度補正-1943億7700万円(3572億2000万円)
・1年間200日の支給限度額の撤廃
・大企業2/3、中小企業4/5
施行雇用奨励金
09年度補正-19億2000万円
実習型施行雇用(6ヶ月以内の雇用)事業主に月額4
万円を3か月分支給する。
育児・介護雇用安定等助成金
09年度補正-2200万円(当初1億2900万円)
・短時間勤務制度(小3に拡大)1企業1回限り20万円。
短時間労働者均等待遇推進等
助成金
09年度補正-7900万円
・短時間正社員制度を設けた場合。中小は40万円
(その他は30万円)2~10人にも15万円(10万円
キャリア形成促進助成金
雇い入れた労働者に対する認定訓練への助成
・09年度補正-9200万円(当初5億7300万円)
・09年度補正-11億4300万円(当初15億3900万円)
中小事業主がOJT実施。賃金の4/5
・実践型人材養成
・有期実践型訓練
「2事業」は他に労働移動支援助成金、地域雇用開発助金、自立就業支援助成金、定年引上げ等
奨励金、通年雇用奨励金、人材確保等支援助成、金障害者雇用に係る助成金、広域団体認定訓
練助成金、職場適応訓練の計15事業がある。
09.6.5 第62回労政審から作成
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麻生内閣-緊急人材育成・就職支援基金 7,000億円
雇用保険の受給資格のない者(非正規離職者、長期失業者)に対する職業訓練、再就
職、生活支援を総合的に実施。基金の造成。
09年7月29日から。3年分の予算
①職業訓練の拡充-35万人
②訓練期間中の生活保障-30万人
①②で4,820億円
応募者の半数しか受
パソコン3か月
けられない現状
医療、介護、農業は1年コースも
・介護、医療、福祉の基本的能力習得の長
期訓練
・再就職に必須のITスキル習得訓練
・生活費の給付―単身者月10万円、扶養
家族あり月12万円
・希望者への貸付-月5万円、月8万円
③実習型雇用・雇入れ助成-7万人
医療、介護、福祉分野で受け入れる中小
④職場体験を通じた雇入れ助成-2万人
事業主に1人100万円を助成。実習には月
③④で1,620億円 1人10万円
●補正凍結で4000億円強を削減。
●今年度は現行実施。11年度か
ら恒久化を検討。
⑤長期失業者への再就職支援-3万人
⑥再就職及び住居・生活支援-1万人
⑤⑥で380億円
介護、ものつくり分野で職場体験・見学で
雇い入れる中小事業主に1人100万円。受
け入れは1人月10万円
民間職業紹介へ委託
民間職業紹介へ委託
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「労働総研」の緊急提言の3つの柱
1.解雇規制と雇用の維持‥深刻な失業は大企業の雇用政策にある。放置
していては、失業の解決はおろか、衝撃の緩和もできない。
2.失業者の生活と権利を保障する‥まず生きて、仕事を得て、生活ができ
るための緊急施策、活用すべき制度のあり方。
3.新たな雇用創出・拡大‥新自由主義政策から脱皮し、過労も失業もない
社会を展望する。
運動において留意すべき失業保障の諸原則
①まだ雇用されたことのない新規学卒者を含め、すべての失業者を対象とする。
②失業の理由、性別、年齢、雇用形態などにより、失業保障や再就職を差別しては
ならない。
③失業期間中の生活保障はすべての労働日について失業手当を支給する。
④失業対策の諸制度の管理・運営は労働組合や失業者支援NPOの参画の下に行
う。
⑤失業者の人格を尊重し、その職業能力の発展を保障し、自ら積極的に雇用開拓
が行えるようにする。
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5. 雇用・経済
37.●失業給付の切れた人、雇用保険の対象外である非正規
労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた
日数に応じて「能力開発手当」を支給する。
〔5000億円程度〕
38.●すべての労働者を雇用保険の被保険者とする。
●雇用保険における国庫負担を、法律の本則である1/4に戻す。
●失業後1年の間は、在職中と同程度の保険料負担で医療保
険に加入できるようにする。
〔3000億円程度〕
39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定をはかる。
40.●貧困の実態調査を行い、対策を講ずる。
●最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
●すべての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
●景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。
●中小企業における円滑な実施を図るため、財政上・金融上の措置を実施する。
〔2500億円程度〕〕