観光都市から学ぶ~ 愛知の今後の観光政策

~観光都市から学ぶ~
愛知の今後の観光政策
1
南山大学経済学部 太田代ゼミナール
目次
1概要
1-1 愛知県の産業構造の現状
2 愛知県の観光について
2-1 観光利用者(総数、月別、季節別)
2-2 交通手段(乗用車、鉄道)
2-3 愛知県の観光の特徴
3 北海道の観光について
3-1 観光利用者(総数、月別、季節別)
3-2 交通手段
3-3 北海道の観光政策
3-4 北海道の観光の特徴
4 京都府の観光について
4-1 観光利用者(推移、月別、季節別)
4-2 交通手段
4-3 京都府の観光政策
4-4 京都府の観光の特徴
5 経済波及効果の算出
5-1 産業連関表とは
5-2 経済波及の流れ
5-3 生産誘発額の求め方
5-4 観光業の経済波及効果
6 おわりに
6-1 愛知と北海道、京都の違い
6-2 経済波及効果の分析より
6-3 私たちが提案する今後の愛知県の観光
政策
2
1 概要
愛知県は製造業に依存している。そのため、愛知県は外需
に影響を受けやすく、安定した産業構造とは言い難い。製造
業以外の産業にも力を入れ、産業構造を新たに構築していく
必要がある。そこで、私たちは観光業に着目した。
愛知県の観光業の現状を知るために、愛知県の観光政策・
観光の特徴について調べた。
さらに、日本有数の観光地である京都府・北海道について
も同様に調べ、愛知県の観光産業の現状と比較した。
結果、二つの都市は自然を題材にしている一方で、愛知県
は都市観光・イベント行事を売りにしていることがわかった。
また、愛知県、北海道、京都府の観光産業の生産誘発効果
を産業連関表により算出して、三つの都市を比較した。
結果、愛知県の観光産業は規模が小さく、まだ成長する余
地がある。かつ、愛知県の観光業は幅広い経済波及効果を期
待できることがわかった。
3
1-1 愛知県の産業構造の現状(1)
リーマンショックによる国際的な不況下により、急激
な円高が発生した。そして、自動車を中心とした輸出が
滞り、製造業は打撃を受けた。
日本の中でも有数の工業都市である愛知県は、確実に
円高による被害を被っている。
国際的な円高を受け、生産業以外の産業にも力を入れ、
産業構造を新たに構築していく必要がある。
自動車産業は輸出が多く、外需の影響を強く受けてし
まう。外需に影響を受けやすい自動車産業に依存しない
産業構造を新たに構築すれば、景気に振られにくくなる
のではないか。そのためには、他の産業を強化する必要
がある。この際、研究・分析をもとに、愛知県における
産業構造の不安定さを改善し、愛知県の経済を安定へと
導くものとして観光業が有効であると考察した。
4
愛知県の産業構造の現状(2)
平成21年度 愛知県産業の特化状況
図より、愛知県の製造業はそ
の他の産業と比較して突出して
いる。
愛知県の産業構造は、製造
業に集中しているという点で、
不安定な状態であると言える。
このような産業構造では、昨今
のような不景気に見舞われ、製
造業が不振となった場合に地
域経済全体に大きな打撃を与
えるという結果につながると考え
られる。
5
出典:愛知県 県民生活部 統計課 グラフでみるあいち
2 愛知県観光について
6
中部
国際
空港
開港
2-1 観光利用者総数
観光利用者の推移
年
17000
フ世
ェ界
ス
テ公
ィ園
バ
ル
16000
バ
ブ
ル
崩
壊
15000
14000
13000
天
候
不
順
愛
知
万
博
12000
11000
観光利用者
わかしゃち国体
10000
9000
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20 年度
万博の開催等により大幅に増加した平 成17年よりは減少したも
のの、およそ1億1千万人から1億2千万人で推移していた平成 1
6年以前と比較すると、およそ2,700万人の増加となっている。前
年と比較すると、 41万6,228人減少(前年比99.7%)している。
出典:愛知県観光コンベンション課HP http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H20/20091124_riyousya.pdf
7
季節別利用者
季節別利用者の割合
愛知県は季節ごとの差はほとんどない!!
季節に応じたイベントがあまり開催されない!!
出典:愛知県観光コンベンション課HP http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H20/20091124_riyousya.pdf
8
2-2 目的別交通手段分担率
平成3年目的別交通手段分担率
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
16.7
2.7
16.1
1.9
8.6
11.1
2.2
18
45.1
59.9
5.1
2.1
48.6
交通手段
鉄道
路線バス
77.2
自動車
55.5
14.1
6.5
通勤
3.6
0.6
通学
21.2
18.8
22.7
8.4
10.2
23
帰宅
業務
私用
二輪車
徒歩
平成16年目的別交通手段分担率
%
120
100
80
60
40
20
0
15.6
1.4
16.9
1.1
12.7
10.1
1.2
17
54.8
66.6
3.9
0.3
81.7
4.4
1.2
60.6
交通手段
鉄道
路線バス
自動車
二輪車
52.3
11.1
5.3
通勤
通学
15.3
16.1
18.6
7.1
7
17.6
帰宅
業務
私用
徒歩
9
出典:(上)平成3年 中京都市圏PT調査報告書 (下)平成16年 中京都市圏PT調査報告書
目的別交通手段分担率からわかること
・自家用車の普及により、全国的に交通手段の自動車依
存が進展し、公共交通の分担率が低下している。
名古屋でも上記の傾向がみられ、世帯あたりの自動車の
保有台数も多く、自動車への依存度が極めて高い状況
となっている。
・どの目的においても、自動車を利用する割合が増加して
いる。最も増加した点は「私用」の場合で12%である。
10
交通の便(2) 鉄道乗車人員
愛知県の鉄道乗車人員
乗車人員
人
リニモ開業
25,000,000
20,000,000
15,000,000
10,000,000
5,000,000
0
10年度
11年度
合計
12年度
13年度
JR(国鉄)
14年度
15年度
16年度
17年度
民鉄(鉄道、路面電車、モノレール)
18年度
19年度
20年度
地下鉄
平成17年の愛知高速鉄道(リニモ)の開業に伴って、鉄道利用者は増
加傾向を辿ってきたが、近年は横這い傾向となっている。
出典:愛知県庁HP <http://www.pref.aichi.jp/0000036948.html>
11
2-3 愛知県の観光の特徴(1)
(ex)山、川
自然関連は低い。
都市観光や行祭
事・イベントの占
める割合が高い。
(ex)祭り、初詣
(ex)空港やハ
イウェイオア
シス
(ex)神社、水族館
(ex)遊園地、公園
12
出典:愛知県観光コンベンション課http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H22/20120726_sanko.pdf
愛知県の観光の特徴(2)
11.224.000(人)
自然
都市名
1 豊田市
2 碧南市
観光資源名
香嵐渓
あおいパーク
平成22年 平成21年
1,121,029 1,160,124
1,079,293 1,162,353
観光資源名
8.337.000(人)
歴史・文化
都市名
1 名古屋市
2 豊川市
3 名古屋市
4 名古屋市
5 名古屋市
6 知立市
観光資源名
熱田神宮
豊川稲荷
東山動植物園
名古屋港水族館
名古屋城
三河三弘法・遍照院
平成22年 平成21年
6,636,001 6,577,140
2,370,000 3,410,000
2,212,456 2,300,818
1,795,457 1,718,293
1,561,295 1,288,821
1,331,000 1,426,500
行祭事・イベント
都市名
1 名古屋市
2 名古屋市
3 名古屋市
4 豊田市
5 犬山市
6 名古屋市
7 一宮市
8 一宮市
9 豊川市
スポーツ・レクリエーション
都市名
1 蒲郡市
2 一宮市
3 長久手市
4 刈谷市
5 豊田市
6 名古屋市
都市観光・買物・食等
都市名
1 常滑市
2 刈谷市
3 美浜町
中部国際空港見学者
刈谷ハイウェイオアシス
えびせんべいの里
観光資源名
観光施設・イベントは十分存在する。
ナゴヤドーム
にっぽんど真ん中まつり
したがって、新しい観光施設を建設するより、
なごやまつり
豊田スタジアム
既存する施設やイベントにスポットを当て、
9件
成田山名古屋別院初詣
観光客を集めた方が効率的である。
瑞穂運動場
観光資源名
平成22年 平成21年
ラグーナ蒲郡
2,935,960 2,774,300
国営木曽三川公園138タワーパーク 2,028,830 2,013,970
愛・地球博記念公園
1,279,200 1,253,500
刈谷市交通児童遊園
1,207,991 1,191,495
鞍ヶ池公園
1,055,800 1,160,900
農業文化園・戸田川緑地
1,016,592 1,001,908
一宮七夕まつり
真清田神社初詣
豊川稲荷初詣
平成22年 平成21年
11,224,000 11,291,000
8,337,000 8,244,000
1,424,088 1,264,859
平成22年 平成21年
4,008,000 4,118,021
2,300,000 2,096,900
2,216,600 1,961,227
1,872,372 1,514,001
1,666,600 1,750,500
1,568,386 1,491,537
1,260,000 1,250,000
1,231,493 1,219,162
1,050,000 -
※単位は「人」
13
出典:愛知県観光コンベンション課http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H22/20120726_sanko.pdf
愛知県の観光の特徴(3)

観光政策
観光事業の振興
観光あいちの復興
観光宣伝
観光施設整備等への助成
国際観光の推進
観光関係団体、
旅行業の指導等
観光施設の管理委託
14
出典:愛知県観光コンベンション課http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H22/20120726_sanko.pdf
愛知県観光の特徴(4)
観光政策は行われているが
認知度は高くない!!
15
出典:平成21 年度「観光施設等実態調査」
http://www.pref.aichi.jp/kanko/kankose/ken/jittaityousa/gaiyou.pdf
愛知県の観光の特徴(5)
・製造業のイメージ
日本一の製造出荷額を誇るモノづくりの国、愛知県。
世界を代表する自動車産業の『トヨタ』や窯業の『ノリタ
ケ』が要因に挙げられる。
・武将のイメージ
天下統一を目指し、歴史上人物で絶大な人気のある
『織田信長』が要因に挙げられる。
最近では、『武将都市ナゴヤ』名古屋のPRのために結
成された『名古屋おもてなし武将隊』のメディアへの露
出も要因に挙げられる。
16
愛知県の観光の特徴 まとめ
・愛知県の観光は都市観光・買物・食べ物とイベント・行
事が強く、自然関連の観光が弱い。
・観光客数は季節の変化に影響しない。
・交通機関は整っている。
・観光政策の効果はまだ物足りなさを感じる。
・『モノづくりの国』と『戦国武将』というイメージがある。
現に、それらを売りにした観光施設・行事がある。た
だ、爆発的ヒットには至っていない。
☆愛知は交通の便も良いので他の県から観光客を集め
て、イベント(特色を活かした産業や武将関連のもの)を
大々的なPRの元、行うべきだ。
17
3 北海道観光について
18
3-1 北海道観光客数 推移
(万人)
リーマンショックに
より国内外問わず
観光需要が低迷
航空路線(道内
直行便)の拡充
有珠山噴火
減少傾向
北海道南西沖地震
東日本大震災による
自粛ムード
【北海道経済部観光局調べ】
増減を決める要因として経済情勢と自然災害が挙げられる。
平成11年ごろから減少傾向にある。特に近年ではリーマンショックによる世界的
不景気、また震災の影響によりその落ち込みは大きい。
19
北海道の観光業
・農業産出額
(平成22年度)
・観光総消費額
(平成21年7月~平成22年6
月)
9.946億円(全国第1位)
1兆2.992億円
・北海道の観光消費額は、全国で第1位の農業産出額にも匹敵する。
・北海道の基幹産業ともいえる農業にも劣らない観光業は、北海道経済に
おいて重要な位置を占めている。
20
[農林水産省]
[第5回北海道観光産業経済効果調査]
平成22年度 観光客季節別打ち分け
春季(4-5月)
冬季(12-3月)
16%
20%
秋季(10-11月)
夏季(6-9月)
14%
圧倒的に夏に集中している
⇒気候の面から夏が北海道観
光のベストシーズンのため。
また夏休みを利用して来る人が
多いことも寄与している。
50%
【北海道入込観光客数調査報告書】
【夏に集中するその他の理由】
・北海道の夏は涼しくて快適なため避暑目的で来る人がいる。
・道外からは移動時間もかかるため大型の休みがある夏に集中する。
・北海道への観光の形態としては家族旅行が多い。そのため子どもの夏休み
を利用する。
21
3-2 北海道内の移動で利用される移動手
段
外国人観光客
0.0%
40.0%
40.0%
23.4%
9.5%
タクシー
8.4%
0.0%
自転車
2.4%
航空機
1.9%
船舶
1.2%
その他
0.7%
40.0%
9.6%
11.3%
69.3%
29.2%
14.7%
3.4%
2.1%
1.4%
1.2%
1.5%
1.9%
5.2%
2.7%
4.8%
80.0%
19.0%
14.5%
4.2%
レンタ
カー
80.0% 0.0%
24.2%
21.6%
路線バス
道内観光客
42.8%
66.8%
観光バス
オートバ
イ
80.0% 0.0%
30.7%
鉄道
自家用車
道外観光客
2.8%
1.0%
3.4%
22
グラフからわかること

どこからやってきた観光客かで利用する移動手段が違う

外国人の多くは観光バスで移動することが多い

北海道外から来る観光客にとっては、地下鉄やバスなどの公共交通機関
を利用することが多い

北海道内の観光客は、自家用車で移動する人がほとんどで、道路が広く
て走りやすく、運転しながら北海道の自然を楽しめる

北海道外から来る方法は航空機が多く、また航空機以外の方法でも行くこ
とができる
⇒観光地へのアクセスは整っていて、さまざまな方法で移動できる!
しかし、観光地が密集していないので、徒歩で観光地巡りをする場面は限
られる。
23
3-3 北海道観光政策
神威岬
①観光と共生する環境
自然とのふれ合いを大切にする観光地作
り。
②地域の資源を生か
した観光振興
③観光振興による地域と
経済の活性化
自然・食・文化など、北海道ならでは
の魅力を再発見、訪れる人々に感
動を与え続けられる北海道。
道内はもちろん、国内外に地域の
魅力を発信し、地域の様々な産業
が連携して、観光による消費を地域
24
でしっかり受け止める。
目標を達成するための具体的な行動例(1)
①観光地の清掃、環境保全、体験型観光メニュー
の開発(酪農体験、登山、カヌー、花)アウトドアガ
イドの育成
25
目標を達成するための具体的な行動例(2)
②郷土料理の継承(イカめし、ジンギスカン、石
狩鍋)、地元の旬の食材を生かした料理の提供
(海鮮丼)、「冬」を生かした観光メニュー(スノー
モービル、かまくら作り、ワカサギ釣り、さっぽろ雪
まつり)
26
目標を達成するための具体的な行動例(3)
③メディアを活用した情報発信、口コミ、観光商品の開
発やPR
北海道にしか生息していない、エ
ゾナキウサギ。
そして北海道全域に生息し、北海
道を代表するエゾシカ。この2つの
動物を組み合わせることで、
「北海道でしか」味わうことのできな
い、観光の魅力を伝えている。
趣味はひなたぼっこで冬眠はしない。
性別は、明らかになっていない。
キュンちゃん
27
3-4 北海道観光の特徴
・自然や温泉目的で訪れる人が多い。
・冬はイベントを充実させて、
観光客の増加を狙う。
・外国人観光客は増加傾向にある。
・観光業は北海道経済においてかなり
重要な位置を占めている。
28
旅行の内容 ※複数回答可
道内旅行者
0
20
自然観賞
都市見物
道の駅めぐり
ショッピング
花の名所めぐり
動物園・水族館
12.1
8.5
5.1
4.7
4.5
18.5
29.4
28.6
25.3
40
60
(%)
39.6
36.4
29.0
道外旅行者
0
20
40
都市見物
42.7
41.0
37.3
特産品の買物・飲食
ショッピング
20.6
17.1
ドライブ
13.4
9.1
イベント参加・見学
8.8
7.8
テーマパーク・遊… 5.2
30.7
60
(%)
55.7
29
旅行の内容 ※複数回答可
海外旅行者
0
都市見物
温泉・保養
自然観賞
ショッピング
特産品の買い物・飲食
花の名所めぐり
動物園・水族館
スキー・スノーボード
イベント参加・見学
道の駅めぐり
テーマパーク・遊園地
その他
20
40
60
80
(%)
61.8
58.5
51.2
45.0
42.8
27.1
21.6
14.0
14.0
10.2
7.7
28.5
どれを見ても自然観賞と
温泉がトップ3以内!
癒しを求めて北海道に来
る人が多い
30
[平成23年度 観光客動態・満足度調査]
冬のイベント・行事
・さっぽろ雪まつり
・はこだてクリスマスファンタジー
・千歳・支笏湖氷濤まつり
・知床ファンタジア
・しかりべつ湖コタン
・層雲峡氷瀑まつり
・小樽雪あかりの路
・旭川冬まつり
・ダイヤモンドダスト in KAWAYU
他にもたくさん!
雪や氷を使った雪国ならではの
イベント・行事が充実している
31
訪日外国人来道者数の推移
・東日本大震災の影響で
23年度は右下がり
・全体としては右上がりで
増加傾向にある
(人)
800.000
700.000
600.000
500.000
400.000
300.000
200.000
100.000
0.000
(年)
32
[北海道経済部観光局]
北海道の観光業の特徴 まとめ
・都市観光・買物・食べ物とイベント・行事と自然関連の観
光など全てにおいて優れている。
・観光地が密集していないので、徒歩で観光地巡りをする
場面は限られる。
・様々な観光者の用途にあった交通機関がある。
・観光客者数は春・夏に多い。
・観光者が少なくなる冬はイベントを行う等の対策が実施
されている。メディアを活用した情報発信、口コミ、観光商
品の開発やPRも上手くいっている。観光政策はかなり成
熟している。
・外国人観光客数は増加傾向にある。
33
4
京 都 府 の観光について
34
4-1 観光利用者総数
千人
55,000
5000万人達成
50,000
50,210
観光政策「京都・花灯路」開始
49,555
46,896
45,000
43,740
阪神・淡路大震災
世界的景気低迷
新型インフルエンザ発生
40,512
40,000
35,343
35,000
観光客5000万人構想発
表
30,000
H2
H4
H6
H8
H10
H12
H14
H16
H18
H20
H22
観光利用者数は平成7年の3534万人から着実に増加傾向にある。
平成22年度の観光客数は、世界的景気低迷や新型インフルエンザの影響を受けた前年の
4690万人を265万人上回る4955万人となり、過去最高の観光客数である5021万人を記録
した平成20年に次ぐ過去2番目に多い観光客数となった。
35
葵祭
冬(12~2
月), 7,458
春(3~5
月), 14,980
春、秋に観光客は
集中している
平成22年度観光客数
49,955千人
秋(9~11
月), 15,554
春は桜、秋は紅葉が有名
夏(6~8
月), 11,563
時代祭
祇園祭
修学旅行生が集中
京都三大祭のうち、春には
葵
36
祭、秋は時代祭が行われる
平成22年度 利用交通機関別割合
乗用車(個人)
29%
バス
9%
JR
35%
私鉄
27%
さらに、観光施設が京都市内に密集して
いる為、徒歩で観光地を巡ることが可能で
ある!!
37
1.京都府の観光ブランド確立に向けたキャンペーンの実施
~人類共通の価値・「日本の心」にふれる京都~
2.「日本の心にふれる旅」誘客プロジェクトの実施
3.プロジェクト実施のための基盤づくり
38
4.来訪者に優しい京都ならではの「おもてなし」の充実
京都府の観光ブランドを浸透させるため、キャッチコピーやロゴマークを作成
し、
京都の観光地としてのブランドの
ポスターや、パンフレット等でアピールしていく。
確立
1)五感で味わう「本物」めぐり~日本の心を守り伝える老舗・料亭~
全国にファンが多い老舗と料亭を訪ね、代々受け継がれてきた品質と味へ
のこだわりを感じる機会を提供するプロジェクト→伝統を楽しむことができる。
2)日本の心を極める伝統工芸と先端技術~今に生きる「ものづくりの精神(こ
ころ)」体験~
最高のものを求める伝統工芸と世界をリードする先端産業、両者に共通す
るものづくりの精神にふれる機会を提供するプロジェクト
3)日本の心が息づく暮らしと技~自然と共生する思想の体感~
日本文化の根本にある自然と共生する思想が今も息づく京都の暮らしと先
進的な環境技術に学び、地球の未来を共に考える機会を提供するプロジェ
クト
4)日本の心の原風景~丹後・丹波・山城 美の巡礼~
日本の美意識の原点である天橋立や庭園、丹波・山城の里山の風景に触
れ、日本の美しさを改めて感じる機会を提供するプロジェクト
39
4-4 京都の観光面から見た特色(1)
京都の観光における、大きな特徴
・・・「老若男女誰でも
楽しめる」
文化財が多く残っている。
イベント・行事が充実している。
京都ならでは、というものも充実して
いる。
40
京都の観光面から見た特色(2)
1.文化財が多く残っている。
京都府内には、有形、無形、民俗文化財が
162も残っている。
→有形文化財についてはそれぞれ、
四季ごとに違った景色も見ることができる。
清水寺
金閣寺
41
京都の観光面から見た特色(3)
その他文化財として・・・
無形文化財・・・紬織
民俗文化財・・・左大文字送り火
蹴鞠
など、歴史的に有名な行事・風習が
たくさん存在している。
42
京都の観光面から見た特色(4)
2.イベント・行事が充実している。
京都府内では、大小違えど、
365日どこかで祭りをやっている。
EX.京都三大祭(祇園祭、葵祭、時代祭)
鞍馬の火祭
曲水の宴、嵐山もみじ祭り・・・etc
43
京都の観光面から見た特色(5)
3.京都ならではの名産品も充実している。
・芸子
・京野菜・・・聖護院大根、賀茂ナスなど
・八つ橋
観光名所、産物が数多くある。
44
京都府の観光業の特徴 まとめ
・買物、食べ物やイベント・行事や自然関連の観光に強く
、都市観光に弱い。
・観光地が密集しているので、徒歩で街を歩きながら楽し
める。観光地間の移動自体が観光を担っている。
・公共交通機関が充実している。
・観光客数は春、秋に多い。
・外国人観光客数は多い。
・長年観光地として親しまれてきて、観光地としてのブラン
ドがある。
・伝統行事、文化財が多い。
45
46
5-1 産業連関表とは
定義
産業連関表は、ある地域で1年間に行われた経済的な取引を一覧表に
とりまとめたもので、下記のような表で表される。
総務省など10府省庁が共同で日本国内をまとめた全国表を、各都道府県が都道府県表
をそれぞれ作成している。
作成は、原則として、西暦の末尾が0または5の年を対象年に
して、5年ごとに作成している。
中間需要
縦
方
向
は
原
材
料
等
の
費
用
構
成
単位:(億円)
第1次産業
第2次産業
中間投入
第3次産業
合計
雇用者所得
営業余剰
粗付加価値
その他
合計
県内生産額
最終需要
第1次産業 第2次産業 第3次産業 内生部門計 県内最終需要 移輸出
120
140
120
380
91
270
155
516
896
480
26,512
12,145
39,137
12,001
9,888
6,557
28,446
67,583
115
4,588
10,222
14,925
15,477
6,522
9,114
31,113
46,038
横方向は生産物の販路構成
715
31,240
22,487
54,442
27,569
16,680
15,826
60,075
114,517
415
500
18,556 53,287
34,587 5,224
53,558 59,011
合計
915
71,843
39,811
112,569
(控除)移輸入 県内生産額
-714
-35,412
-17,745
-53,871
916
67,671
44,553
113,140
47
5-2 経済波及の流れ
経済波及効果は、主に次の3つの効果に分けら
れ、
(1)→(2)→(3)の順で進んでいく
(1)直接効果
経済効果の基になる効果のことで、新たな消費等によって発生した生産のこと
(2)第1次波及効果
直接効果によって生産が増加した産業で必要となる原材料等を
満たすために、新たに発生する生産誘発のこと
(3)第二次波及効果
直接効果と第1次波及効果で増加した雇用者所得のうち消費にまわされた分により、
各産業の商品等が消費されて新たに発生する生産誘発のこと
48
5-3 生産誘発額の求め方
取引表(モデル)
(単位:兆円)
中間投入
粗付加価値
生産額
投入係数表
産業A
産業B
粗付加価値
計
最終需要
64
441
産業A
産業A
産業B
中間需要
最終需要
産業B
48
46
64
25
369
441
85
420
158
835
生産額
158
835
逆行列係数表(〔I-A〕-1)
産業A
産業A
産業B
列和
産業B
1.469
0.417
1.886
0.145
1.833
1.978
①取引表の値を列和で割り返し、投入係数を求める
産業A
0.3038 (=48÷158)
0.1582 (=25÷158)
0.5380 (=85÷158)
1.000
産業A 産業B
産業A 1.469 0.145
産業B 0.417 1.833
列和
1.886 1.978
産業B
0.0551 (=46÷835)
0.4419 (=369÷835)
0.5030 (=420÷835)
1.000
-1
黄色部分を行列Aとして〔I-A〕
を算出
産業1から 産業2から 行和
産業1へ
94
64
158
産業2へ
27
808
835
列和
121
872
993
49
愛知
北海道
京都
宿泊業・娯楽サービスの経済波及
単位:万円
第一次生産誘発額
62,637,300
50,545,100
24,975,199
計
70,272,301
58,752,100
28,299,844
第二次生産誘発額
7,635,000
8,207,000
3,324,645
※各都道府県の平成17年産業連関表を基に算出
宿泊業・娯楽サービスを観光業と仮定する
波及額だけを見ると、愛知が一番大きい
50
第3 宿泊者統計(平成22年)
延べ宿泊者数
1 東京都
2 北海道
3 大阪府
4 千葉県
5 静岡県
6 神奈川県
7 沖縄県
8 京都府
9 長野県
10 福岡県
11 愛知県
41,911,630
23,283,710
19,619,750
18,358,460
15,630,670
13,978,650
12,738,840
11,986,200
11,924,880
11,727,240
11,443,520
観光目的の宿泊者が50%以上
1 北海道
2 千葉県
3 沖縄県
4 静岡県
5 京都府
6 長野県
7 東京都
8 神奈川県
9 栃木県
10 兵庫県
23 愛知県
15,564,080
13,757,850
10,944,860
10,270,960
9,912,070
8,972,220
8,797,860
6,592,170
6,093,060
5,588,700
2,848,570
観光目的の宿泊者が50%未満
1 東京都
2 大阪府
3 福岡県
4 愛知県
5 北海道
6 神奈川県
7 静岡県
8 広島県
9 千葉県
10 兵庫県
24 京都府
33,104,190
14,352,430
9,341,810
8,521,290
7,714,310
7,380,410
5,309,250
4,989,520
4,600,600
4,170,500
1,890,940
51
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査報告」(平成22)年に基づき愛知県で作成
・前のスライドのデータを基に、観光目的の宿泊者の割合を算出
愛知
北海道
京都
①経済波及額 ➁観光目的の宿泊者の割合
70,272,301
25.5%
58,752,100
66.8%
28,299,844
82.7%
単位:万円
①×➁
17,944,936
39,273,054
23,402,750
北海道と京都が愛知の波及額を上回る
52
6-1 愛知県の観光の特徴 まとめ
・愛知県の観光は都市観光・買物・食べ物とイベント・行
事が強く、自然関連の観光が弱い。
・観光客数は季節の変化に影響しない。
・交通機関は整っている。
・観光政策の効果はまだ物足りなさを感じる。
・『モノづくりの国』と『戦国武将』というイメージがある。
現に、それらを売りにした観光施設・行事がある。た
だ、爆発的ヒットには至っていない。
☆愛知は交通の便も良いので他の県から観光客を集め
て、イベント(特色を活かした産業や武将関連のもの)を
大々的なPRの元、行うべきだ。
53
北海道の観光業の特徴 まとめ
・都市観光・買物・食べ物とイベント・行事と自然関連の観
光など全てにおいて優れている。
・観光地が密集していないので、徒歩で観光地巡りをする
場面は限られる。
・様々な観光者の用途にあった交通機関がある。
・観光客者数は春・夏に多い。
・観光者が少なくなる冬はイベントを行う等の対策が実施
されている。メディアを活用した情報発信、口コミ、観光商
品の開発やPRも上手くいっている。観光政策はかなり成
熟している。
・外国人観光客数は増加傾向にある。
54
京都府の観光業の特徴 まとめ
・買物、食べ物やイベント・行事や自然関連の観光に強く
、都市観光に弱い。
・観光地が密集しているので、徒歩で街を歩きながら楽し
める。観光地間の移動自体が観光を担っている。
・公共交通機関が充実している。
・観光客数は春、秋に多い。
・外国人観光客数は多い。
・長年観光地として親しまれてきて、観光地としてのブラン
ドがある。
・伝統行事、文化財が多い。
55
京都、北海道との違い
京都・北海道は季節ごとに来客者数の変化がある。
一方、愛知県は変化がない。
京都・北海道は自然を売り出している。
愛知周辺の県は自然豊か。愛知県が自然を売りにして、
他県の来客を望むことは無理!
56
経済波及効果の分析より

愛知県の宿泊業による経済波及額は、北海道、京都の
額を上回るものの、その大半はビジネス目的での宿泊
であり、観光目的ではなかった。

観光目的の観点からでは、愛知県の経済波及額は3つ
の地域の中で一番小さくなる.
交通の便も良く、宿泊施設の数も多いが、
その多くはビジネス目的で使用されており、
観光の面では、目立った数字ではなく、
観光面でのPR等が少ない。
57
6-2 私たちの推奨する今後の愛知県の観光政策

イベントを開催する

愛知県の観光を宣伝する

ついでに商法
58
イベント開催
地方都市である愛知県は、交通・人材・施設の豊富な点を活
かし、イベントを開催し、愛知県の観光客数の増幅を狙う。
東海地方からの来客が見込める。
愛知県の特徴を売り出したイベントを開催しよう!
59
宣伝
愛知県は既に観光施設・イベントが多数存在する!
EX.名古屋港水族館、にっぽんど真ん中祭り、世界コスプレ
サミット、モーターショーなど
それらを全国的に宣伝することにより、現在ある観光施設・イ
ベントの来客者数の増幅を狙う。
EX.ご当地アイドルSKEが名古屋をPRする。
ホームページの充実、マスコットキャラつくり
60
ついでに商法
他県の観光地に行く人がついでに愛知県に寄っ
てもらえるように工夫する。
・ サービスエリアの充実
・ 高速道路の近くに、施設を建てる。
EX.愛知物産展を建てる。
愛知のご当地料理を食べてもらう!
61
参考文献
・愛知県観光コンベンション課HP
http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H20/20091124_riyousya.pdf
・愛知県庁HP
http://www.pref.aichi.jp/0000036948.html
・北海道イベント情報
http://www.n43.net/event.htm
・農林水産省 平成22年度農林水産統計
http://www.maff.go.jp/j/tokei/pdf/sansyutu_tohuken_10.pdf
・北海道HP 北海道観光のくにづくり行動計画
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/grp/06/sann.pdf
・北海道観光入込客数調査報告書 平成22年度版
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/H22_honbun_20120907.pdf
・京都府ホームページ 世界遺産(世界文化遺産) 古都京都の文化財
http://www.pref.kyoto.jp/isan/
・京都府ホームページ 「生活共感・感動創造」京都観光戦略プラン
http://www.pref.kyoto.jp/kanko/1191286652424.html
・京都おこしやす.com 京都を観る~京都観光スポット・おすすめガイド~
http://www.kyoto-okoshiyasu.com/see/index.html
・経済波及効果分析の手引き-滋賀県経済波及効果分析ツールの利用
について
http://www.pref.shiga.jp/c/toukei/io/tool/bunseki_tool_tebiki.pdf
・波及さん~経済波及効果算出ソフト~
http://www012.upp.so-net.ne.jp/hakyu/
・安田秀穂(2008)『自治体の経済波及効果の算出』
62
データ出典
・北海道HP 平成23年度観光客動態・満足度調査
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/H23doutai_home.htm
・北海道HP 北海道観光入込客数の推移
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikominosuii.htm
・北海道HP 第5回北海道観光産業経済効果調査
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/keizaikoukatyousa.htm
・北海道観光入込客数の推移
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/irikominosuii.htm
・京都市観光調査年報(2010年度)
http://raku.city.kyoto.jp/kanko_top/image/kanko_chosa22.pdf
・「平成22年度京都市観光調査」および「平成22年度京都観光総合調査」の結果について
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/cmsfiles/contents/0000106/106257/kaike
n811kankou.pdf
・愛知県県民生活部統計課 グラフでみる愛知
http://www.pref.aichi.jp/0000052147.html
・愛知県観光コンベンション課HP
http://www.pref.aichi.jp/kanko/toukei/H20/20091124_riyousya.pdf
63