社会理論とジェンダー:概要 第一読書パックの最後にある「女であること/男であること」について 性差と、性別(=ジェンダー)の相違とその調べ方 性差は、 解剖学的・大脳生理学的な差異を含む女・男の特定。 身体的な特定も、心理的な特定も。 「ジェンダー」という性別は、 文化・社会的規範による女としての判定・男としての判定。 他人の知覚による「自分」のカテゴリ。 ジェンダー研究をするために、①人びとの「語り」を重視する (一般の人との接触、面接に基づいている研究)②個別地域 1 の現実に則した社会理解、ジェンダー理解が重要。 社会理論とジェンダー:概要 第一読書パックの最後にある「女であること/男であること」について 1. 「自分」(「わたし」)は文化的・社会的な意味や期待 のなかに【ジェンダーによって】分類化される。 2. 性差が内側からにじみ出て来るのではない… 性別 の判定は自然に決まるのではない。 3. 性別区分は生殖能力/機能 区分と常に一致してい るわけではない。むしろ、社会内および経済的な システムの中の役割にも決定される。 4. …その結果、「社会の内側の論理」 によって、 【ジェンダー】に適合される期待や役割が維持される。 2 ジェンダーから世界を読む:ジェンダー学や 理論との共通点 I. 先進国での自然化されたジェンダー役割は男が家の外、 女が家の中で働くであるはず。 が、先進国での例外もあるし、多くの途上国の女性が働かな ければならない状態がある。 II.「男性優位性」、「男性中心」、「家父長制」を「差別」という 観点から見ると・・・ 「女性が相続する、女性が働ける」制度があれば良い方」の ような想定があるが、社会・経済の中のジェンダー役割を調 べないと、現実にあるジェンダーバランスは分からない。 上記の想定を覆す例は伝統社会、農村社会にある。 3 ジェンダーから世界を読む 第一部 タイ農村部からの例 • 第4章 女性の家計貢献を促す「母の家」 ~ 娘の場合 p164-165 文献からの例: 同居の娘は収入の半分を母親に渡すが、 息子の場合は三分の一しか渡さない。 この様な例が多いから、どのように説明するか。 「親の期待を反映する」、「母の恩」という説明で済ませるか。 あるいは、家への経済的な貢献度の相違で説明するか?4 ジェンダーから世界を読む 第一部 タイ農村部からの例 第4章 女性の家計貢献を促す「母の家」 ~ 娘の場合 つづき p164-165 上記の家への貢献のジェンダー間の相違について、 「バイアスを含んでいる」議論・説明:娘のほうは経済的に貢 献するのは「親の期待」、「母の恩」、そして「息子の方があら ゆる責任からより自由」、「男性優位性」だけで説明ができな い 「合理的」な説明:「次世代の母となる娘が息子以上に家に 愛着を持ち、経済的にも貢献しようと思う」 5 ジェンダーから世界を読む 第一部 タイ農村部からの例 • 母の場合 p166 第一部 結婚し子供ができたら、娘が「母の家」の責任者 となる。この仕事は、 1.世帯の活動を管理する 2.農業 3.家計を「総合的に判断」した上で、自分の賃 金労働を決める 6 ジェンダーから世界を読む 第一部 タイ農村部からの例 • 母の場合 p166 つづき こどもができてから支出が増え、若い母が仕事に戻らなけれ ばならない。その場合 「母と娘の密着度の強さも女性が働きに出ようとするのを促 す重要な条件」であり、 「働こうとする女性の育児が実母に一任できる」。 「両親に経済的に貢献するととみに、こどもの養育費を稼ぐ」 ここには女性により多くの権利があるが、 「女性の負担を男性に比べて重い」し、 「男性により多くの自由を与えるジェンダー規範」もあるため に、「女性が相続する」、「女性が働ける」ということだけが 7 ジェンダー平等であるとは言えない。
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