ファンタジーと「リアル」の狭間で 「腐女子」は何の夢を

ファンタジーと「リアル」の狭間で
「腐女子」は何の夢を見る
社会学部社会学科 C105263 中山由佳
◆「腐女子」って何?◆
・女性「オタク」の中の1つの種類
・男性同士の恋愛を取り扱った漫画や小説「BL」「やおい」
などを嗜好する女性
女性オタク≠「腐女子」
・「婦女子」を文字って「腐女子」
◆目次◆
1章:主題と構成
~主題、主題選定理由、構成~
2章:「腐女子」とは
~「腐女子」解説 みたいな~
3章:「腐女子」の「リアル」徹底分析
~コンテンツ分析(BL漫画、実写BL映画)~
4章:「腐女子」の夢見る世界
~まとめ~
◆1章
主題と構成◆
主題
「腐女子」
主題選定理由
・もともと「オタク」「腐女子」に興味あり
・自分もちょーーーーっとだけ「腐女子」?・・・「BL」「やおい」は癒し
・今までの先行研究に触れる
先行研究で書かれている事だけでは少し不満
⇒自分自身でも「腐女子」について研究してみたい
キーワード : 「リアル」「リアリティ」
◆2章
「腐女子」とは◆
・「腐女子」の聖地
・「腐女子」ってどんな子
・「BL」「やおい」はどこにある
・「BL」「やおい」はいつ生まれたの
・「攻」の反対は・・・
・ドリーム小説
・生モノ
・今までの「腐女子」研究
◇「腐女子」ってどんな子?◇
外見的な意味で 「腐女子」ってどんな子?
⇒色々な人がいる
「腐女子」ってゴスロリ?
→ゴスロリを着ている「腐女子」もいるが、
ゴスロリファッション=「腐女子」ではない 定着もしていない
「腐女子」は男性オタクのように定番がない
①目立ちたくないと思う「腐女子」
②「しょこたん」こと中川翔子の出現
隠れ「腐女子」が多い
メディアも世間と合致する「腐女子」像を作れていない
◇「BL」 「やおい」 「ゲイ」◇
「BL」・・・「BOYSLOVE」の略称
男性同士の恋愛を扱った1次創作物に対して使用
→オリジナル
商業誌→出版社から出版される
プロの漫画家によって描かれた作品
普通の書店で購入可能
少女漫画の恋愛を男性同士で描くような感じ
「やおい」・・・男性同士の恋愛を扱った2次創作物に対して使用
→完璧なオリジナルではない
もともとある原作のキャラクターを使用し第三者が別の話を作る
同人誌→執筆者自身が発行元となる
プロアマ問わず誰でも制作可能
専門店やイベント会場のみで購入可能
ウォルトディズニーがパロディーでディズニーアニメーションを作った感覚
「ゲイ」・・・男性を好きな男性に対しての呼び名
「ホモ」は差別用語になるため、「ゲイ」と呼ぶ
「BL」「やおい」は作られた作品の呼び名であるのに対し、
「ゲイ」は作品ではなく、特定の人物を指すのに使用する。
(同人誌と少女漫画との大きさ比較)
(BL漫画と少女漫画との大きさ比較)
◇今までの「腐女子」研究◇
「BL」「やおい」
・・・男性同士の恋愛を描いた物語
=自己(女性)不在物語
「女性嫌悪」 「男性願望」 「ペニス羨望」
「恋する女性は綺麗」
→女性だけ?男性は??
女性=「見られる性」 選別の対象
(ex.ブルセラ少女、援助交際)
犯される対象としてだけの「女性」である事が嫌=女性嫌悪
女性の存在しない世界を目指す
⇒「BL」「やおい」世界
●私の感じた疑問
・本当に「私」は「男」になりたいんだろうか?
・本当に女性である事が嫌なのか?
かつての日本・・・
男性社会は女性にとって驚異だった(かもしれない)
男性という性は魅力的だった(かもしれない)
BUT 今は・・・
男性も選別の対象
男性社会は女性にとって驚異ではないのでは?
・・全てを否定するわけではない・・
「BL」「やおい」は癒し (中島梓)
「見られる者」から「見る者」への位置転換
(上野千鶴子)
◆3章
「腐女子」の「リアル」徹底分析◆
コンテンツ分析から「腐女子」の言う「リアル」を見ていく
→BL漫画と実写BL映画
<BL漫画>
『キスブルー』 木下けい子
『くいもの処明楽』 ヤマシタトモコ
<実写BL映画>
『BOYSLOVE劇場版』
『愛の言霊』
『くいもの処明楽』 ヤマシタトモコ
『キスブルー』 木下けい子
◇BL漫画◇
『キスブルー』『くいもの処明楽』に感じる「リアル」
・悩む姿
・・・どうして男(友達)を好きになってしまったのか
本当に自分の事を想ってくれているのか
・人間関係の希薄さ
・・・親密すぎず、他人すぎない
⇒人間味のある登場人物達
◇実写BL映画◇
『BOYSLOVE劇場版』
『BOYSLOVE劇場版』
蒼井海広(あおい かいろ) ・・・ 有名な全寮制男子高校の教師
天上空々(あまかみ そら) ・・・ 蒼井の担任するクラスの生徒
彼女に振られてしまった蒼井は寂しさを紛らわすために、少年に慰めを求めた。
後日、蒼井のクラスに転校してきた天上はその日の少年であった。
家族と生き別れてしまったという天上の過去に触れ、少しずつ心を開いて歩み寄っていく2人。
天上に密かに想いを寄せいていた同室の水木一葉は自分の想いが受け入れられない事を嘆き、自殺をしてしまう。
その事を知った水木の幼なじみの花園陸は復習の意を込めて天上に暴行をはたらいた。
その結果、天上は下半身不随となってしまった。絶望に陥った天上を支えられる存在は自分しかいないと天上は
感じ、蒼井と天上は2人で生きていく決意をする。
『愛の言霊』
『愛の言霊』
大谷晋也(おおたに しんや)
高校卒業後、恋人同士となり
立花都(たちばな みやこ)
同じ大学に通い同棲している
水沢雪子(みずさわ ゆきこ) ・・・ 高校時代の大谷と立花の同級生
同じ大学に通う大谷と立花の前に、ある日、高校時代の同級生の水沢が現れる。
高校時代、立花と水沢の仲を疑っていた大谷は、仲良さそうな2人の再会を快く思わなかった。
大谷の不機嫌さから、些細な事でけんかをしてしまう大谷と立花。
しかし、水沢がずっと想いを寄せていたのは立花ではなく大谷であった。期せずしてその事実を知った大谷は、雪
子の思いを受け入れられないと謝罪をする。
全てが誤解であったと分かった2人は、仲直りをし、元の生活に戻ったのである。
『BOYSLOVE劇場版』 『愛の言霊』の比較
・「女の子」の存在比較
『BOYSLOVE劇場版』
全寮制男子校 ・・・ 男性だけの世界
『愛の言霊』
共学の大学、水沢雪子の登場 ・・・ 男性女性が存在する世界
→「愛されない私」の姿
・キスシーンの比較
『BOYSLOVE劇場版』
綺麗なキスシーン ・・・ 綺麗であるからこそ作られた感じが強い
『愛の言霊』
飾られないキスシーン ・・・ キスシーンの撮り方に効果がない分
自然な、生活の1コマとして映し出される
・「空間」の比較 ・・・
・「空間」の比較
『BOYSLOVE劇場版』
全寮制男子校 → 男性空間
この男性空間の中では、誰も同性を好きだということに疑問を持たない
キスシーン → 学園外の公園
⇒「私的空間」と「公的空間」の混在
『愛の言霊』
「私的空間」・・・大谷と立花の同棲している部屋
「公的空間」・・・同棲している部屋以外
⇒この「私的空間」と「公的空間」の使い分けを徹底している
「私的空間」「公的空間」の使い分けは誰でもしている
◆4章
「腐女子」の見る夢◆
腐女子の言う「BL」「やおい」の中の「リアル」
→ 携帯小説の「リアル」と類似したもの
・・・携帯小説の「リアル」は現実?
⇒自分の周りでも起こりそうな事 「本当にありそう」な事
現実を指すリアルではない
「BL」「やおい」は所詮ファンタジー ・・・ 現実には無いことだらけ
創世初期の「BL」「やおい」・・・「BOYSLOVE劇場版」
閉ざされた男性空間、「ファンタジー」で作られた世界
→「ありそう」な「リアル」を持ち込んだ「BL」「やおい」を作り上げた
なぜ「リアル」が必要になったのか?
「BL」「やおい」は「腐女子」にとっての「癒し」
「ファンタジー」だけの「BL」「やおい」では癒されなくなってきているのでは?
「BL」「やおい」=男性が男性を愛する物語
・・・異性愛が主流の今の世界では同性は恋愛対象外
「対象外」を受け入れる世界がそこにはある
⇒男であっても構わない
「ありのままの君」「ありのままの自分」を受け入れてくれる世界
それが「BL」「やおい」
少女漫画の世界・・・規格内の「女の子」しか存在できない世界
「BL」「やおい」の世界・・・規格外の「同性」を受け入れてくれる世界
=規格外の「私」にも存在の余地がある世界
規格外の「私」を受け入れてくれる世界がファンタジーの中だけなんて嫌だ!
⇒ファンタジー世界に「リアル」を持ち込んだ
・私がありのままの私でいられる世界
・「私が私」でいられる方法
・無理に選別の型にはまろうと努力しなくてもいい世界
⇒「BL」「やおい」 ・・・ だから「癒し」
ありのままの「私」=規格外の「私」
男性っぽい部分をもっている「私」
女性像からはみ出てしまう「私」
「BL」「やおい」で愛される男性
→規格外の「私」の象徴
自分を愛してくれる性は男性しかあり得ない
⇒男性同士という構図が出来上がるのである。
◇まとめ◇
「腐女子」が「BL」「やおい」に惹かれる理由
× 男性願望・ペニス羨望
・・・男性社会への憧れはなくなっている
○ ありのままの私を受け入れてくれる「癒し」
規格外の「私」の象徴
ファンタジー内でしか存在しない世界に耐えられなくなった「腐女子」
・・・ 「リアル」要素を付け加え
より現実味を持った、「リアル」な「BL」「やおい」世界を作り上げた
もし、「腐女子」だけでなく もっと多くの女性がこのような世界を夢見たら・・・
→「女性像」という型の存在しない世界が出来上がるかも
すでに「腐女子」はそんな世界を作り始めているのかも