都市環境工学特論

環境共生系専攻
今 井 剛


講師:星隈先生(コンサルタントの方)
上下水道の専門家

11月18日(火) 7・8、9・10限
D講義棟 D32講義室

代わりに12/2,12/9は休講となります。












1.1 都市の変遷と将来
(a)都市の発達
都市とは人間が集まり住む場
→火や道具を使って高度な生活
をなしえてきた
図1.1(a)原始時代→動物の群集と大差なし
環境側にとって人間の存在は取るに
足りないものであった
人間側にとって自然環境の脅威にさらされた生活
→ 大きい集落を作り、その内部では人間の
存在に適した環境を確保










→農業活動の必要性:特定の作物の栽培
農村と都市の分化
→住環境の形成(安全度の高い生活)
しかしながら、都市の発達により人間活動が外部の環境
に影響を与えるようになった
(木を切り、森を拓く)
人間は居住地近辺の自然を利用し、人間の集住地の外
側にまで人間活動の影響が及ぶようになった(図1.1(b))
→産業革命によって化石燃料を利用して、生産活動
を飛躍的に増大させた。
→人間活動による影響範囲が重なるまでになった
(図1.1(c))






2001年で地球における人口は61億人
都市部に居住する人:先進国で75%(表1.1)
発展途上国では農村人口が多い
メガシティ:様々な環境問題が凝縮した形で生じる
→複数の都市を包み込むように発達
(東京メガシティ)











(b)環境問題の台頭
環境容量:自然環境の持つ汚染物質など人間が与え
る負荷を受入れて無害化する受容能力の容量
→自然浄化能
「百尺流るれば水清し」・・・だっけ?
容量を超えると・・・公害、環境問題
大気:英国ロンドン~霧の街 かつてスモッグの街
:米国ピッツバーグ
:日本四日市ぜんそく
水 :英国ロンドン~テムズ川
日本:隅田川








都市の隣接の問題(図1.1(c))
東京湾沿岸や瀬戸内海~第六次水質総量規制
濃度規制→総量規制へ
富栄養化問題、CO2排出量
対策:ローカルチェンジ(公害) →グローバルチェンジ
(地球環境問題)へ
図1.2
人間社会~分業化(都市と農村、国家間でもいえる)
発展途上国に環境負荷を与えて「成果(製品)」のみ
を買う(輸入)→このような他地域での
環境負荷を「誘発環境負荷」という

(1)COP3およびポストCOP3について調べよ

(2)コンパクトシティについて調べよ

各A4数枚程度、提出期限10/28の講義まで。



公害(汚染)→かつては希釈すれば済んでいた問題
→今はそうではない
①栄養塩(N,P,K:輸入に頼っているため
日本に溜まる一方)
②水:バーチャルウォーター
10/07はここから


(c)都市と環境問題の関係
・・・密接に関係がある
①都市が環境問題の原因となる
面積あたりの活動量が高い → 負荷も大きい
(濃度・総量とも)



②都市は環境変化の影響を受けやすい
人工的な空間 ← 環境変化の影響を受けやすい
(水不足、積雪、洪水など)
③都市計画や環境計画が環境問題を深刻にし、また
反対に緩和にも貢献できる
都市交通~大気汚染、CO2排出、騒音
→公共交通や自動車交通システムの整備、
さらには住宅や商業地域の配置に依存
→都市全体の計画(マスタープラン)の役割大
④環境改善対策 ex.CO2問題の解決のために提案
されている技術の適用の場として
都市が適する
→発生の場が対策を取るのに有効な場




(d)持続可能な発展と環境共生都市
(Sustainable Development)
環境:限りある天然資源・・・という認識
Sustainable Developmentの定義
→将来の世代がそのニーズを満たす自由度を損なう
ことなく、現世代のニーズを満たすような発展
生活の質(QOL:Quality of Life)を満たすこと
→これには、衣食住のみならず、文化的な環境、安全
など広い要素が含まれる
→ただし、発展途上国においては、まず衣食住の確保
が第一である。(衣食住の足りていない
人に環境問題の話はナンセンス)




都市は持続的な発展を支援するものであり、それが実際
に形を取って現れる場でなければならない
都市は持続可能性の低下にも向上にも寄与する存在
→環境共生都市へ「環境と人間活動をうまく両立」
エネルギーや物質の消費
→環境への負荷
→人々の生活の質を考慮しつつ、負荷削減を図る
→「どうやって??」・・・教科書には書いてない!
「コンパクトシティ」という考え方・・本日提出のレポート
→徒歩圏内に全てがそろっている
→周辺環境にできるだけ影響を与えない
→区分けされ効率的な配置
→新しく作るにはいいけれど・・・





1.2 横断的に見た都市の環境問題
(a)現象の規模による環境問題の分類
CO2、ごみ、水、大気
→互いに関連 - 横断的に見る
図1.3 規模と影響の面から見たもの
都市 ←→ 環境
互いに影響を受ける
全地球規模~温暖化( CO2 )、オゾン層破壊(フロン)
→物質の発生場所とは無関係に全地球的に広がる
(全ての物質がそうであるが、特にそのスピード
においてガスが注目される)

(1)フロンによるオゾン層破壊のメカニズムについて
調べよ

(2)大気の循環速度について調べよ

期限:次の講義時

(1)フロンによるオゾン層破壊のメカニズムについて
調べよ

(2)大気の循環速度について調べよ

16:20まで小レポートに記述

(1)COP3およびポストCOP3について調べよ

(2)コンパクトシティについて調べよ

各A4数枚程度、提出期限10/28の講義まで。
10/14はここから





準地球規模~酸性降下物(雨)(風(偏西風)の影響)
→NOX、SOX(やはり、ガス)
地域/都市規模~森林破壊、大気汚染、水質汚濁
廃棄物、土壌汚染、ヒートアイランド
発展途上国における非都市部
→人間の定住と農業活動/都市内における緑地喪失
(先進国)
地区規模~日照問題、騒音、振動、悪臭
→住環境に関する問題(日々の生活に密着したもの)
さらに、建物内規模~シックハウス、石綿(アスベスト)




典型七公害:書けますか? (10ページ上を参照)
→かつての公害問題
(b)都市活動への影響から見た環境問題
①人間の健康に影響をもたらす物質あるいは要因
・Hg、Cd等の重金属類
・大気汚染物質(排気ガス・光化学スモッグ)
・ダイオキシン
・内分泌攪乱物質(環境ホルモン)
・水道:クリプトスポリディウム原虫、ノロウィルス
②環境を利用する上で障害になる問題
生活排水による富栄養化:アオコによる利水障害
(水産・農業へも影響)


③都市を構成する資産に物質的な損害を与える
地盤沈下
→土地の価格の低下、利用の制限
さらには、海面上昇(温暖化による)
④人間が生活していく上で望まれる快適性の喪失
→騒音・振動・悪臭
近年はこれらに加えてヒートアイランド
快適性には心理的要因も多く含まれる
都市の景観や自然(緑や水)との接触の欠如は心神喪
失の原因になるとも言われる






⑤住環境
十分な日照の確保、騒音の防止、
十分な隣棟間隔(日本とヨーロッパでは違う?)
良好な町並み、緑地、健全なコミュニティの形成
(プライバシーの確保との両立)
コンパクトシティ(前出)
(c)自然環境から見た都市の環境
自然環境に対する人間活動の影響
都市との関連で環境問題を考えるとき、どのような立場
で自然環境をとらえるのか?
どのような変化をもって「問題が生じた」とするのか?




原始的な自然を絶対的な善とする立場
→都市の存在は認められない(これは取り上げない)
都市生活者たる人間から見た環境問題として見る立場
(生態系に配慮しないということではない)
→それぞれの生態系の持つ重要性を人間の価値観に基づ
いて見る
例えば、都市内の小規模な緑・水辺利用
(自然から見ればそれほど価値は大きくない)
→都市に居住する人間から見ると大変貴重
→都市内の生態系に高い価値を見出す
都市内の農地も同様である
→特定の種のみの生育は生態系として貧弱(沈黙の春)
→土の存在・それとの接触、貴重な緑の空間



里山:自然のものでなく、人が作り出したもの(二次林)
(人と自然の共同作業、と言う人もいる)
人間と近い関係にある生態系
→自然ではないにしろ、それすら維持されなくなったら
かなり危険
→「護るべきもの」との認識
ビオトープ
人間活動が環境に与える影響を知った上で、その影響
を組み込んだ生態系を護り、創っていくことが大切

(1)ビオトープの定義とは何か、調べよ

(2)ビオトープの例について調べよ

期限:次の講義(10/28)時

(1)ビオトープの定義とは何か、調べよ

(2)ビオトープの例について調べよ

期限:16:20まで小レポートに記述
10/28はここから






(d)環境負荷の考え方(p.12)
公害の時代~原因者と被害者、原因物質とそれによって生
じる公害としての結果が明確であった。
↓
今日では、人間活動自身が原因となる環境問題の重大化
(ex.CO2、フロン、廃棄物など)
→化石燃料に依存し続けてきた我々の今日の生活
そのものが原因となる
ゴミも同じ、汚染物質がCO2(ごみ!)も含み始めているとい
う事実!
都市域の拡大と土地利用の変化
→周辺の環境(生態系)に大きな影響を与える
図1.4 「環境負荷」の概念:個別ではなく、全体的な人間
活動の多様な影響を表す。
1993 環境基本法~「環境負荷」という言葉が使われるよう
になった
「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与す
るとともに人類の福祉に貢献する」ことを目的とし、「環境負荷
の少ない持続的発展が可能な社会の構築」をめざす。
 法に基づき策定された環境基本計画
(1)環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システム
の実現
(2)健全な生態系の維持・回復及び自然と人間との共生の確保
(3)環境保全に関する行動にあらゆる主体(皆)が参加する社会
の実現
(4)国際的な取組
→社会のあり方という根元的な方向に問題の原因を遡って考え
る重要性

→社会のあり方という根元的な方向に問題の原因を遡って
考える重要性
 現代の物質文明そのものを見直すことを求められている
 環境問題は産業の問題ではなく、
 「われわれ市民一人ひとり、そしてわれわれが住む都市
という場そのものが環境負荷の根元になっている」という
認識が重要
→人は自分を悪と認めることは難しいもの、
この克服が大事






1.3 都市の物質的動きと環境影響
(a)生態系の構成要素としての都市
生態系は生物と環境から構成されている
↓
↓ ↓
システム 相互作用
地球全体も1つの生態系(エコスフィア:図1.5(a))
池の水一滴にも1つの生態系が存在
図1.5(a)→全ては太陽によって維持される「閉じた系」で
ある
→現代の都市と農村を対比させて描くと・・・図1.5(b)
生産者:農村、消費者:都市
都市は太陽のみでなく、化石燃料に依存
さらに、都市のみならず、農村も化石燃料に依存
→農業が機械に依存
加えて、化石燃料を用いて生産された肥料に依存
→本来循環すべき量以上の物質(CO2)が生態系に
入ってきている
その結果、①CO2の人為的排出・その蓄積
②廃棄物問題の深刻化
→物質循環上のひずみ
 投入エネルギーと得られる代価の関係はそう変わるものでは
ない
→生産量が飛躍的に増加した場合、それに費やされるエネル
ギー(化石燃料)も増えているはず
→それによって、時間が得られ、科学技術が進歩したともいえる
しかし、人の進歩(成熟)はあったのか?

(1)脱硫設備について調べよ

(2)溶融設備について調べよ

期限:次の講義時

(1)脱硫設備について調べよ

(2)溶融設備について調べよ

16:20まで小レポートに記述


講師:星隈先生(コンサルタントの方)
上下水道の専門家

11月18日(火) 7・8、9・10限
D講義棟 D32講義室

代わりに12/2,12/9は休講となります。

11/4はここから






(b)都市の物質代謝(p.16)
我々の体:食べ物をエネルギーに変えて活動、同時に
不要物の排泄も重要
物質代謝:物質の形を変え、有効に利用すること
→都市もまた同じ(図1.6)
Ex.食料は確保されても電力を含むエネルギーが絶え
れば、都市の活動はほとんど止まってしまう。
Ex.排泄される廃棄物や廃水が溜まるとこれも大問題
(地震時などでも報道されたことがある)
都市内の様々な物質代謝
→多くの場合、プラスの価値のものをマイナスの価値を
持つものへと変換する
(すなわち、環境負荷を与える)








図1.6:エネルギー → 熱とCO2、水へ(環境負荷)
電力が都市の外で発電されていれば、都市の外でCO2
が排出されていることになり、都市がそれをもたらして
いることになる!
水→水道→汚水へ
多様な製品→使用→廃棄物へ(環境負荷)
※使用されずにゴミになるものも!
原材料として入ってくるもの→一部は付加価値がつい
て製品になる→一部は廃棄物+排水となる(環境負荷)
日本は工業国:
原料→輸入(in)→日本→(out)→製品(輸出)
ゴミ溜まる










日本は工業国:
原料→輸入(in)→日本→(out)→製品(輸出)
ゴミ溜まる
C(炭素)→CO2へ↑
N(窒素)→溜まるN2へ↑
P(リン)→溜まる・・・一方
これらの環境負荷から環境を守っているもの
→排水処理、排ガス処理(ex.脱硫設備)、焼却設備等の
エンドオブパイプ技術(End of pipe technology)
環境中に汚染物質が排出される直前の、いわばパイプの末
端に適用されるものであるため、こう呼ばれることがある。













出されるものは様々であり、当然「限界」がある。
→循環技術/再生技術へ
特に「特定の汚染物質による公害」
↓
「我々の日常生活が原因の環境問題」
→パイプの最下流から上流に遡った対策が必要になってきた
(例)ゴミ問題
ゴミを減らすため(埋立地(最終処分場)の不足から)に焼却が行
われている。
→それでも足りずに「溶融してスラグ化」(体積を減らすため)
→しかし、埋立量はゼロにはならない
→ゴミそのものを減らす(ゴミの排出抑制)という上流側での
根本的な対策が必要となる
3R(Reduce, Reuse, Recycle)










(例)CO2
点源(ポイントソース:発電所、工場等)はともかく(CO2固定
化技術などで対応)、面源(ノンポイントソース:車、各家庭
における暖房(灯油)等)についてはエンドオブパイプ技術が
現状では存在しない。
唯一の対策が排出抑制(できるだけ使わないこと・・・)であ
る。
→ヒートアイランドも同様。
よって、環境負荷の低い社会を作るには、
→エンドオブパイプ技術を駆使しながら、「上流側の対策も
同時に行うこと」が重要となる。
さらには、トータルとして考えること(リサイクル、循環などが
キーワード)が重要である。
→原料変えるとか、廃棄物が出ない設計とか・・・。

(1)なぜ、輸送機関別のエネルギー消費原単位にお
いて海運が鉄道よりも4倍近く高いのか?について調
べよ(表1.3) ちなみに船の燃費ってどれくらい?

(2)軽自動車の規格について調べよ(車両的なもの
から、税制度まで)

期限:次の講義時

(1)なぜ、輸送機関別のエネルギー消費原単位にお
いて海運が鉄道よりも4倍近く高いのか?について調
べよ(表1.3) ちなみに船の燃費ってどれくらい?

(2)軽自動車の規格について調べよ(車両的なもの
から、税制度まで)

16:20まで小レポートに記述
11/11はここから






1.4 都市への集中と交通(p.18)
(a) 都市への集中
急速な都市への人口集中 → 都市問題を引き起こ
す
日本を例に考えてみると・・・
高度経済成長期を含む1960~2000年の間に
人口は9340万人→1億2690万人へ(35%増)
都市内の「市街地」はDID(Densely Inhabited
District)として統計的に定義されている。
人口密度40人/ha以上かつ、つながっている地区の
人口規模が5000人以上
→「人口集中地区」とも言う。






DIDに居住する人口の比率は1960年(45%くらい)→2000
年(65%くらい)へ
いまや人口の多数が、人口集中地区に居住する状況(図1.
7(a))
さらにこれは、大都市部への人口集積(東京を中心とした首
都圏、名古屋を中心とした中部圏、京阪神を中心とした近畿
圏、これら三大都市圏におけるDID人口の比率は80%を越
える)
→都市域面積の拡大(図1.7(b),(c))三大都市圏DID面積
の拡大。一方でDID地区内の人口密度は減少
→人口密度が比較的低い地域が拡大(スプロール化?)












図1.8 住宅の戸数
都区部、大阪中心(大)
その周辺はまだ低いものの増加(大)
いわゆる、スプロール現象(蚕食)
→自然(環境)にとって好ましくない
ところで、なぜ人口は集中するのか?
図1.9 高度経済成長期に始まる
→その後、沈静化
→バブル期に再度集中(1980年代後半)
ジニ係数~所得格差を示す指数
→都市を中心に経済成長
→所得格差 → 人口が都市へ集中



自由経済の中では避けられない問題なのか?
発展途上国ではさらに深刻である。
大気、水、廃棄物~物理的環境問題
貧困~社会問題
所得格差: 都市>農村
人口が都市へ集中
中国~民工問題
盲流:スラム街への貧困層(スクォッター)
の流れ込み










(b) 都市のモビリティ(p.21)
かつて、人は生まれた土地からほとんど外へ出ることはな
かった。
現在:人は働くため、学ぶため、生活のため、余暇のため、に
移動する。
→人の生活の質の面でも重要
一方で、人の移動がなければ企業の活動は続けられない。
「モビリティ」の定義:人や物の移動のしやすさ
交通という移動手段が都市規模の拡大を可能にした。
物流(物の移動):都市の内部、また内外を結ぶ生命線
都市にとっても人にとっても重要な要素。一方で環境負荷増
大の一因











(p.22)
パーソントリップ調査~人々はどのような目的で移動するの
か?
図1.10(ただし、平日)
帰宅以外:それぞれの目的を終えた後であるので除外
通勤・通学 < 買い物等の「私的トリップ」←多い!
(義務的なトリップ) 1987→1999の変化からも私用が
増えている
三大都市圏でも全国でも変わらない傾向
→基本的なライフスタイルは大都市も小都市も変わらない
しかし・・・交通手段は異なる。








交通機関の発達によって、移動する人の数、一人あたり
の移動頻度、移動距離は増加した。
→指標「人・キロ(人-km)」
(輸送された人数に移動距離を乗じたもの)
・・・交通機関ごとに示すと:図1.11
二度のオイルショック、バブルを経て、一貫して輸送の
総量は増加。しかし、1990年代終わりから飽和?
一人一年一万km、一日で26km移動
(p.23)
マイカーの増大(モータリゼーション)













(p.23)
マイカーの増大(モータリゼーション)
[注]図1-11の自家用車には「軽自動車」は含まれていない。
(軽自動車の規格って知っていますか?)
1965:7.7% → 2000:52.6%!
最も機動力のあるものはおそらく自動車
高速/一般道の整備、生活(収入)の向上→車が普及
(いまや必需品)
自動車の普及が都市の拡大パターンを変えた。
→(都市内→郊外へ:マイホーム)
車(駐車場)に対応した郊外型大規模店舗
一方で旧市街地の商店街(アーケード街)は苦戦
<スプロール現象>環境的によくない
(以前に述べたコンパクトシティ)

●中国における「民工」の問題とは何か、調べる。

期限:次の講義時(11/25)

●中国における「民工」の問題とは何か、調べる。

16:20まで小レポートに記述
11/25はここから










(p.24)
自動車の「負の要素」
・環境負荷~CO2、NOX
(特にNOXは環境基準を満たせていない一因)
・大気汚染のみならず振動・騒音も
・交通事故
表1-3:エネルギー消費原単位
鉄道に比べて、ひとケタ大きい~自動車(航空より悪い)
・・・マズくない?
貨物においては、さらにひとケタ大きい~航空








都市から発生するCO2のうち、かなりの部分を運輸部分が占
める(自家用車の比率は極めて高い)
特に、「民需」は産業に比べて伸びが大きい(電力需要につい
ても然り)
→では、「規制」へ? (どのような?)
大気汚染について:工場での対策は進んだものの、民間(主
に自動車、ボイラー(実はこれも大きい))での対策は進んで
いない。
(p.25)
しかしながら、環境負荷の削減のみを考え、(自動車の)モビ
リティを単純に否定すべきではない・・・か?
しかし、移動手段そのものは再考すべき
(できるだけ環境負荷を生じない様な手段)








まず、鉄道~しかし、宇部のような地方小都市ではやは
り不便このうえない。
→鉄道などの公共交通機関にはある程度の人口の集積
が必要。
<悪循環>不便→使わない→便数が減る→もっと使わ
ない→へたすりゃ廃線(民営化、3セク)
図1.12:大都市~鉄道27.7%、地方中枢都市でも鉄道
9.4%、人口50万人以下だと3.5%
→反比例して自動車が増える。
表1.4:三大都市で東京、京阪神は鉄道の比率が高い。
一方、名古屋は全国平均より低い
つまり、都市によっても異なる。






(p.26)
交通需要管理(TDM:Transport Demand
Management)
例:ロードプライシング:シンガポール
ある地域に進入するのに料金を徴収するシステム
パークアンドライド(P&R):郊外の駅に車を駐車し、そこ
から、鉄道などの公共交通機関で都心に向かうシステム
を整備:高速バスでも時折見かける
宇部市でも阿知須サンパークからのバスを考案中





モーダルシフト:移動(輸送)手段の変更によって環境負
荷を低減させること
→企業でも導入(あるいは企業の方が先か?ただしコ
ストが合うことが前提)
貨物輸送:「トン・キロ(t-km)」を指標として用いる
図1.13:鉄道はわずか。トラックと海運がシェアを二分し
ているが、その輸送するものは異なることに注意。海運
は原料をコンビナートに輸送したりするものが多い。
表1.3のように、トラックの負荷が大きいが、その機動力
は大きな利点
 今後どのようにシステムを改良するか?













1.5 都市における生活の質とアメニティ(p.27)
目指すべき環境共生都市
~生活の質を高く維持しつつ、環境負荷が低い都市
↓
人それぞれ:単に物質的な豊かさだけではない
村田秀一先生(現副学長)のデジタル/アナログの話
隣の人とさえメールで交信(孤独?)
人とダイレクトなコミュニケーションが苦手?
積極性:チャンスをつかむこと:これが低下?
何が役に立つかわからない・・・ので色々やろう
ただし、飲料水の安全性さえ確保できていない発展途上
国の人々に環境保全は理解され得ない。
→まず、生きること:Basic Human Needs
→衛生、安全、教育




アメニティ:生活の質を形作る都市河川、海岸、公園、
緑地、都市の要素「快適性」
→自然とのふれあい:人間としての満足度など精神的
な満足度(歴史や文化なども含まれる)
→ボランティアなど人の(世の)役に立つという満足感
人間がその生涯の重要な部分を過ごす都市。都市が
人間に与える環境は、その人間の生活の質を左右す
る。






「ポスト先進国とは」
発展途上国→新興工業国→先進国へ(図1.14)
まず、生きること( Basic Human Needs )、そして
物質的な豊かさ、利便性(エネルギーと資源多消費
型)、次に心の満足度(→環境負荷の面から悪くない)
安らぎ、美しさ、生き甲斐、そしてゆとり!!
我が国が目指すべき方向
→循環型社会
(環境へ配慮することが社会の目標となるような社会)
 ポスト先進国の将来目指すべき姿・・・では?

●各自動車メーカー(国内外を問わず)のCO2削減戦
略(電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車、など)
についてそれぞれ調べ、今後の移動手段の変遷を予
測せよ。

期限:次の講義時(12/16)

●各自動車メーカー(国内外を問わず)のCO2削減戦
略(電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車、など)
についてそれぞれ調べ、今後の移動手段の変遷を予
測せよ。

16:25まで小レポートに記述

期末試験は1/27、同じ教室、同じ時間です。








1.6 地球環境問題と都市(p.29)
物質消費の中心 → 都市
→地球環境問題にも深く関わる
(a) 地球環境問題の特徴
地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、砂漠化、森林破
壊、海洋汚染、発展途上国の環境問題
これらは、先進国が原因 → 影響は地球全体
→途上国は特にその影響を大きく受ける






発展途上国の環境問題は地域規模の問題であり、か
つ都市及び産業発展と環境問題の相克
→共通の全地球的問題 ∴地球環境問題
発展途上国の水質汚濁問題、廃棄物問題、衛生(サ
ニテーション)問題
→対策は新しいもの(最先端技術)である必要はなく、
むしろローテクで安価なものでなければならない。す
なわち、環境技術とは一般市民に受け入れてもらえる
ものでなければならない(今井の個人意見です)
→どちらにせよ、先進国の協力(資金・技術)が必須









社会・経済的な要因  環境問題
「両立は可能なのか?」
→一昔前の古い考え
→両立は可能なはず
「支払うべきものを支払ってこなかった」→主原因
環境保全は我々人類の生存のために不可欠なものと
してお金をかけるべきもの
→環境産業が成立(実は雇用は大きい)
→経済との両立は可能
以上、今井個人の考えです。












社会・経済的な要因  環境問題
例えば温暖化対策
CO2排出量の削減対策
→社会・経済への影響を配慮すべき
→特に発展途上国では切実(成長と環境対策が
アンバランス)
→「公平性」の問題に大きく関わる
温暖化は先進国が原因
でも、「対策は皆で」
「なぜ、途上国が先進国の“つけ”を払わねばなら
ないのか?」










→「せめて、資金と技術を提供すべき」
という途上国の言い分
→国際的な協力体制(IPCC、UNFCCC:p.31)
さて、ここで宿題です(次のスライド)。
公平性については、“国家間”と“世代間”がある
「将来の世代へ“つけ”を回す」
「持続可能な開発」とは、
「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズ
を満たすこと 」
「持続的な発展のためには、環境の保全が必要不可欠 」






(b) 地球温暖化への都市の寄与P.32
温暖化効果ガス(CO2、メタン:CH4、亜酸化窒素:
N2O、フロン)
それぞれの温暖化ポテンシャル(GWP)→表1.6
クロロフルオロカーボン:CFCは温暖化効果を持つ
が、オゾン層破壊による冷却効果も併せ持つ。
実はオゾンも温暖化ガス(オゾンの起源の一部は光
化学スモッグ)
表1.5:寄与率は80%以上がCO2




●なぜ、アメリカはCOP3に批准しないのか?
アメリカ経済界と大統領の政策方針との乖離
(実は大統領は孤立?)
などアメリカの事情について調べる。

ちなみにオーストラリアは昨年政権が交代した途端に
批准した。

期限:次回の講義時

●なぜ、アメリカはCOP3に批准しないのか?
アメリカ経済界と大統領の政策方針との乖離
(実は大統領は孤立?)
などアメリカの事情について調べる。

16:25まで小レポートに記述

期末試験は1/27、同じ教室、同じ時間です。










表1.6:温暖化ポテンシャル(GWP)
対象期間:20,100,300年、期間によって数値が異
なるのはその気体の寿命の違いによる
GWPは「二酸化炭素当量」で表す。
表1.7:温暖化効果ガスに対する都市活動の寄与
→化石燃料、森林破壊、セメント生産
●化石燃料は特に都市域において高密度に消費
都市で利用するための生産のための二酸化炭素
の発生(発電など) → 誘発負荷といえる





表1.7:温暖化効果ガスに対する都市活動の寄与
●森林破壊は熱帯地域の発展途上国で起きている
森林の消失は実質的に二酸化炭素排出と同じ
森林から都市へ、あるいは農地への土地利用の
変更が主な原因(日本では木材の利用量も大きい)
●セメント製造では石灰石からセメントを作る時の
反応で二酸化炭素が放出される。→宿題

●セメントの製造工程で二酸化炭素が排出されるの
はどのような化学反応によるのか、調べよ。

期限:次回の講義時











表1.7:温暖化効果ガスに対する都市活動の寄与
●メタン:様々に発生源がある(p.35)
農業(農地)、廃棄物の埋立処分場
(いづれも、嫌気性発酵にともなうメタン生成)
人間活動の集中の結果といえる
日本では廃棄物の8割を焼却
(焼却は好気性分解とある意味同じである)
●亜酸化窒素
燃焼(廃棄物の焼却、燃料の燃焼)にともなって
発生するもの、廃水処理の過程で発生するもの
がある。











表1.7:温暖化効果ガスに対する都市活動の寄与
●メタン:様々に発生源がある(p.35)
農業(農地)、廃棄物の埋立処分場
(いづれも、嫌気性発酵にともなうメタン生成)
人間活動の集中の結果といえる
日本では廃棄物の8割を焼却
(焼却は好気性分解とある意味同じである)
●亜酸化窒素
燃焼(廃棄物の焼却、燃料の燃焼)にともなって
発生するもの、廃水処理の過程で発生するもの
がある。








●亜酸化窒素
・高温で燃焼を行う(800℃程度以上)とその発生
は抑えられるが、高すぎる(1000℃程度以上)と
窒素酸化物(NOx)が発生する
・自動車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元
するための触媒の働きにより生ずることがある
・廃水処理の高度処理の1つである窒素除去過程
(硝化・脱窒)においても生ずる → 宿題

●廃水処理の窒素除去過程(硝化・脱窒)において
亜酸化窒素が生ずるメカニズムについて調べよ。

期限:次回の講義時









●廃棄物処理、廃水処理にともなう二酸化炭素
発生の計算には注意が必要
・自然由来のものからの直接的な二酸化炭素の
発生は自然の循環の一部
・しかし、メタンの発生や化石燃料から生産した
プラスチックの燃焼によるものは人為的
→詳しくはp.36-37の「キーワード」を参照
→課外レポート

●廃棄物の埋立処分場から生じるメタンガスを回収
して発電を行うCDM事業について調べ、他のCDM
事業と比較せよ。

期限:定期試験(1/27)時







(c) 地球温暖化の影響P.38
地球温暖化:科学的には気候変化(climate change)
と呼ばれる(注釈*参照)
気温上昇のみでなく、降水量の変化も生ずる
温暖化の影響(次の3段階)
①その地域の気候変化の程度(system exposure)
②影響感度(sensitivity)
③適応性(adaptability)






例えば、都市への水供給への影響を考えると、
①その地域で気温と降水量が変化する程度
②気温や降水量に対してその水資源供給が受ける
影響の程度
③そのような変化に対して、貯水池を作るなどの
人為的な適応能力









前ページに対して対策を考える
①都市への水供給の面では大きな温暖化影響が生じ
る可能性あり
降水量から蒸発量を差し引いたものが水資源量
→温暖化により蒸発量は確実に増える
②都市では「影響感度」が大きい
→都市:水資源に対してその需要が相対的に多いため
→都市における「影響感度」を下げる努力をする
のが対策 →例えば、どうやって?
③貯水池の容量の増大、雨水の貯留とその利用






海面上昇
沿岸部都市への影響:浸水、地下水への塩水の進入
直接的な資産の損失に加え、自然海岸の喪失も大き
な問題
世界的には珊瑚礁の国々、低平地の国々の土地の
喪失(ツバルやバングラディッシュなど)







(d) 温暖化に対する都市の戦略P.39
地球温暖化の正確な予測とその影響は未だによくわ
かっていない
不確定な部分が多いからといって先延ばしには絶対で
きない
排出される温室効果ガスに対して実際の気候影響は
「数十年の遅れ」がある
温室効果ガスの削減が根本対策であるのは間違いな
し → 後悔しない政策(no-regret policy)が重要
省エネルギーのようにコスト的に節約にもなるもの
(無駄にならない)