パート 4 牛肉および牛乳の安全性向上のための 日本における第三者認証システムの構築に向けて ◆ 第三者認証システムの役割とは? ◆ 日本における取り組みをどのように進 めるか? リスクが減るのは2箇所だけ リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 薬食動病 剤中物気 耐毒薬 性菌残 菌 留 農 査に に と 基よ畜 づる検 く法査 検律員 的温 間増 る 輸 基度 も殖 に 送 準管 長に つ 距 も理 く必 れ 離 な等 な要 、 細が いの るな 菌 延 。法 。時 び 場 食肉センター 流 通 過 程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 ばを し を調 、室 か 殺理 菌温 し 滅時 はで 、 すの 増の 食 る加 殖放 材 。熱 す置 や は るす 料 細 。れ 理 菌 消費過程 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(1) リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル 農場における 適正な衛生管理 Pathogen Reduction / HACCP 病原体低減/HACCP 解体処理工程など 食肉センターの 衛生管理 GAP QAP ? HACCP 流通過程が 変わらなければ 農 消費者は ? リスクは 残る! 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 畜 料 舎 物 薬 ・ 飲 環 水 境 食 解 カ 出 肉 体 ッ 荷 ト 検 査 輸 市 問 小 送 場 屋 売 店 調 保 喫 理 存 食 食肉の安全性に関わる社会システム(2) Sanitary Food Transportation Act 食品輸送衛生法 (米国、1990) リ ス ク ・ レ ベ ル の モ デ ル GAP QAP 流通過程の 衛生基準 ? 消費者 教育 ? HACCP 農 場 食肉センター 流 通 過 程 消費過程 素 飼 畜 動 食 解 カ 出 輸 市 問 小 調 保 喫 「農場から食卓まで」の、全ての段階で安全性確保対策を実 畜 料 舎 物 肉 体 ッ 荷 送 場 屋 売 理 存 食 ト 環 薬 検 店 ・ 飲 施することによって、初めてリスクが小さくなる。 査 水 境 食肉の安全性に関わる社会システム(3) 食品による健康障害の現状 リスク・アナリシス 危害因子A 危害因子B~X リ ス ク レ ベ ル 食品Ⅱ~X 食品Ⅰ リスクの低減目標 リスクの低減目標 第三者による監視(モニタリング) 現状 改善後 生産段階 処理段階 加工段階 流通段階 消費段階 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 危害分析 CCP設定 モニタリング 記録 検証 リスク・アナリシスとHACCPとの関連性(細菌) Objectives of application HACCP システムを of the HACCP system 適用する目的 Prevention of foodborne illness 食品媒介性疾患の防止 Reduction of costs 食品検査に要する of food analyses 費用の削減 More efficient より効果的な quality assurance 品質保証システム system Reduction of 製品回収による losses due to 損失の削減 product recall Protection of reputation 企業の評判を守る WHO 「HACCPシステムの必要性」 の 1枚 食品の安全性に係る民間(産業界)の取り組み 国際標準化機構 (ISO: International Organization for Standardization ) 食品の品質管理と安全性保証 環境管理 ISO 20000 シリーズ ISO 14000 シリーズ 栄養、嗜好性、健康増進という食品の 三つの機能を「品質」というが、品質確 保と安全性確保とは共通する部分が多 いので、一緒に解決する方策が望まし い。 畜産公害が問題とされて久しく、畜舎 排水規制など経営の存亡に関わる事 態が進行している。他方、良好な飼育 環境が品質に反映されて商品価格に 転化される時代に向かいつつある。 日本適合性認定協会(JAB) 認 定 審査登録機関 ・ 認証機関 ・ 試験機関 第三者 認証 供給者 品質保証 ISO20000は、工業製 品の品質管理 ISO9000 と HACCPを組み合わせ たものである 購入者 民間においては、品質・安全性認証システムの構築 が模索されてきたが、工業製品を対象とする品質管 理ISO9000シリーズを食品業界に準用していた現状 を改善すべくオーストラリアで品質と安全性の両面を 含むSQF(Safe Quality Food)の認証システムが 開発された。それが米国に本拠を移し、日本を含む 世界各地に認証を行う組織を認定している。 食品流通研究所(FMI)は、食品の安全性と品質のプ The Food Marketing Institute is excited to offer a clear solution - the Safe Quality Food (SQF) ログラム(SQF)として、明解な解決法を提供します。 program. Recognized by the Global Food SQFプログラムは、HACCP、コーデックス、ISOなら Safety Initiative, an organization representing びに品質保証システムに準拠しており、世界におけ over 70% of food retail revenue worldwide, the る食品小売業の総収益の70%以上を占めている組 SQF Program is based on the principles of 織である世界食品安全機構(GFSI)によって承認さ HACCP, Codex, ISO and Quality Management Systems. れています。 2. 標準作業(SOP)手順書 分類 タイトル SOP No. 0001 農業用化学物質: 0002 使用と安全性 0003 抗生物質/化学物質の運搬及び保管 放牧場に散布した農 化学物質使用と土質試験 薬が残留基準値以下 散布 家畜の取扱い 0004 0005 0006 0007 0008 家畜の購入 家畜の特定 淘汰 家畜の取扱い、販売と移動 家畜の検疫 飼料 0009 0010 0011 0012 発注と納入 飼料の保管 飼料の配合 飲水 家畜衛生 0013 0014 0015 注射 経口薬、ワクチン接種と寄生虫制御 成長促進ホルモン剤の使用 人工授精 0016 技術の見直し 感染症の持込みと 持ち出しを防ぐ 有害物質等による 飼料や水の汚染防止 薬物の 適正使用 自分で行う場合の研修 出産管理 乳牛の管理 0017 分娩手順 0018 0019 0020 0021 0022 0023 0024 0025 0026 0027 0028 子牛育成 出産後の乳熱 薬剤投与した牛の搾乳手順 乳房炎の監視 病原体の防除 搾乳手順 畜舎環境 畜舎の管理と清掃 廃水処理 廃乳の処分 生乳の冷却と保管 事故に際しての対処法の訓練 酪農に関しては、繁殖、保 育・育成、搾乳など、畜産分 野において最も複雑な作業 工程があり、特別の項が設 けられている。 訓練 0030 従業員の雇用、技術の点検と訓練 一般 0031 0032 0033 0034 0035 0036 内部監査 HACCPの再検討 顧客の苦情 保守 在庫調査 機器の校正 SQF認証に先立って、 農場自らが整備しておかな ければならない項目 農業用化学物質: 使用と安全性 抗生物質/化学物質の運搬及び保管 SOP No. 0001 目的:適切な方法で化学物質及び抗生物質を運搬及び保管するよう徹底するため 背景:化学物質及び医薬品は、畜産物製品の完全性を保ち、家畜や子供等による偶発 的な汚染や摂取を避けるために、安全で適切な方法で運搬・保管されなければならな い。 担当 場所 作業・処置 参照 記録 獣医師 用薬剤 の安全 な使用 冷蔵庫 温度記 録 ● 農場において使用許可登録されている承 使用前 認製品を使用すること 国の規 後及び ● 鍵付きの倉庫に化学物質や医薬品を保 制当局 使用中 管すること 農場化 学物質 一覧 ● 低温で安定した温度で運搬するよう要求 されている化学物質や抗生物質については携 帯用クーラーを使用する ● 冷蔵庫の温度を毎週点検・記録し、2 ~ 必要に 8℃の範囲外であった場合は温度調整する 応じて ● 大量貯蔵庫は、抗生物質や化学物質に対 する適切な防御状態であるよう保証すること ● 製品の偶発的汚染は、経口投薬器、注入 器、注射針、試験用バケツ等の機材を完全に 洗浄することによって防ぐことができる 全て の従 業員 作業 員 時期 農場 /搾 乳室 家畜の取扱い SOP No. 家畜の購入 0004 目的:適切な家畜の取扱い手順に従い、家畜の健康と安全を確保するための計画を実施し継続す るため。抗生物質/化学物質の残留状況が不明である家畜の購入を避け、病気や寄生虫の既存の 群への持ち込みを防ぐため。 背景:家畜の健康は、乳製品と肉製品の品質を決める決定的要素である。病気の家畜は、品質の 低下と生産の非効率の原因となる。全ての家畜を信頼できる供給業者から購入することが重要で ある。これには、育成牛、種雄牛/未去勢牛の入替えを含む。 担当 場所 時期 監督者 家畜 市場 売買時 飼育係 作業 場 敷地内に 家畜が到 着した時 ● 家畜に寄生虫に対する処置をすること 農場 家畜の購 入時 ● 購入前に家畜の治療標識札を検査すること。 「家畜処置記録票」によって確認すること ● 保留期間の確認 ● 不明または汚染された残留状態の家畜の販売 を保留すること(42日間) 農場 家畜を農 場に移動 する前 ● 保留期間を必要とする化学物質の使用につい てパドック記録を点検する 農場 家畜を農 場から移 動する前 ● 有害残留物およびヨーネ病について、移動す る家畜がいた土地を査定する ● 西オーストラリア農務省/DPIおよび獣医師 に連絡する 監督者 /助監 督者 監督者 /助監 督者 監督者 作業・処置 参照 ● 売り手から納入業者申告書を入手すること ● 病気のない家畜を購入すること 記録 家畜購入受 領書 Farmnotes No. 44/91 Agdex 415/28 Guidelines for a Dairy Farm HACCP System: Reference Manual. 1997. Fact Sheets 2-1 – 2-7. 家畜治療記 録 家畜購入受 領書 パドック記 録および穀 物保管記録 農場外放牧 記録 飼料 SOP No. 飼料の配合 0011 目的:飼料の混合を行う際、化学的、物理的および生物学的な汚染が起きないことを 確保するため 背景:ミルクや食肉は、家畜飼料、家畜飼料添加物、飲水に含まれる農薬、抗生物質、 重金属、毒素、汚物あるいは臭気によって汚染されることがある。信頼できる供給業 者から原材料を購入することが重要である。簡潔な混合手順書を用意することによっ て、経済的損失を最小限に抑えることができる。 担当 監 督 者 従 業 員 場所 時期 作業・処置 事務 所 •原材料 混合し て配合 飼料と する際 ● 監督者は、栄養学的相談員と協力して、飼料処 方書を作成する。本書類のコピーを事務所とトラク ターにファイルして保管しておくこと 。あらゆる 添加物プレミックスの添加は明確に記入すること ● 従業員は、飼料処方書に従って飼料を混合し、 全ての混合について記録すること 飼 料 混 合 記 録 家畜に 給餌す る際 ● トラクターを飼料混合機に繋ぐ ● 飼料処方書に従って穀物を計る ● 穀物を混合する ● 全ての飼料添加物を正確に計り混合飼料に加え る ● 配合した飼料の全ロットのサンプルを最低6ヶ 月間保管し、サンプルに明確が表示をすること 飼 料 混 合 記 録 飼料 倉庫 /飼 料保 管庫 参照 記録 家畜衛生 成長ホルモン剤の使用 SOP No. 0015 目的:成長ホルモン剤の安全な使用および使用記録の正しい管理を確保するため 背景:成長ホルモン剤処置された家畜について消費者の理解が乏しい。ホルモ ン剤処置された家畜の肉の輸入を許可していない国もある。ホルモン剤処置さ れた家畜を追跡調査するために、以下の手順に従い、成長促進剤の購入、使用 および廃棄の記録を保管しなければならない。 担当 監督 者 •従業 員 場所 時期 作業・処置 事務 所 必要に 応じて •作業 場 ● 指示通りに家畜の耳に成 長ホルモン剤を注入する •フィー ドロッ ● 他方の耳に三角形の穴を ト到着 開ける 時 販売の際は白い尾標を使用す ること ● 成長ホルモン剤の購入 参照 記録 獣医師用薬 物の安全な 使用 発注伝票 動物薬在庫 目録 家畜処置記 録 日本は輸入許可しているが、EU圏は禁止しており貿易紛争となっている SOP No. 薬剤投与した牛の搾乳手順 0020 目的:病気治療用の抗生物質およびその他の動物薬を安全に使用できるため。適正な使用によっ て、食用の牛乳や食肉への残留を防止するため。 背景:消費者は安全で健康に良い食品を求めている。高濃度の残留薬や病原体で汚染されているお それのある牛乳や食肉を販売することは、許容できないことである。家畜の健康状態は、生産され る牛乳や食肉の品質を決める決定的要素である。病気の家畜は品質低下を引き起こす。 担当 監督 者 作業 員 作業 員 場所 時期 畜舎 必要 に応 じて 搾乳 室 治療 した 牛の 搾乳 時 畜舎 必要 に応 じて 作業・処置 感染症やその他の病気の治療: ● 適切な抗生物質を指示通りに使用しなければならない ● 一連の治療過程を完遂する ● 治療した牛を明確に識別し、指示された期間は乳と肉としての出荷を停 止する ● 治療した全ての牛について、文書記録を維持管理する バルクタンクの汚染や他の牛への感染を防止するために、治療 した全ての牛は最後に搾乳する ● 出産直後の牛からの初乳は、バケツに集めて子牛に与える ● 薬物治療を受け出荷停止を指示された牛の乳は、バケツに集め て廃棄しなければならない ● ● 治療した牛の搾乳後は、分房を完全に洗浄しペーパータオルで拭取る 乾乳期における薬物治療: ● 最後の搾乳後、全ての牛に対し適切な薬物治療を行う。全ての分房を治 療する ● 治療前後の乳頭は、完全に洗浄・消毒する ● 治療した牛を識別し、搾乳群から隔離する 乳牛の管理 SOP No. 乳房炎の監視 0021 目的:バルクタンク乳の体細胞数(BMCC: Bulk Milk Cell Count)を400,000/mlまたは乳製造業 者の設定値以下に維持し、高品質な牛乳の一貫した生産を推進するため。 背景:原乳のBMCCが高いと、加工性状が劣り、生産収量も低く、最終製品の格を下げることに なる。大半の乳製造業者は、現在、BMCC が低い原乳に割増料金を出している。 担当 監督者 場所 事務所 時期 規定 され た通 り 作業・処置 参照 記録 BMCCの計測数: ● 健常な雌牛の乳中体細胞数は、通常 100,000/ml以下である ● 乳房炎の既往歴があるか現在罹患し ている高齢牛では、200,000~ 400,000/mlである ● BMCCは、200,000/ml以下 が望ま しい 定時監視: ● 新規の感染率 潜在的症例の把握: ● 体細胞数が 200,000 以上の個体は 感染が疑われる ● 感染牛を特定するため、体細胞数測 定/迅速乳房炎試験/乳汁電気伝導度試 験を活用する ● 体細胞数が継続して高い分房は治 療しなければならない Milk Quality Harding, F. Melbourne 1995. Guidelines for a Dairy Farm HACCP System: Reference Manual. 1997. Fact Sheets, 3-1 – 3-11. The Somatic Cell Count and Milk Quality. Rice, D.N. and Bodman, G.R. Neb Guide, 1999. 乳製造 業者が 保管か ら提供 される BMCC 結果を 綴じて 保管 家畜治 療記録 個体別 および 群の体 細胞数 の記録 を保管 一般 HACCPの再検討 SOP No. 0032 目的:HACCP 計画が生産システムおよびシステムに生じたあらゆる変更を網 羅することを確保する。 背景:農業は、変化し活力に満ちたシステムである。技術や技法 が常に変化することは、生産システムの変更手順を網羅するため にHACCP 計画を修正しなければならないことを意味する。手順 を間違うと危害を見落とすことを忘れるな! 担当 場所 監督 農場 者 時期 作業・処置 以下の項目についてHACCP 計画 毎年、 を再検討すること または ● 工程流れ図と危害を再検証する システ ム変更 時 ● 一般衛生管理を再検証する ● 生産システムに変更が生じた場 合、HACCP 計画に変更を加える 参照 記録 文書 改訂 一覧 衛生標準作業手順 (SSOP;Sanitation Standard Operation Procedure) 生産管理手順に、法令に定められた 衛生基準を組み込む作業 一般的衛生管理プログラム (PP;Prerequisite Program) 標準作業手順 (SOP;Standard Operation Procedure) 法令に基づく適正規範(GMP、GAP) 永続的改善システム 衛生標準作業手順 SSOP 再吟味 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 危害分析 再吟味 重要管理点 検証 記録 衛生標準作業手順 SSOP 標準作業手順 SOP 危害分析 一般的衛生管理 PP 重要管理点 HACCPは定まった衛生水準を規定 するものではなく、衛生水準を向上さ せる永続的システムであり、そのシス テムの可否を認証するものである。 HACCPと衛生水準 ユーレップギャップの 包括的農業保証 (EurepGAP Integrated Farm Assurance) 1997年に 創設され、生産段階における品質・ 安全性認証システムとしては世界の最先端と みなされている。 世界保健機構憲章 「Eurep」:欧州小売業組合 安全な持続的農業のための地球的規模での提携 (The Global PartnershipProduce for Safe and Sustainable Agriculture) (Euro-Retailer working group) 健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的福祉の状態であり、 総則 単に疾病または病弱の存在しないことではない。 包括的農業保証 第2版(2005年5月) 1.EUREPGAPの委任事項(Terms of Reference) 食品の安全性に関する消費者の関心、動物福祉、 環境保護ならびに農業者の健康・安全・福祉を確保す るために、以下のことを実行する。 1.1. 商業的に利用できる農業保証計画の採用を推進 し、それによって欧州内および世界的に、農業化学資材と 農業薬物の使用を最小限にする。 1.2. 遡及調査(traceability)を含む既存の保証計画 と基準にベンチマーキングを行うために適正農業規範 (GAP :Good Agricultural Practice)を作成する。 1.3. 最優良事例を目指した不断の改善ならびに実践 と理解のための指導を行う。 1.4. 第三者認証のための単一の認定枠組みを確立す る。 1.5. 消費者と主要な生産者、輸出業者および輸入業 者を含めて公開のコミュニケーションと専門的助言を行う。 3. 目的 3.1. EUREPGAP計画の体系は、EUREPGAPの委任事項および 以下の考え方に基づいている。 3.1.1. 食品の安全性 この基準は、一般的HACCP原則の適用による食品安全の基本 的考え方に基づく。 3.1.2. 環境保護 この基準は、農業生産の環境への悪影響を最小限にするために 計画された「環境保護GAP」による。 3.1.3. 労働衛生、安全性および福祉 この基準は、農場における労働衛生と安全性の基準、それと同 時に、社会的に関連した問題に関する認識と責任に関する国際水準 を確立するものである。しかしながら、企業の社会的責任に関する詳 細な監査に代わるものではない。 3.1.4. 動物福祉(該当する場合) この基準は、農場における動物福祉の基本的考え方に関する国 際水準を確立するものである。 EUREPGAPの管理点と準拠基準 EUREPGAP包括的農業保証における単位は、「産業部門」と「基礎」に分けられ、 「産業部門」は作物、果物と野菜、牛と羊、乳牛、豚および家禽、それらに共通して 適用される「基礎」は全ての農場、全ての作物、ならびに家畜に分かれています。 農業者や農業者組織は、該当する「産業部門」と「基礎」に記載された全ての管 理点と準拠基準に従い、準拠を検証するために監査を受けなければ なりません。各管理点に対する準拠基準の重要度は、一覧表の準拠基準の右の 欄に示され、必須(Major Must)、準必須(Minor Must)、推奨 (Recommend)に分かれています。必須管理点については、100%準 拠することが義務とされています。 7.1.2. 準必須: 申請する基礎単位を含む全ての単位に適用される全ての準必 須管理点については、それぞれの単位について、90%準拠することが義務である。 計算のために、次の公式がそれぞれの単位に適用される。 基本単位における準 必須管理点の総数 ー 基本単位における非 適合の準必須管理点 の数 ×10% = 非適合の準必須 管理点の許容数 家畜共通の管理点と準拠基準 (CPCC IFA Livestock base module) 整理番号 管理点 準拠基準 5.3 家畜の供給元、特定および遡及可能性(traceability) 5.3.1 記録簿の一部を検査し、最小限、 次の事項が記録されていることを 畜産事業体に属する全ての農 確認する:出荷農場の出発日/ 場は、移動記録を保管している 受取日、移動頭数、個体標識(耳 か? 票、標識札、入れ墨)、出荷農場 の住所。適用除外はない。 5.3.2 全ての家畜が、EUREPGAP (または、ベンチマーキング計 画)によって保証された農場に おいて誕生/孵化し、育成され たことを確保するための導入手 順書があるか? EUREPGAP 認可農場が同一敷地内で保証 家畜と非保証家畜の両者を飼 育することは許されない。 重要度 必須 牛と羊および家禽を除き、移動記 録を含む手順書、ならびに、 EUREPGAPが認可した出荷書 類または同じ情報を含む同等の 文書が保管されていなければなら 必須 ない。記録には、供給元の住所お よび保証内容の詳細が記載され ていなければならない。適用除外 はない。 家畜共通の管理点と準拠基準 (CPCC IFA Livestock base module) 整理番号 管理点 準拠基準 重要度 5.3.3 全ての家畜は、必ずしも一意の 全ての家畜は、家畜の種類に基 番号である必要はないが、個体 づいて、個体別または群別に特 別に特定されているか(家禽は 定できなければならない。 群の識別番号 IDで良い)? 必須 5.3.4 誕生/孵化した農場まで遡る家 誕生/孵化した農場に辿り着く移 畜の遡及可能性を実証するた 動歴が記録されていること。豚と 家禽は群/畜舎のIDで良い。 めの手順が実施されている か? 推奨 5.3.5 全ての家畜が一意に特定され (家禽は群のIDで良い)、誕生 /孵化した農場まで遡る家畜の 遡及可能性を実証するための 手順が実施されているか? 推奨 誕生/孵化した農場まで遡る移 動歴と合わせて家畜個体の一意 的特定が、集中化したデーター ベースに登録されていること。家 禽は群/畜舎のIDで良い。 日本ではBSE騒動の産物として、肉牛を含めて全国を通した総背番号制が実施さ 家畜共通の管理点と準拠基準 (CPCC IFA Livestock base module) れているが、単なる生産者の特定に留まっており、家畜衛生情報が連結されていな い。実際に農家が必要なのは、ワクチン接種や病歴を含む健康管理情報であり、 整理番号 管理点 準拠基準 重要度 農家が活用できるものに改良しなければならない。 処置を必要とするかまたは処 置された(そのために休薬期 可能な場合には査定する。面 間が設定される)所定の家畜 談において作業員の知識を実 または群/畜舎を、少なくとも 必須 証する。適用除外はない。 5.3.6 休薬期間が終了するまで特定 5.7.2.3と相互点検する。 するために用いる仕組みが用 意されているか? 5.3.7 全ての家畜について、移動時 に、EUREPGAP基準および 国の法律要件を満たした出荷 書類が添付されているか? この出荷書類は、所有権の変 更ならびに20kmを超える移 動の際に使用すべきものであ る。 EUREPGAPが認可した出荷書 類は、農場を離れる家畜の全て の移動(EUREPGAP出荷書類 の手引きを参照)について正確 に記入され、家畜の出荷に関し て追加的に適用されるあらゆる 法律要件に適合する証拠があ ること。適用除外はない。 必須 家畜共通の管理点と準拠基準 5.6 家畜衛生 (必須項目の管理点) 畜産事業体に属する全ての農場は、指定獣医師と診療契約し 5.6.1 ていなければならない。獣医師の往診は、少なくとも毎年、あるいは、 本書において特定単位の事業体に要求されている場合にはもっと頻繁に、 要請しなければならない。 指定獣医師の助けを借りて、文書化された獣医療計画を作成・実施 し、少なくとも毎年、再検討し、更新しているか? 5.6.2 この文書には次のことが規定される: • 疾病予防戦略(耕種的防除を含む)。 • 常在または発生の恐れが ある主な病気。 • 日常的に遭遇する状態に施す処置。 • 推奨 される予防接種実施要項。 •推奨される寄生虫対策。 • あらゆる 投薬(飼料/飲水添加)に関する要件。 再検討には、次の項目を含まなければならない: • 群成績。 • 飼養環境。 • 生物学的安全性。 • 作業員の適格性/訓練が必要か? 肉牛と羊の管理点と準拠基準(CPCC IFA Cattle and Sheep module) 整理番号 6.1 管理点 準拠基準 重要度 特定と遡及可能性 EUREPGAP非参加農場から EUREPGAP登録農場へ導入 予定の家畜について、 EUREPGAPの家畜として資格 認定する前に、認可された農 場で予備飼育期間を設けてい るか? 牛は90日間、羊は60 日間である。子羊を購入して 6.1.1 少なくとも60日間の予備飼育 期間を確保していない場合は (予備飼育期間は認証農場の 間で分担することができる)、 購入元の農場は認証を受けて いたか? 購入元の農場主か ら入手した家畜の認証状態の 証拠を記録しているか? EUREPGAP認証状態を含め て、全ての導入家畜の記録が あること。EUREPGAP非認証 の全ての家畜について、60日 間(羊)/90日間(牛)以上の 予備飼育期間を確保するシス テムがあること。適用除外は ない。 必須 家畜衛生情報の記録がない場合には、 病気である危険性を排除するために、90 日間の検疫を行うこととされているので あって、日本のトレーサビリティーも家畜 衛生情報がないものと看做され、この項 目が適用されるでしょう。 肉牛と羊の管理点と準拠基準(CPCC IFA Cattle and Sheep module) 整理番号 6.4 管理点 準拠基準 畜舎と設備 施設を検査し、縄で繋いでいる 長期間(7日以上)の閉じ込め飼育 証拠があれば、作業員/農場 6.4.1 は禁止されている。牛舎内に縄で 主は拘束/運動についての考 繋ぐ場合には、少なくとも毎日運動 え方を説明すること。縄で繋い に連れ出しているか? でいない場合は適用除外。 舎飼い家畜は、昼間の期間(1日8 時間)を通して、全ての家畜がはっ 6.4.2 きり見える明るさで(自然光または 電灯)照明されているか? 分娩 場所は、全ての家畜を十分に検査 できる照明設備が整っているか? 6.4.3 重要度 推奨 新聞を読める程度の照明設備 が整っていることを点検する。舎 飼いしていない場合にのみ適用 必須 除外。 全ての家畜が、清潔で乾燥した 必須 全ての家畜が、排水の良い、乾燥 場所に横たわることができること。 した場所を利用できるか? 舎飼いしていない場合にのみ適 用除外。 乳牛の管理点と準拠基準(CPCC IFA Dairy module) 整理番号 7.4 管理点 (準拠基準は省略) 乳牛の健康 全ての乳牛が、凡そ3ヶ月間隔で年4回、獣医師の診察を受けてい るか? 観察すべき牛群の健康と福祉の状態について完全で正確 7.4.1 な記録が保管され、獣医師が指摘した問題について是正措置が採 られたか? 7.4.2 重要度 日常的予防措置(削蹄、乳房炎予防、ワクチン接種、駆虫計画な ど)を明示した獣医学的健康管理計画があるか? 推奨 必須 以下に示すような、牛群の健康を監視し、その記録を保管している か? ◆ 牛群の一般的健康状態(死亡、病気および獣医師の来診)、脚 の状態(処置、薬と治療、処置の効果)、個体の健康―主な牛の伝 6.4.3 準必須 染病とそれ以外の病気の記録、分娩時の問題―分娩困難、後産 停滞、感染など ◆ 不適切な栄養状態による代謝病―ふらつき、乳熱など ◆ 乳房炎の発生率(再発防止と治療)、繁殖と関連した病気 乳牛の管理点と準拠基準(CPCC IFA Dairy module) 整理番号 7.5 管理点 (準拠基準は省略) 重要度 搾乳 7.5.1 泌乳中の牛は規則的に搾乳されているか? 必須 7.5.2 床を含めた搾乳設備は、牛への危害を最小限にするように作られ ているか? 必須 7.5.3 搾乳室の搾乳機材は、搾乳時の牛に対して動物福祉上の問題が ないか? 必須 動物薬の使用記録に関する要件に加えて、あらゆる動物薬につい て休薬期間内の牛から搾った乳が、廃棄処分されフードチェーンに 7.5.4 入り込まないことを保証するためのシステムが定められ、実施され ているか? 7.5.5 搾乳前に乳房を清潔にして乾燥させることを、日常的搾乳で確実 に行っているか? 必須 必須 乳牛の管理点と準拠基準(CPCC IFA Dairy module) 整理番号 管理点 (準拠基準は省略) 重要度 7.6 搾乳設備 7.6.1 搾乳機材 7.6.1.1 搾乳機材は、年に1回検査し、業界と製造者の要件を満たす ように保守を受け、その報告書、結果および検査の記録を保 管しているか? 必須 7.6.1.2 製造者の指示書に従ってティートカップやその他の磨耗部品 を交換した記録が保管されているか? 準必須 7.6.1.3 以下の記録を保管しているか? ◆ 洗浄工程で用いる水の温度が適切で一定であるように管 理されているか? ◆ 機材の洗浄剤が指示書に従って使用されるように管理さ れているか? 必須 乳牛の管理点と準拠基準(CPCC IFA Dairy module) 整理番号 7.6 7.6.2 管理点 (準拠基準は省略) 重要度 搾乳設備 搾乳室 搾乳室に以下の条件が整っているか? ◆ 害虫、野鳥、愛玩動物が侵入した形跡がないか? ◆ ガラス破片による潜在的危害がないか? ◆ 壁、ドアおよび床が簡単に清掃できるか? ◆ 照明は十分か? ◆ 外に面したドアと窓は耐候性であるか? ◆ 害虫の隠れる場所がないか? ◆ 製造者の取り扱い説明書にしたがって機材の清浄性が保たれ ているか? ◆ 余剰製品がないか? ◆ 埃がたまっていないか? ◆ 床の排水が適切かつ良好か? 必須 7.6.3 搾乳場(集乳/保管) 、7.6.4 集乳機材(バルク・タンク、 撹乳器など) 、 7.6.5 タンクローリー/駐車場 家畜共通のチェックリスト(CL IFA Livestock base) 整理番号 管理点 重要度 5.3.3 全ての家畜は、必ずし も一意の番号である 必要はないが、個体 別に特定されているか (家禽は群の識別番 号 IDで良い)? 必須 適合 (合否) 非適用および 正当性の根拠 備考 「整理番号」、「管理点」、「重要度」は、「家畜共通の管理点と準拠基準」と同じである。 「適合(合否)」は、要件を完全に満たした場合に「合」、要件の全部または一部を 満たしていない場合は「否」となる。 「非適用および正当性の根拠」の欄は、「否」となった場合で「実施しない正当な理 由」を農場管理者が主張した時に記入する。ただし、ほとんどの必須項目につい てはこの欄に斜線を引いてあり、弁明は認められない。弁明を認める一部の必須 項目についても、「100%準拠することが義務である」ことから、認証には至らない。 このチェックリストは、内部の自己検査にも使われ、是正措置を採るための資料とする。 記録簿目次例 大項目と 整理記号 記録 責任者 中項目 小項目 畜舎の洗浄・消毒(A) 飼育機材の点検(B) 清掃、洗浄、消毒 給餌器、給水器、・・・ 健康管理記録(受領書)、 健康状態および輸送車両の点検 ・・・・・・・・・・ ○山▲雄 ●川△夫 畜舎・ペン・個体番号、・・・・ 温湿度、換気設定 給餌量、故障、・・・・ 仕上げ(休薬)飼料、・・・。 飼育 生または不活化ワクチン Ⅱ 指示書(種類・濃度、投与法、出 抗菌性物質の投与(F) 荷制限期間) 健康状態・異常畜の淘汰(G) 所見、畜舎・ペン・個体番号、・・・ 伝染病発生時の対策(H) 届出基準(死廃率、病態)、・・・ ●川△夫 ○田△朗 ●池▲夫 ○山▲雄 ●川△夫 導入 Ⅰ 素畜の搬入(C) ・・・・・・・・・ 飼育密度・群編成(A) 温湿度・換気(B) 給餌・給水(C) 飼料の切替(D) ワクチン接種(E) ○田△朗 ・・・・・ ○田△朗 ●池▲夫 ○山▲雄 大項目と 整理記号 出荷 Ⅲ 畜舎環境の 衛生管理 Ⅳ 従業員衛生 Ⅴ 中項目 出荷準備(A) 出荷(B) 小項目 飼料給与停止、残存注射針 マーク、体表汚れ除去 輸送車両消毒、積込み作業、 出荷票の点検 農場内・舎内衛生(A) 作業動線、消毒槽、・・・ 出入り車両等の管理(B) 消毒設備、 衛生害虫の駆除(C) ハエ、ネズミ、蚊 野生鳥獣・放浪犬猫対策(D) 侵入防止柵・網 廃棄物・廃水処理(E) 死体、豚糞、汚水 健康管理(A) 衛生教育・訓練(B) 定期健診、出勤時チェック 作業衛生、家畜取扱い 記録 責任者 ○山▲雄 ●川△夫 ○田△朗 ●池▲夫 ○山▲雄 ●川△夫 ○田△朗 ●池▲夫 ○山▲雄 ●川△夫 ○田△朗 最初から全ての記録を付けるとなると大変であり、長続き 生産管理記録(A) 死廃数、給餌量、・・・ ●池▲夫 飼料添加物・薬剤等(B) 薬剤名、使用量、使用方法 ○山▲雄 管理・記録簿 しません。できる範囲で付け始める工夫が大切であり、そ の整理 獣医師の指示書等(C) 指示書番号 ●川△夫 れには、現在つけている生産管理記録に実施可能な衛 Ⅵ 病畜検査依頼および回答(D) 病状、羽数(罹患、死亡) ○田△朗 生管理項目を加えていくと良いでしょう。 行政等による採材記録(E) 薬剤耐性菌、監視伝染病 ●池▲夫 農場内日常点検票例(Ⅵ-1) 確認 異常事項:所見、対応 ⅣB 車両消毒設備が適切である × 消毒剤液量不足→追加 ⅣA 作業動線が汚れていない × 水溜りがあり、補修を指示 ⅣA 建物外周に異常がない × 排水溝がゴミ詰まり→除去 ⅣD 野生動物、野良の侵入がない × 野良猫2匹→場外に出した ⅣC 衛生害虫の発生がない ○ 点検項目 詳細頁 ⅣA/14 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ 06 年 06 月 11 日 13 時 記帳責任: ○山▲雄 Ⅵ-1/13(ページ) 後で改竄できないことを示すために、現場での記帳(ここでは赤字) はボールペンを使います。 畜舎内日常点検票例(Ⅵ-2) 育成舎(A) ○ 月 ×日 異常事項:所見、対応 点検項目 確認 ⅣA 踏み込み消毒槽 ○ ⅣA 前室 × 舎内用長靴の汚れ→洗浄・消毒 ⅡA 飼料ホッパー × 作動異常(餌切れ) ⅡA 給水タンク ○ ⅡB 換気 × ⅡB 温度・湿度 最高温度:25 、最低温度 18 、湿度 60 % ⅡC 床 × 糞便の塊→除去・洗浄 ⅡD 牛群の健康状態 × No.5 区画の一部に軟便~下痢便 ⅡD 異常牛の隔離・淘汰 × ヒネ(発育不良)1頭隔離 ⅡG 伝染病発生の疑い ○ ・・・・・・・・・・・ 詳細頁 アンモニア高い→換気量を調節 ⅡD/3 家畜処置記録票例(Ⅵ-C) 日付 4月 5日 5月 6日 月 日 月 日 対象 3 区画 個体番号 1~17 6 区画 個体番号 1~12 区画 個体番号 育成舎(A) 処置内容 その他 処置責任者 IBR混合ワクチン接種。注射針破 損、残存個体番号: 11 山田太郎 指示書番号 A1-18-4-5 処置責任者 下痢治療のため、▲▼剤を経口 投与 山田太郎 指示書番号 A2-18-5-6 処置責任者 指示書番号 区画 個体番号 処置責任者 指示書番号 GAP基準としての薬物の使用管理に関する原則 1.全ての動物薬および薬品は、薬物管理獣医師の指示の下に、製 造者の取扱注意を遵守して使用・管理しなければならない。 2.動物薬および薬品の使用・管理は、適切な教育・研修を受けた 作業員のみが行うものとする。 3.動物薬および薬品の購入は薬物管理獣医師に指示された必要 分のみとし、使い残しが出た場合には適正に処分して過剰な在庫を 残さない。 必要以上の「不安」が広まっていることに対し、消費者に薬物使用の必要性と、適 正使用が遵守される限り安全であることを繰り返し説明することが獣医師の責務で ある。 海外では悪性の人畜共通感染症が流行していること(パート2で説明)、サルモネ ラや大腸菌O157は健康保菌であるため完全に制御する技術が開発されていなしこ と、トイレがない家畜では人よりも制御が難しいことを理解してもらいましょう。 薬品管理総括票例(ⅥB) 区分 薬物グループ A ワクチン 小区分 サブグループ 整理記号 A d 飲水添加剤 Bd f 飼料添加剤 Bf B 抗菌性添加剤 C 注射薬 C D 抗菌性飼料添加物 D F 消毒剤 F G 駆除剤・除草剤 G H その他 d 飲水添加剤 Hd (ビタミン剤等) f 飼料添加剤 Hf 薬品管理票例(ⅥB) 薬品(C):ペニシリン 月日 購入量 指示書番号 納入伝票番号 使用量 記帳責任: ○山×夫 使用豚舎 処分量 処分伝票番号 保管量 検査申請書の記載事項 第14条 令第7条の規定により申請書に記載すべき事項は、次の とおりとする。 (1) 申請者の住所、氏名及び生年月日 (2) とさつしようとする年月日 (3) 検査を受けようとする獣畜の種類、性別、品種、年齢、特徴 及び産地 (4) 検査を受けようとする獣畜の病歴に関する情報 (5) 検査を受けようとする獣畜に係る動物用医薬品その他これ に類するものの使用の状況 (6) 法第13条第1項第(2)号又は第(3)号の規定によりとさつした 獣畜を解体しようとする場合にあつては、当該獣畜をと畜場以外 の場所でと殺した理由、日時及び場所 出荷記録票例(Ⅵ-A) 申請者氏名: 山田太郎、 昭和35年3月5日生まれ 申請者の住所: 鹿児島県郡元1-11 出荷家畜: 牛、黒牛、鹿児島県曽於産 出荷責任・記帳者 山田太郎 と殺予定日:平成 18 年 5 月 5 日、 頭数: 223 頭、 ( 雌、雄 ) 識別記号: A1-1~5, A1-7~16, A2-1~13, A3-1~12, A4-1~15, A5-1~16, A6-1~14, A7-2~11, A8-2~16, A9-1~13, A10-1~5, A10-7~11 病歴に関する情報:獣医師の診断書番号 A1-18-4-5, A2-18-4-5, A3-2-25, A7-2-25, A10-3-10 動物用医薬品等の使用状況 : 獣医師の指示書番号 A1-18-4-5, A2-18-4-5, A3-2-25, A7-2-25, A10-3-10 その他:注射針残存個体番号 A1-5, A2-8, A10-3 家畜糞尿の汚濁負荷量と等価人数 項目 BOD COD SS 全窒素 全リン ヒト 13 6.5 10 9 0.57 牛 g/頭・日 等価人数(人) 640 8.6 530 14.3 3,000 44.8 378 29.1 56 25.5 豚 g/頭・日 等価人数(人) 200 2.7 130 3.5 770 11.5 40 3.1 25 11.4 BOD換算で牛1頭の排泄量は8.6人に相当し、1200頭飼育すると人口1万人の下 水道処理施設が必要になる。固液分離によって堆肥化することが経費節減となり、 作物農家への有機肥料提供を通した循環型社会形成という大義にも叶う。 家畜排せつ物法の本格施行(2004年11月1日) 一定規模以上の畜産農家は、管理基準に従った家畜排せつ物の管理が必要 家畜排せつ物法への対応状況 (2005年12月1日時点調査結果、1月31日公表) 「最近の畜産物価格等をめぐる情勢について」 農林水産省、2006年2月 回転円板法(回転生物接触法)の特長 特性 酸素供給 設備経費 維持管理 余剰汚泥 浄化効率 モーターによる回転 安価 比較的容易 少ない 高い 負荷変動や消毒剤に 対する耐性 生息可 能な生 物叢の 種類 根足虫 鞭毛虫 自由遊泳繊毛虫 匍匐性繊毛虫 付着性繊毛虫 輪虫類 円虫類 線虫類 畜舎排水 活性汚泥法 回転円板法 回転円板法 加圧送風による曝気 高価 高度 多い 非常に高い 大きい 小さい ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ○ Χ Χ Χ Χ 活性汚泥法 浄 化 能 力 殺菌消毒 放流 農畜水産物の安全性向上のための社会システム ○○地域における 適性農業基準(GAP) ●●地域における 適性農業基準(GAP) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準 ○○県食品安全推進会議 ●●県食品安全推進会議 全国的に統一された 適性農業基準(GAP) 生産者、消費者、流通業者ならびに専門家が参加する 全国食品安全推進会議 品質保証計画(QAP) 第三者としての民間の認定機関・試験機関 適性農業基準とは (GAP;Good Agricultural Practice) HACCP手法に基づく一般的衛生管理の認証基準例 チェックリスト 評価点 認証マーク 非参加農場 50点未満 50点以上 60点以上 70点以上 80点以上 90点以上 無印 安 自 安 全分心 ★ 性に価 を見格 ☆ 購合で ☆☆ 入 っ でた ☆☆☆ き る ☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ 衛生管理 コスト 市場価格 市場価格 10%上乗せ 20%上乗せ 30%上乗せ 40%上乗せ 50%上乗せ パート 4 牛肉および牛乳の安全性向上のための 日本における第三者認証システムの構築に向けて まとめ ◆ 第三者認証システムの役割とは? 生産、流通、消費を通して製品の品質と安全性を保証 するシステムであり、衛生対策に要する費用を適正な 価格に反映させるために認証がある。 ◆ 日本における取り組みをどのように進めるか? 契約社会に成りきっていない、横並び意識が強い日本 では道のりが遠いと思われますが、物流の国際化にお いて避けて通れないステップであり、国内の認証組織を 育成することが大切です。 食生活における不安をなくし、安全性についての 自信を取り戻すためには、農場から食卓までの関 係者すべての努力が必要とされています。 衛生対策の強化には、モノも労働も必要です。そ の経費を公正に負担する社会システムを皆で考え、 作り上げましょう。 安全性についての正しい知識と理解を広げるこ とが、何よりも大切です。 <その他の視聴覚資料> HACCP手法研修用教材(日本獣医師会 )として、「基礎編」、 「養鶏編」 、「ブロイラー編」 、「養豚編」があります。
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