2006年12月2日 奈良女子大学 科学情報発信セミナー 「市民の科学」プロジェクトと サイエンスカフェ神戸 伊藤真之 (神戸大学 発達科学部) 1 ヒューマン・コミュニティ創成研究センター 研究プロジェクト 「 市民科学に対する大学の支援に関する 実践的研究 」 • • • • • • • • • • • • 伊藤 真之 小川 正賢 武田 義明 丑丸 敦史 田結庄良昭 田中 成典 近江戸 伸子 蛯名 邦禎 白杉 直子 長坂 耕作 讃岐田 訓 信川 貴子 代表 科学技術社会論からの助言・評価 里山保全関係課題研究 植物学、植物生態学関係課題研究 地質環境関係課題研究 生命科学関係/科学コミュニケーション 植物工学、農学関係課題研究 物理学、環境物理学関係課題研究 食環境関係課題研究 数理・情報科学関係/科学コミュニケーション 水環境関係課題研究・環境教育 水環境関係課題研究支援/環境教育 2 概要 1. 2. 3. 4. 5. 6. 背 景 プロジェクトの目的と意義 基本的考え方 進 め 方 現 状 課 題 と 展 望 3 1.背景 (1) 「神戸大学発達科学部」の理念と状況 ・ 個々の教員の積み上げた実績 ・ 発達科学部 学生の関心 ・ HCセンターの発足 (2) 社会的背景 ・ 日本における市民と科学技術の関係が持つ問題 ・ 環境問題等の解決のための市民参画の重要性 4 神戸大学発達科学部人間環境学専攻 (大学院総合人間科学研究科) 市民生活と密接に関わる環境の問題に取り組んできた実績 <例> ・ 琵琶湖・淀川水系や瀬戸内海の水環境問題 ・ 阪神・淡路大震災によって生じた地質汚染 斜面崩壊などの土砂災害と防災の問題 ・ 粒子状物質による大気汚染 ・ 植物多様性と里山の保全など 5 神戸大学大学院総合人間科学研究科 発達支援インスティテユート (2005年設置) 大学と地域をつなぐプラットホームとして NPO、NGO、行政、企業、学校などと連携しつつ 実践的研究(アクション・リサーチ)を行う ・ ヒューマン・コミュニティ創成研究センター ・ 心理教育相談室 ・ 社会貢献室 6 ヒューマン・コミュニティ創成研究セン ター (略称 HCセンター) 総合人間科学研究科の豊富で多様な学問 的資源を活用し、地域のさまざまな活動と 交流・連携しながら、人間の発達を支援する コミュニティ創りを目指すとともに、実践的 研究(アクション・リサーチ)を行う 7 8 1.背景 (1) 「発達科学部」の理念と状況 ・ 個々の教員の積み上げた実績 ・ 発達科学部 学生の関心 ・ HCセンターの発足 (2) 社会的背景 ・ 環境問題等の解決のための市民参画の重要性 ・ 日本における市民と科学技術の関係が持つ問題 9 社会的背景 日本における市民と科学技術の関係が持つ問題 「科学技術コミュニケーション拡大への取り組みについて」 2005年2月 科学技術政策研究所 第2調査研究グループ 渡辺政隆 今井 寛 (http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/dis039j/html/dis039j.html) より 10 日本における市民の科学技術に対する意識 ーまとめー • 若い人の科学技術への関心が低下している • 科学技術について知る機会は少ないと感じてい る人が多い • 機会があれば科学者や技術者の話を聞いてみ たいと思っている人は、やや減っている • 科学技術に対して関心の薄い人々は – 科学技術情報を知ることの必要性を感じない – 話を聞いても専門的すぎてよくわからない – 科学技術者は身近な存在ではない 等の意識を抱いている 11 報告書の提言 • 単にわかりやすい情報を提供するだけでは不十分 • 科学技術をより身近な存在と感じさせるための アプローチが必要 ・ 従来の「科学技術は役に立つ」「科学はそもそも おもしろい」といった認識に加えて たとえば科学は楽しい、美しいといった 新しい見方を積極的に広めることも重要 12 • 「科学技術のおもしろさ、楽しさを広めるだけでも 不十分である。科学技術に対する無関心は、科学 技術への不信感と裏腹の関係にあるとも考えられ るからである。科学技術研究や行政との疎遠さが 無力感を生み、科学技術に対する不満や無関心 を醸成しつつあるのかもしれない。このような悪循 環を絶つためには、研究者や科学技術研究機関、 科学技術行政当局と一般国民は互いに意見を交 換する場や機会を増やす努力が必要であろう。そ して、科学技術に関する話題が、プラス面もマイナ ス面も含めて、日常生活で頻繁に語られるような 土壌を醸成する必要がある。これが、科学技術コ ミュニケーションの目指す目標でもある。」 13 以上 「科学技術コミュニケーション拡大への取り組みについて」 2005年2月 科学技術政策研究所 第2調査研究グループ 渡辺政隆 今井 寛 (http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/dis039j/html/dis039j.html) より 14 社会的背景(追加) ・専門家と市民の双方向コミュニケーションの重要性 ・市民社会と科学技術の新しい関係をひらく可能性を 持つ人的リソース - 中等教育等において主体的調査・研究活動 を経験した市民の成長 - 人口構造を背景として、多くの科学者、 技術者、教育者などが定年退職を迎える 15 ヒューマン・コミュニティ創成研究センター 研究プロジェクト 「 市民科学に対する大学の支援に関する 実践的研究 」 • • • • • • • • • • • • 伊藤 真之 小川 正賢 武田 義明 丑丸 敦史 田結庄良昭 田中 成典 近江戸 伸子 蛯名 邦禎 白杉 直子 長坂 耕作 讃岐田 訓 信川 貴子 代表 科学技術社会論からの助言・評価 里山保全関係課題研究 植物学、植物生態学関係課題研究 地質環境関係課題研究 生命科学関係/科学コミュニケーション 植物工学、農学関係課題研究 物理学、環境物理学関係課題研究 食環境関係課題研究 数理・情報科学関係/科学コミュニケーション 水環境関係課題研究・環境教育 水環境関係課題研究支援/環境教育 16 プロジェクトの趣旨 科学・技術が高度に発達した現代社会において (1)環境問題等の社会的課題解決手段として (2) 知的探求活動として 市民の科学・技術にかかわる問題の調査・研究能力を 高めてゆくこと(エンパワーメント)が大きな意味を持つ。 本プロジェクトでは、欧米の事例(「サイエンスカフェ」 「サイエンスショップ」など)を参考にしつつ 日本の社会に適した 「市民の科学」に対する大学の 支援のあり方を、地域社会(神戸)をフィールドとして 実践的に探り、新しいモデルを構築することをめざす 17 Science Cafe (カフェシアンティフィーク) 町のカフェなどで、科学者(専門家)と市民 が、コーヒーや酒を飲みながら、科学・技術 などの話題について、自由に語り合う科学技術コ ミュニケーションの新しい形 1998年イギリスのリースで始まり、各国に 広がっている (パリの哲学カフェに着想) 18 Science Shop (Community-based research) 地域社会や市民の科学技術的課題に対して大学 やNPOなどが相談にのり、調査・研究を行ったり、 助言したりして、専門知を 活かして解明や解決 を支援する。 1970年代オランダの学生運動の中から 生まれ、各国に広がっており、大学院生などが 調査・研究に大きな役割を果たす形も多い 19 3.プロジェクト展開の考え方 (1/2) (1) 多様なレベルのリテラシーを持つ市民から構成される コミュニティーをうまく機能させる社会的しくみを開発 することをめざす (2) 市民による研究の課題としては、解決を必要とする 社会的課題のみではなく、知的関心に基づく探究活 動も視野に入れる (3) 従来展開されてきた個々の研究者による取り組み から、大学をコアとした「持続可能な」「システム」へと 発展させることをめざす (4) 地域の特性を生かし、地域に根ざしたシステムを 構築する ( 後 述) (5) 科学者を権威者として位置づけるのではなく、市民と 科学者の間に「隣人」としての関係をつくることを図る 20 プロジェクト展開の考え方 (2/2) (6) 構築する「システム」の評価としては、市民の科学・ 技術的課題に対するエンパワーメントの成果を中心と して、システムの運営(マネージメント)、財政、人間関 係など幅広い視野か ら評価・検討を行ってゆく (7) プロジェクトの展開にあたって、人材養成の視点も 重視する - 大学学部・大学院学生が、活動に参加することを 通じて、非専門家とのコミュニケーション能力、課題 発見・解決能力を高める (大学院教育の中に積極的に位置づける可能性) - 市民自身が、主体的な研究課題の設定、遂行、 支援組織の運営などを行う能力を高めてゆき 自律的運営を支えることのできる指導者が生まれ 21 る ことを目指す 「キーワード 人間と発達」、小川正賢(2005) 「科学技術と教育」 (1) STSE (Science, Technology, Society and Environment)教育 • 高度科学技術に主導された社会に 受身でなく 「進展を批判的に考察し、その方向性を決めて ゆく力」を身につけることが重要 • 「子どもたちだけでなく、大人も高齢者も含めて すべての人にとって必要であるように思える」 • 問題例: 環境破壊、エネルギー問題、脳死、 安楽死、遺伝子組み換え食品など 22 「キーワード 人間と発達」、小川正賢(2005) 「科学技術と教育」 (2) 科学技術リテラシーについて 「すべての人に同等にかなり高いレベルの 科学技術リテラシーを求めるのか」 「多様なレベルの」リテラシーを持つ人々から構成 されるが全体としては必要な高い質のリテラシー を保持しているコミュニティ」 「コミュニティ内部での科学技術情報の 提供・解読・分配・流通といったしくみと その機能を果たす人材やメカニズムの開発・ 配置のしくみ」を開発する重要性 23 段階的展開 ( 3つのフェーズ ) Phase 1 サイエンスカフェやセミナーなどへの参加を通じて、 科学・技術の話題に関心をもつ市民の緩やかな ネットワークを形成 Phase 2 上のネットワークを利用しつつ関心をもつ市民が 大学の支援のもとに比較的しきいの低い 調査・研究活動に取り組む (webで公開された電子情報を含む文献調査、 フィールドワーク、実験、アーカイブデータ解析 などを含む) Phase 3 ある程度の高いモティベーションを持つ市民を中心 に、より高いレベルの調査・研究に取り組む これらは、便宜的区分で、課題ごとに並行して進行しうるとともに、Phase1を 経ずにPhase 2 または 3 の調査・研究から始めるというケースもありうる 24 「充実した余暇活動」としての研究 米本昌平「知政学のすすめ」(1998) 「少なからぬ人が、生涯教育と称してガラクタを詰 め込まれるより、重要な課題について自ら研究す ることの面白さと難しさを楽しみたいと思っている はずである。公的研究が『投資としての研究』とい う性格をもつとすれば、研究活動の一般市民へ の解放は『消費としての研究』にあたるのかもし れない。しかし、研究というものは持続することが 大切であり、面白がって研究を行ってしまうことの 広義の政治的力を決してあなどってはいけない。 これは、権威の再配分を実現させてしまうことな のである」 25 フィールドとしての神戸 (写真提供: (財)神戸国際観光コンベンション協会) 26 フィールドとしての神戸 ● 「神戸」の地域としての特性 ・ 港湾都市として発展した歴史を持ち、海外の 多様な文化が持ち込まれ それらを先進的に 受容してきた精神的・文化的風土をもつ ・ 瀬戸内海と六甲山に囲まれ、市街地の近くに 豊かな自然が存する ・ 平成7年の大震災により甚大な被害がもたらさ れたが、これを契機として、震災ボランティアや、 復興支援、街づくりなど多様な領域で、市民活 動が活発に成長、展開してきている 27 ● 地域の特性を踏まえた展開 ・六甲山、瀬戸内海をフィールドとした調査・研究の展開 ・地域の文化やアートと親和したサイエンス・カフェの試行 (異国情緒豊かな北野のギャラリーや喫茶店、 文化活動の場として活用されている灘の酒蔵での サイエンス・カフェなど) ・進行中の市民活動(後山保全など)との連携 ・行政との連携 (行政のキーワードとしての「参画と協働」) 28 「研究」プロジェクトとしての研究課題 (a) 日本(神戸)型サイエンス・カフェ (従来の講演会形式とは異なり、専門家と市民が カフェ等で、科学・技術に関して自由に語り合う 双方向コミュニケーションの場) (b) 市民と大学の連携による科学的調査・研究の あり方(日本型サイエンス・ショップ) (c) 大学院生を中心とした大学の市民科学支援の 可能性に関する実践的研究 29 市民による調査・研究の課題例 ・ 都市ー山林境界域における生物多様性について ・ 水田生態系の保全と環境教育への利用 ・ 神戸空港建設に伴う大阪湾の水質変化 ・ 住宅用太陽電池パドル設置の得失 ・ 核融合エネルギー利用の技術的課題と実現可能性 について ・ 電磁波の生体影響 ・ インターネット上の公開データを用いた天文学 30 5.プロジェクトの現状(2006年現 在) ・ HCセンター開設記念シンポジウム (2005年5月) 分科会「市民の科学と大学」 ・ 日本科学教育学会研究会 (岐阜大学) (9月) 「社会・実践者・研究者の真の協働による 新しい科学教育研究の構想」 にてプロジェクト紹介 ・ キッズ・サイエンス@「あーち」 ・ サイエンス・カフェ (2006年10月より月2回程度のペースで開催) 31 サイエンス・カフェ@神戸酒心館 日時:10月29日(土)午後2時から5時 内 容: ☆ サイエンスカフェについて ☆ アインシュタインの相対性理論は間違っているか?? 松田 卓也 先生 (神戸大学) ☆ 語らい いくつかの話題のコーナーに分かれて、神戸大学の先生と 市民が科学の話題について自由に語らいます。 ★ 神戸周辺の水と環境 (ゲスト:寺門 靖高 さん) ★ 宇宙とニュートリノ (ゲスト:原 俊雄 さん) ★ 相対性理論とブラックホール (ゲスト:松田 卓也 さん) ★ 最初の生命はどこで生まれたか? (ゲスト:中川 和道 さん) 参加費無料 ドリンク1杯100円 要参加申し込み 32 プロジェクトの現状 (2/2) ・ 全国一斉サイエンスカフェに協力・参加 (日本学術会議によるイベント 2006年4月) ・ 日本科学教育学会研究会 (筑波学院大学) 「サイエンスカフェ神戸の創始」(8月) ・ 「サイエンスアゴラ」参加 (科学コミュニケーションに関するフォーラム 11月東京) • 「市民と大学の環境フォーラム」開催 (2006年11月) 33 6.「サイエンスカフェ神戸」 について 6.1 6.2 6.3 6.4 考え方 開催状況 これまでの取り組みと評価 課題と展望 34 「 市民の科学に対する大学の支援に 関する実践的研究 」 プロジェクト • 科学技術的課題に対する 市民のエンパワーメント • 市民と科学・科学者の新しい関係 「隣人としての科学者」 • 「文化としての科学」のひろがり 35 6.1 サイエンスカフェ神戸の考え方 • 双方向コミュニケーションの場とする • 地域の特徴を生かし、地域に根づいたものに • (現段階では)多様な場所・形を試みる • 段階的に 運営主体を市民に移行 • 研究者のネットワーク形成(100人の桁) • 神戸における「日常的」開催へ ⇒ 地域社会の文化の一部に 36 6.2. 開催状況: 場所 神戸酒心館ホール「豊明蔵」、 「北野工房のまち」 ギャラリー島田 兵庫県立美術館 原田の森ギャラリー カフェ KULUSKA 神戸市立博物館の館内喫茶店エトワール 神戸らんぷミュージアムカフェ オーガニックカフェ tete a tete 、 エビアンコーヒー にしむら珈琲御影店、 日本茶カフェ一日(ひとひ) 市民活動センター神戸 みみずくカフェ 他 地域性のある場所、 「おしゃれな」場所 文化的雰囲気、 アートとのつながり etc. 37 第1回目を開催した灘の酒蔵. 阪神淡路大震災で被災した酒蔵が改修され、地域の 文化活動等のためにホールとして提供されている. (写真提供: 神戸酒心館) 38 39 40 開催状況: テーマ(1/2) • • • • • • • • • (相対性理論は間違っているか?) 相対性理論とブラックホール 宇宙とニュートリノ 最初の生命はどこで生まれたか? 神戸周辺の水と環境 量子と素粒子の世界 アートとサイエンス(1)ー大地と鉄ー 数学とテクノロジー 地球温暖化問題を考える 41 開催状況:テーマ(2/2) • • • • • • • • 量子コンピュータ って何? 素粒子と宇宙 これからの科学者 What is ラジオあくてぃびてぃ? -放射線が人体に与える影響についてスポーツとテクノロジー 地球にやさしい高分子 市民参加の生物環境保全-何をめざすか? 摩耶山城-教科書に載らない裏山の歴史- 42 開催状況:テーマ(3/2) • • • • • • 遺伝子をみる 星界のルネサンス カオスをみる 幻のヘリコプター昭和初期・高砂のダヴィンチ 点と線に隠れた数学を話そう 劣化ウランという問題群 ‐医学の視点、科学の視点を通して‐ • 光が拓く新しい計測技術 -ナノサイエンスから医療診断まで- • ナノテクノロジーと電子の世界 43 6.3. これまでの取り組みと評価 ・ 2006年度に入り、市民や学生が企画・運営に参加し、 その中から多様なスタイルが試みられている (音楽演奏や朗読とのコラボレーション、地域の 歴史を取り上げたカフェ、市民活動グループから 推薦を受けたゲストなど) ・ 地域社会の諸活動をホームビデオで記録し、インター ネット上でオンディマンド配信 するボランティア団体の 協力を得て、何回かの実施記録(動画と音声)が公開 されている ・ アンケート結果に見られるように、多様な参加者を得、 概ね良好な評価を得て科学コミュニケーションの新しい スタイルとしての高い可能性が確認された 44 サイエンスカフェ神戸参加者アンケート結果より (アンケート実施回数8回、回答数180) その他 10% 10代未満 2% 会社員 23% 70代以上 12% 20代 15% 60代 14% 無職 20% 教育関係 7% 主婦 8% 自営業 7% 学生・生徒 24% アルバイト 1% 参加者の職業等 10代 10% 50代 8% 40代 18% 30代 21% 参加者の年齢分布 45 ゲスト 10% 期待はずれ ややはずれ 0% 17% 期待以上 34% 時間 6% その他 1% 場所 18% 参加費 10% 話題 24% まあ期待通り 49% サイエンスカフェに 対する参加者の評価 語らい 24% 人数 7% よかった点 46 6.4 サイエンスカフェ神戸 の課題と展望 話題の拡散 ファシリテータの力量 議論の深まりにどうつなげるか 適正な規模をどう考えるか 参加者の年齢層 リピーターと参加者の固定化 当初想定していた学生の参画が進まない ... 47 サイエンスカフェ神戸 今後の展開 (1/2) • 「持続可能な」運営体制へ より広範な市民や学生の運営への参加 大学院授業科目との連結 「科学コミュニケーション演習」 • 支援研究者ネットワークの形成 大学コンソーシアム活用の可能性 • Webの利用 サイエンスカフェを補い、科学コミュニケーションを 展開させるインタラクティブな Web 上のシステムの 設計・開発 48 今後の展開 (2/2) • ジュニアサイエンスカフェの試み • 科学・技術の枠を超えた展開 (医学・薬学、経済学、経営学、法学、 芸術、哲学など) ⇒ 市民社会における 「知のネットワーキング」 49 展望 「300人協力してくれる研究者がいれば 毎日神戸のどこかでサイエンスカフェが 開かれている なんてことが…」 (田中成典先生) (神戸市観光交流課も関心を示している) • サイエンス・コミュニケーション・サポート コンソーシアム神戸 Science-communication Support Consorsium KOBE (SSCK) 50 アゴラ的広場 「心臓」創刊号(第1巻第1号,1969年)巻頭言より 前川 孫二郎 アゴラとは,古代ギリシャ都市の,行政や商業の中心 地で,市民の集会の広場であったと言われる.アテネに もこのアゴラの遺跡が,アクロポリスの真北の山麓にあ る.…(中略)… そして,わたしは無意識のうちにそこにソクラテスと彼の 周辺に集まる市民の姿を心にえがいていた.ソクラテス はこのアゴラにきて市民と対話することで彼の,いや市 民の哲学を設立したといわれる. 51 段階的展開 ( 3つのフェーズ ) Phase 1 サイエンスカフェやセミナーなどへの参加を通じて、 科学・技術の話題に関心をもつ市民の緩やかな ネットワークを形成 Phase 2 上のネットワークを利用しつつ関心をもつ市民が 大学の支援のもとに比較的しきいの低い 調査・研究活動に取り組む (webで公開された電子情報を含む文献調査、 フィールドワーク、実験、アーカイブデータ解析 などを含む) Phase 3 ある程度の高いモティベーションを持つ市民を中心 に、より高いレベルの調査・研究に取り組む これらは、便宜的区分で、課題ごとに並行して進行しうるとともに、Phase1を 経ずにPhase 2 または 3 の調査・研究から始めるというケースもありうる 52
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