第9回 フリップフロップ(1) 0,1を記憶可能な不思議な回路 記憶のしくみとSRフリップフロップ フリップフロップの機能・仕組みを説明でき る RSフリップフロップの動作を説明できる タイミング図を理解し、描けるようにする 瀬戸 1 入場者数カウントシステムにおけるフリップフロップ ディジタル回路 光 センサ パルス 2進数 パルス数 010 入場者数 加算 記憶回路 回路 2進数 010 001 7セグ 表示回路 7セグ (表示装置) 2 CPUの中のフリップフロップ CPUの内部 計算の 結果 や、 実行の 状態 を 覚えるのに必要 3 ディジタル回路の分類 (組合せ回路と順序回路) 組合せ回路 例: 加算回路、etc... 順序回路 (組合せ回路+ 記憶 素子(フリップフロップ)) 一般に、ディジタル回路といえば,順序回路 フリップフロップの理解が鍵!(本日学習) 0 1 入力が変化すると, 出力もすぐ変化 (値の 記憶 ができない) ( 数えられない) 1 組合せ 回路 1 0 ... 1 0 1 ... ... ... 0 組合せ 回路 1 0 フリップ 1 フロップ 27まで数えたことを覚えておく ボタンが押されたことを覚えておく 4 準備: タイムチャート (タイミング図) ディジタル回路中の 電圧 の時間変化( 波形 )を表 現 x f y 電圧 入力x 入力y 出力f 3V 1 0V 3V 0 1 0V 0 3V 1 0V 0 時間 ゲートの遅延時間は一瞬のため, 0として描かれることも多い 5 フリップフロップ ( FF )とは? 1ビットのデータを保持可能な回路 ディジタル回路なので、入出力は当然 L または H 入力 記憶 させる信号 D 記憶の タイミング を 指示するクロック信号 CLK 入力D CLK 保持 出力Q 保持 タイムチャート フリップ フロップ (FF) 出力 記憶 されている信号 Q CLKが 0 から 1 に 変化する瞬間 (立上りの瞬間)の、 Dを保持する 保持 (CLK=シャッターボタン) 6 1ビットの情報を保持する仕組み キャパシタCと,スイッチSW(MOSトランジスタ)を使う 保持させるとき,SWを一時的に H (ON)にする SW x y f C 出力fがHのとき,キャパシタが充電され, H を保持 出力fがLのとき,キャパシタが放電され, L を保持 キャパシタはできるだけ小さくするのが普通 面積(コスト)大, 消費エネルギー大 (0.5CV2) すぐに電荷Qが漏れてしまう 7 記憶に使用する電荷の漏れを少なくする工 夫 2つの NOT ゲートを ループ状に接続 キャパシタCには,NOTゲートのゲート容量を利用 2個のNOTゲートを通した信号を戻し,電荷を補充 2 つの 安定 な状態 ⇒ 0, 1の記憶 電源投入後,0, 1どっちになるかは不定 スイッチ1 0 1 1 0 D 0 状態0 1 状態1 Q ゲート容量 ループ スイッチ2 8 NOTゲートの入力のゲート容量 D=0のとき ⇒ ゲート容量は空になる D=1のとき ⇒ ゲート容量は満タンになる スイッチ1 D Q ゲート容量 スイッチ2 9 スイッチ1による状態0, 1の設定 スイッチ1が ON 、スイッチ2が OFF のとき 入力Dが、そのまま出力Qに出る つまり、 Q = D スイッチ1 D Q スイッチ2 10 ゲート容量による状態の一時的保持 スイッチ1が OFF 、スイッチ2が OFF のとき 左のNOTゲートの ゲート 容量により、値を保 持 ただし,漏れが起こる スイッチ1 D Q スイッチ2 11 電荷の漏れを補う仕組み スイッチ2を ON にし,フィードバックループを形 成 漏れ電荷を, 右 のNOTゲートの出力から補 う 0 1 0 スイッチ1 ゲート容量 1の電圧を 強める (0なら0, 1なら1) 0 1 D Q ゲート容量 スイッチ2 フィードバック ループ (出力を 入力へ戻す) 12 SRフリップフロップ (SR-FF) RSフリップフロップとも呼ぶ 最も基本的なフリップフロップ あまり使われない 他のFFの構成部品として,重要 S NORゲート によるSR-FF R Q 2入力: S( Set, セット ), R( Reset, リセット ) セット: 出力Qを 1 にする リセット: 出力Qを 0 にする 13 NORゲート – SR-FFの構成要素 NORゲートの基本的性質 f x y x y 出力は常に y (NOTゲートと等価) x=0 のとき 0 y f 1 x=1 のとき y y 0 入力yの値によらず、 出力は常に 0 14 S=1, R=0のときの,SRフリップフロップ NORゲートの基本的性質 x=0 x y f 1 x=1 S=1 1 0 y R=0 0 任意 1 y 0 安定 状態 (出力Q = 1 ) Qがセットされた 15 S=0, R=1のときの,SRフリップフロップ NORゲートの基本的性質 x=0 x y f 1 x=1 S=0 0 0 y R=1 1 任意 0 y 0 安定 状態 (出力Q = 0 ) Qがリセットされた 16 S=0, R=0のときの,SRフリップフロップ NORゲートの基本的性質 x=0 x y f S=0 R=0 0 1 1 0 0 y y NOTゲートと同じ 0 1 2つの 安定状態 ( 0または1 ) 直前の状態Q を 保持 17 S=1, R=1のときの,SRフリップフロップ NORゲートの基本的性質 x=1 x y S=1 0 f R=1 0 1 任意 0 0 安定状態 (出力Q = 0 ) しかし S=1, R=1 は 通常 入力 しない 18 SR-FFで S=1, R=1を通常入力しない理由 0と1を記憶する目的では、S=1, R=1にする必要はない S=1, R=0 ⇒ Q= 1 を記憶できる S=0, R=1 ⇒ Q= 0 を記憶できる S=1, R=1で、Qは0となるが、それを保持しようとする際 ( S=0, R=0 とする) に、Qが 不定値 になる 1 か 0 か どちらになるかは,予め不定な値のこと S,Rを厳密に同時 に0にすることは 不可能なため S S R R Q Q 以上の理由により、S=1, R=1にする意味が無い 19 SR-FF の回路図 S R Q Q ・ NORゲートを縦に 並べる配置に変更 ・ Qも出力させる R S Q Q S Q 省略形 (ブロック図) R Q 20 SR-FFの機能をまとめた表 S 0 0 1 1 R 0 1 0 1 Q Q 直前の状態 0 1 1 0 0 0 リセット セット 禁止状態 21 SRフリップフロップのタイミング図 S R Q H S L H R L H L 不定 Q 不定 L L H L H L 不定 不定 不定 不定 H H Q H 不定 Q 不定 時間 S VDD R VDD Q L 保 持 セ保セ 保 リ 禁 ッ持ッ 持 セ 止 ト ト ッ ト 保 持 セ 保時間 ッ 持 ト 電源VDDを加えた直後は,Qは不定 (0, 1 どちらかだが,どちらになって いるかは,観測しないとわからない) 22 SR-FF NORの代わりに,NANDゲートを以下のように二つ使っても,同様 にFFを作れる (ただし,入力が負論理になる) 0 0 1 1 1 1 0 又は 1 S R 1 1 0 0 Q Q S 0 0 1 1 R Q Q 0 1 1 1 1 0 0 0 1 1 前の状態 0 1 禁止状態 セット リセット 23 まとめ 1ビットの信号を記憶するしくみ 2つのNOTゲートでループを作る ゲート容量に電荷を蓄え,0, 1を保持 2個のNOTゲートで,電荷の漏れを補う 出力が0, 1の2種類の安定状態を持つ SRフリップフロップ 出力Qを1(セットS), 0(リセットR)でき、値を保持 他のFFの基本 24
© Copyright 2024 ExpyDoc