関西大学総合情報学部 退職記念最終講義 私の経済学研究と教育 山名(岩田)年浩 1 1 生い立ちから 持豊公の長男筋の山名家・一族の内訌・衰退 ・・近世を通じて備後で浅野家とつながり、また和 鉄の生産で大阪へ進出した(江戸中期の山 名甚内が努力) 母と第二次大戦 父と岩田家の商い(琺瑯釉薬の開発と軍への大量販 売) ・・・チャンスを見逃さない企業家精神(大 正期の岩田幸七は大同生命の前身の真宗生 命の立ち上げや京都商議所の幹部でもあっ た) しかし、二つの家を背負う苦悩も (左の写真は六百年前の山名の軍旗) 2 明治35年のアメリカ・ワシントン訪問 3 2 学生時代 中学・高校時代の挫折と左翼 結局、数理的マルクス経済学(建林正喜・置塩信雄)に向かう 自宅療養中の私への父のケインズ経済学の集中講義 この講義以降、各種の経済学派に関心をもち、 学ぶことになった。 神戸商科大学では(杉本栄一の弟子で近代理論経済学の内 在的批判で知られていた)末永隆甫先生のゼミを選んだ 4 経済学の主な諸学派 1 資本制批判のマルクス経済学 ・・・元は啓蒙思想の一派で、根本的には公平を理念としていたが・・・ 2 資本制の枠内での近代理論 ・・・根本は共通して、効率を理念としている ① ケインズ経済学 ・・・市場の調整能力は不十分として政府の保護介入を主張 ② マネタリズム(新自由主義)経済学 ・・・市場の調整能力は高いとして競争原理を主張 ③ 制度学派 ・・・個人の行動が制度によって規制されているという学説 5 3 経済学の果たす役割 経済学の目的は何を基準に市場経済は動いているのかという 原理を明らかにすることにある 一般に、経済金融知識は市民にとって必要な経済知識の獲得 にあり(経済学は悪質商法対策を含む日常生活のルール)、経 営管理能力、国際化に対応できる能力などに不可欠 ところが、これまでの日本の学校教育では経済分野は社会科の 中でも暗記的分野であり、内容的には弱かった その根本原因は日本の経済と経営の国家依存体質が本来の 市場経済社会とはかけはなれてきたということに求められる 情報化・グローバル化・ベンチャーの時代に経済教育はもっと 重視されてよい そして、経済学研究者の養成 6 4 求められるリアルな経済学 現実から出発し証明していく、実証的カオス経済分析の必要と 音の発生の体験 ・・・各種国際学会(New Kind of Science, Atlantic Economic Society ,Intel Economic Academy )であいついで発表 7 例:京セラ(-20.5デシベルの波形) ここでは、株価の音も聞いていただきましょう ☆スペクトル図による他の優良銘柄 TDK、アドバンテスト、HOYA、ゴールドクレスト、イオン ホンダ、伊勢丹、キヤノン、すかいらーく など 5 各大学での経験 大阪経済法科大学・大阪教育大学・関西大学総合情報学部、 そして次へと職場は移る 外部評価等で伺った大学・・・京都大学経済学研究科・東北大学 教育学研究科・静岡大学人文学部・富山大学経済学部・神戸学 院大学・甲南女子大学・九州産業大学 中国の大学(重慶大学・安徽財貿学院・清華大学・大連理工大 学・大連交通大学・延辺大学) 学生の席で中国語の特訓を半年間受けた体験(大連交通大学 で) 9 2000年ゼミ(中国重慶大学へ) 2005年ゼミ 土曜日の課外授業 2006年ゼミ た楽 ゼし ミく ナ有 ー意 ル義 だ っ 2008年ゼミ (韓国漢陽大学校へ) 2009年ゼミ 卒論が『朝日新聞』2006.11.16に掲載された 10 6 教員にとってメッセージが伝 わらなければどうにもならない ー学生諸君に何をどのように、どこまで伝えるか・・・ホームページ で全国の大学教員のためのコンサルタントルームを開いてきた 経験と全国講演560回の経験からー 現代日本の大学生の変容 学生の教員評価は授業の効果を高める宝の山 教育を軽視する日本の大学教員の体質 情報機器の活用の必要とその落とし穴・・独自の授業支援プロ グラムを開発・実践 学生がどこで間違った理解をするかを詳細に把握する必要が ある ・・・昔は質問カード(今はメールでの)整理と回答準備の効果11 7 経済知識を生かす 関心を広げ(関心が少なく、知的情報の少ない者がコピーペ イストに走る)、異質のものを結び付けること 経営学と関連させて経済学を生かすこと 若者が未来を奪われてはならない・・・世のため人のために 生き抜ける、自立した人に。偏差値社会の克服へ人格の形 成こそ経済教育の目標 合理的な自分の作戦を立てて実行する、自分を高める、モ チベーションを絶やさない 持豊公の金言 先例にのっとることばかりを強調する公家 に対して「これよりは時という字を根本に据えるべし」と(中世 の『塵塚物語』より) ・・・時には変わり身も大切、そして、常に和戦両様の覚悟を 12 ご静聴有り難う御座いました
© Copyright 2025 ExpyDoc