実務フォロー研修 燃焼管理 平成11年2月24日 東京都清掃研究所 1 第Ⅰ部 概 論 2 燃やすということは? 消火の反対 ? 3 火を消すためには? 消火の3条件 1.温度を発火点以に下げる (冷却消火) 2.空気を遮断する (窒息消火) 3.燃えている物を除く (除去消火) 4 燃焼の3条件 消火の3条件を否定 1.温度を下げる→ 温度を保つ 2.空気を遮断 → 空気を供給する 3.燃料を遮断 → 燃料を供給する この3つの条件を同時・安定的に行う 5 燃焼管理とは 1.炉温を保つ 2.空気を適切に供給する 3.ごみを安定して炉に供給する + 4.公害防止 5.エネルギーの回収 6 第Ⅱ部 予備知識 7 燃料と燃焼 燃料 空気中で燃焼し、光や熱を有効に 利用できる物質 燃焼 熱と光を伴う酸化反応 8 燃料の分類と特徴 気体燃料 燃焼装置への供給が容易 燃焼温度の調節が容易 液体燃料 〃 固体燃料 燃焼装置への供給 難 発熱量 小さい 灰分 多い 公害の発生 多い 9 固体燃料の燃焼 1.蒸発燃焼 ろうそく 2.分解燃焼 木材 (ガス化燃焼) 3.おき燃焼 木炭 10 ごみの燃料としての特性 1.発熱量が低い 平成9年度 低位発熱量 2156 kcal/kg 2.見かけ比重が小さい 平成9年度 0.130 3.水分が多い H.9年度 40.7% 4.臭気が強い 5.燃焼時に公害を発生する 6.均一性に乏しい 7.焼却灰、飛灰の発生量が多い 11 可燃ごみの組成と見かけ比重 100% 0.5 その他不 燃物 金属計 80% 0.4 60% 0.3 40% 0.2 見掛比重(kg/l) 湿ベース組成(%) 不適物計 その他可 燃物 木草 繊維 厨芥 20% 0.1 紙 見掛比重 0% 0 S46 S50 S55 S60 S61 S62 S63 H元 H2 年度 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 12 ごみの3成分の変化 80 70 60 水分 灰分 可燃分 50 % 40 30 20 10 0 S48 S51 S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 13 ごみの低位発熱量の変化 3000 低位発熱量 (kcal/kg)_ 2500 2000 1500 実測Hu 計算Hu 1000 500 0 S48 S51 S54 S57 S60 S63 H3 H6 H9 14 燃焼状況の指標 1.炉 温 2.蒸気発生量 3.吹き抜け 4.燃え切り点 5.ごみ厚 6.排ガスの性状 酸素濃度 O2 % CO ppm NOX ppm 7.未燃ごみ 8.熱灼減量 15 燃焼方式 1.炉内圧による分類 ①負圧燃焼 ②加圧燃焼 2.単段燃焼と多段燃焼 3.ストーカ式と流動床式 16 焼却炉の形式 ごみの流れとガスの流れによる分類 1.向流式 2.並流式 3.交差流式 4.2回流式 17 向流式と並流式 向流式 並流式 18 交差流式 大田第1工場 向流式と並流式の中間タイプ 19 交差流式 大田第1工場 20 2回流式 目黒工場 21 2回流式 江戸川工場 22 多段燃焼 大田第2工場 23 ストーカの形式 1.順送式 2.逆送式 24 ごみの燃焼機構 火炎 ご み 層 の 厚 さ 燃切り点 なま 燃焼層 ストーカ おき 灰 1次空気 25 ごみの乾燥機構 1.放射(輻射熱) 2.対流伝熱 3.高温通気 4.内部着火 26 燃焼プロセス 排ガス 第2燃焼室出口 ガス混合 2次燃焼 第1燃焼室出口 初期ガス燃焼 雰 囲 気 高O2域 還元ガス多 燃焼ガス多 還元ガス少 燃焼形態 表面燃焼 ガス化燃焼 おき燃焼 ごみの形態 生ゴミ 低水分ごみ 分解燃焼 灼熱層 燃焼・前 燃焼・後 後燃 ホッパ 還元ガス少 乾燥段 焼却灰 27 炉 内 の 燃 焼 ゾ | ン G E A A:表面燃焼 B:ガス化燃焼 C:分解燃焼 D:おき燃焼 E:初期ガス燃焼 F:高酸素域 G:2次ガス燃焼 F B C D 28 燃焼速度 投入量≠燃焼速度(t/hr) 燃焼速度≒(20-O2)×A×(12/22.4) ×10-3/0.5 条件 ごみ中の可燃分 50% 排ガスの O2+CO2=21% 29 第Ⅲ部 各 論 30 燃焼管理とは(もう一度) 1.炉温を保つ 2.空気を適切に供給する 3.ごみを安定して炉に供給する + 4.公害防止 5.エネルギーの回収 31 1.炉温を保つ 目標値 (1)ごみ処理施設構造指針 750~950℃ (2)DNX予防ガイドライン 850℃以上 (900℃以上が望ましい) (3)クリンカー(焼塊) 1050℃以上 管理値 850~950℃(新設炉) 32 2.空気を適切に供給する (1)燃焼状況に適した量 (2) 〃 配分 (3)1次空気の温度 (4)2次空気の場所と量 33 2-1 空気量の決定 計画焼却量 蒸気量 焼却量 演算 演算 回帰 発熱量 理論空気量 燃焼用空気量 燃焼状況 空気比 空気量操作 決定 34 2-2 ごみの発熱量と空気量 A 0 理論空気量 Nm3/kg 2.80 2.60 A0= 8.29×10-4 Hl + 0.707 r=0.983 2.40 2.20 2.00 1.80 1400 1600 1800 2000 2200 Hl 低位発熱量 kcal/kg 2400 35 2-3 空気比 m m=A/A0 A :実際の空気量 Nm3/kg A0:理論空気量 Nm3/kg m:1.5~2.3 (O2:7~12%) 36 2-4 空気量の計算 ごみの低位発熱量 2300kcal/kg(9637J/kg) グラフより A0=8.29×10-4×2300+0.707 =2.61 Nm3/kg 焼却量 150t/d=6.25t/d A0 =2.61×6.25×103 =16313 Nm3/h 空気比 m=1.82 O2 9.5% A=16313×1.82=29690 Nm3/h 37 2-5 空気比とCO C O 濃 度 酸素不足 温度不足 適切 空気比 38 3.ごみを安定して炉に供給する (1)ごみバンカーの使い方 (2)焼却量と燃焼量(燃焼速度) (3)ごみ厚の調整 (4)未燃 (5)吹き抜け 39 4.公害防止 公害とは、(典型7大公害 ? ) 事業活動その他人の活動に伴って生ずる相当 範囲にわたる ①大気の汚染、②水質の汚濁、 ③土壌の汚染、④騒音、⑤振動、 ⑥地盤の沈下及び、⑦悪臭 によって人の健康または、生活環境に関る被害 を生ずること 環境対策基本法 40 DXNの発生源と発生量 1990年 発生源 発生量(g-TEQ/y) 都市ごみ焼却 3100~7400 有害廃棄物焼却 460 医療廃棄物焼却 80~240 下水汚泥焼却 5 製鉄・鉄鋼 250 自動車排ガス 0.07 木材燃焼プラント 0.2 髪・板紙 40 紙パルプ 2 KP回収ボイラ 3 合計 3940~8405 (平岡京都大学工学部名誉教授による) 41 DXN対策 新旧ガイドライン 42 DXN予防ガイドライン 既設炉 ・燃焼温度 :800 ℃以上 (850℃以上の維持が望ましい。) ・CO濃度:50 ppm以下 (O2 12%換算値の4時間平均値) ・安定燃焼:500 ppmを超えるCO濃度瞬時値の ピークを極力発生させないように留意する。 (5回/hr程度以下) 温度計に加えてCO連続分析計及びO2連続分析 計設置し監視する 43 DXN予防 その1 全連続式 新設 1.施設運営 (1)適正負荷 ごみ質の均一化、安定燃焼 (2)連続運転 運転期間の長期化 (3)定期測定 年1回を原則 44 DXN予防 その2 全連続式 新設 2.受け入れ供給設備 (1)ごみピットとクレーン 安定燃焼が継続可能な十分な容量 自動ごみクレーンによる撹拌と定量的 な供給 (2)前処理・供給装置 ごみの均一化 定量的供給 45 DXN予防 その3 全連続式 新設 3.焼却炉 (1)燃焼温度 :850℃以上(900℃以上が望ましい (2)ガス滞留時間 :2秒 (3)CO濃度:30ppm以下 O212%換算値の4時間 平均値 (4)安定燃焼 :100ppmを越えるCO濃度瞬時値 のピークを極力発生させないように留意 温度計に加えてCO連続分析計及びO2分析計 を設置し監視する 46 DXN予防 その4 全連続式 新設 4.ガス冷却設備 廃熱ボイラを原則 5.排ガス処理設備 ・集じん器の低温下 入口ガス温度 200℃未満 ・吸着除去法 活性炭の利用 ・分解除去 脱硝触媒 200℃以上 47 5.エネルギーの回収 工場名 竣工 炉形式 最高発熱量 kcal/kg 規模 t×基 焼却能力 発電出力 t/d kw 練馬 H .4.9 川重 サン型 1,900 300×2 460 1,500 高温水 有明 H .7.12 三菱 マル チン式 3,400 200×2 400 5,600 蒸気、高温水 千歳 H .8.3 川重 サン型 2,900 600×1 600 12,000 高温水 江戸川 H .9.1 N KK フェル ント式 2,900 300×2 600 12,300 温水 墨田 H .10.1 日造 デロー ル 式 3,100 600×1 600 13,000 高温水 北 H .10.3 三菱 マル チン式 2,900 600×1 600 11,500 高温水 新江東 H .10.10 タクマ H N 型 3,200 600×3 1,800 50,000 蒸気、高温水 港 H .11.1 三菱 マル チン式 3,200 300×3 600 22,000 給熱 48 5.エネルギーの回収 焼却能力と発電出力の変化 2,000 60,000 新江東 焼却能力 t/d 発電出力 kw 1,600 50,000 焼却能力 t/d 1,400 40,000 1,200 1,000 30,000 800 600 400 練馬 千歳 江戸川 墨田 千歳 北 20,000 発電出力 kw 1,800 有明 10,000 200 0 0 H. 4. 9 H. 7.12 H. 8. 3 H. 9. 1 H.10. 1 H.10. 3 H.10.10 年月 49 6.自動燃焼制御 AACC (1)炉温制御(立ち上げ、立ち下げ) (2)焼却量制御 (3)蒸気量制御 (4)CO制御 (5)アドバンストモード 有明清掃工場 50 蒸気発生量(2分値)有明工場 30 25 20 平均値 35.48 最大値 40.9 最小値 27.7 標準偏差 2.276 設定値 36.0 t/h 頻 度 15 % 10 5 0 26 28 30 32 34 36 38 40 42 階級値(蒸気量 t/h) 51 バグ出口O2(%) フィーダDI 50 40 煙突CO (ppm) 燃焼状況とCO 燃焼速度 (t/h) 蒸気量 (t/h) CO濃度 CO濃度 1000ppm以上 216ppm 30 20 10 0 12:32 12:38 12:45 12:52 12:58 13:05 13:12 13:18 13:25 13:32 時 刻 52 40 拡大図 蒸気量 ① ⑤ 30 CO 20 ④ O2 10 ③ 燃焼速度 ② 0 0 6 フィーダDI (分) 12 18 53 第Ⅳ部 おまけ 54 ごみ処理方法の推移 55 ごみ焼却施設数の推移 56 ごみ排出量の推移 57 ごみ処理事業経費 58 処分場の残り 容量と年数 59 燃焼管理概論 おわり 60
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