2結晶分光器を用いた全天X線監視装置MAXI/GSCの封入ガス、Xe-L殻吸収端の不連続性の追究 宮川雄大、吉田篤正、山岡和貴、杉田聡司、斎藤浩二、伊藤悠太(青学大)、三原建弘、磯部直樹、小浜光洋(理研)、宮本将雄(東理大・院)、 藤井佑一、中島基樹(日大・院)、松岡勝、富田洋、森井幹雄(ISAS/JAXA)、河合誠之、田中識史(東工大)、根来均(日大) abstract 全天X線監視装置MAXIはISS内部の日本実験モジュールに塔載予定である。全天X 線モニターとして過去最高の感度を誇り、活動銀河核の動的変動や突発的現象の 観測等を目的としている。 MAXIには一次元位置感応型ガス比例計数管(PSPC)を検出器として使用するGas Slit Camera(GSC)が塔載され、総有効面積が12台で約 5340cm2、2~30keVのエネルギー帯域を持つのが特徴である。 GSCでは位置分解能を優先するためにPSPCに高い印加電圧をかける予定である。その結果、入射X 線エネルギーに対し出力波高値が若干非線形となる。このため我々は、入射X線エネルギーと波高値の関係の較正実験を行っている。 2~22keVの蛍光X線を用い、 2006年3月までに全16台のうち15台の較正実験が完了した。 ここで、封入XeガスのL殻吸収端におけるゲインの不連続性が重要となる。 L殻吸収端ではM殻とL殻のbinding energyが異なるために生成される一次電子数に不連続 が生じゲインが変わる。これまでの測定で、Xe-L殻吸収端の不連続性は200±50eVという結果を得ていたが、この値は他のガス比例計数管と比べて~2倍程大きな値 として見積もられた。この領域のエネルギー・ゲイン特性を定量的に評価する事は、精度の高い応答関数を構築するために重要である。従って、詳細に評価するために 任意のエネルギーで単色のX線を取り出すシステムが必要と考えた。そこで、結晶のブラッグ反射を利用して単色なX線を作り出す X線光学素子である2結晶分光器を 用い、Xe-L殻吸収端の不連続性をより詳細に評価した結果、Xe-L殻吸収端の不連続性を99±15eVという値で評価できた。これは過去の検出器と矛盾の無い値となっ ている。 1.Introduction 3.Motivation 358mm ■GSC(Gas Slit Camera)の特徴 ・2~30keVのエネルギー領域に感度 ・X線を入射出来る有効面積 ⇒過去最大の約5340cm2 ・一次元位置感応型ガス比例計数管 ・カーボン芯線(10μm) ・封入ガス:Xe99%、C021% ・電荷分割方式 C0 C1 C2 C3 C4 C5 ■GSC12台をMAXIに搭載 ■16台の較正実験(うち4台はスペア) ■現在までに、FM014を除く15台の 較正実験が完了 芯線6本 236mm MAXIは位置分解能を優先 するため、印加電圧を高くして動作 ・エネルギーと波高値の関係が非線形 ・Xe-L殻での不連続性 <図:GSCの形状> 地上でエネルギーと波高値の較正 2.これまでのGSC14台のEnergy calibration&吸収端における不連続性の評価 ■15台の較正実験によるXe-L殻吸収端の評価 →200±50eV 過去の検出器より高い!! ■電圧を高くする→吸収端の値が若干変化 ■HETE2搭載WXM(ガス比例計数管)で2結晶分光器を 用いて調べた結果、Xe-L3殻吸収端の不連続性が約70eV ■カウンターの桟がTi合金→Tiの蛍光X線(kα:4.51keV) による影響? 吸収端の前後で、より細かい ステップで単色のエネルギーを 照射したい。 2.31~22.16keVに渡って特性X線をGSCに照射。全てのカウンターで出力波高値に対し、残差が約±0.6%以内で スペクトルをモデルで再現できている。各測定毎に14(台)×6(芯線)=84(点)のデータがプロット。 4.51keV 図:Cu(赤)とTi(黒)のスペクトル。 Cuを測定した際にも、Tiによる ピークの成分が現れている。 V(4.95keV) 1400V 1400V <1400V> ~190eV Ti(4.51keV) PH 2結晶分光器による、より詳細な Xe-L殻吸収端の不連続性の評価 PHlow PHhigh 4.78keV Energy (参考)今までのガス検出器の吸収端における不連続性 1650V 1650V 2.31keV~22.16keVまで 全13種類の特性X線を照射 <1650V> ~240eV 任意のエネルギー を照射できない 図:E-PHの分布右が芯線上、 左が芯線上から9.4mm離れた地点で照射 図:吸収端における不連続性の分布 分光X線 (単色X線) θ X線発生装置 θ ダイレクトX線 (白色X線) nhc E 2d sin 第一結晶 λ : 波長 h E : エネルギー c d : 格子定数 n θ : ブラッグ角 ■各面における分光エネルギー範囲 ・(1,1,1) d=3.13Å(2.80~22.6keV) : プランク定数 : 光速 : 次数 70(eV) WFC (BeppoSAX) Xe(94%),C02(5%),He(1%) 2.2atm 65(eV) PCA (RXTE) Xe(90%),CH4(10%) 22℃ at 1.1atm 40(eV) GSPC (EXOSAT) Xe(95%),He(5%) 1.0atm 40(eV) GSPC (Tenma) Xe(88%),He(12%) 20℃ at 1.2atm GIS(ASCA) Xe(96%),He(4%) 0℃ MECS (BeppoSax) Xe(100%) 25℃ at 1.0atm HPGSPC (BeppoSax) Xe(94%),C02(5%),He(1%) 50~70(eV) 50(eV) 5.0atm 110±15(eV) 110(eV) ピークをgaussianでfitし、1σで評価 (1,1,1) (3,3,3) 5.65keV 14.4keV 4.8keV 1.9776 sin E Xe-L3殻吸収端の不連続性が dominant 16.95keV 5. 実験のSet up dE/E = dθcotθ 0℃ at 1.86atm ■印加電圧1400Vで測定 Si(111)結晶 2d sin =n Ar(75%),Xe(20%), CO2(5%) 68mm 第二結晶 第二結晶 ブラッグの反射条件 LAC (GINGA) 6.Results 4. 2結晶分光器の分光原理 第一結晶 8.05keV 17.48keV <分光X線のresolving power> ■実際に測定されるエネルギー分散 結晶に入射するビームの角度発散Ωと、結晶そのものが有する 回折幅ωのコンボリュージョンで決定 図:Xe-L3殻吸収端(4.782keV) 図:2結晶分光器で得られた4.8keV(黒)と 5.65keV(赤)のスペクトル。 dE/E=cotθ(Ω2+ω2)0.5 このシステムでは、ω/Ω~10-3 →エネルギー分散に対し ビームの発散角が支配的 X線ジェネレーターの設定 ◇20kV、50mA ■電圧を低くすることにより、(3,3,3)面 からの高次光のもれ込みを抑える。 ■電流値を最大値にすることで、 (1,1,1)面に効率よくカウント数をためる。 ※Resolving power [email protected] Mo-kα1(17.48keV) Mo-kα2(17.37keV) 図:Xe-L2殻吸収端(5.104keV) 図: (3,3,3)面の回折曲線 ※400pulse=1° 図:Xe-L1殻吸収端(5.453keV) PHlow=a1 + b1E (4.70keV~4.78keVで評価) PHhigh=a2+b2E (5.51keV~5.65keVで評価) Xe Ltotal edge PHlow (4.782keV ) PHhigh (4.782keV ) 17.2cm 3×10mm 全面にアルミ+鉛 PHlow (4.782keV ) offset 4.7821000(eV ) ■XeのL1L2L3殻を含めた不連続性は99±15[eV](errorはresolving powerに よるEの分散も考慮) ■過去の比例計数管、蛍光ガス比例計数管の測定結果とほぼconsistent Astronomical society of Japan at March 28th in 2006
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