女性生殖器コース講義 卵巣腫瘍(2)悪性卵巣腫瘍 卵巣癌診断の特殊性 細胞診 スクリーニング 生検組織診 根治手術 悪性の確定診断 治療 卵巣は腹腔内臓器であるため細胞診を用いた スクリーニングや生検組織診による確定診断が行えない 腹水の悪性細胞が経卵管的に子宮腔吸引細胞診に 出現する場合がある 悪性卵巣腫瘍の年齢分布 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 ~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 悪性卵巣腫瘍の進行期分布 1200 1000 800 600 400 200 0 s ta g e 1 s ta g e 2 s ta g e 3 s ta g e 4 ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 子宮癌・卵巣癌の年次死亡数 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 平成1 3 年 平成1 4 年 子宮 平成1 5 年 平成1 6 年 卵巣 子宮癌・卵巣癌ともに増加 ( 厚生労働省統計 ) 子宮癌・卵巣癌の年次死亡率 (%) 10 8 6 4 2 0 平成13年 平成14年 子宮 平成15年 平成16年 卵巣 ( 厚生労働省統計:人口 10万対 ) 婦人科癌の5年相対生存率 100 80 60 40 20 0 子宮頸癌 子宮体癌 大阪 卵巣癌 米国 ( 大阪府癌登録・米国 SEER ) 代表的な卵巣悪性腫瘍 表層上皮性間質性腫瘍 漿液性嚢胞腺癌 粘液性嚢胞腺癌 類内膜腺癌 明細胞腺癌 serous adenocarcinoma 最も多い mucinous adenocarcinoma endometrioid adenocarcinoma clear-cell carcinoma 抗癌剤抵抗性 性索間質性腫瘍 セルトリ間質性腫瘍( 低分化型 ) Sertoli stromal tumor 胚細胞性腫瘍 未分化胚細胞腫 卵黄嚢腫瘍 dysgerminoma York-sac tumor 悪性表層上皮性間質性腫瘍の年齢分布 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 ~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 悪性性索間質性腫瘍の年齢分布 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 ~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 悪性胚細胞性腫瘍の年齢分布 30 25 20 15 10 5 0 ~19 20~29 30~39 40~49 50~59 60~69 70~79 80~ ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 卵巣癌の術前診断 卵巣は腹腔内臓器であり外部との交通がないため 術前に癌の確定診断を行うことは極めて困難 進行卵巣癌で卵巣外進展や遠隔転移によって 腹水・胸水・表在リンパ節転移があれば 細胞診や生検組織診によって悪性の診断が可能 画像診断・腫瘍マーカーによる推定 経膣超音波・経腹超音波・MRI・CT・PETなど 悪性の確定診断は手術摘出組織でしか行えない 卵巣癌に対する標準手術 手術進行期判定のための情報 腫瘍の可及的摘出 単純子宮全摘術 + 両側附属器摘出術 + 骨盤リンパ節郭清術 + 大網切除術 + 傍大動脈リンパ節生検 卵巣癌の術後治療 原則的に Stage IC 以上の症例は全例術後化学療法 術後化学療法の内容 表層上皮性間質性腫瘍 性索間質性腫瘍 胚細胞性腫瘍 Paclitaxel + Carboplatin ( TC ) Bleomycin + Etoposide + Cisplatin ( BEP ) 卵巣癌における妊孕能温存 十分な Informed Consent 原則的に Stage Ia で高分化型のもの 患側附属器摘出術+大網切除術+腹膜細胞診 必要に応じて対側附属器部分切除 骨盤リンパ節生検 摘出標本の検討から追加手術の考慮する 卵巣癌の臨床転帰 Ia, Ib follow - up 85 % 早期卵巣癌 術後 補助化学療法 60 % 完全腫瘍 摘出 60 % 完全 進行卵巣癌 不完全 摘出 進行卵巣癌は予後不良 生存 寛解導入 化学療法 消失 45 % 悪性卵巣腫瘍の進行期分布 1200 1000 800 600 400 200 0 s ta g e 1 s ta g e 2 s ta g e 3 s ta g e 4 ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 悪性卵巣腫瘍の進行期分布 1200 1000 800 600 400 200 0 s ta g e 1 s ta g e 2 偶然に発見されたもの s ta g e 3 s ta g e 4 有症状で受診したもの ( 日本産科婦人科学会治療年報:2005 ) 卵巣癌の早期診断 1.経膣超音波による検診 2.婦人科診察による検診 婦人科受診の機会がなければ診断不能 現時点では定期的婦人科検診のほかに 卵巣癌から女性を救命する方法はない 自習課題 1.卵巣腫瘍を良性・境界悪性・悪性に分類して 代表的な腫瘍を整理する 2.卵巣腫瘍の診断と治療を整理する 3.卵巣腫瘍に関するこれまでの知識を統合する
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