第九章 乗り物のマナー

第九章
乗り物のマナー
第一節
飛行機内のマナー
車や船などと違って、飛行機は最
もマナーが求められる乗り物です。
個人のスペースであるシートは場が
限られるし、周囲の迷惑にならない
よう心がけるのに大変です。飛行機
内では、1フライトがたとえ30分で
あっても厳密に守ってもらわなけれ
ば、快適なフライトは望めません。
一、席 順
飛行機の座席では、窓側が上席となり、
通路側がその次の席となる。
中央の座席がある場
合は、両方の通路側の
席が上席になる。
二、電話の使用
飛行機の機内では、計器に影響を与える可能
性があるので、海外では、携帯電話などを使用
すると、逮捕される場合もあります。
飛行機では、ファーストクラスなどのシー
トには航空電話が備えられています。これは専
用の電話機から外部に連絡できるもので、一般
はテレホンカードが使用できる公衆電話があり
ます。ただ、非常に料金がかかるので数時間程
度のフライトでは事前に連絡を済ませておいた
ほうがよろしいでしょう。
三、電子機器の使用
常時使用が制限されている機器(電源OFF):
携帯電話、トランシーバー(步话机)、ワイヤレス(无线
电)式の音響機器、FMラジオ(调频收音机)、ポケットテ
レビ、ポケットベル(袖珍无线电传呼机)など。
離着陸時のみ使用が禁止されている機器:
上記に加え、ビデオ機器、音響機器(CDプレーヤー、
機内搭載以外のヘッドホン(耳机)、カセットプレー
ヤー、その他のラジオ)、情報システム機器(パソコ
ン、ワープロ、電子手帳、デジタルカメラ、電卓)、
娯楽用ゲーム機器等。
常時使用できる機器:
電池を内蔵している腕時計やカメラ、補聴器、心臓
ペースメーカー(心脏起博器)および当社が事前にご
使用を認めた医療機器。
四、化粧室の利用
離着陸時以外でしたら自由に利用することが
できます。ただし、そこでの喫煙はご法度なので
止めましょう。灰皿が設置されているが、これは
誤って煙草に火を点けたための処置をさせるた
めのものです。決して煙草を吸っていいというわ
けではありません。もし、化粧室で喫煙した場合、
煙感知器が作動して大変な騒ぎになってしまい
ます。
五、ほかの施設の利用
1)シートベルト
シートベルトの着用による安全性は疑いようのない事実
です。シートベルト着用のランプ(含む機内放送)が点いた
ら、ただちに着用します。
2)座席ポケット
座席ポケットには機内の安全のしおりや、各種パンフ
レット、イヤホン、エチケット袋などがあります。安全の
しおりは搭乗便の見取り図に脱出路などが書かれているも
のがあります。緊急の場合には安全のしおりにも書かれて
いるが、座席の上から自動的に酸素マスクが出てきます。
非常の事態の場合はただちに装着しないと、これはマナー
違反になります。
3)シートのリクライニング(躺席座椅)と
テーブル
座席シートは車と同じくある程度前後に動くよう
になっています。後ろに倒す場合は後ろの人のことも
考えて倒してください。また、シートは離着陸時には
必ず元の位置に戻すことを忘れてはいけません。
テーブルは、機内食を受け取るときなどに利用し
ます。このとき客室乗務員が飲み物や軽食を一人一人
配ってくるので、用意されたものの中から好みのもの
を選んでください。テーブルも座席同様に離着陸時に
は元に戻します。
4)エチケット袋
座席ポケットに入っています。気分が
悪くなったら我慢せずに、ただちに、
エチケット袋が使えます。乗り物酔い
のおそれがある人は、薬などを事前に
服用しておきましょう。
六、チェックポイント
●飛行機に乗り込む時は、自分の後に続く人のこと
を考えて行動する。通路を占領したまま荷物の
出し入れや座席の交替などをしないこと。
●前の座席の背中を蹴らない。蹴ってしまったら、
すぐに謝ること。
●前の座席の背中にテーブルがついている場合は、
出し入れを静かに行う。
●前の座席との間隔が狭い場合、前の座席と機体の
間のスペースに自分の足を入れないこと。
● 口臭、体臭に気をつける。
● 香水アレルギーの人もいるので、飛行機のような密閉した
空間での香水の使用を避けること。
● 隣の乗客に話しかけすぎないように。
● 同伴者との会話は、その音量や時間によっては周りの乗
客
の迷惑になることを認識し、控えるように。
● 音の鳴る機器(ゲーム機など)の音量は消しておくこと。
● 自分の座席の両側にある肘掛は、譲り合って使用する。
● トイレを散らかしたり、汚したりしないように。
第二節
電車・バス・地下鉄・新幹線
一、乗降時のマナー
電車は降りるお客さまが優先です。
無理なご乗車は電車の遅れにもつな
がるので、割り込み、駆け込み乗車な
どをしないでください。
二、座席の座り方
座席にはできるだけ詰めて座ります。荷物
は座席に置かないようにするなど、一人でも
多くのお客さまが座れるようにしてください。
また、体の不自由な方、お年寄り、妊娠中
の方、小さいお子さま連れのお母さんに席を
譲ってください。
三、席次
席次の基本ルール:
① 招かれた側が上座、招いた側が下座に座ります。
② 訪問先では、まず下座に座り、勧められてから上座
へ着きます(状況に応じて臨機応変に)。
③ クレーム(索赔)や謝罪などの際は、勧められても、
下座に座ります。
④ 新幹線などの列車の場合は、進行方向を向いて、外
の風景が見える窓側の座席が、最上席です。この最
上席の向かい側の席が2番目の席次となります。
四、携帯の使用
バス・電車等公共の乗り物の中では着信
音を消し、通話を控えてください。もし車
内で着信した場合は、車内であることをこ
とわって、後でかけ直すようにしてくださ
い。また、心臓ペースメーカー等の医療用
電子機器を使用している人が乗っている可
能性があるので、優先席付近では、電源を
オフにしてください。新幹線では、指定の
場所でかけます。
五、チェックポイント
● 大きなリュックを背負った人が邪魔になるから、大
きな荷物は手に持つか、網棚にのせるなどしてほか
のお客さまの迷惑にならないようにしてください。
● 多くの方が利用する場であることを考えて、車内の
飲食はやめましょう(長距離列車を除く)。
● バスや地下鉄の車内はもちろん、駅構内なども禁煙
です。
● 日本の車内は静かで、ヘッドホンを使っても、でき
るだけ音が漏れないように。また周りのお客さまに
ご迷惑をおかけすることにならないように、車内で
騒がないでください。
第三節 自動車のマナー
一、席次
自動車の場合は、運転する人によって上座・下座
が異なります。
1)自家用車で持ち主が運転する場合、助手席が上座
これは持ち主を運転手扱いにしないという配慮から
きた習慣のようです。
持ち主が運転する場合は、助手席がドライバーに
敬意をはらうために上位の方が座りましょう。続いて、
ドライバーの後、助手席の後、後方中央と続きます。
2)運転手付きの場合
後ろの左側が上席
です。次いで後方
右側、後方中央の
順で、助手席は末
席になります。
二、携帯の利用
運転中の携帯電話使用による交通事故が激増した
ため、携帯電話・PHS(简易型携带电话)等の運
転中の使用は道路交通法で禁止されている。電話を
とる一瞬や、会話そのものに気をとられると非常に
危険。運転前に電源を切っておくか、ドライブモー
ド(「ただいま運転中のため・・・」というメッ
セージが流れる)を設定する。電話をするときは、
必ず、車を安全な場所に止めてから。
三、チェックポイント
● メンバーに女性がいる場合には、窓側を勧める
よう気配りをします。
● 和服の女性がいる場合にも気配りをします。
「宜しければ私が先に失礼しますが」と断って
先に乗ります。
● 日本の慣例と国際的な慣例では上席が異なりま
す。国際的には後ろの右側が上席です。これは
歩道側がどちらになるかが、大きく関係してい
ます。
第四節
エレベーターと
エスカレーター
一、エレベーター
エレベーターのように、狭い空間ではとくに
お互いにマナーを気をつけないと、互いに嫌な
気分になります。エレベーターも電車と同じで、
降りる人が先です。また乗り降りは上役から先
にが鉄則です。自分がドアの近くに立ったとき
は、あとから乗った人に利用階数を尋ねてボタ
ンを操作します。また、エレベーター内では喋
らないようにしてください。取引先やライバル
社に情報が漏洩することもあります。
1)席次
原則は入り口から向かって
左奥が上席です。次いで右奥、
ボタン付近には案内係が立ち
ます。また、上席者の前に立
つ場合、背中を向けないほう
がよいでしょう。この場合、
横や斜めを向くようにして立
ちます。
2)留意点
乗り降りはお客様・上司を優先させ
るのが基本です。ただし、ゆずりあっ
たり、エレベーターに誰も乗っていな
かったり、複数の方を案内する場合、
一言「失礼します」と断って先に乗り、
ボタン付近の末席に立ち、「開」を押
してお客様をご案内します。
二、エスカレーター
駅などでエスカレーターに乗るときには、急い
でいる人のために片側を空けて乗るのが今や常識
となっています。その乗り方(空け方)が東京と大
阪とでは違うのです。東京ではみんな左側に寄っ
て右側を空けます。急ぐ人はその空いた右側をサ
クサクと歩いていくわけです。これが大阪では東
京とは逆で、みんな右側に寄って左側を空けてい
ます。また、友達同志並んで止まっているのは後
ろの人に迷惑になるので気を付けてください。下
の図には、Aタイプは東京タイプを、Bタイプは
大阪タイプを指します。
1)席次
上りも下りも、上側が上席です。例
えば、上りの場合、先に目上の方にお
乗り頂きます。逆に下りの場合は、自
分から先に乗ります。
2)留意点
女性がいる場合は一言断って自分が
上方に立つようにする配慮が必要です。
第五節
船内のマナー
一、携帯電話の使用
携帯電話をご使用になる場合は、マナー
を守ってください。1等や2等寝台では携
帯電話の会話はやめましょう。特に、就寝
中に着信があると寝ている人は非常に迷惑
です。面倒でも電源を切るか、マナーモー
ドにしましょう。
二、タバコについて
船の火災は非常に危険です。船内での
喫煙は指定された場所で、してください。
海への投げ捨てや寝タバコ、くわえタバコ、
歩きタバコも禁じられています。
三、船の部屋内
● 周囲に迷惑をかけそうな赤ちゃんや幼児のいる家
族は、できるだけ個室を利用しましょう。
● いびき、歯軋り、寝言などの症状がひどい人は、
できるだけ個室を利用しましょう。
● 隣室のお客様の眠りを妨げたり、迷惑を考えない
行動は差し控えましよう。早朝や深夜に談笑され
る場合は、なるべくパブリックスペースを利用して
ください。
● 客室の出入りにはドアの開閉をお静かにしてくだ
さい。
四、船内での食事
ほとんどの長距離フェリー(渡轮)では、船内
レストランが設置されていますが、カジュアル
(简易)フェリータイプでは、レストランがなく
自動販売機のみの場合もあります。
また、中距離フェリーでは、船内レストランを
設置しているものと、軽食スナック(快餐部)のみ
設置しているものとが、2通りあります。食べ物
を船内に持ち込む場合は、生物など腐りやすい食
材は避けた方がいいでしょう。持ち込んで船内で
食事をする場合、ゴミなどは、きちんと捨てて、
マナーだけは守りましょう。
また、カップめんの自販機についている割り箸
や、パンフレット類は必要なだけ貰って、必要以
上取らないようにしましょう。
五、船内での服装
日中はご旅行と同様にカジュアル(轻便)な
服装で過ごしたほうがいいです。サロンやダイ
ニングなどのパブリックスペースは、ホテルの
ロビーと同様公共の場ですから、スリッパ履き
やパジャマや下着のままで出かけないように注
意してください。
六、船酔いについて
船に乗ったら、ゆったりとした気持ちで過ごす
のが最良の対策です。船体は、フィンスタビライ
ザー(横揺れ防止装置)の装着など、揺れを最
小限に抑える設計になっておりますが、万一気
分が悪くなったら乗務員に声をかけてください。
普通、酔い止めのお薬を用意しています。
考えて見ましょう
着物をきている45歳のA夫人と、30代の
パンツスーツのBさん、それに一番若いあ
なたの3人でタクシーに乗りました。さて、
あなたはどこに座る?
<正解>
本来は数字の順なので、1が
最も上席になりますが、A夫人
は着物を着ていらっしゃるので、
2の方が乗り降りが楽です。し
たがって2をおすすめします。
その場合、「お着物なのでドア
のお近くがよろしいのでは?」
と声をかけ、Bさんに1をお勧
めし、あなたは、4に座ります。
豆知識
☆乗り物の長所&短所☆
乗
り
物
長所
短所
備考
鉄道 ・スピードが速い
(新 ・安全性が高い
幹線) ・時間が割合正確
・飛行機と比較すると時間
がかかる。
・その割には旅情がない。
長距離移動向き
・運賃が安い
・安全性が高い
鉄道 ・旅情がある
(在 ・時間が割合正確
来線) ・気分次第で途中
下車が可
・路線が豊富
・ 通勤ラッシュ
・ あまり速くない(そういう
モノなんですけどね)
・ 路線によっては事故で
簡単に長時間止まる。
基本的には近距離・中距
離移動向き
・渋滞などで遅れやすい
・高速道路上にあるBS
の場所が悪い。
長距離・中距離移動向き
高速
バス
・運賃が鉄道より安い
路線
バス
・路線が豊富
・鉄道のない地域もカ
バーしている。
・気分次第で途中下
車が可
・雪や台風などの天候
の影響を受けにくい
・ 渋滞などで遅れやすい
近距離移動向き
・ 慣れていないと手続きが
大変
・ 天候の影響を受けやすい
・ 場合によっては別の空港
に着陸する場合がある。
・ 運賃が高い。
距離移動向長き
飛行
機
・速い
船舶
・のんびりしている
・湾を横断できる
・時間がかかる
・離島への交通手段 ・ 波などの天候の影響
・遠くの街まで乗り
を受けやすい
換えなしで行ける。
離島への移動・近距離・
中距離・長距離移動向き