極限状態におけるハドロン物理

ハドロン物理における
最近の発展
(摂動的アプローチからみた)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
素粒子原子核研究所
板倉 数記
[email protected]
http://research.kek.jp/people/itakura/
に今日のスライドを掲載します
2006年 6月14日 夏期実習
予定
1時限目
• ハドロンとは?ハドロン物理とは?
• 量子色力学(QCD)と「漸近的自由性」
• 概観:QCD相図、核子の内部構造についての素朴な描像
2時限目
• 極限状態におけるハドロン物理
• 「弱結合多体系」としての極限状態
• 「弱結合多体系」における非自明な現象・物理
クォーク・グルーオン・プラズマ、カラー超伝導、カラーグラス凝縮
• ハドロン相(ハドロン的記述)へ外から接近
「強結合」QGP、BCS-BECクロスオーバー、
クォーク・ハドロン双対性(深非弾性散乱における陽子と光子)
ハドロンとは?
自然の階層構造のなかでの位置付け
電磁気力:
分子間、陽子と電子間に働く
ハドロン(hadron)
強い相互作用をする粒子の総称
メソン(中間子)とバリオン(重粒子)
質量: 数百MeV(106eV)~数GeV(=109eV)
mp=137MeV, mp=940MeV
クォークとグルーオンの束縛状態
強い力:核子(陽子と中性子)間に働く(核力)
(陽子間の電磁気力に打ち勝つ)
クォーク間に働く
弱い力:原子核の崩壊などで働く
(重力は地球以上の大規模な構造や
非常に大きなエネルギースケールで重
Review of Particle Physics
Baryons (proton, neutron, …)
(2004)
3つのクォーク (qqq)
およそ300種類の粒子
現在も新粒子が発見され続けている!
新しいタイプ( 4q + 1qbar )も?
http://ccwww.kek.jp/pdg/
Mesons (p,…):
クォークと反クォーク(q qbar)
ハドロン物理とは?
*ハドロンは標準理論を構成する「素粒子」ではない
→ クォークとグルーオンの「相対論的」束縛状態
*ハドロンの構成要素の力学に対する基礎理論は確立している
→ 量子色力学 (Quantum ChromoDynamics, QCD)
ハドロン物理: ハドロンの性質やハドロンの関与する現象を理解する
1.ハドロン階層の中で、有効理論を用いて
→ 比較的低エネルギーでの、ハドロンとしてのアイデンティティーを保った現象へ適用。
有効理論の系統的構成法。
2.クォーク・グルーオン階層の基礎理論である量子色力学を用いて
→ ハドロンそのものの性質(質量、半径、構造関数など)やハドロン的自由度では
記述できない高エネルギーの現象など
*Lagrangianを決定する物理ではなく、単純で美しいLagrangianが記述する多様な現象、つまり、
ダイナミクスを紐解く事こそがハドロン物理
*ハドロンは、自然界における最もミクロなスケールでの「秩序形成」。
「還元主義」とは一線を画する立場、興味を持って自然に対峙する。
*驚くほど多彩な現象が現れるため、関係する分野、物理も多岐にわたる。
物性、宇宙、素粒子、少数多体系、非線形物理、非平衡統計力学、などなど。
量子色力学(QCD)
非可換ゲージ場の量子論
D     igAaT a , Fa    Aνa   Aμa  gfabc Aμb Aνc
y
Aa
g
: クォーク
フェルミ粒子 スピン1/2
: グルーオン ボーズ粒子 スピン1
: 結合定数
SU(3)基本表現
随伴表現
SU(3) カラー対称性
クォークは3つの「色」を持ち、3色(赤、緑、青)が集まることで無色化する
グルーオンはクォーク間の相互作用を担う。3×3-1=8種類
cf) QED: U(1)対称性
電子:フェルミオン、U(1)電荷を持つ
光子:電子間の相互作用を担うゲージ粒子
Fの最後の項  グルーオン間の(3点、4点)相互作用
フレーバー対称性
クォークはさらに、「フレーバー」の自由度を持つ。u, d, s, c, b, t
異なる質量のクォークを区別する。u,dの質量を近似的にゼロと見なすと
「カイラル変換」というフレーバーを混ぜる変換のもとで不変。
量子色力学(QCD)
D     igAaT a , Fa    Aνa   Aμa  gfabc Aμb Aνc
ファインマン・ルール
相互作用項(グルーオンとクォークの
相互作用、グルーオン自己相互作用)
を摂動として系統的に扱うための計算手段
(摂動論の基礎)
* ゲージ固定
(ゲージ変換の自由度を殺す必要がある)
→ ゴースト場の導入(Faddeev-Popov)
(QEDでは不要だった)
漸近的自由性
QCDにおける最も重要な性質
繰り込まれた結合定数の繰り込み点(スケール)依存性
 S  g2 / 4p
 1 loop, Gross, Wilczek, Politzer, 1973
(2004)
 2 loops, Caswell, Jones, 1974
 3 loops, Tarasov, Vladimirov, Zharkov, 1980
(4 loops, Ritbergen, Vermaseren, Larin, 1997)
Z1
Z3
更にクォークの寄与を
加える(QED的寄与)
漸近的自由性
s4までの
微分方程式の解
  で s0 「漸近的自由性 (Asymptotic Freedom)」
「両義性」 高運動量スケール → 弱結合 → クォーク・グルーオン相など
低運動量スケール → 強結合 → ハドロン相
強結合
閉じ込め、 カイラル対称性の破れなどの
非摂動的現象に基づく相対論的束縛状態
_
メソン
・・・ q q
バリオン ・・・ q q q
QCDに基づく解析的理解は非常に困難で
いまだに完全に解けていない問題!
強結合
→ しかし格子計算を用いて大いに発展
(詳しくは山田氏の講義を参照)
弱結合
弱結合
摂動論的手法が使える
→ いつどこで弱結合が実現するか?
弱結合領域の実現
解析的理解の成功 → 弱結合領域を如何にして見出すか
外部からコントロールできる条件 → 温度、密度、散乱エネルギーなど
大きなスケールにより特徴づけられる「極限状態」
 S (Q),
Q  2p T 2   2 / p 2
→ 有効的に結合定数が小さくなる! 温度
GeV
→ 高温、高密度では束縛が解ける。
高エネルギー散乱ではハドロン内の
クォークやグルーオンのダイナミクス
が弱結合で記述できる。
弱結合
=0.4
強結合
密度(クォーク化学ポテンシャル、
弱結合領域:「素朴」な描像
(1)理想気体としてのクォーク・グルーオン・プラズマ
(2)自由な点状パートンの集まりとしての陽子
弱結合領域:「素朴」な描像(1)
高温、高密度では、相互作用が有効的に弱くなり、束縛が解ける
(閉じ込め・非閉じ込め相転移、カイラル対称性の回復)
→ クォーク・グルーオン・プラズマ状態が生じ、
そこでは、クォークやグルーオンが自由に動き回ることができる
相転移温度 Tc は、各相での自由ガス(クォーク・グルーオンvsパイ中間子)の
「状態方程式」を比較して決まる
相対論的自由ガスの状態方程式 (=0)
温
度
クォーク・グルーオン・プラズマ相
Quark-Gluon Plasma phase
p = aNeff
T4
a=
p2kB4/90(
_ 3
hc)
Neff= Nboson+(7/8) Nfermion 有効自由度
QGP: Neff = 2*8 + (7/8)*2*3*(nf=2)*2= 37
さらに、bag pressure –B を加える!
QGPを作るために必要なエネルギー密度
ハドロン相
Hadron phase
Hadron: Neff = 3 (p+, p-, p0)
T >Tc では、p(QGP) > p(hadron)、QGPが安定
密度
Tc ~ 100 MeV
( B=(150MeV)4 は
ハドロンの質量を再現)
弱結合領域:「素朴」な描像(2)
陽子の内部構造
深非弾性散乱 Deep Inelastic Scattering (DIS)
陽子をそれよりも十分小さなスケールを持つ『硬いプローブ』 (仮想光子)で叩くことで、
陽子の内部構造を知る
electron(k) + proton(p)  electron(k’) + X
2つのLorentz不変な独立変数
q
p
Q2 = –q 2 > 0 : 光子の仮想度
x = Q2/2p・q
: Bjorken 変数
= Q2/(Q2 +W2 – M2)
W2 =(p+q)2 –
> M2  0 –< x –
<1
2つの変数の意味
陽子のInfinite momentum frame (陽子が非
常に大きな運動量で走っているローレンツ系)
Q2 = qT2 : transverse resolution
x =p+/P+ : longitudinal mom. fraction
where P+ = (P0 + P3)/21/2
g*
1/Q
transverse
longitudinal
1/xP+
弱結合領域:「素朴」な描像(2)
非常に「細かい」解像度をもつ(仮想)光子で核子を叩くと(深非弾性散乱)、
ほとんど自由に動き回る構成粒子(パートン)を見ることができる。  パートン模型
パートンは点状粒子であるので、散乱断面積は解像度に拠らない  「スケール則」
核子の構造関数
y=q・p/k・p
Bjorken極限: Q2,  =p・q  ∞ ( xは固定 x=Q2/2 )
実験事実 Fi (x,Q2)  Fi (x)
Bjorken スケーリング
-- 核子は「点状粒子」からなる!(そうでなければ、 Q2 に依存する)
-- 素朴なパートン模型: 陽子は独立に運動するパートンの集合体であり、その分布は確率
q(x)dx であたえられる( x はパートンの運動量比)
F2(x)= 2 x F1(x)= S q eq2 x q(x)
q(x) クォーク分布関数
-- Bjorkenスケーリングの 弱い破れ  log Q2 dependence (QCD effect!)
陽子の構造関数
xが大きくない時には、
スケーリングの「破れ」が見える
 QCDの効果
「DGLAP発展方程式」
により、概ね理解される
Bjorken スケーリングはxが比較的
大きなところ(x~0.1)で成り立つ
xの大小で何が違う?
核子中のパートン分布
陽子が3つのヴァレンスクォークからなり、全運動量が3つに等しく分配されているなら
運動量
分布
1/3
x
1
しかし、核子中ではクォークはグルーオンを放出して
運動量を互いに交換し得る(QCDの効果、発展方程式)
運動量分布が広がる
gluon
1/3
1
x
比較的大きなxのパートンはヴァレンス的描像を表現し、
QCDの効果はあまりない。一方、小さなxは影響を受け易い
核子中のヴァレンスクォーク分布
HERA実験(DESY研究所)
ZEUSグループの実験結果からフィット
してえられたu, d-quark distribution
(Q2=10GeV2 )
x=1/3 の周りにピークを持つ
↓
ヴァレンス粒子に関しては、核子が弱く
相互作用する点状の粒子(パートン)の
集合だという描像は、確かに正しい。
今までのまとめ
• ハドロンとは、強い相互作用をする粒子の総称で、下部構造
としてクォークやグルーオンを持つ。そのダイナミクスはSU(3)
ゲージ理論である量子色力学(QCD)によって記述される。
• QCDにおける結合定数は「漸近的自由性」という性質を持ち、
取り扱う対象のスケールによって、結合の強さが変わる。それ
に起因して多彩な現象が生ずる。
• 特に高温、高密度、高分解能などを考えると、弱結合が議論
できて、クォーク・グルーオン・プラズマ状態や、弱く相互作用
するパートンの集まりとしての核子などの描像が得られる。
第2時限
摂動で事が済むのなら、単なる計算に終始する
だけであり、最低次で「本質」さえ捉えれば、
その物理系は理解したと言える。高次項の計算
なんて、最低次の「補正」だろうが。そんなことは
やる価値ない。計算が得意で好きな人に任せて
おけばいい。
と思ったら、相当ソンをしてます。
極限状態でのハドロン物理
自然は今まで述べたような素朴な描像で理解できるほど単純ではない。
現実はもっと奥が深く、興味深い!
高温
M1-67星雲(Hubble space telescope)
高密度
海底探査船しんかい6500
高エネルギー散乱
どこかの教会のステンドグラス
単純な弱結合系ではなく、「弱結合多体系」特有の面白さがある
1.高温
第0次(自由ガス状態)に対する摂動補正は正しいか?
例) g2f4模型
O(T) : hard O(gT) : soft O(g2T) : super-soft scale
D –1 = P2 – P(g,T)
自己エネルギー Pに対する1ループの温度依存寄与

1
2
P  g  2  g  dk k n(k )  g 2T 2
0
K K
2
n(k): Bose-Einstein分布
ループ積分:運動量がハードなオーダー k ~ T までが効く
n(k)
→ 硬熱ループ(Hard Thermal Loop)
2 2
2 2 2


1
1  g T g T 




1



...
 P2 

P 2  ( gT ) 2 P 2 
P2




T
外線がhard以上のときは摂動展開が良いが、ソフト p ~ gT の時、
摂動展開が破綻してしまう!←「熱浴」の存在、「多体効果」
 再足し上げの必要性: Hard Thermal Loop Resummation
高温QCD摂動論
QCD: gluonのself energy → Debye遮蔽質量 mD ~ gT
QGP内でのカラー電場の到達距離~1/mD
Hard Thermal Loop Resummation Braaten & Pisarski, 1989
あらかじめHTLの部分を足し上げた上で摂動展開を行う
Ex)
L = L0 + Lint  (L0 + ½ mj2 ) + (Lint – ½ mj2 )
摂動として扱える
→ どうやってこのような「良い摂動論」を見つけるかが問題。
様々なアイディアがある。
特にゲージ理論の場合、ゲージ不変に行う必要があり、難しい。
成功例) エントロピー Blaizot, Iancu, Rebhan, 1999
↑HTL
←格子計算
2.高密度
第0次(クォークの巨大Fermi球)に対する摂動補正は正しいか?
クォーク同士の相互作用にはいつも引力のチャネルがあり
_
(反対称3 )、どんなに弱くとも Cooper不安定性が生ずる。
→ クォークのCooper対の形成:
カラー超伝導
弱結合でも、非摂動的現象 → Fermi球を大きく変化させる
ギャップの正確な評価
(1グルーオン交換)
QCDに特徴的なこと
1.長距離のカラー磁気的相互作用がギャップの主要な寄与
2.カラーとフレーバーの結合(Color Flavor Locking, CFL)
3.引力はFermi面付近に限られず、原理的に全てのクォークに効く
4.密度が小さくなると、引力も強くなる → 強結合への変化
1. & 2.高温、高密度
M. Alford
結合定数の等高線図に定性的に一致
3.高エネルギー散乱
陽子は「3つのクォークからなる」という素朴な描像は正しいか?
電子陽子深非弾性散乱
q
横方向
p
縦方向
陽子の内部構造を記述する2つの変数
Q2 = - q2 = qT2 : 光子(プローブ)の仮想度、横方向の解像度
x = Q2/2pq =p+/P+ : Bjorken変数、縦方向の構成子の運動量比
内部構造は見る変数の領域によって変化 ← 発展方程式(DGLAP,BFKL方程式)
十分大きいQ2  s(Q) << 1 より 「弱結合的手法」が使える
高散乱エネルギーの極限 (W2 >> Q2)
x = Q2/(Q2+W2)  0 small-x の物理
陽子の内部構造 (再び)
陽子が単純に3つのvalence
quarkからなれば、全運動量はそ
の3つに分配されるだろう
1/3
1/3
1/3
しかし、実際には
図は本来の20分の1
小さいx(高エネルギー)では
グルーオンだらけ!
P
Distr.
1/3
1
x
 高エネルギー
x ~ Q2/(Q2+W2)
素朴なヴァレンス描像は、実際の散乱では(見る場所によっては)役立たない。
高エネルギーでは、陽子は高密度グルーオン状態じゃないか!
多重グルーオン放出
実際、x が十分小さい時、「ラピディティー」 y = ln 1/x に対する「発展」では
単純な摂動展開は破綻 ← (S ln 1/x)n (n>0) についての再足し上げが必要
BFKL方程式
散乱エネルギーの増加 
~ S ln 1/x
A0
グルーオン数 ~
~ (S ln 1/x)n
Sn Cn (1/n!) (S ln 1/x)n ~ exp{ wS ln 1/x }
深刻な問題:グルーオン数の急激な増大 → ユニタリ性の破れ
「カラーグラス凝縮」の出現
グルーオン増加  グルーオン同士が相互作用
g  gg グルオン生成 vs gg  g 再結合
低エネルギー
→ Balitsky-Kovchegov方程式
希薄
Balitsky ‘96, Kovchegov ’99
グルオンの強い場についての再足し上げをさらに行う
増加と減少がつりあった飽和状態 (unitary)
[Logistic方程式(人口問題)、FKPP方程式(拡散反応
系)との類推可能]
稠密
高エネルギー
カラーグラス凝縮
カラー: グルーオンからなる
グラス: 価パートンなどは2次元面にランダムな
配位で張り付いて運動が凍結している。
まるでスピングラス。
凝縮 : グルオン数が非常に高い
高エネルギー散乱 → 単純な摂動的(valence的)描像とは程遠い!
 飽和した高密度グルーオン状態
板倉、物理学会誌2004年3月, hep-ph/0511031
幾何的スケーリング
光子・陽子全散乱断面積 (HERA)の
Bjorken変数xの小さいデータに発見
Stasto,Kwiecinski,Golec-Biernat, 2001
 ( x, Q2 )  f ( ),   Q2 / QS2 ( x)
QS2 ( x)  (1/ x)  eY ,   0.3
カラーグラス凝縮の強力な証拠
1.飽和運動量Qs(x)とスケーリングの
自然な解釈を与える
2.理論で得られたx依存性が実験と同じ
Triantafyllopoulos 2003
3.幾何的スケーリングがカラーグラス凝縮
の領域外でも存在できる限界を評価
Iancu,Itakura,McLerran 2003
g*p
total
cross
section
1/x
in log scale
カラーグラス
凝縮
QS2(x) ~ 1/x: x  0 につれて増大
s(QS2) << 1 弱結合
幾何的スケーリ
ング領域
非摂動的 (Regge理論)
散乱エネルギー大 
陽子の「相図」
QS4(x)/LQCD2
BFKL,
BK
パートンガス領域
DGLAP
 摂動的
LQCD2
Q2
in log scale
横分解能大 
強結合領域へ外から接近する
ハドロン相、強結合相への接近 ←→ 結合定数の増大
摂動的記述は難しくなるが、同時に多様な興味深い現象が期待される
温度
エネルギー
1.高温側から低温へ
非摂動
2.高密度から低密度へ
非摂動
3.Q2を小さくしていく
密度
横分解能 Q2
1.高温から低温へ
温度
1.高温側から低温へ
非摂動
密度
s それほど小さくない
→ 強く相互作用をするQGP
粘性が小さい(完全流体?)
RHICでの流体模型の成功
Spectral function ρ(ω)
J/ψ(3.1GeV)
カイラル対称性は回復していても
束縛状態が残っている
例) J/ψ は1.6 TCまで生き残る
Asakawa & Hatsuda 2004
2.高密度から低密度へ
温度
1. ストレンジネスの質量が無視できなくなる
2.高密度から低密度へ
非摂動
密度
→ Fermi面が up (down), strangeに対して
同じ大きさでなくなる ペアを作りにくい
→ Fermi面をずらして重なりを作り、運動量
を持つCooper対を作る可能性
(LOFF:Larkin, Ovchinnikov, Fulde, Ferrell)
Alford, Bowers, Rajagopal, 2000
2. 引力が強くなる → 弱結合BCSから「強結合BCS」あるいは「BEC」へ
10

/d
c q
10
ξc/dq
10
10
10
10
Matsuzaki,Abuki-Itakura-Hatsuda, 2002
5
BCS
4
Cooper pairの大きさ
≫ 平均quark間距離
3
2
Cooper pairの大きさ
~ 平均quark間距離
1
BEC
0
10
3
10
4
10
5
p

[MeV]
(MeV)
F
10
6
BECがあるなら、qqの束縛状態が
凝縮していない状態もその外側に
あるはず
Abuki, Nishida, 2005
エネルギー
3.Q2を小さくする
Quark-Hadron Duality
構造関数がクォーク自由度でもハドロン自由度でも
記述できる(resonance peak除く)
非摂動
低エネルギー (J-Lab、左)・・・ 陽子に対するDuality
高エネルギー (HERA、右)・・・ 光子に対するDuality (Vector meson dominance)
3.Q2を小さくしていく
横分解能 Q2
← Iancu,
Itakura,
Munier
2004
F2
↓Alwall,
Ingelman
2004
F2 from CGC↑
F2 from VMD →
相対論的重イオン衝突実験
• RHIC:クォーク・グルーオン・プラズマを実験
で作ることを目的とされたプロジェクト
• 幾つもの興味深い現象が発見された
• 高密度エネルギーの状態が生成したことに
よる「ジェット抑制」が観測 QGPの生成?
• カラーグラス凝縮の存在も示唆
• 今まで述べてきたような、様々な物理現象を
含む過程であり、総合的な理解が必要
RHIC
RHIC Basics:
RHIC = Relativistic Heavy Ion Collider
• 2 counter-circulating rings
–3.8 km circumference
–1740 super conducting magnets
• Collides any nucleus on any other
• Top energies: 200 GeV Au-Au
500 GeV polarized p-p
Flexible machine:
Species (p+p, d+Au, Cu+Cu, Au+Au)
Energies (19, 22.5, 62.4, 130, 200 GeV)
• 4 Experiments
相対論的重イオン衝突
階層間を往来する典型的事象 (原子核 → QGP → ハドロン)
RHICにおける金と金の核子あたり200GeVの正面衝突
閉じ込めのために、終状態とし
て測定できるのはハドロンのみ。
途中で生成したQGPの情報が
如何にして最終的な粒子に伝
わるのか。
→ QGPシグナルの問題
J/psi suppression,
jet quenching, etc
Relativistic Heavy Ion Collision
5
4
3
2
1
0
Original figure by T. Chujo’s, modified by KI
0. Gluon dominant nuclei described
as Color Glass Condensates
1. Collision!! Hard scatterings
 Thermalization  QGP
Plasma instabilities??
2. QGP expands and cools down
Perfect fluid??
3. Hadronization
Fragmentation vs recombination
4. Particle abundances fixed
5. Particle “freeze out”
free streaming
まとめ
*QCDの漸近的自由性 → 弱結合が極限状態で実現 「弱結合多体系」
*「多体効果」により、素朴な摂動展開が破綻 → 新しい物理の存在を意味する
Quark Gluon Plasma
- HTL resummation
温度 - Magnetic screening
エネルギー
弱結合
カラーグラス凝縮
幾何的スケー
リング領域
Strong QGP?
強結合
ハドロン相
LOFF
or BEC?
強
結
合
カラー超伝導
密度(化学ポテンシャル)
パートンガス
Quark-hadron duality?
弱結合
横分解能 Q2
触れられなかったトピック
相転移の次数、非平衡過程(プラズマ不安定性など)、ハドロン生成過程(破砕過程か再結合か)、
中間密度における他の可能性(カラー強磁性、揺らぎの効果等)、QGPやCGCにおけるスケールの
分離と繰り込み群的考え方
最後に:ハドロン・原子核理論研究 @ KEK
主な目的:強い相互作用の支配する多様な現象を量子色力学(QCD)や
有効模型に基づいて研究
スタッフ:熊野 核子の偏極パートン分布関数、
原子核のパートン分布関数 など
森松 有限温度のQCD,エキゾチックなハドロン、など
板倉 高エネルギーや高密度などの極限状態のハドロン
土手 K中間子を含んだ原子核、高密度原子核
その他: ポスドク(2名)、博士課程(1名)、修士課程(2名)
活動:週1度のセミナー(外部から講演者を呼ぶ)主に金曜
自主的なゼミ(輪講)、総研大学生のための授業
総研大の院生として、積極的で研究意欲が旺盛な学生が望まれます。
具体的な問い合わせは、熊野( [email protected] )へ
KEKは、実験で検証しながら理論研究を進めていく研究者
を目指すうえで最適な環境。J-PARCが東海に建設中。
ハドロン物理は、その主軸の一つ。
Extra slides
Important Experimental Results
Deep inelastic scattering (DIS) at HERA
 Steep rise of F2 (and gluon density) at small x
g*
1/Q
1/xP+
Q2 = qT2 : transverse resolution
x =p+/P+ : longitudinal mom. fraction
High density gluons appear at small x =“high energy scatt.”
Important Experimental Results
Hadronic cross section at high energy (total cross sec. for pp)
 ab  Z ab  B ln2 (s / s0 )  
Including cosmic ray data
of AKENO and Fly’s eye
S1/2
10
102
103
104GeV
Most recent PDG  consistent with ln2 s.
[COMPETE Collab.]
-- saturating unitarity (Froissart) bound
--
The coefficient B is universal (B=0.308mb) for pp, p p, p p, etc…..
Reaction-diffusion dynamics
Munier & Peschanski (2003~)
With a reasonable approximation*, the BK equation in
momentum space is rewritten as the FKPP equation
(Fisher, Kolmogorov, Petrovsky, Piscounov)
where t ~ Y, x ~ ln k2 and u(t, x) ~ NY(k).
Well-understood in non-equilibrium statistical physics including directed percolation,
pattern formation, spreading of epidemics…
FKPP = “logistic” + “diffusion”
: “reaction” part, transition
from unstable to stable states
Diffusion : expansion of stable region
u=1: stable
Logistic

t
t’ > t
Traveling wave solution
u=0:unstable
*take the 2nd order expansion of the BFKL kernel around its saddle point
Saturation scale & Geometric scaling
Fact 1: For a “traveling wave” solution, one can define
the position of a “wave front” x(t) = v(t)t .
 x(t) ~ ln Qs2(Y) Saturation scale !
1/QS(Y) : transverse size of gluons when the
transverse plane of a target is filled by gluons.
“Boundary” btw dilute and saturated regimes
Precise form of QS(Y) determined
saturated
R
dilute
NLO BFKL : QS2 ( x)  (1/ x)  eY ,
Fact 2: At late time, the shape of a traveling wave is
preserved, and the solution is only a function of x – vt.
 x - v(t)t ~ ln k2/Qs2(Y) Geometric scaling !!
Observed in HERA DIS at small x [Stasto,Golec-Biernat,Kwiecinski]
QS(Y) from the data consistent with theoretical results.
Geometric scaling approximately holds even outside of CGC!!
 “Scaling window”
[Iancu,KI,McLerran]