放送産業の特徴(1) 日本の放送産業の構造的特徴

放送産業の特徴(3)
視聴率とCM
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1.視聴率とは
2.視聴率の算出方法
3.視聴率は誰のためのものか
1.視聴率とは
(1)視聴率とは何か
視聴率:テレビ番組やCMがどれくらいの世帯や人々に
見られているかを示す尺度の1つ。
テレビ番組をその地区の住民の何パーセントが
視聴したかを表す推定値。一般的には世帯視聴
率を指す。
≠テレビ番組の価値や質的評価ではない。
ただし、「視聴率優先主義」「視聴率至上主義」
にしばしば陥ってしまう。
e.g. 2003年11月日本テレビのプロデュー
サーがビデオリサーチ社の調査対象世
帯に特定の番組を視聴するよう依頼。 2
(1)2つの視聴率
①世帯視聴率
テレビを所有している世帯の何%がテレビをつけ
ていたか。複数台所有の家庭でも1台ついていれ
ばO.K.
②個人視聴率
どのような属性(性別、年齢、職業など)の人がど
れくらいテレビを視ていたかを示す割合。
広告主にとってはこのデータがとりわけ重要。
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2.視聴率の算出方法
(1)どうやって調査するのか
①ピープルメータによる調査
家庭内最大8台までのテレビの視聴状況を測定する
システム。
a.表示器のボタンを視聴開始時と終了時に押す。
b.自動ダイヤルで毎日、早朝にコンピュータセン
ターへデータが転送される。
c.データの集計が行われる(個人単位・世帯単位)。
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②オンラインメータによる調査
最大3台のテレビに接続されたメディアセンサー
が世帯の視聴状況を記録。
a.OMに無線でデータが転送され、1日の視聴状
況が記録される。
b.データは毎朝自動ダイヤルで収集され、コン
ピューターセンターに転送される。
c.毎分視聴率をもとに番組視聴率や時間区分
視聴率を集計する。
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③日記式アンケートによる調査
調査対象者個々人が視聴状況を日記に記入。
a.個々人が一週間にわたり毎日の視聴状況を5
分刻みで記入欄に記入。
b.調査員が日記を回収。
c.専用の入力機(デジタイザー)でパソコンにデー
タ入力。
d.毎5分視聴率、年齢区分、番組視聴率などを
集計。
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(2)視聴率を算出してみよう
視聴率=世帯視聴率 ←毎分視聴率から算出
A局 A局 OFF
佐々木家 OFF OFF
佐藤家
A局
⇒
⇒
⇒
ON
OFF
ON
鈴木家
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
ON
ON
ON
ON
OFF
ON
ON
新井家
高橋家
竹内家
田中家
中島家
山田家
渡辺家
B局
A局
C局
B局
OFF
D局
A局
OFF
C局
OFF
OFF OFF
OFF
B局 C局
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①総世帯視聴率
テレビがついている調査世帯の割合
各家庭で電源が入っている台数は関係ない。
10世帯中 世帯がテレビを見ている
÷10×100= %
②各局の視聴率
各テレビ局を見ている調査世帯の割合。
A局: 世帯= ÷10×100=
%
B局: 世帯= ÷10×100=
%
C局: 世帯= ÷10×100=
%
D局: 世帯= ÷10×100=
%
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③占拠率
各局の視聴率の合計で各局の視聴率を除したもの。
%(A局の視聴率)+・・・・・+ %(D局の視聴
率)
A局:
B局:
C局:
D局:
÷
÷
÷
÷
×100=
×100=
×100=
×100=
%
%
%
%
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3.視聴率は誰のためのものか
(1)視聴率で広告料が決まる
民放は番組制作費と放送にかかるコストをスポンサー
からの広告収入で賄っている。
広告料の根拠として、視聴率が使用される。
視聴率の高い番組のスポンサー料(広告料金)は高い。
つまり、広告主、広告会社、テレビ局は広告取引をす
る際に、テレビの媒体力やテレビCMの広告効果を測
る指標として利用。
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(2)番組制作の参考に
・視聴者がいつテレビを視ているのか、
・どんな番組をみる人が多いのか、
を分析することで、番組制作・番組編成に役立てるこ
とができる。
⇒視聴者の好み・要求に応える。
また、事件やイベントに対する「国民の関心の高さ」
や「価値観の移り変わり」を知ることができる。
⇒やや学術的か?
ただし、マス・メディアのあり方や方向性を検討す
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る材料ともなる。
参考文献
ビデオリサーチ社ホームページ(http://www.videor.co.jp)
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