水素吸蔵合金を用いた スピーカーの提案

水素吸蔵合金を用いた
スピーカーの提案
早稲田大学理工学部
コンピュータネットワーク工学科
山崎研B4 大野遙平
発表内容
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研究背景・目的
呼吸球
水素吸蔵合金
水素吸蔵合金のスピーカーへの応用
まとめ
研究背景・目的①
• 音波の忠実な再現
– マルチセル型スピーカやコンデンサスピーカによ
り、相当精度の平面波の実現が可能になった。し
かし、対象球面波については球形に整形したコン
デンサスピーカや相変化スピーカなどの研究も行
われているが、研究途上にある。
• 早川「コンデンサスピーカー・ピエゾフィルム・圧電ス
ピーカに関する研究」
• 柴田「相変化スピーカ」
研究背景・目的②
• 水素吸蔵合金とは
– 水素の安全な貯蔵・運搬を目的として研究開発
– 温度・圧力をコントロールすることによって多量の
気体水素を吸蔵・放出する能力を持つ
– ケミカルエンジンやアクチュエーターにも応用
– 当研究室の増田は水素吸蔵合金を用いたスピー
カの可能性を示唆
呼吸球
• 点音源の理想的モデル
• 音源より 1m の地点で1kHzの正弦波につい
て60dB の音圧を得るためには 33.3cm^3/s
なる呼吸球の体積速度が必要
• 33.3cm^3の水素は物質量にして
1.49x10^-3(mol)
水素吸蔵合金
• 水素吸蔵合金に要求される特性
– 活性化が容易
– 吸蔵・放出速度が速い
– 水素吸蔵量が多い
– 操作温度に適した生成熱を有する
– 熱に対する反応(熱伝達率)が良い
– サイクル数の増加に伴う劣化(微粉化)に対する
強度に優れている
– ヒステリシスが小さい
– プラトー領域が広く、その傾斜が小さい
水素吸蔵合金
• スピーカーに用いる場合、重要視される特性
– 活性化が容易
– 吸蔵・放出速度が速い
– 水素吸蔵量が多い
– 操作温度に適した生成熱を有する
– 熱に対する反応(熱伝達率)が良い
– サイクル数の増加に伴う劣化(微粉化)に対する
強度に優れている
– ヒステリシスが小さい
– プラトー領域が広く、その傾斜が小さい
水素吸蔵合金
• 反応式
2
2
MH 2  MH n  H
n
n
• 生成熱ΔH(kJ/molH2)
• 例:LaNi5・・・-30.1
TiFe・・・-23.0
• 上記の値を用いると、33.3cm^3(1.49x10^-3mol)
の水素放出のためには、44.8[J](LaNi5)、
34.3[J](TiFe)の熱のやりとりが必要となる。
水素吸蔵合金
• スピーカーの駆動部
として水素吸蔵合金
を用いる場合、PCT
線図にみられるプラ
トー領域において熱
のやりとりを行い、水
素の吸排出を利用す
る。
動作原理
装置内水素雰囲気圧を初期状態の解離圧以上の水素で満たす
①合金を加熱
②合金の温度が上昇すると解離圧が雰囲気圧を上回る
③吸熱反応により(1)式の反応が左向きに進み,水素を放出
④バルーンが膨張し,バルーンの周囲に空気の密な部分が発生
⑤合金を冷却
⑥温度が下降すると雰囲気圧が吸蔵圧を上回る
⑦温度下降により(1)式の反応が右向きに進み水素を吸蔵
⑧バルーンが収縮し,バルーンの周囲に空気の粗な部分が発生
スピーカーへの応用へ向けて
• 合金の制御方法
• 外部加熱
– 熱電変換素子(ペルチェ素子)等を用いて反応熱
をコントロール
• 内部加熱
– 合金に直接電流を流し、被加熱体から発生する
ジュール熱を利用
スピーカーシステム概案
まとめ
• 原理的に水素吸蔵合金のスピーカへの応用
は可能と考える
• 課題
– 合金と水素の反応は、反応熱に依存し
伝熱律速となる。
– 熱伝導率に優れた合金の選定
– 効率の良い熱制御
– 水素雰囲気下での通電の安全性
• 水素吸蔵合金特有の問題
– 微粉化