混和材料について コンクリート工学研究室 岩城 一郎 混和材料とは? • 混和材料:セメント,水,骨材(細骨材,粗骨材)以 外の材料.打込みを行う前までに加える材料(+ α). • コンクリートの品質向上,高性能化(高流動化,高 強度化,高耐久化),経済性の向上,環境への配 慮の何れかが目的 • 混和材と混和剤の2種類に大別 • 混和材:使用量が比較的多く,配合計算時にその 体積を考慮 • 混和剤:使用量が比較的少なく,配合計算時にそ の体積を無視 (明確な区分はない。) • 最近のコンクリートでは,混和材料の使用は当たり 前→非常に重要!! 混和材料の種類 混和材 • ポゾラン • 鉱物質微粉末 • 膨張材等 混和剤 • AE剤 • 減水剤 • 高性能AE減水剤 • 流動化剤 • 遅延剤 • 硬化促進剤等 ポゾラン • ポゾラン:ポゾラン反応性を有する混和材 • ポゾラン反応性:それ自身では水硬性を持たないが,セメ ントの水和反応で生じたCa(OH)2と水があるとこれらと反応 し,硬化する性質. • フライアッシュ:石炭火力発電所から発生する灰のうち,微 細な粒子を集塵機で集めたもの.→フライアッシュセメント • シリカフューム:シリコンを生成する際の副産物,粒径1um 以下の超微粒子.超高強度コンクリートの実現(セメントに 対して5-10%程度置換) 水和直後 シリカフュ-ムを セメント 用いたコンクリート S.F. 数日後から数年後 鉱物質微粉末 • 高炉スラグ微粉末:鉄鉱石から鉄を採取する際 に発生する廃棄物(高炉スラグ)を急冷し,微粉 砕したもの(産業副産物).潜在水硬性を有する. →高炉セメント • 潜在水硬性:それ自身では水硬性をもたないが, セメントと水との反応によって生じたCa(OH)2に よる刺激によって水和反応を起こし,硬化する 性質. 膨張材 • 膨張材:コンクリートの乾燥による収縮を補う混和 材 • コンクリートは乾燥すると収縮する(乾燥収縮).→ この変形が拘束されると,コンクリートが引っ張られ た状態となり,引張に弱いコンクリートにひび割れ が発生する.→膨張材により,初期にコンクリートを 膨張させて,その後の乾燥による収縮を打消し,コ ンクリートに発生するひび割れを抑制する. • ケミカルプレストレス: 膨張材によるコンクリート の膨張を鉄筋等が拘束す ることによりコンクリートに 圧縮応力が導入される. →ひび割れ抵抗性の改善 三浦尚著:土木材料学(改訂版),コロナ社 AE剤 • AE剤=Air Entraining agent(空気連行剤):微小 な独立した気泡(エントレインドエア:Entrained air)をコンクリート中に一様に分散させるために 用いる混和剤 • 凍害(後述)に対する耐久性が著しく増大 • 強度は若干低下 • ワーカビリティー(後述)が改善 減水剤と高性能AE減水剤 • 減水剤:電気的反発により,セメント粒子を分散させ ることにより,粒子間に水が入り込むことが可能とな り,セメントペーストの流動性を改善させた混和剤→ 単位水量(後述)を減らすことが可能.→コンクリート の品質,耐久性,経済性に好影響をもたらす. • 高性能AE減水剤:空気連行作用と共に,高い減水作 用を持つ優れた減水剤.→高流動コンクリート(後 述)の施工が可能 セメント セメント 水 水 減水剤無(凝集) - - - - セメント - 水 - - 減水剤有(分散) その他混和剤 • 流動化剤:コンクリートを打ち込む際に,コンクリー トの流動性を一時的に高めることにより,コンクリー トの施工を容易にする混和剤 • 遅延剤:セメントの凝結時間を遅らせることを目的 とした混和剤.コンクリートは夏期(高温下)におい て凝結時間が早まり,作業時間が確保できなくなる ことがあり,その防止に使用される.※凝結:セメン トペーストのこわばりの状態(流動性が失われてい く状態) • 硬化促進剤:コンクリートの硬化を促進する混和剤. 冬期(低温下)において,強度発現が著しく遅れる 場合等に使用. ※強度発現:打込み後,時間(材 齢)とともにコンクリートの強度が増加していく様子
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