21世紀の食糧問題 ~中国の動向が世界を動かす~ 総合政策学部 3年 長島 慎吾 目 次 • • • • • 工業化の過程における歴史的事実を検証 縮小する耕地と土地生産性の限界を検証 深刻な水不足の現状を検証 人口増加の予測とその予防を検討 世界安全保障の観点から見た食糧問題を検討 • 今後の食糧事情における中国の世界に果たす べき役割 工業化の過程における歴史的事実 • 工業化をする前に人口密度が高かった国 → 日本・韓国・台湾 • 土地不足 → 工業化をする際の必然的な 結果としてもたらされるもの • 工業化に伴うインフラ設備の拡充と整備 – 農業用地が犠牲に • 中国はこの三国と同じ道筋を辿っていく 縮小する耕地と土地生産性の限界 • 約960万km2の中国での耕作可能な土地はわ ずか10分の1程度 • 日本、韓国、台湾における穀作耕地面積の減 少に与えた影響 → 四つの傾向 – 耕地が農業以外の用途に転用 – 生産性の期待できない耕地の放棄 – 多毛作の減少 – 果物や野菜への作物転換 縮小する耕地と土地生産性の限界 • 土地生産性の向上を阻害する要因 – 飛躍的な技術進歩の可能性 – 限界に近い化学肥料投入の効果 – 大気汚染と酸性雨の問題 – 水資源の限界 • 全ての面における画期的な技術進歩なくして、土 地生産性を向上させることはできない 深刻な水不足の現状 • 北半分:砂漠や山に囲まれた乾燥地帯南 半分:水資源が豊かな地域 • 中国北部では穀類の約40%を生産 • 北部における地下水位の低下 • 黄河が干上がるという状況 • 97年では約7カ月間ほど干上がった 南水北調計画 人口増加の予測とその予防 • 毎年1200万人ほどの人口増を記録 • 2017年までに15億人 • 2045年までに16億6000万人 • 西側半分は人間の居住に適さない土地 • このような国土状態での人口増加による二つの影響 – 一人当たりの耕地面積が縮小すること – 耕地が住宅地へと転換させられてしまうこと 人口増加の予測とその予防 • 人口増加を引き起こしてしまう要因 – 医療技術の進歩や衛生状態の改善 – 死亡率の低下にもかかわらず出生率が減少しなかった – 農業のための労働力を確保することや老後の生活保障のた めに子供が必要 – 「多子多福」「男尊女卑」などの倫理観念の影響 • 教育を普及させること、人々の意識変革 • 人口の安定化を早急に行う必要性 先進・途上地域別世界人口の推移 先進・途上地域別世界人口の推移 単位(100万人) 11000 慢性的飢餓状態にあるアフリカや南アジアで 10000 は今後も人口増加がかなりの勢いで続いて 9000 いく見通しである。21世紀半ばの段階でイン 8000 7000 ドは中国を追い越すともまで言われている。 6000 5000 4000 先進地域は人口安定化を達 成している。 3000 2000 1000 0 1950 1960 1970 1980 1990 途上地域 2000 先進地域 2010 2020 2030 2040 2050 世界安全保障の観点から見た 食糧問題 • 世界の食糧事情における対照的な特色 – 先進諸国 :生産過剰と飽食 – 発展途上国:食糧不足と飢餓 • • • • 69年から71年では9億2000万人 90年から92年では8億4000万人 主な飢餓状態の国はアフリカや東南アジア 飢餓の原因 – 砂漠化、政情不安などで食糧生産が人口増加に追いつかな いこと、大国による植民地支配や占領、人種差別などの社会 的な不平等を含む歴史的背景、食糧が平等に行き渡ってい ないこと、その他 人口増加 外貨獲得政策 中国における工業化の推進 = 他の発展途上国を考慮していない 農業政策の失敗 農業の軽視 農業教育の不足 食糧需要の増大 換金作物の重視 耕地不足 森林伐採 ↓ 限界以上の耕作 化学肥料の限界 水不足 耕地の荒廃と縮小 単なるエゴイズムではないの か!? 過度な放牧 土地生産性の低下 難民の発生 食糧不足 最終的な帰結点は「中国の人々の 意識変革」にある! 地域紛争勃発 飢餓状態の発生 多産化にシフト 今後の食糧事情における中国 の世界に果たすべき役割 • 食糧安全保障に関して今後の中国の動向によって生 き延びることができる人とそうでない人が存在してくる • 中国は食糧獲得を輸入に頼らないで、自国の生産性 の向上を図っていくこと • 水の生産性を向上、人口の早期安定化、農業への投 資を増やすこと、食糧分配を真剣に考えること • 食糧問題を手遅れになってからでは手の施しようがな い問題として捉える姿勢の構築 参考文献 • 川島利雄 渡辺基 『食料経済』 • 東京大学農学部 • 山本裕美 培風館 97年 『人口と食糧』 朝倉書店 98年 『改革開放期中国の農業政策』 京都大学学術出版会 99年 • レスター・ブラウン 『緑の革命』 ペリカン社 71年 • レスター・ブラウン 『食糧破局』 ダイヤモンド社 96年 • レスター・ブラウン 『だれが中国を養うのか?』 ダイヤモンド社 96年
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