生活保護制度の未来モデル

担当:星野、入沢、斎藤、
松本、馬渕、大河原、
蔵田、清水、服部
全体の流れ
1.現状分析
被保護者に関する統計
保護率・被保護世帯・被保護人員の推移
保護率
被保護人員
被保護世帯
資料:被保護者全国一斉調査
被保護者数推移(年代別)
60歳以上の
割合
約51%
稼働年齢層の
割合も増加
資料:被保護者全国一斉調査
被保護世帯数(類型別)
資料:被保護者全国一斉調査
2.制度説明
2.制度説明/小目次
生活保護制度について
ケースワーカーとは
自立支援プログラムについて
生活保護法改正について
生活困窮者自立支援法について
生活保護制度について
生活保護法第一条「法の目的」
生活保護法第一条 この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基
き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、
必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立
を助長することを目的とする。
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
日本国憲法第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活
を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛
生の向上及び増進に努めなければならない。
生活保護法の基本原理
第二条
無差別平等の原理
第三条
最低生活の原理
第四条
補足性の原理
• すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、
この法律による保護を、無差別平等に受けることが
できる。
• この法律により保障される最低限度の生活は、健康
で文化的な生活水準を維持することができるもので
なければならない。
• 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、
能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の
維持のために活用することを要件として行われる。
生活保護の実施機関
国
実施主体
事務執行
市町村
都道府県知
事
福祉事務所
福祉事務所
を管理して
いない町村
生活保護受給までの流れ
事前相談
保護の申請
• 窓口で保護の
申請の面接、
相談。
• 生活福祉資金、
各種社会保障
施策等の活用
の検討。
• 預貯金、保険、
不動産等の資
産調査や扶養
義務者による
扶養の可否の
調査。
受給資格の
調査
保護費の支
給
• ケースワー
カーの家庭訪
問。収入や資
産の確認。
• 生活保護受給
中の収入の状
況の申告義務。
• ケースワー
カーによる訪
問。
ケースワーカーについて
ケースワーカー(CW)とは
福祉事務所長
スーパーバイザー(査察指導員)
ケースワーカー(現業員)
生活保護を担当する社会福祉主事はケース
ワーカー(現業員) と呼称され、市部では被保
護世帯80世帯に1人、町村部では65世帯に1
人を配置することが定められている。(社会
福祉法第16条)
ケースワーカーの主な業務
新規保護申
請ケースの
訪問・面接
事務処理
(保護費算
定など)
長期入院・
入所ケース
の訪問
保護の要否
の決定
継続保護ケー
スの訪問・面
接
自立支援プログラム
自立支援プログラムとは…
「各自治体が主体となって、被保護者
に対し、
自立を促すための支援を組織的に実施
する仕組み」
職員個人頼みの
形からの脱却
「自立」概念の見直し
「自立支援」とは…
「就労自立支援」
• …就労による経済的自立のための支援
「日常生活自立支援」
• …自分で自分の健康・生活管理を行うなど日常生
活において自立した生活を送るための支援
「社会生活自立支援」
• …社会的なつながりを回復・維持するなど社会生
活における自立の支援
「生活保護の在り方に関する専門委員会」最終報告より
自立支援プログラムの位置づけ
生活保護法
第27条の2
地方分権一括法にいう
「自治体の自治義務」
(相談及び助言)
自立支援プログラム
明文規定があるわけではない!
具体的内容
自立支援
就労自立支援
内容の例示
・就労支援専門員等による就労支援
・職場適応訓練
・児童・生徒等に対する進学等支援
日常生活自立支援
・精神障害者等の退院促進支援
・傷病者の在宅療養支援
・健康管理等の日常生活支援
社会生活自立支援
・ボランティア活動への参加
・引きこもり・不登校児支援
・元ホームレスへの支援
自立支援プログラムの実施状況
平成22年度3月末
平成21年度3月末
経済的(就労)自立
に関するプログラム
1549(846)
1517(842)
日常生活自立
に関するプログラム
2008(804)
1801(739)
社会生活自立
に関するプログラム
307(210)
287(199)
※()内は策定自治体数
H22年度〔886自治体〕 H21年度〔892自治体〕
生活保護法改正について
主な生活保護法改正点
平成26年1月1日施行
平成26年7月1日施行
健康・生活面等に
着目した支援制度
就労自立給付金
の創設
医療扶助の
不正・不適正受給
適正化
対策の強化等
※一部平成26年7月1日施行
生活困窮者自立支援法
について
生活困窮者自立支援法
(H27年4月1日施行)
「生活保護に至る前の段階の自立支
制度趣旨 援策の強化を図る」(第1条)
→重層的なセーフティネットの構築
対象
「現に経済的に困窮し、最低限度の
生活を維持することができなくなる
おそれのある者」(第2条)
→対象は、要保護者以外の生活困窮者
事業概要
必須事業
• 自立相談支援事業
• 住宅確保給付金(有期)
任意事業
• 就労準備支援事業 ・家計相談支援事業
• 一時生活支援事業 ・学習支援事業
都道府県知事による訓練事業の認定
3.課題・問題点の抽出
3.課題・問題点の抽出/小目次
①行政側の問題点
②自立支援事業の問題点
③制度自体の問題点
④被保護者の問題点
①行政側の問題点
ケースワーカーの過重負担
把握困難な多量の通達・通知
ケースワーカーのメンタルヘルス
②自立支援事業の問題点
「就労自立」を前提とされた
現場の意識
各事業における連携構造、担当範囲、
責任範囲の複雑化
③生保法、生困自支法、
制度自体の問題点
自立支援プログラムの法的根拠
国→地方の関係性における規範性の弱さ
(自治事務)
有名無実化するおそれのある
生活困窮者自立支援法
④被保護者の問題点
自立への意欲の欠如
複雑化した生活困窮者の実態
4.仮説の提起
4、仮説の提起
行政
1、CWの増
員
2、通達行政
の一辺倒改革
3、自立支援
Pの法的位置
づけ
4、自立支援
の契約的構成
自立支援
5、分岐型自
立支援制度
5.仮説の検討
5.仮説の検討/小目次
行政における改善策(2点)
自立支援における改善策(3点)
行政についての仮説
×
1、ケースワーカーの増員:
→政治的、財政的観点から、新たに増員を図ることは難
しい。
◎
2、通達行政の改善:
→システムの形自体に問題があるのではなく、
通達の蓄積・変更が膨大であるだけに、
上から流されるままにされていることが問題。
⇒通達・マニュアルの管理・体系化を図ることで課題
の解決を図るべき!
自立支援についての仮説
◎
3.自立支援プログラムを法的に位置づける:
•
→生活保護法に明文の規定がなく、自治事務として自
治体に運営がゆだねられており、
• 自立支援プログラムに参加しないことを理由とした
• 保護減額・廃止という対応に結びつくおそれがある。
•
•
→当プログラムへの参加は、あくまで被保護者の権利
であるという認識が薄れ、
• 参加の強制につながる恐れがある。
⇒生活保護法において、自立支援事業についての規定を明文化
するべき。
×
4.自立支援への誘導的手法として契約的構成を採用:
☆契約的構成とは・・・
保護費を給付する債務
自治体
自立支援Pに参加する債務
→自立支援Pに参加しない場合、
契約の不履行として保護の減額・廃止に繋がってしまう。
→債務という捉え方は、参加の強制に繋がってしまう。
⇒支援への参加を志向するメリットを感じさせる
インセンティヴ型の制度を作ることが望ましい。
被保護者
×
5、分岐型の自立支援制度:
稼働能力者←←経済的自立支援
受給者
非稼働能力者←←日常生活自立・社会的自立支援
•
→経済的自立支援と日常生活自立・社会的自立支援は並
列の関係であり、相互に関連するものである。
•
⇒分割するのではなく、これらの自立支援は段階的・複
合的になされるべきである。
6.最終的な提言
6.最終的な提言/小目次
①行政における改革
①-1.業務効率化
①-2.組織化
②自立支援における改革
②-1.自立支援プログラムの法的位置づけ
②-2.インセンティヴ型の誘導的手法
②-3.類型別支援プログラムの設定
提言①
行政における改革
提言①-1.業務効率化
通知・通達のデータベース化
保護手帳・別冊問答集のデータベース化
提言①-1.業務効率化
通知・通達/保護手帳についての現場の声
(手帳は)本当に対応に困った時に使う。
元CW
CW
元CW
Aさん
Bさん
Cさん
通達に関しては膨大であるので、査察指導員・ベテ
ランに聞く。
手帳は必要があるときに見る。データベース化は好
必要なときに、
ましく、キーワード検索とかできたらよい。
必要な分だけ、
法改正は回覧で回って来るが全部は把握できない。
重要だなと思ったらファイルする。
最新の情報が欲しい!
通知・通達をきちんと整理している自治体もあれば、
机に山積みにしているだけの自治体もある。
整理されていないと細かいところを確認したい時に
困る。
データベース化には賛成。国・都道府県・市区町村
のどのレベルでまとめるのがよいのか要検討。
提言①-1.業務効率化
必要なときに、
必要な分だけ、
最新の情報が欲しい!
通知・通達/保護手帳・別冊問答集のデータベース化がされるべきなのでは。
⇒誰がまとめるの?
⇒現在、保護手帳・別冊問答集を発行しているのは(株)中央法規
したがって、国が民間にシステム構築を委託し、各福祉事務所が利用
迅速で、正確な対応・助言が可能に!
厚生労働省の提供による法令・通知検索
サービス
(2014年12月6日閲覧)
6.最終的な提言/小目次
①行政における改革
①-1.業務効率化
①-2.組織化
②自立支援における改革
②-1.自立支援プログラムの法的位置づけ
②-2.インセンティヴ型の誘導的手法
②-3.類型別支援プログラムの設定
提言①-2.組織化
就労指導員
ケースワーカー
申請者・被保護者
精神保健福祉士
※他にも年金相談員や社会福祉士…etc
組織・チームで対応。
複雑なケースでもCWの負担を分散できる!!
提言①-2.組織化
組織化の副次的効果:メンタルヘルスの保全
CWが一人いないだけで大変。
問題CWは上司・周りのフォローでなんとか。
向き不向きはある。思い詰める人はまずい。真面目で融通聞
かなく、周りの助けを求められない人はまずい。
CW
Bさん
元CW
Cさん
CWの仕事は型にはめられがち。そうした環境では横のつなが
りは生まれにくく、CW同士の関係がぎくしゃくしたり、CW
が悩みを一人で抱え込んだりすることに。
新人CWは悩みを抱え込みやすいため、先輩CWがしっかり支
える必要がある。最初は熱意をもって始めたものの、仕事が
上手くいかず悩みをかかえ、ある日突然失踪してしまった新
人も。
複雑化したケースに対して、組織としてまとまって、対応。
→苦労や悩みの共有
→CWの精神的ストレスを緩和!!
6.最終的な提言/小目次
①行政における改革
①-1.業務効率化
①-2.組織化
②自立支援における改革
②-1.自立支援プログラムの法的位置づけ
②-2.インセンティヴ型の誘導的手法
②-3.類型別支援プログラムの設定
提言②
自立支援における改革
モデルケースから、
自立支援プログラムの成功要因を分析・抽出
自立支援プログラムの提言として具体化
モデルケース①東京都板橋区の取り組み
平成18年度作成の板橋区福祉事務所自立(個別)支援プログラム
①高校進学支援
⑨介護サービス利用支援
②不登校児支援
⑩人工透析患者支援
③ひきこもり改善支援
⑪居宅生活移行支援
④若年者社会生活支援
⑫在宅情報提供支援
⑤精神障害者在宅生活支援
⑬成年後見制度利用支援
⑥精神科等受診支援
⑭多重債務解消支援
⑦精神障害者退院支援
⑮就労支援
⑧在宅要介護高齢者等支援
⑯「生活保護受給者等就労支援事業」活用
モデルケース①東京都板橋区の取り組み
例として
不登校児支援プログラム留意事項
1.支援対象者(子ども)との関係
①子どもから「説教」と思われがちな話しかけ、対応はしないようにする。
2.関係機関との関係
④生活保護による支援だけでは不登校解消は困難であるため、保護者との関係機関をつなげることも重
視する。
4.その他の留意事項
①不登校の理由としていじめ、学校の対応等様々な理由が考えられることから、登校させることだけが
解決につながる問題ではないことに注意する。
①被保護者の多様な生活状態に応じたプログラムを設定
②査察指導員の作成した「副読本」(マニュアル)を基に支援実施
③関係先との連携を強化
モデルケース②北海道釧路市の取り組み
就労自立
就労支援プログラム
資格取得等のプログラム
インターンシッププログラム
社会的自立
就業体験的ボランティア事業プログラム
生活的自立
生活保護受給者
①NPOや様々な法人団体と連携
②それぞれの自立が選択肢として一本化され、被保護者の意思・能力・ニーズに
応じた自立が可能
提言②-1.自立支援プログラムの法的位置づけ
目的
• 自立支援プログラムへの参加に当たっては、被保
護者の権利を尊重し、生活及び自立の手段の選択
肢の一つとして設けられていることを明確にする。
手段
•生活保護法に自立支援事業(プログラム)に関す
る規定を設ける。
提言②-2.インセンティヴ型の誘導的手法
目的
• 被保護者を自立支援プログラムに参加させる
手段
• 参加したものに「文化的」な生活拡充に関する
サービス給付
提言②-2.インセンティヴ型の誘導的手法(モデルケース)
事業への参加
被保護者
サービス給付
実施主体
◎留意事項
サービス給付の内容について、「社会との交流の機
会を提供し、その者の社会的自立を促進する」等の
条件をかけ、社会的自立の一環となるようにする。
提言②-3.類型別支援プログラムの設定
目的
• 従来の就労・経済的自立を前提とした自立支援
プログラムを改善し、特に就労的自立が見込め
ない者に対して、多様な自立概念を実現する支
援プログラムの確保。
手段
• 様々な就労阻害要件・ハンディキャップを有す
るケースを想定し、多様な対応や支援策・マ
ニュアルを体系化する。
提言に基づく自立支援事業のモデル
②-2
経済的自立
事業への参加
被
保
護
者
②-
3
・中間的就労
・無料職業紹介
・ハローワークと連携
社会的自立
サービス給付
・ボランティア作業
・軽作業
・学習
・多重債務処理の相談・援助
生活的自立
・健康管理
・家計管理
お世話になった方々
・池谷秀登先生(帝京平成大学教授/元板橋区CW)
・常数英昭先生(早稲田大学教授/元大田区CW)
・Aさん(元千葉県若葉区CW)
・Bさん(CW)
ありがとうございました!!
おわり!
ご清聴ありがとうございました!
生活保護実施上の原則
第七条
申請保護の原則
第八条一項
基準及び程度の原則
第九条
必要即応の原則
第十条
世帯単位の原則
• 保護は、要保護者、その扶養義務者又は
同居の親族の申請に基づいて開始される。
• 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定
した要保護者の需要を基とし、そのうち、その
者の金銭又は物品で満たすことのできない不足
分を補う程度において行うものとする。
• 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等
その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮し
て、有効且つ適切に行うものとする。
・保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定
めるものとする。但し、これによりがたいときは、
個人を単位として定めることができる。
生活保護法改正について
1.就労によ
る自立の促進
• 保護受給中の就労収入のうち、収入認定
された金額の範囲内で別途一定額を仮想
的に積み立て、安定就労の機会を得たこ
とにより保護廃止に至った時に支給する。
2.健康・生
活面等に着目
した支援
• 受給者の自立に向けて、自ら、健康の保
持及び増進に努め、また、収入、支出そ
の他生計の状況を適切に把握することを
受給者の責務とする。
生活保護法改正について
3.不正・不
適正受給対策
の強化等
4.医療扶助
の適正化
•
•
•
•
•
福祉事務所の調査権限の拡大 。
罰則の引上げ及び不正受給に係る返還金の上乗せ。
不正受給に係る返還金の保護費との相殺。
扶養義務者に対する報告の求め。
医療扶助等の事由が第三者行為によって生じた場
合、地方自治体は、受給者が有する損害賠償請求
権を取得。
• 指定医療機関の指定要件及び指定取消要
件を明確化。
• 指定医療機関の指定の有効期間について、
6年間の有効期間(更新制) を導入。
• 可能な限り後発医薬品の使用を促進。
自立支援法の対象と実施主体
実施主体:福祉事務所設置自治体
福祉事務所
or
業務委託先
対象:生活困窮者
相談
支援
→「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持する
ことができなくなるおそれのある者」(第2条)
すなわち、、、
→要保護者以外の生活困窮者
導入の経緯
「生活保護の在り方に関する専門委員会」による提起
受給者がかかえる様々な問題に対する「多様な対応」
保護の長期化を防ぐための「早期の対応」
効率的で一貫した取り組みを行う「システム的な対応」
⇒平成17年度自立支援プログラム導入
厚生労働省社会・援護局長通知
「平成17年度における自立支援プログラムの基本方針」