HAPPYな生き方って何かな? ~本当の幸福とは~

2013年12月8日
小林 正弥
千葉大学大学院
慶應義塾大学SDM研究
科(特別招聘教授)
前野 隆司
慶應義塾大学
SDM研究科
 お金?
健康? 地位? 名誉? 快楽?
 ポストモダン的虚無主義(ニヒリズム):幸
福なんてない?
 それとも?
 ブータン:GDPに代えて、GNH(国民総
幸福)へ
 幸福学:幸福哲学への招待
 ハピネス、ウェル・ビーイング(良くあるこ
と=安寧・福祉)
 快楽主義:幸福=快楽:古代思想、感覚主義
→利己主義・功利主義
 人生の目的=幸福=快楽=善、苦痛=悪
 「快楽=欲求」の質の問題(J.S.ミル):刹
那的な幸福、低級な幸福?
 本当の幸福とは?
 浅い幸福(表層エコロジー)/深い幸福(深
層[ディープ]エコロジー)
 浅い(表層)幸福/深い(深層)幸福
 心の深いところで感じる、真実の幸せ
表層
表層
多層的幸福
深層
 内的幸福:外的・物質的幸福だけではなく、
質的に良質・善・精神的幸福→超越的幸福=
至福
 永続的幸福:刹那的ではなく、中長期的・持
続的・永続的
 公共的幸福:私的・個人的幸福だけではなく、
コミュナル・社会的幸福。
 質的+時空間的幸福
自己超越の欲求
 科学的心理学:ネガティブ心理学→ポジ
ティブ心理学 持続的な幸福、安寧
(well-being)
 科学的研究において、心の(病気ではな
く)健康に焦点
 ポジティブな心(楽観主義、前向き、自信、
希望、思いやり・愛、感謝)→幸福、健康
 ネガティブな心→悲観主義、落ち込み、不
安、絶望、病気、憎悪、不満
 人格(性格)の概念の復権→人格の強み=
美徳の重要性
欲求
外的幸福
生理的
安全
所属と愛
承認
自己実現的
自己超越的
表層的
福利
公共的
善
内的幸福
深層的
 最高善=幸福(エウダイモニア)
 エウダイモン
善き精霊(神)→ 意味:開
花(flourish)
 最高善=究極的・自足的な目的=幸福=人間
の最も善き、最も究極的な
卓越性(アレテー、美徳)
に即しての魂の活動
 美徳→「善き生」→幸福
 充実した内的幸福として開花。
 福利型:功利主義
 自由型:リベラリズム
 美徳型:コミュニタリアニズム
善き生
 統合的幸福:外的+内的幸福
 ハピネス=ウェル・ビーイング(良くあるこ
と=善なる存在=善存在=安寧・福祉)
 無我:快苦→無執着。静穏
 涅槃寂静
「世俗のことがらに触れても、
その人の心が動揺せず、
憂いなく、汚れを離れ、
安穏であること――
これがこよなき幸せである」
一番古い仏教経典
『ブッダのことば スッタニパータ』(中村元訳、岩波文
庫)

 西洋的幸福論:魂の内的幸福→外的幸福への
開花
対話法
 東洋的幸福論:無執着→内的幸福 瞑想法
 幸福のアート(技術):対話・瞑想による深
化
 内外幸福=統合的幸福への道
 幸福1.0(表層幸福)→2.0(深層幸福)
 真実の幸福:ディープ・ピース→統合的幸福
 共に、幸福な公共世界を=幸福世界:幸福→
福祉(welfare,well-beiing)・環境・平和
 次回:平和 ディープ・ピース
 ショーペンハウアー『幸福について』
(1851):消極的幸福論
 ヒルティ『幸福論』(1891-1899):宗教的
幸福論
 アラン『幸福論』(1928):主意主義的(意
思的)幸福論
 ラッセル『幸福論』(1930):経験主義的幸
福論
ポジティブ心理学
人格(性格)の概念の復権→人格の
強み=美徳の重要性
 歴史的美徳
愛(仁・信)・智(賢慮・節
制)・力(勇気・正義):仁義礼智信(儒
教)、正義・賢慮・勇気・節制(ギリシャ)
+愛・希望・信仰(キリスト教)
 「生き方の価値(VIA)」研究:叡智と知
識、勇気、人間性、正義、節制、超越
 私的幸福:個人
 公的幸福:国家が決定?
 公共的幸福:個人→公共的・コミュナルな幸
福(アラン)
 他者=公共(目的)のための個人的幸福(カ
ント
 ミクロな個人を起点にしつつ、その水平的な
相互作用・相乗作用によるマクロな公共的幸
福(→個人に再び影響)
 前野説:地位財と非地位財
快楽型を超え
て。
 幸せの4つの因子
1
自己実現と成長:自由型→個人的な「善き
生」の美徳型(卓越、完成主義)
 2 つながりと感謝:コミュナルな美徳型
 3 まえむきと楽観:ポジティブな美徳型
 4 独立とマイペース:リベラル・自由型
 愛:陥るものではなく、積極的・能動的な
アート(技術)、自分の全体性・個性を保っ
たままでの他者との融合(二人でありながら1
人)
 能動的性質:与えること、配慮・責任・尊
敬・知
 愛のアートの修練:規律、集中、忍耐、修得
に最高の関心
 自分の愛・他人の可能性に対する信念、勇気