普天間飛行場代替施設建設事業に係る 環境影響評価に

辺野古米軍飛行場計画
と環境影響評価
松田裕之(横浜国立大学)
1
普天間飛行場代替施設建設事業に係る
環境影響評価に関 する有識者研究会
中間的整理
~ 評価書の補正に係る基本的方針について ~
平成24年9月25日
このスライドは中間的整理の要約です。正確な
文言については原文をご覧ください。
2
所轄大臣
環境大臣
有識者 県・市町村
事業者
検討会
Scoping, Screening
公告・縦覧・説明会
意見書提出
国
方法書
意見書提出
調
査
公告・縦覧・説明会
民
環
境
団
体
意見書提出
準備書
意見書提出
公告・縦覧
意見書提出
追跡調査
評価書
事後調査
公表
計
画
変
更
事後調査
報告書
微
修
正
保
全
措
置
補
正
環
境
影
響
評
価
の
手
続
き
愛知万博自由集会 「絶滅危惧種に対する定
量的な影響評価方法」 松田裕之
•
•
•
•
•
遷移する二次林への影響評価
1年だけの調査で評価できるか?
関連事業の影響評価との関係
代替案と比較できるのか?
予定地だけを調べて評価できるのか?
4
遷移する二次林への影響評価方法?
環境影響評価項目等選定指針に関する事項
• 予測の対象となる時期は、…供用後の定常状
態及び工事の実施による影響が最大になる
時期等について、選定項目ごとの環境影響を
的確に把握できる時期を設定
•
また、供用後定常状態に至るまでに長期間を要す
る場合又は予測の前提条件が予測の対象となる期
間内で大きく変化する場合には、必要に応じ中間的
な時期での予測を行うこと
5
1年だけの調査で評価可能?
• 個体群は短期的にも非定常
– 成り年を調べるか、豪雪年を調べるか
– 阪神タイガース問題
• 追跡調査(事後調査)を行うが、
– 万博終了後は調査できない
– 反証可能な報告書が必要
6
代替案と比較できるか?
•
•
•
•
より金をかけて保全措置をとる代替案
規模を縮小する代替案
何もしない代替案、仮想現実博覧会
比較するには万博の目的(~benefit)、予算
(~cost)、環境影響(~risk)の3者の基準を明
確にしなければ不可能である。
• 誘致前に実際に計画を変更している
7
予定地だけで評価できるか?
• メタ個体群による維持
– 局所的には頻繁にいなくなる
• なぜ「禿げ山」から半世紀で回復したか?
– 海上の森周辺は「希少種の宝庫」
• 地域絶滅の評価
– 分子系統樹による系統の重みづけ
– 種全体の遺伝的多様性の喪失
– 愛知県SOS種3種の価値は?
8
関連事業(新市街地、名古屋瀬戸道
路)と連携した影響評価
• 長野五輪=滑降競技会場では、一般スキー
ヤーが既に滑っている場所を保全しようとし
た
• 愛知万博=道路や土地造成は関連事業が
行い(旧来の影響評価)、その上に建てる展
示館などを評価する
9
絶滅リスク評価
種(個体群)の絶滅の恐れの上昇を計る
• 絶滅危惧生物の絶滅リスク上昇
• 普通種の(わずかな)絶滅リスク上昇
• 生態系破壊による波及効果
– 群集構造の変化(鍵種、傘種)
– シカの大発生は植物の絶滅リスクを増加
– 生産力の減退
– 不安定化
10
シデコブシと2005年愛知万博
• レッドリストの基礎情報(個体数分布13500個体と減
少率分布)に加えて、万博予定地付近の個体数情
報(数千×2=14000)を考慮
• 21200個体、23区域、減少率31%/10年
• 平均余命 約257年(T*=92yrs)
• もしも万博予定地内の400個体を潰していたら、平
均余命は約1年(dT*=0.06yr)短縮していた。
• 誘致前の計画変更で予定入場者数は4000万人か
ら2500万人に40%の規模縮小
11
絶滅リスクの上昇
Extinction Probability
1.2
1
0.8
0.6
Before saving
0.4
After saving
0.2
0
200
250
300
Year
350
400
12
健康リスクと生態リスク
Human health risk vs. Ecological risk
• 発ガン物質を日常的に摂取し続けて、10万人
に1人が発症する恐れがあれば、その物質
は規制される
• 損失余命10年×1/10万人=約1時間
• 人間の余命を1時間縮める物質を規制する
のだから、1年の短縮は一事業の影響として
は小さいとは言えない。
13
愛知万博=EIAの失敗例
計画変更とアセス手続き
環境影響評価法施行令第9条
• 新たな関係市町村が加わる計画変更
は、方法書からやり直す
– 愛知万博EIAは法施行前の例外=通産
省通達により、影響低減が評価書で明ら
かにできればやり直しに及ばず)
• 2000年5月登録へ評価書を急ぐ
– 結局はパリの博覧会国際事務局が認めず、全
部やり直すことになった
愛知万博跡地利用計画の問題
• 通産省と万博協会は、愛知県と建設省の新住宅
市街地化事業+名古屋瀬戸道路の是非を問うこ
とも、計画変更を要請することもできない( ≠BIE
の強い不満)
• 新住事業で造成した土地を展示館などに利用す
る(万博評価書では評価対象外)
• 松田:「いずれ、県が万博をやめたがり、環境団
体がやらせたがる(跡地利用をやめさせる)よう
になるだろう」(⇒実現)
愛知万博前代未聞の評価書
後から議論を蒸
し返せる
• (新会場となった)青少年公園の調査は2ヶ月
– 評価書青少年公園地区等編49頁“春に開花する植
物などは調べられていない可能性がある”
• 青少年公園の計画は熟度が低い
• 長久手町住民との方法書段階の合意形成無し
• 結局は、補正段階で環境影響評価手続きと無
関係な「検討会議」の場が設置され、計画が大
幅に変更された(時間もかかった。反対派は公
正EIAを求めるより、検討会議で実利を取った)
愛知県の説明
http://www.pref.aichi.jp/expo 会場地の航空写真
17
(4) 会場構想
○長期的地域整備と一体となった会場づくり
•
この会場構想は、大量の仮設物を解体撤去する
ような従来型の博覧会を見直し、恒久施設としての
利用をも考慮しながら長期的な地域整備と一体と
なった取組を行うことにより、効率的な開催を図るも
のです。問題提起型のEXPOとして、来るべき時代
へのモデルとして、狭い国土の中で人と自然の共生
をどう図っていくか、世界の知恵と技術を結集して挑
戦していきます。
愛知県EXPO2005の頁http://www.pref.aichi.jp/expo/
18
‘96年11月パリシンポ、私の講演
「科学と文化の3つの未来:遊戯性・快適性・多様性」
主催:愛知、名古屋、シンポジウム実行委員会
• 人工的に種を保全することができる例もあります。
たとえば、野生では山の谷間の湿地に生えている
植物が、似たような環境に移植してもなかなかうまく
育たないのに、ふつうの庭に植えれば育つことがあ
ります。
• 野生状態と異なる環境で生き延びることは、野生生
物を保全するという生物多様性条約の趣旨とは異
なります。単に種を保全するだけでなく、その種が生
きている環境を保全することがたいせつです。
http://www2.ori.u-tokyo.ac.jp/~matsuda/paris96.html
19
代替案の必要性
• オオタカ営巣場所は変わり得る+保全
する(準備書631-2頁)
– 1つの会場計画・道路計画では危機管理
ができない
• 環境庁基本的事項“複数案を同時また
は並行して検討”(時間がなければ同時
に検討すべき)
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絶滅リスク評価と地域評価
• 環境影響評価法の良いところ
– 方法書段階での意見募集
– 不確実性、生態系の評価
• -------に欠けたもの
– 代替案、第三者機関、
– 非定常性、開放系、不均一性
21
辺野古米軍飛行場環境影響評価
22
1.はじめに(経緯)
• 防衛本省(田中直樹大臣)は、環境影響評価書に対
する知事意見を勘案して行われる評価書の補正作業
について、科学的・専門的観点からの助言を得て、事
業者である沖縄防衛局において適正かつ迅速に実施
するため、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環
境影響評価に関する有識者研究会(以下「研究会」と
いう。)を開催することとした。
• 平成24年4月27日の第1回会合以降、これまでに5
回の会合を開催するとともに現地視察を行なった。
• 評価書の補正に係る基本的な方針等について、これ
までの研究会の議論を整理したものである。
23
2(1)評価方法について①
①評価における課題
• 評価書全般を通して、現地調査については、細部にわたり非
常によく実施されているが、その評価については、「影響が
小さい」、「影響がほとんどない」等の抽象的な表現が多く、
また、その根拠が明確となっていない部分もあるなど、見直
しが必要である。
• 例えば、サンゴ類・・・2mg/L 未満の濁りが拡散するとの予測
に対して水産用水基準値(2mg/L)を基に「影響は小さい」と
の評価するが、その値がサンゴ類にとって本当に影響が小
さいかの判断は非常に難しい。
• 事業を実施すれば、生物等の環境に対して何らかの影響を
与えるのは間違いなく、むしろ、安易に影響が無いと評価す
るのは間違いである。・・・人間の活動は、その全ての面にお
いて生物多様性に対して何らかの影響を及ぼしている。 24
2(1)評価方法について②③
② 評価に当たっての基本的な考え方
• 評価に当たっては、個々の項目毎に検討が必要となるもの
の、科学的根拠を示した上で、影響の程度をできる限り定量
化するなど具体的かつ詳細に示すことが重要である。
• さらに、評価においては、事業の実施により生じる環境リスク
と事業の必要性や意義との比較論も重要と考える。
③評価基準について:
• 既に科学的知見に基づきその根拠が明確になっているもの
と、未だ科学的知見が追いついていない分野もあることから、
研究会の今後の討議の中で、これらの知見のレベルを明確
にしていくこととしたい。
25
2(2)環境保全措置について
• 環境保全措置の効果
– 沖縄県知事意見では、環境保全措置の一部について、そ
の効果や信頼性に懸念を示している。
– 他の事業で実施された類似の事例の状況やその推移を
十分調査するとともに、その結果を精査の上、必要に応じ
て活用することも重要である。
• 発生源対策
– 特に工事の実施においては、それ以前に、予測の前提と
もなる発生源対策を十分検討することが必要
• 代償措置
– 環境影響の回避・低減に係る措置の検討結果を踏まえ、
避難的措置としての代償措置を検討し、提案することが
重要である。
26
2(3)事業内容について
1. 埋立土砂
2. 美謝川切替
3. 海上ヤード
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2(3)①埋立て土砂
反対派が運搬妨
害する恐れは考
慮していない
• 本事業は、約2,100 万m3の埋立土砂を必要とし、この内、約
1,700 万m3 の土砂の調達が現段階において確定していない。
• 工事期間3年として年600 万m3程度の土砂が必要>>H18年
度の沖縄県全体の海砂利採取量91万トンm3。海砂購入だけ
では採取場所周辺環境への影響が大きい。建設残土、ダム
堆積土砂、浚渫残土等の活用を検討する必要がある。
• 沖縄県内のダムは堆積容量に余裕があるが、本土のダムは
堆積物除去が課題である。本事業でも本土を含むダム堆積
物の活用の可能性について検討する必要がある。
• 評価書記載の通り、大量の埋立土砂の移送に伴う外来生物
の持ち込みが懸念され、対策を十分に検討する必要がある
28
2(3)②美謝川の切り替え
• 河口部の潟湖状地形は、河川流量の変動に応じ、汽水や淡水を繰り返
す独特な生態系を形成し、陸域からの土砂濁質の海域への拡散を防ぐ
機能を果たしていると考えられる。
• 切り替えに当たり、河口部の上記生態系機能を代償するため、河口部に
潟湖状の膨らんだ地形の再現が望ましい。
• 上流域において埋立土砂採取が計画されている。赤土等の流出対策が
提案されているが、上記河口部の対策はこれを補完する意味でも重要。
具体的検討に当たり、沖縄における既往研究成果を活用できる。
• 河口部にマングローブ林があれば、その濁質の沈殿効果により河口域
や周辺海域への負荷を低減し、さらに沖側藻場の栄養塩除去によりサン
ゴ礁海域への高濃度栄養塩負荷が低減されるなど、連続(複合)した相
互作用による生態系の維持機構が期待できる。
• これら、河川 ~ 海域における連続した生態系を確保する観点から、切替
水路の河口部におけるマングローブの植林や河口前面における海草藻
場の造成が有効と考えられ、これが、大浦湾奥部に存在するユビエダハ
マサンゴや塊状ハマサンゴの群集の保全にもつながると考えられる。
29
2(3)③海上ヤード
• 本事業では、大浦湾内にケーソンの仮置きを目的と
した海上ヤード(捨石マウンド)の設置し、工事終了
後に撤去する予定である。
• ヤードの設置に伴う環境影響も懸念されるが、他方
で捨石マウンドには新たな生物の定着も考えられる。
生態系の豊かな大浦湾において、ヤードの設置と
撤去という二度の環境負荷を与えることになる。
• 海上ヤードの存在による環境影響やヤード及びそ
の周辺における生物の生息状況をモニタリングした
上で、撤去するか生物の生息場所として存置するか
を総合的に判断することが適切と考える。
30
2(4)その他
1. 環境保全(保護)策
– 評価書の補正とは別に、サンゴ類、海草藻類やジュゴン
などの生態系について、できる限り周辺環境を含めて積
極的な保全(保護)策を行うことが望ましい。
– 周辺環境や生態系の保全(保護)については、沖縄全体
にも及ぶ課題でもあり、事業者により実施するには難しい
面もあることから、国としての取り組みが必要となる。
2. 調査結果の取り扱い
– 評価書の予測・評価は、ジュゴンを除きH19年度自主的
調査及びH20年度現地調査に基づいている。他方、事業
者は・・・海域生物、陸域生物等について、H21年度から
自主的に調査を行っている。
– 研究会としては、評価書の補正に係る助言に当たり、現
況調査結果を含む最新のデータを活用していきたい。 31
3 生活環境に係る
助言
1. 航空機騒音について
2. 低周波音について
3. 水環境について
(詳細省略)
32
4 自然環境に係る助言
1.
2.
3.
4.
海域生物(ウミガメ類)について
サンゴ類について
海草藻類について(未完成)
ジュゴンについて(未完成)
33
4(1)海域生物(ウミガメ類)について
• ジュゴンと同様、現地調査結果に加え、 H21年度以降の現況
調査結果に基づく評価を行う必要がある。
• 評価書ではウミガメ類としているが、できる限りアオウミガメ、
アカウミガメなど個別の種ごとに整理すべき。
• 特に、キャンプ・シュワブ内で産卵が確認されたのはアカウミ
ガメと明記する必要がある。
• ウミガメ類の保全に対しての積極的な提案にもなることから、
キャンプ・シュワブ海浜の消失に対する代償措置として、条
件の良い産卵場を提供する可能性を検討することが重要。
• 個体群存続可能性分析(PVA)を行うことも考えられるが、屋
久島の産卵場に比べて上陸数が少ないことから、事業に伴
う個体群の存続への影響はかなり軽微と予想される。
34
4(2)サンゴ類①調査②予測・評価
• 消失は比較的小規模だが、大浦湾周辺に貴重なサンゴ群集
が複数存在するため、影響を定量的に把握する必要がある。
• 水の濁りの拡散や赤土等の堆積、埋立による流れ(潮通し
等)、波浪の変化については、水環境の専門家の意見を聞
き、以下の点に留意して検討する必要がある。
– 恒流(平均流)だけでなく潮汐流に伴う影響を把握する必
要がある。さらに、台風の接近等による影響についても把
握することが望ましい。
– 辺野古崎と長島の間を抜けて海水が流れているようだが、
埋立に伴い、この流れが止められ、停滞することによる影
響が懸念される。
– SPSS 値(底質中懸濁物質含有量)とサンゴ類の生息の関
連や県内事例への既往研究成果を参考とすれば、影響
を定量的に評価できると考えられる。
35
4(2)サンゴ類②予測・評価③環境保全措
置(移植)
• 白化現象等で消失した場所など、現在はサンゴ類が生息していない場所
であっても、条件が整えば着生する潜在的生息域についても考慮する必
要がある。
• キャンプ・シュワブ東側の海底斜面は、サンゴ類の生息履歴が確認され
る潜在的な生息域と考えられ、それが埋立や直立ケーソンにより消失す
ることは、影響が大きいと言わざるを得ない。
• このため、その影響を少しでも軽減するために、ケーソンにサンゴ類など
が着生しやすくなる工夫を施すなどについても検討することが望ましい。
• 県知事が懸念するとおり、サンゴ類の移植技術は、近年一定の成果を上
げつつあるも、現時点において、必ずしも確立したものと言える状況には
なく、移植によって影響の回避を図ることができるとはいえず、評価書の
表現は適切とは言い難い。したがって、この部分は、移植が成功する確
証はないものの、事業実施区
• 域内のサンゴ類を避難的措置として適切な場所へ移植し、移植の効果
が発揮されるよう最大限配慮するとともに事後調査も十分行い、その結
果に応じた対応を行っていく旨に改めるべきである。
36
4(2)サンゴ類③環境保全措置(移植)
• その上で、サンゴ類の移植に当たっては、どのような群
生・種を移植の対象とするか、どのような手法を採るか、
適当な移植先など十分に検討する必要がある。そのため
にまず、消失するサンゴ類の全数を詳細に調査する必要
がある。
• さらに、移植の検討に当たっては、沖縄県内等で実施され
た移植の事例について、これら実施主体と連携を図り、そ
の状況や推移を十分に調査するとともに、その適用を精
査の上、活用することが有効である。例えば、沖縄総合事
務局においては、那覇港、平良港、石垣港で移植の実施
及び検証がなされ、移植先の検討、移植方法、モニタリン
グ等を指針としてまとめ、さらに、サンゴ類の加入・定着を
促すための施工方策についてもまとめていることから参考
になると考える。
37
4(3)海草藻類
• ①事業の実施(埋立)に伴い、海藻類で約
58ha、海草類で約43ha消失。できる限り沖縄
全体における現状の海草藻場の減少要因等
を含めて解析することが望ましい。
• ②評価書では・・・積極的な保全策等が提案
されていない。消失面積に相当する藻場を移
植等によって代償、移植・海草藻場造成がの
ぞましい
• ③ クビレミドロ
38
4(4)ジュゴン
• ①今回の現地調査は貴重
• ②不確実性の幅を大きく取り、できる限り具体的
かつ詳細に評価することが必要。航空機騒音や
低周波音の影響を慎重に検討
• ③個体群存続可能性分析(PVA)を行う
• ④定置網への混獲防止に向けた警戒システム
の構築に向けた技術の応用が可能。遠からず
自然に絶滅してしまうおそれが高いが、少なくと
も、事業の実施がこれをさらに悪化させないよう
対処する必要がある。
39
5事後調査・環境監視調査に係る助言
• 事業を実施しつつ、事後調査等によりフィード
バックを図りつつ、その結果に応じた必要な
措置を講じるなどの管理を行わざるを得ない
部分がある。
40
そもそも・・・
• ここで、有識者検討会を離れて、全体の議論
をしたい(松田の個人見解)
41
普天間米軍基地移設問題とは
• 日本と沖縄の関係
– 日本の中の先住民、植民地問題? 日本米国中国台
湾の結び目にあ
– 海洋民族としての沖縄の未来
• 米国と日本の関係
る沖縄
– もうひとつの植民地問題(日米地位協定)
– 防共基地ではなくなったのか?
なぜ改善で
• 環境影響評価の問題
きないか?
– 比較対象がない(基地なし、代替基地、浮体構造物)
– 戦略評価をしていない(環境と経済軍事の天秤)
– 軍事施設なのに有事の影響を評価していない
42
– 補正段階での有識者検討会召集
代替案との比較
• なぜ離島(eg馬毛島)ではいけないか
– 飛行場は演習場と隣接する
– 高級将校は家族とキャンプに暮らす
– そもそも便益との比較(戦略評価)をしていない
• なぜ浮体構造物ではいけないか
– テロで爆破されやすい?
– そもそも工事の妨害の難易度さえ検討外
– 浮体構造物は将来移設可能なのに
43
環境影響評価(EIA)手続きの問題
• 最大の問題が埋立土砂の供給源とすれば、
その影響評価も必要(辺野古だけの問題で
はない) これは補正段階では対応できない
• EIAは合意形成の手段。その不手際は、結局
は合意形成そのものを遅らせる(愛知万博の
教訓=新たな当事者は議論を蒸返す)
• 補正段階で召集された有識者検討会
– 補正が前提で召集(やり直しの可否は議論せず)
– 評価書の記述に責任を負っていない
44
海洋産業研究会資料2010.6.11より
普天間代替ヘリポート提案(浮体案)リーフ外案 工期9年
セミサブ式なら、移設ならびに完全
撤去が可能!(ただし、より沖合い)
メガフロート工法(ポン
ツーン型);防波堤必要
今後の見通し
• 補正書提出
効果薄
労力大
未実証
– 影響の定量的予測・評価
– 美謝川切替(植林等)、海上ヤード(不撤去)検討
– ジュゴン(も場)、サンゴ(移植)の代償措置 副作用?
– 必要なら海がめ(海浜)の代償措置の用意
• 補正書案(自主的な意見聴取=45日間?)
↓
• 公告縦覧(知事意見を聞く機会はない)
• 埋立申請(知事に許可権限=1年待つ?)
– 並行して事後調査・代償措置開始(評価の検証)
• 着工(泥沼の反対闘争?米国裁判?)
森本大臣
46
も大変そう
環境影響評価自体で事業は止められない
• (基本的事項=環境省告示)評価は、調査及び予測の
結果を踏まえ、対象事業の実施により選定項目に係る
環境要素に及ぶおそれのある影響が、事業者により実
行可能な範囲内で回避され、又は低減されているもの
であるか否かについての事業者の見解を明らかにする
ことにより行うものとする。この場合において、国又は
地方公共団体によって、選定項目に係る環境要素に関
する環境の保全の観点からの基準又は目標が示され
ている場合は、これらとの整合性が図られているか否
かについても検討するものとする。
– 手続きやり直しの規定はあるが、事業中止の記述はない
– 世論とともに、事業を見直す契機になる
– 通常、事業者は「影響がある」とは口が裂けても言わない
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琉球新報社説
2012.9.27
– 学者の良識と倫理観
を疑う
• 他紙(9.26)は・・・
– 研究会提言 辺野古ア
セス見直し必要(琉球
朝日)沖縄タイムズな
ども同様
– 9.27以後、関連報道な
し
48
有識者検討委員として一言
• 「手続きのやり直し」は議論していない
– それで委員を受けたのは「良識を疑う」ことか?
– 反対だけでは何も生まれない。思想対立ではなく、
どんな技術的な課題があるかを明らかにするの
が専門家の使命である
• 「時間稼ぎ」は有効か?
– 普天間のままでよいはずはない。白黒つけて、先
に進むべきではないか
– 「やり直し」は時間稼ぎではない。しかし、調査だ
けのやり直しは時間稼ぎにしかならない
– 問題は調査ではなく、予測と評価と保全措置
49
最終報告
• 研究会は、評価書の補正に関して科学的・専
門的観点から討議を行い、防衛大臣に助言
することを目的とし、自然環境及び生活環境
の分野の有識者9名で構成されたものであり、
事業自体の適否、環境影響評価の補正手続
き自体の適否について意見を述べるために
設けられたものではない。
50
4つのカテゴリー
• 評価書の補正については、これら県知事意見を勘案して検討
されるが、それぞれの意見内容に応じて、以下のとおりに分
類
1. 評価書の内容をより丁寧に説明することで対応するもの
2. 追加的な調査、解析、知見等を増やして対応するもの
3. 環境保全措置を新たに(更に)行うことで対応するもの
4. 事後調査又は環境監視調査を続けて、その結果に応じた措
置を講じるもの
51
Environmental Impact Assessment for
Henoko US Militaly Base plan (Dec. 11)
A huge dugong-watching system
“The impacts are not eliminated”
25%
Extinction risk
PVA of Japanese Dugong
20%
15%
10%
5%
0%
0
50
100
Years after the present
今後の見通し(防衛省)
• 県知事は埋立許可を名護市の合意がない限り出さない
• 辺野古埋立にぐずぐずしていると、米軍は普天間の施設を
改装し、固定化する。それはまずいだろうと県知事を説得。
• 田中元大臣は単に業者を信用しなかっただけ?
• 森本前大臣は本気で知事を説得する気だったらしい。そのた
め、早く埋立て申請を出したかったが、選挙前に出すと民主
党に不利なので止められたらしい。
• 自民党はすぐには埋立て申請を出さないが、おそらくもうす
ぐ出す。1年待てば名護市長選があるが、県知事はそれを待
たずに諾否を決める。
• 補正を急いだのは普天間固定化を避けるため。県知事が拒
否すれば、裁判で長引く前に、米軍は普天間固定化を決断
53
する
今後の見通し(私見)
• 補正書には「環境影響はある」、最終報告書には「基地や補正
手続きの是非は我々は判断していない」と書いているので、県
知事が埋め立てを拒否する理由はいくらでもある
• 補正書を出すのを我々が何年も遅らせれば、米軍は普天間の
改装に踏み切ったのでしょう。それは、県知事に判断させないこ
とを意味する
• 防衛省としては、結局は知事を説得する以外にないので、我々
が「科学的に」しっかり書くことは、むしろ歓迎という態度でした。
• 県と県知事が決めるべきでしょう。
• たとえ知事が埋立許可を出しても、実力闘争もあり、すんなりと
辺野古はできないかもしれません。しかし、許可が下りれば、普
天間固定化はできないかもしれません。
• ジュゴンの調査に防衛省は、すでに10億円位予算をかけている
そうです。環境省にはできない調査でした。事業が実施されれ
54
ば、ジュゴン監視にさらに1億円以上の金をかけます。