スライド 1

建築物の非構造部材・設備・家具について
予測される長周期地震動による被害
染谷
福井
planners architects engineers
朝幸(㈱日建設計)
潔 (㈱日建設計)
1.1 はじめに

長周期地震動による長時間大振幅の揺れを受ける場合、建
物の被害は、躯体のみならず非構造材にも及ぶ可能性がある。

長周期地震動による被害を、モデル建物の時刻歴応答解析
を行い、非構造部材・設備・家具の被害・影響を考察する。
Ⅰ長周期地震動の想定、モデル建物の応答・構造体被害把握
Ⅱモデル建物の応答と非構造部材・設備・家具の被害把握
Ⅲ非構造部材・設備・家具の被害と考察・今後の課題

モデル建物は長周期地震動の被害可能性が高い超高層建物
・50階建て事務所用途鉄骨造建物(S50L)
・30階建て集合住宅RC造建物(RC30)
1.2 モデル建物1 S50L① 平面図
長周期地震動による影響を受けやすい高層建物 1
11200
15600
事務所用途の50階建て純ラーメン構造鉄骨造建物(S50L)
1
4
15600

1
2
1
4
2
3
5
5
3
6 7
1 2
3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200 3200
図3.2 基準階平面図
1.2 モデル建物1 S50L② 構造伏軸
50階建て鉄骨造建物(S50L)
3.84
15.6
G3
G5
42.4
40FL
11.2
G4
G6
G2
C3
B3
C4
15.6
G3
C3
G5
G6
G2
G1
C4
G5
B3
C4
B2
C5
B3
C3
C1
G1
G1
G5
G3
G4
C4
G3
B
B1
B2
C5
B3
C3
RFL
50FL
5.76
B1
C2
B1
C1
G1

30FL
B1
C2
3.2
C1
3.2
197.08
9.6
B1
9.6
76.8
20FL
検討方向
図3.1 基準階伏図
10FL
3.84
B1
C1
2FL
1FL
図3.3 軸組図
7.0
A
1.2 モデル建物2 RC30① 平面図
 長周期地震動による影響を受けやすい高層建物 2
鉄筋コンクリート造30階建て純ラーメン構造集合住宅(RC30)
3 LDK 約1 0 0 ㎡
3
5
1
6400
6
浴室
洗面所
便所 4
7
2
1
1
7
3
7
6400
6400
3
6400
3
7
4
洗面所
便所
1
5
6400
1
浴室
1
2
6
2 LDK 約7 5 ㎡
6400
6400
6400
6400
6400
図3.4 基準階平面図
30階建てRC造建物(RC30)
B3
C3
B4
C2
B4
C2
B4
C2
B3
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
30FL
6.4
C3
25FL
6.4
C2
20FL
6.4
C2
32.0
6.4
C2
C2
6.4
B3
C3
B4
C2
6.4
B4
C2
6.4
B4
C2
6.4
B3
C2
6.4
15FL
C3
6.4
32.0
10FL
検討方向
図3.5基準階伏図
2FL
1FL
図3.6軸組図
4.5 3.0

3.0
1.2 モデル建物2 RC30② 構造伏軸
2.1 長周期模擬地震動の作成①

「長周期地震動と建築物の耐震性」(日本建築学会)中
「付2.長周期地震動に対する検討用スペクトル」を参照
→長周期成分が卓越する「特定の周期帯」において,おおむね応答スペクトル
がSv=120~180cm/s(h=5%),エネルギースペクトルがVE=270~400cm/s
(h=10%)となっている指摘
(1)S50Lに対する模擬地震動

告 示スペ クト ルを かさ
上げしたスペクトル
S50Lの固有周期(4.5秒)を中心に
幅1.5秒(周期3.75~5.25秒)の
高原部分を設け、両側に幅1秒で
スロープを設けた.
高原部分のpSvは告示の1.5倍
図3.7 告示スペクトルの長周期部分をかさあげしたスペクトル
** 本模擬地震動の作成は,大成建設の吉村智昭,山本優が行った
2.1 長周期模擬地震動の作成②
(1)S50Lに対する模擬地震動

擬似速度応答スペクトル(h=5%)エネルギースペクトル(h=10%)、変位波形を
示す.各々、Sv=120~180cm/s、VE=270~400cm/s程度となっている。
赤線:フィッティン
グ後の模擬地震動
擬似速度応答スペクトル(h=5%)
エネルギースペクトル(h=10%)
時刻歴 変位波形
2.1 長周期模擬地震動の作成③
(2)RC30に対する模擬地震動

S50Lと同様に、固有周期(3.1秒)を中心に幅1.5秒(周期2.35~3.85秒)の
高原部分を設け、両側に幅1秒でスロープを設けた.
高原部分のpSvは告示の1.5倍
告 示スペ クト ルを かさ
上げしたスペクトル
図3.10 告示スペクトルの長周期部分をかさあげしたスペクトル
** 本模擬地震動の作成は,大成建設の吉村智昭,山本優が行った
2.1 長周期模擬地震動の作成④
(2)RC30に対する模擬地震動

擬似速度応答スペクトル(h=5%)エネルギースペクトル(h=10%)、変位波形を
示す.各々、Sv=120~180cm/s、VE=270~400cm/s程度となっている。
赤線:フィッティン
グ後の模擬地震動
擬似速度応答スペクトル(h=5%)
エネルギースペクトル(h=10%)
時刻歴 変位波形
2.2 時刻歴応答解析 モデル化①
(1) S50L
B1
C2
A
3.2
15.6
G3
G5
42.4
11.2
G4
G6
B3
C4
B1
C2
B1
C1
C3
15.6
C3
G3
G5
G1
C4
9.6
G2
B2
C5
B3
C3
B3
C4
G5
G5
G1
G2
G6
C4
G1
B
C1
B2
C5
B3
C3
B1
G1
B1
C1
G3

G4

外,内の2構面を平面フレームでモデル化し,剛床を仮定
梁の復元力特性はフランジ断面のみ考慮全塑性モーメントを折れ点とす
るBi-Linear型で、梁のφは1.0、 耐力にはスラブは考慮しない
柱の復元力特性 長期軸力を考慮した全塑性モーメントを折れ点とする
Bi-Linear型
G3

B1
C1
3.2
9.6
76.8
図3.1 基準階伏図
検討方向
* 本時刻歴応答解析は,鹿島小堀研究室の小鹿紀英,鈴木芳隆が行った
2.2 時刻歴応答解析 モデル化②
(2) RC30

B4
C2
B4
C2
B3
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
B1
B2
C1
B2
C1
B2
C1
B1
C1
C2
6.4
C3
6.4
C2
C2
C2
B3
C3
B4
C2
6.4
B4
C2
6.4
B4
C2
6.4
B3
C2
6.4
C3
6.4
32.0
検討方向
図3.5 基準階伏図
* 本時刻歴応答解析は,鹿島小堀研究室の小鹿紀英,鈴木芳隆が行った
32.0
6.4
C2
6.4

立体フレームでモデル化し,剛床を仮定
梁の復元力特性は、ひび割れ及び降伏
を折れ点とするTri-Linear型、梁のφは
1.2又は1.4、耐力にスラブ非考慮、
降伏点割線剛性は菅野式
柱の復元力特性は長期軸力を考慮した
ひび割れ及び終局モーメントを折れ点と
するTri-Linear型
B4
C2
6.4

B3
C3
2.2 時刻歴応答解析 S50L解析結果①
(1)S50L
S50L
(階)
S50L
(階)
50
40
40
40
30
30
30
20
20
20
10
10
10
50
1/100
0
0
0
0.005
0.01
(a) 層間変形角
0.015
0.02
S50L
(FL)
50
0
40000
80000
(kN)
0
120000 0
(b) 層せん断力
図3.13 S50Lの地震応答解析結果①
400gal
200
400
(c) 最大絶対加速度
(Gal)
600
2.2 時刻歴応答解析 S50L解析結果②
(1)S50L
S50L
(FL)
S50L
(FL)
50
50
50
40
40
40
30
30
30
20
20
20
10
10
10
150kine
0
0
50
100
(d) 最大絶対速度
(cm/s)
0
150
0
S50L
(FL)
4.0
40
0
2
4
6
(f) 最大塑性率
図3.13 S50Lの地震応答解析結果②
0
20
40
60
80
(g) 最大累積塑性変形倍率
2.2 時刻歴応答解析 RC30解析結果①
(2)RC30
RC30
(階)
RC30
(階)
30
30
25
25
25
20
20
20
15
15
15
10
10
10
5
5
5
30
1/100
0
0
0.005
0.01
(a) 層間変形角
0.015
0
0.02 0
RC30
(FL)
20000
40000
(kN)0
0
60000
(b) 層せん断力
図3.14 RC30の地震応答解析結果①
400gal
200
400
(c) 最大絶対加速度
(Gal)
600
2.2 時刻歴応答解析 RC30解析結果②
(2)RC30
RC30
(FL)
30
30
25
25
20
20
15
15
10
10
5
5
150kine
0
0
50
100
RC30
(FL)
150
(d) 最大絶対速度
200
4.0
(cm/s)
0
0
2
4
(f) 最大塑性率
図3. 14 RC30の地震応答解析結果②
6
2.3 時刻歴応答解析 考察 S50L
(1)S50L
表3.7 S50Lの主要応答結果
最大層間変形 最大絶対加速 最大絶対速度 最大頂部水平
(cm/s)
角(rad)
度(cm/s2)
変位(cm)
305
1/136
137
最大塑性率
105
最大部材累積 残留層間変形
塑性変形倍率
角(rad)
3.90
39
梁降伏割合
(%)
1/2668
95
表3.8 JSCA性能判断基準値表
損傷限界
安全限界
余裕度Ⅰ
安全限界
余裕度Ⅱ
安全限界
安全限界
超過
4
3
2
1
0
建物の機能
建物の損傷度
修復の程度
機能維持
無被害
修復不要
主要機能確保
軽微
軽微な修復
指定機能確保
小破
小規模修復
限定機能確保
中破~大破
中・大規模修復
機能確保困難
大破以上
修復困難
層間変形角 R(rad)
1/200以下
1/200-1/150
1/150-1/100
1/100-1/75
1/75以上
床加速度 a(cm/s2)
―
250以下
250-500
500-1000
1000以上
1.0以下
1.0-2.0
2.0-3.0
3.0-4.0
4.0以上
0
0-30
30-60
60-100
100
1.0以下
1.0-2.5
2.5-3.75
3.75-5.0
5.0以上
JASS6型
0
0-5.4
5.4-12.0
12.0-21.5
21.5以上
ノンスカラップ
0
0-9.0
9.0-20.5
20.5-36.5
36.5以上
梁端混用
0
0-3.5
3.5-7.5
7.5-13.5
13.5以上
性能評価項目
判断値 λ
建物挙動
構造骨組
層塑性率 μ
塑性ヒンジ発生率(%)
部材塑性率 μm
構造部材
累積塑
性変形
倍率
ηm
性能基準表でいう判断値2~1の結果となる
.
15~19階でηmが35を超える結果,最大被害度としては大破となる
2.3 時刻歴応答解析 考察 RC30
(2)RC30
表3.9 RC30の主要応答結果
最大層間変形 最大絶対加速 最大絶対速度 最大頂部水平
(cm/s)
角(rad)
度(cm/s2)
変位(cm)
356
1/87
142
69
最大塑性率
最大部材累積 残留層間変形
塑性変形倍率
角(rad)
-
2.20
梁降伏割合
(%)
1/1068
100
表3.10 JSCA性能判断基準値表
損傷限界
安全限界
余裕度Ⅰ
安全限界
余裕度Ⅱ
安全限界
安全限界
超過
4
3
2
1
0
建物の機能
建物の損傷度
修復の程度
機能維持
無被害
修復不要
主要機能確保
軽微
軽微な修復
指定機能確保
小破
小規模修復
限定機能確保
中破~大破
中・大規模修復
機能確保困難
大破以上
修復困難
建物
挙動
層間変形角 R(rad)
1/200以下
1/200-1/150
1/150-1/100
1/100-1/75
1/75以上
床加速度 a(cm/s2)
―
250以下
250-500
500-1000
1000以上
構造
骨組
層塑性率 μ
1.0以下
1.0-2.0
2.0-3.0
3.0-4.0
4.0以上
0
0-30
30-60
60-100
100
性能評価項目
判断値 λ
塑性ヒンジ発生率(%)
性能基準表でいう判断値2~1の結果となる
.
最大損傷に関しては明確なクライテリアがないが、最大被害度としては、
中破~大破と想像できる。
3.1.1 建築設備(機器)の耐震性能評価に関する指標
設備機器は水平震度、配管は水平力と変形に関する検証が中心
設備機器の水平震度、「建築設備耐震設計・施工指針」(BCJ)
表3.11 建築設備機器の設計用標準震度(指針2005年版)7) 対象:動的解析が行われない建築物
本検討のような超高層建築物では耐震クラスA以上であることが多いことから,
上表の耐震クラスAの数値(1階:0.6,中間階:1.0,最上階:1.5)を指標とする.
3.1.1 建築設備(配管類)の耐震性能評価に関する指標
配管類の水平震度は下表を基本とし、変形は層間変形角1/100を判断基準。
表3.12 建築設備機器・配管類の支持・固定金物選定の震度(文献8):超高層ビルの調査結果より)
配管類の水平震度は表数値(事務所S50Lでは1階~中間階:1.0,最上階:1.5,
集合住宅RC30では全階0.6)を,配管類の変形は層間変形角1/100を指標とする.
3.1.1 非構造部材の耐震性能評価に関する指標
非構造部材は慣性力と強制変形角に関する検証が中心
水平方向慣性力
「非構造部材の耐震設計・施工指針」(AIJ)
FHij  Z   Hj  k Hi  Wij
Wij:i階の非構造部材jの重量 ,Z :地震地域係数,  Hj :非構造材の応答倍率(表)
kHi  (1  (7 / 3)  ( X i / H )) K0
H :主体構造の地表面からの高さ,
K 0:基準震度(0.3としてよい)
表3.13 非構造部材の応答倍率により定まる係数
X i :i階の地表面からの高さ,
 Hj
文献9)より引用
 Hj
最大層間変形角 「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(公共建築協会)
高さ60mを超える超高層建築物については、入力地震動25cm/s程度(レベル1)
に対して1/200以下,50cm/s程度(レベル2)に対して1/100以下との目安

非構造部材の水平震度は(1階:0.4,中間階:0.6,最上階:1.0)を,
変形追従性は層間変形角1/100を指標とする.
3.1.2 設備・非構造部材の被害について S50L
(1)S50L
表3.7 S50Lの主要応答結果
最大層間変
形角(rad)
最大絶対加
速度(cm/s2)
最大絶対速
度 (cm/s)
最大頂部水
平変位(c
m)
最大塑性率
最大部材累積
塑性変形倍率
残留層間変
形角(rad)
梁降伏
割合(%)
1/136
305
137
105
3.90
39
1/2668
95
※便宜的に短辺方向も長辺方向と同様の応答が生じたとして検討
●建築設備
設備機器類における応答増大を2倍とすると,機器類に生じる最大加速度は,
最上階で800gal以下,中間階で600gal以下となる.水平震度の指標(1階:0.6,
中間階:1.0,最上階:1.5)と比べると,下層階では機器転倒などの危険性がある,
層間変形角は1/100以下となっているが,梁端部の破断等による局所的な変形
の増大が考えられ,配管類は局所的には破損の危険性が考えられる.
●非構造部材
応答増大を2倍とすると,機器類に生じる最大加速度は最上階で800gal以下,
中間階で600gal以下となる.前掲の水平震度の指標(1階:0.4,中間階:0.6,最
上階:1.0)と比べると,下層階では破損や落下などの危険性があると考えられる.
層間変形角1/100以下となっているが,梁端部の破断等による局所的な変形の
増大が考えられ,局所的には破損の危険性が考えられる.
3.1.2 設備・非構造部材の被害について RC30
(2)RC30
最大層間変
形角(rad)
1/87
表3.9 RC30の主要応答結果
最大絶対加速 最大絶対速度 最大頂部水平
(cm/s)
度(cm/s2)
変位(cm)
356
142
69
最大塑性率
最大部材累積
塑性変形倍率
残留層間変形
角(rad)
梁降伏割合
(%)
2.20
-
1/1068
100
●建築設備
設備機器類における応答増大を2倍とすると,機器類に生じる最大加速度は,
最上階で800gal以下,中間階で600gal以下となる.水平震度の指標(1階:0.6,
中間階:1.0,最上階:1.5)と比べると,下層階では機器転倒などの危険性がある,
配管類は水平震度の指標(事務所S50Lは1階~中間階:1.0,最上階:1.5,集合
住宅RC30では全階0.6)と比べると,中間層より上部層で破損等の危険性がある.
層間変形角は1/100を下回っており,配管類は局所的には破損の危険性がある.
●非構造部材
応答増大を2倍とすると,機器類に生じる最大加速度は最上階で800gal以下,
中間階で600gal以下となる.前掲の水平震度の指標(1階:0.4,中間階:0.6,最
上階:1.0)と比べると,下層階では破損や落下などの危険性があると考えられる.
層間変形角1/100を下回っており,破損や落下の危険性が考えられる.
3.2.1 家具等の検討
家具配置 S50L
各建物に家具配置を行い、応答結果を用いて家具の転倒・滑動を検討
 摩擦係数(μ)は標準を0.6、金属系家具+P タイル等を0.2として検討
(1) S50L

表3.18 被害予測に用いた家具の諸定数(事務室)
家具No.
高さ
cm
奥行
cm
幅
cm
通常
μ
低下
μ
備考
1 キャビ
ネット
210
40
80
0.6
0.2
2 キャビ
ネット
110
40
80
0.6
0.2
3 机
70
80
160
0.6
0.2
4 コピー機
120
100
150
0.05
0.05
足元
キャスター
5 コピー機
120
100
100
0.05
0.05
足元
キャスター
6 給茶機
150
70
70
0.6
0.2
7 冷蔵庫
180
70
70
0.6
0.2
3.2.1 家具等の検討
家具配置 RC30
(2) RC30
図3.22 RC30の家具配置(3LDK)
表3.19 被害予測に用いた家具の諸定数(住戸)
家具No.
高さcm
奥行cm
幅cm
通常μ
低下μ
1 本棚
180
40
90
0.6
0.2
2
本棚
150
40
80
0.6
0.2
3
クローゼット
180
60
90
0.6
0.2
4
クロー ゼット
120
40
90
0.6
0.2
5
冷蔵庫
180
70
70
0.6
0.2
6
テレビ
100
20
100
0.6
0.2
7
サイドテーブル
60
40
40
0.6
0.2
備考
図3.22 RC30の家具配置
(2LDK)
3.2.2 家具等の検討 検討手法
2008年「長周期地震動対策に関する公開研究集会」(AIJ)の被害予測手法
Amax:床応答の最大加速度
Ao :転倒限界加速度 (6)式
AR50:転倒率50%の加速度 (3)式
AS :移動限界加速度=μg
Ao>AS
移動判定
転倒判定
Amax>AS
Amax>AR50
Amax>Ao
転倒可能性
かなり高い
転倒可能性
高い
転倒可能性
低い
滑る(移動量
推定;(9)式)
図3.23 被害予測フロー
1.まず転倒/滑動を、床応答加速度と速度により判定
2.転倒の場合は、可能性が「非常に高い/高い/低い」に分類
3.滑動の場合は、滑動量を算出
滑ら
ない
3.2.2 家具等の検討結果 通常の摩擦係数時 S50L①
最上階(50階),25階,1階で検討。短辺方向も長辺方向の応答が生じるとした。
50F (S50L)
:転倒の可能性が非常に高い
:転倒の可能性が 高い
:滑動 (数値は滑動距離)
表3.18 家具の諸定数(事務室)
25F (S50L)
家具No.
高さ
cm
奥行
cm
幅
cm
通常
μ
低下
μ
備考
1 キャビ
ネット
210
40
80
0.6
0.2
2 キャビ
ネット
110
40
80
0.6
0.2
3 机
70
80
160
0.6
0.2
4 コピー
機
120
100
150
0.05
0.05
キャス
ター
5 コピー
機
120
100
100
0.05
0.05
キャス
ター
6 給茶
機
150
70
70
0.6
0.2
7 冷蔵
庫
180
70
70
0.6
0.2
3.2.2 家具等の検討結果 通常の摩擦係数時 S50L②
1F
(S50L)
:転倒の可能性が
非常に高い
:転倒の可能性が
高い
:滑動
(数値は滑動距離)
●考察(S50L,摩擦係数0.6)
背の高い家具が上層に従い転倒する可能性が高くなる.
特にキャビネット(H2100)は全階で転倒する可能性が高く、しかも容易に転倒が
考えられる「薄い」方向に倒れるだけでなく,幅方向にも転倒する可能性も高く,
出入口付近に壁に沿って配置された今回案は,出入口をふさぐ可能性が高い
コピー機などのキャスター付機器の滑動は各階でみられる.特に最上階では
2m近い距離の滑動という結果となった.
3.2.2 家具等の検討結果 通常の摩擦係数時 RC30①
最上階(30階),15階,1階で検討。短辺方向も長辺方向の応答が生じるとした。
30F
3LDK (RC30)
15F
3LDK (RC30)
表3.19 家具の諸定数(集合住宅)
1F
3LDK (RC30)
家具No.
高さ
cm
奥行
cm
幅
cm
通常
μ
低下
μ
1
本棚
180
40
90
0.6
0.2
2
本棚
150
40
80
0.6
0.2
3
クロー
ゼット
180
60
90
0.6
0.2
4
クロー
ゼット
120
40
90
0.6
0.2
5
冷蔵庫
180
70
70
0.6
0.2
6
テレビ
100
20
100
0.6
0.2
60
40
40
0.6
0.2
7 サイド
テーブル
:転倒の可能性が
非常に高い
:転倒の可能性が
高い
:滑動
(数値;滑動距離)
3.2.2 家具等の検討結果 通常の摩擦係数時 RC30②
30F
2LDK (RC30)
15F
2LDK (RC30)
1F
2LDK (RC30)
:転倒の可能性が
非常に高い
:転倒の可能性が
高い
:滑動
(数値は滑動距離)
●考察(RC30,摩擦係数0.6)
背の高い家具が上層に従い転倒する可能性が高くなる.特に背の高い家具は
全階で転倒する可能性が高く、しかも「薄い」方向だけでなく,幅方向にも転倒する
可能性があり,出入口付近に壁に沿った家具は,出入口をふさぐ可能性が高い
滑動はみられなかったが,家具内部の備品(例えば戸棚の食器等)は床に散乱
している可能性は高い.
3.2.2 家具等の検討結果 摩擦係数低下時 S50L
摩擦係数0.2として検討。短辺も長辺方向の応答が
生じるとした。25Fも1Fも同様の結果となった。
50F (S50L)
:転倒の可能性が非常に高い
:転倒の可能性が高い
:滑動 数値は滑動距離
25F (S50L)
●考察(S50L,摩擦係数0.2)
背の高い家具1は滑動せずに転倒の可能性が高く,他は滑動する結果となった
摩擦係数低下により滑動する家具の滑動量は最上階では33cmであるが,中間
~最下階では2cm程度と小さな数値に留まった.数値は小さいが,滑動により内
容物や机上の備品などが落下する危険性が考えられる.
3.2.2 家具等の検討結果 摩擦係数低下時 RC30
摩擦係数0.2として検討。短辺も長辺方向の応答が
生じるとした。15Fも1Fも同様の結果となった。
30F
3LDK(RC30)
15F
:転倒の可能性が非常に高い
:転倒の可能性が高い
:滑動 数値は滑動距離
3LDK(RC30)
●考察(RC30,摩擦係数0.2)
奥行きに対して背の高い家具(家具1:薄型クローゼット,家具6:テレビ)は,
滑動せずに転倒の可能性が高く,他の家具は滑動する結果となった.
摩擦係数低下により滑動する家具の滑動量は最上階では55cmであるが,中間
~最下階では7cm程度と小さな数値に留まった.数値は小さいが,滑動により家
具内部の備品(例えば戸棚の食器など)は床に散乱している可能性は高いと思わ
れ,出入り口付近をふさぐことも十分考えられる.
S50Lに比べて床応答加速度が大きいため,滑動量が大きくなっている.
3.3 非構造部材・設備・家具等の被害状況について①
(1) S50L
●建築設備について
・機器は下層階では転倒の危険性あり.
・配管類は構造被害度大破の階で
局所的に破損の危険性あり.
●非構造部材について
・下層階では破損や落下の危険性あり.
・構造体の被害度が大破の階で局所的
に破損や落下の危険性があり.
50F (S50L) 通常摩擦係数時 転倒・滑動の状況
●家具の滑動・転倒について
・キャスター付き家具の大きな滑動がみられ,家具の転倒危険性が非常に
高い結果が得られた.家具転倒により出入り口をふさぐ可能性が高い.
・家具の摩擦係数低下の場合でも,高さの高い家具では転倒危険性が高い.
この家具以外の家具では滑動がみられた.低~中層階の滑動量は小さい
が,滑動により机上備品落下の危険性がある
3.3 非構造部材・設備・家具等の被害状況について②
(2)RC30
●建築設備について
・機器は下層階では転倒の危険性あり.
・配管類は層間変形の大きな階で
破損の危険性あり.
●非構造部材について
・下層階では破損や落下の危険性あり.
・層間変形の大きな階で破損や落下の
危険性があり.
30F (3LDK) 通常摩擦係数時 転倒・滑動の状況
●家具の滑動・転倒について
・滑動はみられなかったが,家具の転倒危険性が非常に高い結果が得られた
家具転倒により出入り口をふさぐ可能性が高い.
・家具の摩擦係数低下の場合でも,高さの高い家具では転倒危険性が高い.
この家具以外の家具では滑動がみられた.低~中層階の滑動量は小さい
が,滑動により家具収納物の散乱などで避難に困難をきたす可能性がある
3.4 被害による影響の予測①
3.4.1 在館者の人的被害への影響
天井材や天井吊りの機器等の落下の危険性.
→天井材は下地の留め方・クリアランス・補剛材
などの対策が重要
天井吊りボルトの対策と共に、取外し可能
部位は落下防止コードの対策
天 井 下地 クリ ップ
のビス止め
 家具は転倒や滑動の危険性.
→家具上部の固定やキャスター受け等の対策が重要

非固定家具の
居間の家具転倒
状況(Eディフェンス
による実験)
設備部材の落下防止用コード
ピアノ用キャスター
受け
3.4 被害による影響の予測②
3.4.2 避難への影響
扉枠の変形による開閉障害.
→重要避難扉の耐震扉使用、転倒する危険の
ある家具を扉軌跡に置かない対策が重要
 落下・転倒した機器・家具による歩行障害.
→機器・家具の固定、素足になる施設では
耐震扉の構造
上足の配慮など
 停電の照度低下による歩行困難 セキュリティシステムダウンによる閉じ込め
→重要な避難経路への自然光の配慮など
3.4.3 救助活動への影響

けが人の搬送・閉じ込めの対策.
→階段移動用装置、エレベータ閉じ込め時備品等の対策

コクヨのエレベーター用防災キャビネット
中には多機能ラジオライト,非常飲料水,非
常食,簡易トイレ,ブランケット,笛,救急
医薬品などが市有能されている.
EVACUATIOBN CHAIRによる救助の状況
3.4 被害による影響の予測③
3.5今後の課題
3.4.4 建物被害状況調査・復旧への影響

建物内部調査と障害.
→扉開閉障害、落下・転倒した機器・家具による歩行障害など、調査に関しても
障害が少なくなるような対策は重要。また、障害の度合いにより復旧時期も左
右される。
3.5 今後の課題
予測や評価手法の簡単・高精度化と繰り返し性能の関する知見の蓄積
→長周期地震動の検討を高精度かつ簡単に行え、長周期地震動特有の、大き
な変位が長時間繰り返されることによる部材性能の知見の蓄積など
 非構造部材・設備の長周期地震対策の充実
→長周期地震動特有の、大きな変位が長時間繰り返されることによる二次部材
の対策の拡充・蓄積。
