LCA講義全部 東北大学使用版

リスクの定量的理解と管理
ダイオキシン、エコナ、環境問題から放射線まで
安井 至
国際連合大学名誉副学長・東京大学名誉教授
http://www.yasuienv.net/
(独)製品評価技術基盤機構理事長
1
リスクの基本的理解
2
リスクの基本的思想

リスクとは、




事象の危険さ × 事象のおきる確率
ものごとの重大性によって数値は変わる
が、例えば、 100万分の1以下になるよう
に対応するのがリスク管理
決して、リスクをゼロにすることがリスク管
理ではない
本講演の目的は2つ


なぜそうなのかを理解していただくこと
不安を解消するには何をすべきか
3
全員を救出しない“リスク”対応は打算か?
いや知恵では?





ルカの福音書15:4~7
「あなたがたのうちに羊を百匹持っている人がいて、
そのうちの一匹をなくしたら、その人は九十九匹を
野原に残して、いなくなった一匹を見つけるまで捜し
歩かないでしょうか。見つけたら、大喜びでその羊を
かついで、帰って来て、友だちや近所の人たちを呼
び集め、『いなくなった羊を見つけましたから、いっし
ょに喜んでください。』と言うでしょう。」
これを、かけがえの無い愛、打算の無い愛、忍耐深
い愛、喜びを分かち合う愛だと教えている。
質問1:あなたならどうするか?
質問2:「羊」が「自分の生徒」だったら?
4
なぜリスク評価を行うか



生存しているということは、膨大な種類のリスクとの戦
いに勝利し、リスクを制御できているからである。
しかし、寿命との戦いには必敗。これが現実。
リスク評価を行う理由=生活の知恵の一種





平常時には無用なリスクは避ける行動 → 常識
非常時にはリスクのトレードオフ → 過度に気にすると生じ
る経済的・精神的ストレスから逃れるのが賢い
最後は必敗という冷徹な事実を受け入れる → 哲学を得る
自己の寿命が延び、哲学を得る → 幸福感の獲得
子孫のリスクを減少させる → 幸福感の獲得
5
リスクの対象には様々なものがあるが、
最大の区別は自己と他人
自分自身(家族)の生存リスク

生命には、あらゆるリスクが存在している
が、すべてのリスクを俯瞰的に捉えること
が出来る人は、専門家を除けば皆無
自分自身の経済的リスク

経済的な損失を被るリスク
6
自分以外のリスクとしては、
次世代の生存リスク


一時期、環境ホルモン(含むダイオキシン)
が次世代の生存リスクに関わるとの認識
があったが、現状では、ほぼ否定。
現時点では、気候変動、資源枯渇、生態
系破壊が、次世代の生存リスクであるとの
認識が一般的。しかし、日本のメディアで
は真剣に議論されない。
社会継続のリスク
7
ヒトの寿命




もともとヒトという生命体は、体のサイズだけから
言えば、40年の寿命(本川達雄氏)。
しかし、優れたDNA修復能力によって、50年の
寿命を獲得した。
その後、他の生命体では有り得ない十分な栄養
素の摂取を行うことによって、そして、医療の充
実によって、現在の寿命となっている。
しかし、内因的なリスクは存在する。
8
ヒトのメカニズムに内在するリスク




女性ホルモンが発がん物質であること
活性酸素は発がん物質であるが、それを除
外できない。なぜなら、活性酸素がアポトー
シス(細胞の自殺)を誘導する重要な武器だ
から。
いずれも、次世代のヒトを作るために必須な
要素である。
あらゆる生命は、次世代を作るために構造
的に最適化されており、命を長く保つように
最適化されている訳ではない。
外因的リスクの例:しかし知られていない
すごいものが許可されている


それはタバコとアルコール
IARCのグループ1の発がん物質でそのリスクは
格段に高い
2002年に分かったすごい毒物



それはポテトチップス、かりんとうに!
IARCのグループ2Aのアクリルアミドを大量に含
んでいる
それでも歴史的にみて大丈夫だった?
10
輸入食品の最大のリスクは?



中国からの農薬の混入?
それとも、輸入できなくなること?
アフラトキシンではないか!?
アフラトキシン カビ毒



小児がんの最大の原因?
日本の規制値は10ppbで不十分?
EUなどは部分的に2ppb
生存リスクでは
発がんリスクが一つの鍵
12
発がんのメカニズム

がんになるということ





細胞ががん化すること
がん化とは、制御が効かない状態で増殖する
がんそのものが死亡原因ではない
それが臓器などの機能不全を引き起こすことで死
亡原因となる
細胞がどうやって増殖するか


DNA(遺伝子)が細胞の機能情報をもっている
2対あるDNAを1つずつ使って、2つの細胞を造る
13
リスクのベースライン

細胞分裂のときにDNAはコピーされるが、完全なコ
ピーではない


DNAは30億個の情報があるが、コピーのエラー率は1
0万分の1程度→6万個のエラー
ヒトは酸素を呼吸する
そのため、細胞では活性酸素がでる
 その活性酸素のため、すべての細胞は、1日に何万個
ものDNAに傷がつく
 ヒトのDNAは遺伝子25000個を含むがそこにも傷
たまたま遺伝子に傷ができても分裂しなければ、がん化す
ることはない。機能がなくなれば死滅。
しかも、修復機能で修復される場合が大部分。



14
発がんへの階段

第1階段:DNAのもつ情報が破壊され突然変異状態になる




第2階段:その細胞が分裂をする


情報は塩基配列と呼ばれる化学結合の並び方で
化学結合が切れると情報も破壊される
発がん物質=活性酸素、放射線、紫外線、ウイルス、寄生虫などなど
寿命の短い細胞、例えば、皮膚、粘膜、などは発がんする確率が高い。
心臓などは低い。
第3階段:抑制遺伝子が異常な細胞に自殺を命令

細胞によっては、命令を無視

第4階段:抑制遺伝子が働かなくなり細胞増殖を加速

第5階段:免疫システムががん細胞を攻撃


がん細胞の数が多くなると免疫システムは無力
ストレスがあると免疫システムの機能不全が起きる
15
IARCの発がん物質グループ1







放射性物質・放射線:14種類
食品関係:タバコ、アルコール飲料、アセトアルデヒド
、中国塩漬け魚、アフラトキシン:7種
職業:アルミニウム製造、鉄鉱石採掘、比較加工業、
塗装業、ゴム工業、製材業など
工業用化学製品:ベンゼン、ベンジジン、1,3-ブタ
ジエン、ダイオキシン、5塩化ベンゾフラン、塩ビモノ
マー、酸化エチレン、ホルムアルデヒドなど
紫外線:UVA、UVB、UVC、日焼けマシン、太陽光
化石燃料:石炭、石炭ガス化、コールタール、ピッチ、
コークス製造、未処理の鉱油、シェール油、煤。
植物:ビンロウの実、噛みタバコの成分
16
続き
 医薬品類:白血病治療薬、白血病抗がん剤、免疫抑
制剤、シクロスポリン、フェナセチン、DES、
 寄生虫:肝吸虫、肝ジストマなど
 ウイルス・細菌:ペルペスウイルス、ピロリ菌、B,C型
肝炎、ヒトパピローマウイルス、カポシ肉腫
 天然無機化合物:アスベスト、シリカ粉、エリオン沸石
 化学兵器:マスタードガス
 女性ホルモン:そのものとそれを用いた治療
まとめると
 工業用化学品16種、医薬品15種、放射線関連14
種がベスト3だが、食品やウイルス、医薬品も多い。
17
放射線による発がん
LNT仮説の実体は?
Linear Non-Threshold Theory
18
LNT仮説(点線)
=Linear and
線形
Non-Threshold しきい値なし
ヒトの持つ高度な
遺伝子の傷の修復
機能を無視している
放医研http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i13
19
石川明氏の作成による
20
しきい値なし線形モデル(LNT)
= linear and non-threshold Model
線量・線量率効果係数は2
NITEのHP(化学物質)
放医研のHP(放射線)
21
放射線のDose Effect曲線
Dose & Dose Rate Effectiveness Factor
LNT=
22
食品を巡る母親の反応は
過敏な反応なのか?
当然の反応なのか?
ICRP勧告の年次変化から
読み取れるものは?
23
日本の過去の“原発リスク”対応






原発が最初に導入された頃、日本の経済発展のためには、安
価で、かつ、当時の石油のような大幅の価格変動をしないエネ
ルギーが必要だった。
原発の立地を受け入れた地域では、「100%安全」、「リスクは
ゼロ」だと思い込むことで、心の平安を得る。しかし、それが本当
ではないことはお互いに分かっている。
実際、3.11が起きるまでは、それなりに上手く行っていたが、
単なる偶然だったことが判明。
むしろ、「リスクはゼロ」故に、「より高度な安全」は存在しないと
せざるをえない。その追求は非論理的な行動になってしまった。
そのため電力会社の経営陣は、二重三重の非常用電源等への
追加投資を決断できなかった?
「リスクゼロ」が正しいという誤解が不幸の始まり。
24
福島県の小学校の校庭利用


小佐古東大教授の発言(緊急事態でも子どもに20mSvの
数値を適応すべきでない。1mSvで行くべき、などと4月29
日に記者会見し、内閣参与を辞任)で方向性が変わった。
「文科省は学童の学校での被曝を年間1mSv以下にする」
と表明。





1日8時間在校するとすれば、200日として1600時間
0.6μSv/時なら条件を満たす。
校庭は高線量なので、6月までは、校庭を使用しなかった。
校庭で遊ぶかどうかを、保護者の判断に委ねた。
保護者の判断は、半々だった。特に、母親は慎重派で、子
どもを校庭で遊ばせることを躊躇した。これは正しい対応で
はない可能性もあると思われる。
25
放医研のHPなど
26
この図の本来の読み方:ICRP流

緊急事態期・復旧期



100mSV/年以下であれば、それほどひどい
事態は想定されないので、対策を取る際に副
次的に生ずるリスクとのリスク・トレードオフを
考慮した上で、ALARA原則で対応すべし。
ALARA原則
=As Low As Reasonably Achievable
平常時

LNT仮説を証明できる訳ではないが、LNT仮
説を否定できるデータが存在しない以上、無
用な放射線の被曝を避けることが賢い。
27
非常事態でのリスクトレードオフ

移住するか、留まるか



校庭で子どもを遊ばせるか



外で遊ばせれば、放射線被曝量が増える
家の中ばかりでは、ストレスが増える
母親がどこまで細かく、被曝を減らす努力をするか



留まると放射線被曝量が増える
移住をすれば、それなりのストレスが増える
努力しなければ、被曝は増えるかもしれない
余り努力をすると、子どもも親も心理的に不安定
要するに、「被爆量」vs.「ストレス」のトレードオフ


「被曝」は発がん確率を上げる
「ストレス」は免疫機能を下げ、発がん確率を上げる
28
ICRPという組織をどう評価




ヒトは、DNAのすぐれた損傷修復能をもってい
るという事実を無視して、LNT仮説を用いてい
るため、安全サイドの結論になっている。
リスクを決して過小評価しないことを目的とし
ている学者集団。
ECRRのように、別の意図を実現するために、
リスク評価を行う団体とは根本的に異なる。
しかし、「謀略説」に囚われ、自ら情報難民に
なりたがる人が増え(内田樹氏の論説) 、
ICRPを支持すると「ご用学者」と呼ばれる。
29
データは未だに広島・長崎依存
以下の出展の大部分は
放射線と健康 (岩波新書) [新書]
舘野 之男 (著)
30
広島の爆心地から500m



爆心地から500m以内 生存者78名
500mだと被曝線量は20Gy(≒Sv)になる
1972年から調査開始






被曝線量の平均は2800mGy(≒mSv)
1972年から25年間の死亡者数45名
その平均寿命は74.4歳
cf.平均余命1975年:男71.8、女77.0
同上 1985年:男75.0、女80.8
同上 1995年:男76.7、女83.2
31
フォールアウトと放射化による環境放射線


広島・原爆のケース
放射化:中性子照射による(推測値)




1日後:10mSv/時
1週間後:10μSv/時
1年後:0.1μSv/時
フォールアウト:「黒い雨」=火災の炭素



定量的データはほとんど無いが、この影響で死者がで
ているようだ
しかし、主な核種は、セシウム137やヨウ素131のよう
な蒸発しやすいものではない。
福島のケースよりも瞬間被曝に近い?
32
寿命調査(対象:広島・長崎)

1950年10月1日に登録した




被爆者 :82,000名
非被爆者:27,000名
合計 :109,000名
1958年当時、放射線の影響は白血病



結論:「いろいろなタイプの悪性腫瘍の中で、
白血病はもっとも確率の高い結末である」
1975年までの発症数 70例
1985年までの発症数 80例
33
LNT(linear non-threshold)仮説へ
1.遺伝影響(被曝の次世代への影響)





1953年、ワトソンらによるDNAの構造
遺伝子の確立 → 生殖細胞のDNAが放射線で損
傷を受ければ、当然、遺伝影響がでる
それ以前の状況 ショウジョウバエの突然変異への
放射線の影響 = 有り → 遺伝影響仮説
仮説(1)総線量に比例、(2)線量率には無関係
メガマウス実験(1951~1965)


線量率を下げると突然変異率が低下
照射後、受精までの時間を長くすると突然変異率が低下
遺伝影響仮説が揺らぐ
34
遺伝学調査 → 影響は見つからない





寿命調査と並行した被爆二世の調査
死亡率調査、細胞遺伝学調査、細胞生化学調査
(1)両親とも直接被爆(2000m以内)した子ども18
946名
(2)遠隔被爆した親(少なくとも一人が2500m以内)
の子ども16516名
(3)両親とも、広島・長崎以外の子ども17263名
遺伝的影響( =次世代への影響)は見つからなかった。
=生殖細胞への影響は被曝後6ヶ月から1年程度で消える
=ただし、胎児であれば、受ける影響は大きい
ICRP1977年勧告:「過去約20年に得られた知識からすると、
遺伝影響は重要ではあるけれども、飛び抜けて重要ではない」35
LNT(linear non-threshold)仮説へ
2.発がん影響

発がんの原因がDNAの損傷



少しでも損傷があれば、必ず発がんにつながる可能
性がある → 自然に“LNT”へ向かった
ICRPの1965年勧告



紫外線、化学物質、放射線、なんでも
「しきい値が存在しないという仮定、および、完全に線形で
あるという仮定は正しくないかもしれないことを知っている
が、この仮定によって過小評価をすることになる恐れはな
いことで満足している」。
すなわち、ICRPはLNTが過大評価であることを認識。
過大評価であるということを「コミュニケーション」に
組み込むにはどうするか?
36
LNT(linear non-threshold)仮説へ
2.発がん影響 その2


実は、放射線ががんを発生させることは、X線の発見
と医療への応用の課程で、すでに既知
ドイツのヘッセは1911年までにX線によって発生し
た皮膚がんを94例も集めていた。



広島・長崎の白血病の発症数よりも多い
そして、その症例から、レントゲンがんとでも言うべき
皮膚がんには、どうみても「しきい値」があると考えら
れていた。
しかも、その考え方は、1950年頃まで放射線傷害
を受けた放射線科医や放射線技師で繰り返し追認さ
れていた。
37
LNT(linear non-threshold)仮説へ
2.発がん影響 その3




DNAポリメラーゼの発見 1956年
米国アーサー・コーンバーグ
DNAの修復機構は、現時点でもまだ新発見の
続く課題
ICRPは影響を過小評価をしないことだけを考え
ている機関であるが、適正なリスクコミュニケー
ションを考えるべき機関であれば、DNAの修復
機構の進化を評価しているだろう。
具体的には、LNTを捨てているだろう。
38
LNT(linear non-threshold)仮説へ
2.発がん影響 その4

ICRP1977年勧告


LNT仮説があてはまる影響を「確率的影響」と定義した。
ICRP1990年勧告 被曝1Svあたり





1977年:発がん死亡リスクは125/10000
1990年勧告では500/10000と4倍にした
理由:1950年~1975年のがんの過剰発生数
135例が、1950~1985年では260例に。
理由:中性子線の被曝値を修正(湿度による吸収補正)
理由:相加予測モデルから、相乗予測モデルへ



自然発生率に一定数を加えるか、一定数を掛けるか。
発がんは長寿命化によって増えているので、相乗予測は大。
その他:致死性がんからすべてのがんを対象に
39
ICRP1990年勧告 死亡確率の年齢依存
公衆
従事者
40
LNT(linear non-threshold)仮説へ
2.発がん影響 その5

ICRP2007年勧告 余り変わっていない。



線量・線量率効果係数は依然として2
過剰のがん発生率は1シーベルトあたり5%
しかし低線量についての表現が変わっている


1990年勧告:何年もの期間にわたり放射線被ば
くをした場合、約 500mGy 以下の線量では重篤
な影響は起こりそうもない
2007年勧告:吸収線量が約 100mGy の線量域
まででは臨床的に意味のある機能障害を示すと
は判断されない
41
菅原努教授の中国での疫学
天然放射線が強い地域 2~3mSv/年
線量(mSv)
人数
相対リスク
95%信頼限界
0-99
142
1
100-199
261
0.83
0.65-1.06
200-299
211
0.98
0.76-1.26
300-399
263
0.9
0.68-1.18
82
0.66
0.45-0.98
>400
妥当な説明には、この地域は注目されているため、無料検診を
受ける機会が多いことを考慮すべきか?
42
ICRPが信用されていない?





放射線防護学者が様々なことを言う
それはデータが無いから
データがなければ、ICRPの2007年勧告のような結
論を出すことが、科学者として当然。
ECRRのように、原発反対主張のために、放射線影
響を意図的に過大評価する団体とICRPとの信頼性
の違いを誰も報道しない
東京新聞がECRRのバズビー博士の記事を載せる
理由は?
43
推定値:ICRP、ECRRの関係
限界被曝量 100mSv(瞬間)
限界被曝量 100mSv(1年?)
基本部会
修復機能を考えると
20mSv(1年)
ECRRの主張
内部被曝による
平常時 1mSv/年
44
不安を解消する
45
現時点での最大の問題は「不安」




なぜならば、不安によるストレスは、がん
のプロモーターになりうるから
がんだけでなく、「うつ病」の最大の原因
不安の最大の原因は「不信」
ところが、「不信」を与えることが目的の集
団が存在している



=反原発団体
=国家陰謀説に染まっている人々
専門家がなぜ救済に動かないのか
46
反原発団体の罪



原発に反対することと、すでに放出されて
しまった放射性物質の影響をできるだけ取
り除くこと、とは独立事象である
原発に反対しつつ、福島の被害者の救済
に立ち上がるべきである
食品などの規制が余りに厳しくなることの
合理性が無いことを理解すべきである
47
「不信」の最大の原因は、統一見解がないこと
なぜ学者は統一見解を持たないか



現在の放射線防護学の大権威であるICRPの説を
認めてしまったら、自分の存在意義が無くなるから。
100mSv以上の被曝のリスクは、広島長崎の8万2
千人を母集団としても、統計的にやっと有意なデー
タがでるかどうかギリギリ。
100mSv以下は、統計的に有意な証拠は見つから
ない=>3つの考え方がある



見つからないなら無いと考える
見つからないから中被曝からの延長線を採用=LNT
見つからないから適当な仮説を作って自説とする
=この対応のみが自分の存在意義を主張できる
48
一般論:不安解消のための手法




1.科学的理解の増進 次に説明
2.歴史的検証の解説 ICRPの歴史
3.対応する組織の能力・意図の伝達
4.危険を自ら数値として理解できる対応


個人的には、かなり高性能の放射線測定器を
貸与する。食品の放射線量が低いことの認識
をしてもらうため。
5.保険・担保的な補償

もしも、白血病、甲状腺がんなどに罹患した場
合は治療費無料 かなり高額な保険を国で
49
科学的理解の増進:
放射線のリスクでは

放射線そのものの科学的理解の増進




半減期
ベクレルとシーベルトの区別
セシウムというもの
自然放射線




カリウム40
ラドン
ポロニウム210
トリウム
50
放射線のリスク その2

その影響と防御





影響は、白血病(血液のがん)と普通のがん
当初、遺伝的影響(次世代に影響が伝達する)こ
とが懸念されたが、その心配はないことが判明
卵子のように、一生分のストックがある場合でも、
影響はない。
精子の場合には、日常的に作られているので影
響はないのが当然。
防御については、平常時、緊急時
51
半減期の理解


分かりにくいところ
物理的半減期と生理的半減期





セシウム137は30年=物理的
セシウム134は2年=物理的
セシウムは100日=体内からの排出速度
外部被曝は物理的半減期が重要
内部被曝は生理的半減期が重要

内部被曝の場合、蓄積されて増えていくと考
えている人が多い
52
セシウムの生理的半減期の理解



問題
ある銀行では、預金に手数料が掛かる。10
0日預けると、預金がなんと半分になってし
まうという。
このような銀行に毎日1000円ずつ預金する
と、1年で約365、000円預けることになる
が、1年後、2年後、3年後、10年後の預金
残高はいくらか。
53
問題の答え

半減期100日の銀行に、毎日1000円ずつ
預けると、(うるう年は無視)






1年後:133、237円
2年後:143、851円
3年後:144、697円
10年後:144、700円(一定値になる)
∞年後:144、700円(一定値になる)
このような銀行では、預金残高は毎日の預
金高の145倍を超えない。
54
毎日1000円を、半減期100日の銀行に預金したときの
預金残高の推移。100年預金しても145000円を超さない
日
55
問題の変形:
1年後のある日だけ1000円ではなく、1万円預
金すると3年後の預金残高は?
3年後にはほぼ同じ預金残高になる
日
56
セシウムという元素





性質としては、カリウムにそっくり
カリウムは細胞の中に存在しており、ナトリ
ウムは細胞外に存在。
カリウムは筋肉に蓄積されるが、常に、補給
・排出されている。
ストロンチウムは骨に蓄積されるので、動か
ない。そのため、骨周辺への影響が大きい。
ヨウ素は、甲状腺に特別に集中する。
57
対応する組織の能力・意図の伝達の例
10月31日のプロフェッショナルNHK





福島徹(60)氏の経営する食品スーパー
食品業界のトレジャーハンター
価格で客を引き付けるなどという手法は取らない
「安心できる食材を提供する」とも言わない
モットーは、



「信頼」を己が全力で取り付ける
そして、福島産の米も店頭へ
3回放射線を測定し販売

客、「この店を信頼していますから、安心していただき
ます」。
58
危険を自ら数値として理解できる対応
不安解消策 自ら測る


福島県の、不安を訴える人々に、高感度
の放射線測定器を貸与したらどうか。
食品については、測定が難しい。しかも、
厳密に測定する場合には、ミンチ状にする
ので(測定したら食べられなくなる)難しい
が、それでも、高感度測定器でも、使い方
によっては、目安ぐらいにはなるのでは。
59
不安解消策 保険・担保型




福島県で被曝を受けた人が、白血病、甲状
腺がんになった場合には、治療費は特別の
保険によって支払うことができる。毎年の保
険料は国が払う。
万一の場合には、やはり多大な保険金が支
払われる。
金銭的な補償については抵抗感があるだろ
うが、しかし、唯一の方法である。
毎年の無料健康診断の提供はすでに決ま
っている
60
化学物質の場合
それほどの論争はない
そもそもリスクをどう考えるか
61
そもそもリスクとは?

“リスク=risk”の日本語訳は?



危険、冒険
危険、恐れ
それなら、dangerとどう違う?

類義語辞典によれば
danger 「危険」の意の最も普通で広義の語.

リスク=risk 自発的に冒すことによっ

て、付随して起きる危険.
 化学物質の場合、無用な冒険は無用
62
キーワード「リスク管理」
ところが、これが日本人にはもっとも難しい
言葉である。なぜか?
 日本にはコタツがあるのに、欧米にはなぜ
ないのか? 実は「答」は同じ。
 農耕民族 vs.狩猟民族
 リスクを避ける習性:例外がフグ
 「穢れ=他人と違う」を嫌う
-> なじみの無いものへの警戒感が強い
 例えば、遺伝子組換え作物(GMO)
 新型インフルエンザ
63

リスク感覚=リスク分布
典型例:ノンフロン冷蔵庫、臭素系難燃剤
日本流
個人・空間etc
我慢型のリスク受容
欧州流
個人・空間etc
保険型のリスク受容
64
フグのリスクとチャレンジ





食中毒による死者の最大の原因は、いまだに
フグ。次がキノコ。
フグを食べることは、まさにリスクである。
世界的に、フグを食べる国は日本のみ。
フグ毒に関しては、世界で唯一チャレンジした
国民。例外的。
場合によっては、ヒジキもそうかもしれない

ヒジキは無害な有機ヒ素ではなく無機ヒ素を含む
65
ISO31000による新しい定義



ISO31000 リスクマネジメントが発行
2009年11月
もちろん任意規格である 認証は無い
リスクという単語の意味が相当議論された
(三菱総研 野口氏)
 risk=effect of uncertainty on objectives

「リスクとは、(その組織などの)目的に対して、不
確実性が引き起こす影響である」。
リスクとは悪い影響だ、と言っていない。
66
化学物質をなぜ意図的に使うか


それは日常生活を便利にするから
例えば、プラスチックが無かったら?





使える材料は、金属、木材、紙、ガラス、陶器などに限られ
る
食品の包装が無ければ、傷みが速くなる
家電製品の価格が、相当高くなる
少なくとも液晶テレビ・ノートパソコンは存在しない
もしも化粧品が無かったら?


昔は、鉛白、京紅、椿油、、、、
今は、多種多様な化学物質を使っている
67
白粉(おしろい)、京紅(べに)

白粉 中国から輸入された高級品は鉛白 (塩基
性炭酸鉛:有毒)であった。国内では、伊勢白(多
分、塩化第一水銀:有毒)。



鉛白は、1934年に禁止に。
お岩さんは鉛中毒?
京紅 ベニバナから



もともとは黄色
水にさらすと紅くなる
乾燥して粉末に

天然アカネ色素が禁止に。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/040705/index.html
68
69
安全性の目安=安全係数



安全係数(マージン)とは
吊り橋の安全の判断は?
ワイヤーロープの強さと荷重


安全係数=ワイヤーロープが切れる荷重/想
定される最大の荷重
ワイヤーロープのように機械的な部品の場合、
安全係数が3倍程度以上でOKと考える
http://www.rope.co.jp/products/technical/th_03.html

工業製品であるため、特性がほぼすべてワイ
ヤーロープについて同じ
70
発がん性の暴露マージン 農水省のHPより
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/guide.html#17
71
発がん物質に関する安全係数



安全係数=下限ベンチマーク用量/摂取量
発がん物質の場合、安全係数が10000倍あれば、
安全だと判定する。
発がん物質には2種類。


1.遺伝子に傷を付ける物質(本当の発がん物質)
2.発生したがんを増大させる
IARCが示すヒトの発がん物質
=グループ1は107種類 (04.03.11現在)
 IARCの恐らくヒトの発がん物質
=グループ2Aは58種類 (04.03.11現在)

72
エコナはなぜ自主的販売中止に


そもそもエコナ(花王製)とは何か
特別保健用食品
体脂肪に
なりにくい食用油


食油の分子構造を
人為的に変化
不純物として
グリシドール脂肪酸エステル

73
グリシドール脂肪酸エステル

事実その1



消化時に、グリシドールと脂肪酸に分解される。
このグリシドールには発がん性(グループ2A)が
あるとされている。
事実その2


パーム油などの他の食用油にも存在している
しかし、エコナには、比較的多いとされているパ
ーム油の30倍以上が含まれている
74
75
76
エコナの結論



エコナは不純物として、消化時に発がん物質を
発生する可能性がある物質を含む。
他の食用油にも含まれている物質ではあるが、
30倍ぐらい多い。
もしも、全量がグリシドールになると仮定し安全
係数を計算すると、通常10000倍必要とされ
ているが、どうも1000倍ぐらいしか安全係数
がないか?
77
真実はさらに複雑





グリシドールという物質は、水があると反
応して、グリセリン(無害)になる。
酸があると反応はさらに速い。
消化管には、水分は大量にある。また、胃
酸などがあり酸性。
グリシドールは消化管の中では不安定な
のではないか。すぐ分解?
となると、安全係数はやはり10000倍あ
るのではないか?
78
消費者委員会





特定保健用食品という「健康を謳う」食品に発がんの
可能性があるということは、大きな自己矛盾がある(
=社会の目的に反する)
「特定保健用食品を取り消すべき」と主張
花王は、自主的に取り下げた
しかし、「まともに化学物質のリスクの議論ができれ
ば勝てた」のか
論点が全く違うので、「単純なリスク論(=ヒトの健康)
でまともに戦って勝つ可能性がない」という理解を受
け入れたと推量
79
天然食品は安全なのか?
畝山智香子「ほんとうの食品の安全」より

タマネギを食品添加物として見なすと



ジャガイモの毒性がもし残留農薬由来ならすべて
回収の対象。




カレー一皿に許容される量は、0.016g
サラダなら、0.008g
ソラニンなどの毒性物質を含むため
5~50mg/kgで危ない
英国では、ヒジキは危険物(乾物は危険)
大豆(特に豆乳)に含まれるイソフラボンを環境ホ
ルモンだとして疑問視する国は多い
80
天然食品の安全係数





多くの天然食品について、人工物なみの毒性の試験
は行われていない。
そのため、確実なデータはないが、推測では、安全
係数が10~20程度のものが多いか。
それでも「安全な」理由は、まず、10倍も食べられな
い。
しかも歴史的に証明ずみ=文化的な継続性がある
ゆえに、「社会の目的に適合」。
しかし食塩など事実上安全係数の低いことが分かっ
ている食品もある。
81
野菜・果物は健康によい。しかし、、
だからといってすべての植物が食べられるわけで
はない。むしろ、食べられない。
 理由:植物は動けないから、、、
 植物は、一般に自己防衛のために、天然農薬を
せっせと作る。
 有機農法は極めて難しい。方法は唯一
=「分かち植え」:生産性が低い
 ネギ、ニラ、などの虫が嫌う野菜の活用
 一方、穀物、果実に毒は作らない

82
成分を濃縮した健康食品は?
不確実性が大きいエリア





100倍も濃縮すると、かなり怪しい。現在、人体実
験が進行中であるとも解釈(個人的)できる。
理論的に利かないことが分かっている健康食品も
多い。
代表例は食べるコラーゲン
→ (独)国立健康・栄養研究所のホームページに
詳細な情報がある。
http://hfnet.nih.go.jp/
83
畝山さんの最新の書籍





「安全な食べもの」って何だろう?
放射線と食品のリスクを考える
日本評論社、2011年10月30日初版
¥1600+税
放射線被曝をさけるために、水道水をボトル
水に変えることのリスク
水は、ヒ素のリスクが最大のリスクである
ヒ素の発がん物質である
結論としては、その変更がよいとも言えない。
84
政府、自治体の役割とは?
信頼性を回復し不安解消に
貢献すること
85
放射線の怖がり方は明らかに異常








その根底には、不安。
国は何かを隠している
原発の安全性についても知っていたのに
ICRPというその筋の権威も何か隠しているものが
ある
これはメディアが好きな題材
NHKですら、その方向性
文部科学省の「放射線委員会」の動向を注目して
いる
それは、国が信頼性を再構築できるか
86
信頼と安心はどこが違うか




クリアーに表現している書籍を探していた
昨年暮れにアマゾンを検索しかつ自分の
蔵書をひっくり返して探したところ、
山岸俊男「安心社会から信頼社会へ」中公
新書1479 1999年初版
1948年生まれ、一橋大学社会学部卒、
ワシントン大学社会学博士、北海道大学
教授、紫綬褒章(2004)
87
山岸流の安心と信頼





「信頼」には2つの要素がある
1.能力に対する信頼
例えば、飛行機のパイロットを信頼する
かどうか
2.意図に対する信頼
例えば、「浮気」に関して配偶者を信頼す
るかどうか
88
能力に対する信頼





能力の高さは、証明が可能
国・自治体・独法は「能力」を万全なものに
する必要がある=当然のこと
「能力」を他の組織のもの以下にしてしまっ
たら、存在意義がない
しかも、その「能力」をクライアントである国
民に信頼してもらう必要がある
コミュニケーションが極めて重要
89
「意図=やる気」に対する信頼





政府、地方自治体は本当に国民のために仕
事をしているのか
国民といっても、多種類の国民がいる
製造事業者、販売事業者、消費者、反体制
主義者などなど
すべての国民に信頼されることが目的
しかし、「意図」が信頼されたとしても、「安心」
してもらえるとは限らない
90
「安心」とは何か




もともと受け手の心理的な状況の表現であり
、対象が信頼ができない場合には、決して、
安心しない。
それなら、逆も真なのか。
対象が信頼できれば、必ず安心できるのか。
これは、重要な問題であるが、個人的には答
えが見つかっていない。
91
山岸流 「安心」と「信頼」の差異





友達の借金の要請にどう対応するか
「100万円貸してくれ。必ず返すから」
友達をいくら「信頼」していても「安心」はでき
ない場合もある。
もしも、友達の所有物、例えば、宝石などを
担保として預かれば、「安心」ができる。
理由:担保による保証。
92
安心:
日蝕後にも太陽は必ず戻る





これはなんの担保もないのに安心できる
原始人は不安になった
それは、自然科学によって100%保証されて
いるから
過去に、日蝕後に妙なことが起きた歴史はな
い
理由:絶対的真理・歴史的真理による保証?
93
安心?
明日の朝、海外出張。起きられるか?




この目覚まし時計は、これまで壊れたこと
はないので、大丈夫。
しかし、安心はしにくい。
個人的にはせめて、「2つ目の目覚まし時
計を準備したい」。
できれば、違ったメーカーのものにするな
ど、リスクに十分な対応ができる
94
マフィアのボスの安心
=部下は命令を必ず守る


もしも部下がボスの命令に背けば、必ず「
死の掟」が発動される
すなわち、ボスは「死の掟」のお陰で、安心
していられる。
担保による被害補填の安心


銀行業が安心していられる理由
ときに、不良債権になるが。。。
95
不安解消のシナリオ

1.皆既日蝕でも不安にならない理由


2.お化け屋敷を平気で歩ける理由


広島・長崎の被爆者や原子力関係者の寿命
4.長期的なフォローが長寿へ


未来に関する情報をしっかり把握
3.ケアが実質の被害を防ぐ理由


メカニズムの知識を最新のレベルにする
政府と自治体がフォローを約束
5.究極は補償を約束すること

高被爆者の甲状腺がん・白血病等の生命保険
96
歴史的な検証




ひとつは、日本における過去の環境問題
の検証とその理解
ひとつは、ICRPという組織が何を勧告して
きたかの検証とその理解
相対的な環境リスクがどのように変化して
きたか
そこで、メディアなどがどう報道をしたか
97
クボタ旧神崎工場の石綿使用量
朝日新聞より
Dioxin Concentration in Mother Milk
1973
1980
1990
2000
環境省
ダイオキシン インベントリーより
益永先生の研究
9000
8000
7000
6000
9000
5000
8000
7000
4000
6000
3000
5000
4000
2000
3000
2000
1000
9000
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
三井化学が大反発、しかし部分的に認めた
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
1998年
97
1997年
0
1999年
1000
2005年
2004年
2003年
2002年
02
2001年
2000年
1999年
1997年
1998年
0
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
0
2000年
1000
「ローカルリスク低減」の理解
発
展
途
上
国
リ
ス
ク
危険残留
安
全
圏
適
正
な
対
応
・
国
際
標
準
先
進
国
の
過
剰
な
対
策
別のリスク
が増大する
これがしばしば
グローバルリスク
実質安全
対策の強化
絶対安全
2000年頃の状況
ゼロリスクに見えるものが好きな日本人

植物起源のプラスチック




水素燃料電池車



CO2面は有利。
カーボンオフセットを考慮?
土地利用、水資源の限界を考えたとき、本当に持続
可能性が高いか?
走行時CO2排出量ゼロ。「出すのは水だけ」
Well to Wheelで、ハイブリッド並の効率
電気自動車


走行時CO2排出ゼロ。効率も高い。
しかし、最大も問題は電池の性能・価格ではない。
104
身近なリスクには反応するが...


日本人が、未来世代のリスクである地球レ
ベルの環境問題、特に、気候変動対策と
生物多様性の保全に本気で取り組めるか
どうか、かなり懸念がある。
両方とも、途上国への支援が必要である
が、最近、このマインドも日本国民の心か
ら消えかかっているのではないか。
105
最終的なまとめ






リスクの評価は、なかなか難しい問題を含んでいる。
ある特定のリスクのみを削減することに大きな意味はな
いが、リスクを横断的に見ることは、余り行われない。
今回の大震災が契機となって、リスクの概念が一般化
することを期待していたが、現時点で、期待が消えつつ
ある。
国が信用されない状態、責任を誰も取らない政治家、メ
ディアがリスクに関して正しい報道をしない現状、これは
日本の不幸である。
正しくリスク評価ができる人は内田流情報貴族である。
原発の可否とすでに放出された放射線のリスク対応と
は、完全に切り離した議論をすべきである。
106