メディア論

メディア論
第12回中国のメディア政策と映画産業
(2014.12.22)
担当:野原仁
本日のテーマ
中国のメディア政策
中国の映画産業
中国のメディア政策
国営のテレビ局(CCTVなど)・党の
機関紙(人民日報)・国営の通信社
(新華社通信)は、党・政府の宣伝
機関として位置づけられている
その他のメディアも、基本的には
党・政府の意向に反するような内容
の表現はできない&すると罰が与え
られる
中国におけるタブーと検閲
中国におけるタブー:共産主義体
制・共産党・党幹部・少数民族問
題・毛沢東批判・文化大革命批判・
法輪功などの新興宗教…
中国における検閲:特にインター
ネットを中心に事前検閲が行われて
おり、また事後検閲により、放送・
発行禁止処分も頻発している
中国のメディア産業
改革開放路線(1980年代以降)、
党・政府の宣伝機関だった国有のメ
ディア企業の私有化を推進するとと
もに、産業振興のためのさまざまな
施策を実施
特に2000年代に入り、産業全体
の成長に伴い、テレビ・映画を中心
に産業規模が急速に拡大
中国都市部の映画興行収入推移
120
100
(億元)
80
60
40
20
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
中国における映画の位置づけ
かつては、党・政府の有効なプロパガン
ダの道具とみなされていた
改革開放路線以降は、芸術面での国際的
評価を高めることで国家の威信を示すこ
とを目的に、主に労働者・農民の生活に
焦点を当てた文芸作品が制作されるよう
になる
2000年代に入り、アメリカと同じく、
重要な輸出産業とするため、主に娯楽作
品が制作されるようになる
中国映画産業の仕組み
 中国の映画産業は、基本的に国家広
播電影電視総局電影事業管理局(ラ
ジオ映画テレビ総局・映画局管理
局)に管理されている
 この国家広播電影電視総局電影事業
管理局(以下ラテ総局)には、主に
次の7つの役割がある
中国映画の管理
中国映画産業発展のための企画立案
関連法律のドラフト作成
映画配給放映事業者の管理
映画審査委員会の組織づくり(この組織
は各界の有識者から構成され、公開され
る映画の審査する)
6. 映画産業発展のためのサービスの提供
7. 国際的な映画文化に関する交流促進
1.
2.
3.
4.
5.
中国における映画製作許諾の仕組み
中国では、映画の製作にあたって、基本
的には台本を届け出なければならない。
また、公開にあたっては審査も受けなけ
ればならない。審査において、海外の作
品でよく指摘される項目は以下の4つ。
中国のイメージを失墜させるような内容
ポルノ・暴力
宗教
第三者の利益を損なわれるもの
近年の動向
2010年1月25日、中国政府は国産映画の振
興を目的とした「映画産業の繁栄と発展を
促進する指導意見」を発表。「意見」には
国産映画の年間の上映時間を全体の3分の
2以上にすることなどが盛り込まれた
「意見」では主に、「本数の安定的な増加
と質の向上」「国有映画事業機関の株式会
社化」「金融機関の映画会社に対する優先
的な資金支援」「国産映画の輸出と国際的
影響力の拡大」などが求められた
また、15年末までの映画産業の発展
目標として、「健全な市場と公平な
競争の実現」などが示されたほか、
映画産業の発展を促進させるための
法律や政策の策定などが指示された
中国では世界的に大ヒットした米映
画「アバター」の2D版が上映中止に
なった→同時期に封切られた国産映
画「孔子」を優先させたためだと言
われている