Bar-TOPにおける光の群速度伝播の解析

Bar-TOPにおける光の
群速度伝播の解析
名古屋大学
高エネルギー物理研究室
松石 武
(Matsuishi Takeru)
1.Motivation
• 光の波動性の観点から媒質中での光子の伝播形態を見
た時,分散性をもつ媒質中では,光子は波束(wave
packet)として記述され群速度(group velocity)で伝播する.
• そのことが,TOPの時間分解能にどのような影響を与え
るかを知りたい.(波長不定性による効果,σの波長依存
性)
• 実際に,今使っているBar-TOPにおいて,計算値が示す
群速度を再現しているか確かめる.(検証)
2.光子の群速度伝播がTOPの時間分解能に与える影響
時間分解能の波長依存性
• 『波長依存性がもつ不定
性が効いてくる.』
•
 (TOP )

によって記述される.

垂直入射,L=1.73m,
⊿λ=60 10^-9m
3.Bar-TOPにおける光子の群速度の計算値
• 群速度の定義
角振動数ω=ω(k):
kの2次以上の函数.
d
vg 
dk

k0
Bar-TOPのω(k)函数
ck
8.2 109
1.44 
  126109
ck

8.2k 109
1.44 
2  126k 109
 (k ) 
レーザー波長λ=406nmのとき
vg  1.98108 (m / s)

(Bar-TOPの分散曲線)
v ph  2.04108 (m / s)
4.TDCモジュールの線形性
• 入力する現実時間とTDCモジュールの出力値の関
係.(Cable delayによる方法を用いた)
TDC count
(傾き) 
 0.97878 0.00006
real tim e
• TDCモジュールの出力値は上の割合で
現実時間より小さく出力される.
5.実験
Set up
回路系はTOPの室内実験用
と同じものを用いる.
6.光伝播部分の詳細
Radiator Barの両端面にミラーを取り付けレーザー光の反
射回数(=伝播距離)に応じたTDCスペクトラムを得るよう
にする.
Bar-Size: 200 1000 20mm (wid length depth)
光量: 1事象毎にPMT当たり1光子程度.1mradの拡がり.
7.測定結果
オシロスコープの
波形,及びTDC
分布から,伝播
距離,1m,3m,
5m,・・・17mの光
子を検出したこと
を確認.
8.解析
• TDC分布をガウシアンで
フィット,中心値を縦軸に,
伝播距離を横軸にとり,
直線の傾きの逆数から算
出.
• このとき,先述のTDCモ
ジュールの線形性を考慮
し較正を行う.
9.結果
• TDC分布を用いた解析により,以下の値を得る.
vbar  (1.98830 0.00043 0.00024) 108 (m / s)
vair  (3.021 0.001 0.021) 108 (m / s)
• 統計誤差:TDCのガウス函数のフィット,測定点の直線に
よるフィット,モジュールの線形性のフィットの誤差より算
出.
系統誤差:測定状況による誤差.(水平放出角Φの誤差)
Bar中の光子は誤差の範囲内で有意に群速度伝播してい
ることを確認.
8
vth  1.9810 (m / s)