ボルカールール 08bc134k 畑 優花 ボルカールールとは オバマ大統領の呼びかけにより、米国のポール・ボルカー元 FRB(連邦準備委員会)議長が中心となってまとめた銀行への 規制の追加策の1つ。(2010年1月21日) (1)ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドへの投資 スポンサーになることの禁止 (2)自己勘定取引の禁止 (3)銀行が大きくなりすぎるのを防ぐ ボルカールールとは ◆導入の背景◆ 「今回の様な金融・経済危機を引き起こした原因が、 銀行の放漫経営にあった。 『大き過ぎて潰せない』銀行によって、 米国の納税者が人質にされる事態は2度と起こさない」 銀行への追加規制を強調 (1)HFやPEファンドへの投資禁止 (2)自己勘定取引の禁止 ◆規制対象◆ ①銀行等の預金保険対象機関 ②預金保険対象機関を支配する会社 ③銀行持ち株会社として扱いを受ける会社 ④およびその子会社 ◆立案理由◆ ①「預金を預かっている銀行は安全な資産のみを持て」という考え ②「リスクを取っても最終的には政府が救済してくれるだろう」という モラルハザードを防ぐため (1)HFやPEファンドへの投資禁止 (2)自己勘定取引の禁止 ◆自己勘定取引の禁止◆ 金融機関が自らの資金(自己勘定)で自社の運用資産の効率を 図るためにリスクを取って、金融商品を購入・売却また取得・処分 をする事を禁止。 [ただし米国の国債・エージェンシー債・地方債などは対象外] ◆自己勘定取引の現状◆ GS:全体の収益の5~10%、 MS: 5%以下 City:5%以下、 JPM: 5%以下 ただしどこも複数の HFやPEを所持している (1)HFやPEファンドへの投資禁止 (2)自己勘定取引の禁止 こうした金融システムの安定化の為に 「銀行業務の範囲に規制すべき」という考え方は過去にもあった。 ◆ナローバンキング論◆ 銀行の重要な機能である「信用創造」が行えない 金融仲介機能 決算機能 貸し手と借り手の仲介 口座振替・送金 危機を受けて改めて意義が見直され始めている リスク 預金保険 例:決算機能に特化したセブン銀行 (1)HFやPEファンドへの投資禁止 (2)自己勘定取引の禁止 ◆グラススティーガル法◆ 米国の1933年に利益相反やファイアーウォールの問題から制定 された、銀行業務と証券業務の明確な分離を定めた法律の事。 しかし1999年に廃止。 ユニバーサルバンク つまり数々の金融の暴走、利益相反、モラルハザードを、 金融業をバラバラにして防ごうとした (3)銀行が大きくなりすぎるのを防ぐ 金融システム内で、負債額が市場の10パーセント以上になる銀行 の合併や吸収を禁止。 ◆立案理由◆ 「数社の大手金融機関のみがアメリカ国民にサービスを提供する 金融システムは、消費者にも経済にもよくない」 「too big to fail」を防ぐ (3)銀行が大きくなりすぎるのを防ぐ ◆対象金融機関◆ ①預金保険対象機関 ②銀行持ち株会社 ③預金保険対象機関を支配する会社 ④貯蓄金融機関(S&L) ⑤ノンバンク金融会社 ※アメリカにはすでにリーグル・ニール法という、 「国内預金の 10%を超える合併・買収を禁ずる」法律がある。 最近のアメリカでの動き 2010年1月21日:オバマ大統領が「ボルカ―・ルール」を公表 3月3日:財務省がこれを法案化し、連邦議会に提出 3月15日:上院の規制法案(ドット案)が公表される。 この案には財務省の提出したボルカ―ルールが ほぼそのまま反映された 5月20日:上院で可決 6月10日:上下院で「米金融規制改革法案」の一本化を協議 • ⇒ボルカ―ルールも含まれる可能性を示した 最終的な法案は7月初めまでに可決されると予想されているが、 アメリカでは導入に賛成する意見も多くある 各国の反応 イングランド銀行のマービン・キング総裁はボルカー氏と同様、 「必要なら大手金融機関を分割する」と表明。 フランスのニコラ・サルコジ大統領も 「金融規制強化に動いたオバマ大統領は正しい」と主張。 独仏にはユニバーサルバンクと呼ばれる金融機関が多く、 強い抵抗がある。 主要国での同意は難しい ボルカールールの影響 オバマ大統領の演説後、金融株が下落。(オバマショック) また、「アメリカの銀行の競争力が下がる」という判断から円高ドル安 が進んだが、ボルカ―氏の「規制は各国と協調して進めていく」とい う言葉から、現在不安は和らいでいる 論点 ボルカ―ルールの是非
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