ウサギにまつわる神話 因幡の白兎① この話は昔々、神様が地上にいらした頃のお話 です。 本当は「古事記」にある「稲羽の素莵」と 書くようです。 さて、昔々、隠岐島(島根県の日本海沖にある 島)に1匹の白兎が住んでいました。この兎、因幡 国(鳥取県東部)の八上比売(やがみひめ)に会 いたいと思いました。 しかし、隠岐島と因幡国の間は広い海があり、と ても自力では渡れません。 ウサギにまつわる神話 因幡の白兎② そこで白兎は鰐(ワニ=サメ)をだまして、向こう 岸に渡ろうと考え、「鰐さん、お互いの仲間の数を 比べてみようよ」と提案しました。 そして、鰐を因幡国まで並べさせ、その上をピョ ンピョンと渡っていきました。 もう少しで岸に着こうとした時に、白兎は嬉しさに つい、「君たちはだまされたのさ」と言ってしまいま した。 それに怒った鰐は、白兎の体中の毛をむしり取 り、丸裸にしてしまいました。 ウサギにまつわる神話 因幡の白兎③ 丸裸にされた白兎は、その痛みのために砂浜で 泣いていました。そこに大国主命(オオクニヌシノ ミコト)の兄神様が大勢通りかかり、面白半分に 「海水で体を洗い、風に当たってよく乾かし、高い 山の頂上で寝ていれば治る」と言いました。 大国主命の兄神達は、隣の因幡国に八上比売 という美しい姫がいるという噂を聞きつけ、自分の お嫁さんにしようと、因幡国に向かっている途中 でした。 ウサギにまつわる神話 因幡の白兎④ 白兎は兄神達の言うとおりにしてみましたが、海 水が乾くにつれて体の皮が風に吹かれてひび割 れてしまいました。 あまりの痛さに白兎が泣いていると、兄神達の 全ての荷物が入った大きな袋を背負った大国主 命が、兄神達からずいぶんと遅れて通りかかり、 白兎にその理由をたずねました。 白兎の話を聞いたあと、大国主命は白兎に「河 口に行って真水で体を洗い、蒲の穂を地面にまい て、その上で寝なさい。そうすれば治るよ」と言い ました。 ウサギにまつわる神話 因幡の白兎⑤ 白兎が大国主命の言う通りにすると、やがて毛 が元通りになりました。 たいそう喜んだ白兎は大国主命に「八上比売は 兄神ではなく、あなたを選ぶでしょう。あんな意地 悪な神様は、八上比売をお嫁にもらうことはでき ませんよ」と言い残し、自らが伝令の神となって、 兄神達より先に八上比売のもとに到着し、この事 実を伝えました。 これを知らない兄神達は、先を競って姫に求婚し ましたが、姫はそっけなく、「私はあなた方ではな く、大国主命の元へ嫁ぎます」と言い、兄神達を 追い返したのでした。
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