富士覚醒

富士覚醒
著者 石黒耀
紹介者 静岡大学教育学部総合科学専攻
太田未来
目次
1. 物語の紹介
2. 徐福伝説について(フィクション)
3. 富士山噴火による被害予測(首都圏編)
4. 富士山噴火による被害予測(地元編)
5. 富士山噴火の流れ
6. 物語の結末
物語の紹介
舞台は静岡県御殿場市。
物語の冒頭で、地元大学の教授と歴史好きの娘を中心とした主人公たちが、御
殿塚で古代中国からの使者である徐福の墓と考えられる遺跡を発見する。
その後、彼らが徐福陵に関する調査と考察を重ねていくうちに、富士山が噴火の
兆しを見せ始める。
そして富士山は噴火を繰り返し、何度目かの大噴火によって御殿場市が火砕流
に飲み込まれる。しかし、その瞬間御殿塚にいた主人公の娘たちは、果たして無
事助かるのだろうか…というストーリー
徐福陵について(仮説)
※この話は、あくまでも物語の中でのフィクションである!
御殿場市内での「富士山ランド」の建設中、縄文~弥生時代中期の遺跡を発見
遺跡内には輝くミイラがあり、その保存・埋葬方法が始皇帝にそっくりであったこ
とから、遺跡は日本への渡航記録がある徐福の墓なのではないかと推測
主人公の娘は非常に歴史好きであったことから、この徐福陵に強い関心を持つ
富士山噴火による被害予測 (首都圏編)
『首都圏34万人、全滅の危機』という週刊誌の特集
・ 関東ローム層は富士山噴火の際の火山灰なのでは!?
→ 9万年間の累積!
・ 今の都市に火山灰が降ったら、被害額は2兆円にもなる!?
→ 気象庁のシミュレータ能力向上により、現在は警報・予報が正確
また、帰宅困難者等によるマイナスを考えても、宿泊施設・食料品店の
プラスの利益により、社会全体ではプラマイゼロでは?
約2兆円の被害を3千万人で負担するという計算 (1人当たり7万円弱)
富士山噴火による被害予測 (地元編)
首都圏での被害予測ばかりが取り沙汰されてしまいがち!
もし、富士近郊のみで火山灰が降る噴火形態だったら?
→ 約2兆円の被害を地元の50万人で負担するという計算 (1人当たり400万円)
また、噴火のリスクによって、観光客の減少や地価の下落、行政サービスの低
下などを招く恐れもある
つまり、住民目線で富士山噴火による被害を考えると、明らかに首都
圏よりも地元周辺の方が大きいということ!
富士山噴火の流れ
気象庁の観測システムが、M3以内の地震がJR御殿場線沿線で多く発生してい
ることを感知
→ リスクが高い神縄・国府津-松田断層帯方面ではなく、御殿場方面へ…
富士山の地下12㎞付近で低周波地震が頻発
→ マグマ溜まりの間をマグマが移動する際の振動か?
→ 噴火警戒レベルは『1(平常)』
震源の深さが浅くなり始める
富士山噴火の流れ
富士山の地下で地鳴りを伴う地震が発生し始める
→ 噴火警戒レベル『2(火口周辺規制)』
山頂の隆起、水平方向への膨張を確認
→ 噴火警戒レベル『3(入山規制)』
火口分布域内の住民への避難勧告、火砕流到達域に避難準備・観光自粛・
帰宅を呼びかけ
大規模な山頂噴火なら、偏西風の風下である御殿場市は灰に埋も
れる危険性が高い!?
富士山噴火の流れ
急速な山体の膨張を観測 (マグマが地上山体に貫入したサイン)
→ 噴火警戒レベル『4(避難準備)』
噴火発生
→ 9合目の斜面まで噴石が落ち、黒い筋となって流下
→ 黒い噴煙が東京方面へ進むと予想されたため、首都圏は大混乱
富士山噴火の流れ
山頂は白煙を上げているが、供給マグマの減少、溶岩流も動きを止める
→ 噴火警戒レベル『2(火口周辺規制)』
しかし、再び地鳴りを伴う2度の有感地震
東京湾北部を震源とする、M6.4の地震発生
→ 江東区で最大震度6弱、死者17人、エレベータ・鉄道・電話等の故障発生
海外の大手再保険会社が、東京の再保険料率の切り上げを発表
富士山噴火の流れ
富士山地下を震源とする有感地震の増加、震源の上昇
→ 噴火警戒レベル『3(入山規制)』
急速な震源の上昇、マグマのスムーズな上昇
→ 噴火警戒レベル『4(避難準備)』
御殿場市北西部を震源とする、M6.5の地震発生
→ 御殿場で震度6弱、小田原で震度5強を観測
→ 火口の真下での崩落により火口壁が崩れ、前の噴火で溜まった溶岩が流
れ出る
富士山噴火の流れ
次の噴火による溶岩は、欠損部から流出すると考えられる
→ シミュレーションにより、溶岩の量が前回以上なら御殿場の住宅地を
直撃することが発覚
更に、水蒸気爆発によって、脆くなった御殿場谷を埋める堆積物がずり
落ちて火砕流となる
また、その中に溶岩プールごと山頂部が落下する(山体崩落)という予測
→ 発生から17分で、御殿場市と小山町は全滅
火砕流は御殿場市街を通り、箱根の麓まで到達
富士山噴火の流れ
気象庁が、緊急火山情報を発表
→ 噴火警戒レベル『5(避難)』へ
県知事による避難指示発表
神奈川県では、東名高速と国道246号の西向き車線を封鎖
酒匂川(小田原市)の橋脚流出の危険、駿河湾・相模湾への津波警報発令
水蒸気爆発発生
富士山噴火の流れ
火砕流は、発生から14分で箱根火山の麓に到達、その後中腹まで迫る
富士山頂~箱根中腹まで、扇状に25㎞に渡りすべてを破壊
黄瀬川と酒匂川になだれ込んだ熱泥流が、日本を東西で完全に分断させた
ここから如何にして復興していくべきなのか?
物語の結末
冒頭で紹介したように、主人公の娘ら3人は、徐福の墓の謎を解き明かすため御殿塚にいたので、
火砕流に対する警報に全く気が付かなかった
そのタイミングで火砕流が発生し、絶体絶命の危機に襲われる
主人公らは助けに向かうが、御殿塚に向かう道路は封鎖・渋滞で近づけず
3人のうち1人は御殿塚に留まり、2人は走って逃げたが、もう間に合わない…
主人公の友達(静岡ではとても力のある企業の社長)が手配したヘリコプターが救助に向かい、
無事助けられる