情報化と職業倫理」 ~ 社会保障行政に携わる理数系官僚の立場から

「情報化と職業倫理」
~ 社会保障行政に携わる理数系官僚の立場から ~
厚生労働省年金局数理課
数理調整管理室 室長補佐
西岡 隆
0.はじめに
• ひとこと
– 「情報」とは?
• 自己紹介
– 平成7年3月 大阪大学理学部数学科卒
– 平成7年4月 厚生省入省、年金局数理課に配属
• 平成11年財政再計算
– 平成11年8月 年金局企業年金国民年金基金課
• 確定給付企業年金法、確定拠出年金法(401K)
– 平成14年8月 政策統括官付社会保障担当参事官室
• 将来推計人口、社会保障給付費、厚生労働白書
– 平成17年8月 保険局調査課
• 平成18年医療制度改革、後期高齢者医療制度
– 平成19年7月 現職
• 社会保障国民会議
• いわゆる「霞ヶ関の官僚」
– 国会と法案審議
• 国家公務員倫理法
– 目的
• この法律は、国家公務員が国民全体の奉仕者であってそ
の職務は国民から負託された公務であることにかんがみ、
国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するため必要
な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する
国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって
公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。
(倫理法第1条)
1.情報技術の高度化の変遷
• 1990年代後半以降の情報技術のめざましい発
展
– インターネット普及率
– ブロードバンド回線の普及
– 情報通信機器の普及
• 携帯電話
• パソコン
• 総務省 平成19年「通信利用動向調査」
• 1995年当時は?
平成19年通信利用動向調査
(総務省)
• 情報化
– 政府が持つ情報について
• 情報公開法
– 国民主権の理念にのっとり、行政文書・法人文書の開示を請求する権利
につき定めること等により、行政機関・独立行政法人等の保有する情報の
一層の公開を図り、もって政府・独立行政法人等の有するその諸活動を国
民に説明する責務が全うされるようにする
• 個人情報保護法
– 行政機関において個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、行政
機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、
行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する
• 法令の大切さ
– 理系出身であっても、社会人になって仕事をしていく中では、様々な法令
を理解することが必須
2.情報倫理学の発展と情報倫理を守るための取り組み
~ 著作権法、知的財産権の保護と個人情報保護なども含めて~
• 情報倫理学
– 1990年代後半以降、情報化が進む中で生じてきた様々な問題に対して、
そのユーザー側がどのような倫理規範を守らないといけないかといった観
点で整理されつつある学問
– 〔参考〕「情報倫理学入門」(広島大学越智貢教授、ナカニシヤ出版)
• インターネットの普及と情報倫理の必要性
– 専門家以外のユーザーの増大、すなわち、一般化
– インターネットの濫用
• 情報倫理を取り巻く状況
– ネチケットガイドライン
• インターネットの広がりが見られ始めた1995年頃、マナーの必要性
が生じたため、「インターネット技術特別調査会(IETF)」の「ネット
ワーク責任利用作業部会(RUN : Responsible Use of Network
Working Group)」が作成
• 日本でも和訳されたものが、インターネットで見れるようになっている。
http://www.cgh.ed.jp/netiquette/rfc1855j.html#1_0
• 内容は、「メールとトークを含む1対1の通信」、「メーリングリストと
ネットニュースを含む1対多の通信」、「FTP、WWW、Wais、Gopher、
MUDとMOOを含む情報サービス」の3つについて、基本的なマナー
が列挙されている。
– (インターネットの世界における)自己責任
• 一方で、インターネットの世界では、当時はまだ法令の規定もなく、イ
ンターネットを使う側の「自己責任」が頻繁に求められていた。
• 著作権とは?
– コンピュータの発展とともに、コピーが容易になり、著作権の重要性が増大
– 著作権とは、「知的財産権」の一種であり、知的な創作活動によって何かを
創り出した人に対して付与される,「他人に無断で利用されない」といった
権利(著作権法で保護されている)
– 産業財産権等は,権利を取得するために「申請」「登録」などの手続きが必
要だが,「著作権」は,こうした手続きを一切必要とせず,著作物が創られ
た時点で「自動的」に付与するのが,国際的なルールとされている(権利取
得のための「登録制度」などは禁止)。これを「無方式主義」という。
〔文化庁ホームページより〕
• 著作物にはどんな種類がある? ~ 「子どもの絵も立派な著作物」
– 著作物を類別し、わかりやすく例示すると下表のようになる。この場合、上手下手
で権利が発生したり、しなかったりということはない。人のマネでなく、その人の思
想や感情が創作的に表現されていれば、たとえ3歳の子どもの絵も小学1年生の
作文も立派な著作物。
– 著作物の種類
言語の著作物
論文、小説、脚本、詩歌、俳句、講演など
音楽の著作物
楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踊、無言劇の著作物
日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
美術の著作物
絵画、版画、彫刻、まんが、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)
建築の著作物
芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
地図、図形の著作物
地図と学術的な図面、図表、模型など
映画の著作物
劇場用映画、テレビ映画、ビデオソフト、ゲームソフトなど
写真の著作物
写真、グラビアなど
プログラムの著作物
コンピュータ・プログラム
このほかに次のような著作物もある。
二次的著作物 : 上表の著作物(原著作物)を翻訳、編曲、変形、翻案(映画化など)し作成したもの
編集著作物
: 百科事典、辞書、新聞、雑誌、詩集など
データベースの著作物 : 編集著作物のうち、コンピュータで検索できるもの
なお、次にあげるものは著作物であっても、著作権がありません。
1. 憲法そのほかの法令(地方公共団体の条例、規則も含む。)
2. 国や地方公共団体又は独立行政法人の告示、訓令、通達など
3. 裁判所の判決、決定、命令など
4. 1から3の翻訳物や編集物で国や地方公共団体又は独立行政法人の作成するもの
〔 社団法人著作権情報センター(CRIC)ホームページより 〕
• 自由利用マークとは?
– 著作物を創った人(著作者)が,自分の著作物を他人に自由に使っても
らってよいと考える場合に,その意思を表示するためのマーク。
– どんな利用ができるかは,マークによって異なる。
「自由利用マーク」には,次の3つの種類がある。
「プリントアウト・コピー・無料配布」OKマーク
「プリントアウト」「コピー」「無料配布」のみを認めるマーク
(変更,改変,加工,切除,部分利用,要約,翻訳,変形,脚色,翻案などは含まれません。そのまま「プリントアウト」「コ
ピー」「無料配布」をする場合に限られます)
(会社のパンフレットにコピーして配布することなどは,営利目的の利用ですが,無料配布であればできます)
「障害者のための非営利目的利用」OKマーク
障害者が使うことを目的とする場合に限り,コピー,送信,配布など,
あらゆる非営利目的利用を認めるマーク
(変更,改変,加工,切除,部分利用,要約,翻訳,変形,脚色,翻案なども含まれます)
「学校教育のための非営利目的利用」OKマーク
学校の様々な活動で使うことを目的とする場合に限り,コピー,送
信,配布など,あらゆる非営利目的利用を認めるマーク
(変更,改変,加工,切除,部分利用,要約,翻訳,変形,脚色,翻案なども含まれます)
〔文化庁ホームページより〕
• コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)
– デジタル著作物の権利保護や著作権に関する啓発・普及活動を通じて、
デジタル・ネットワーク社会における文化の発展に寄与する事を目的に、
1985年に設立された文部科学省・文化庁許可の公益法人
– 「違法コピー禁止マーク」を掲げ、ゲームソフトメーカー、ビジネスソフトメー
カー、コンテンツメーカー、出版社など約270社が会員となり、コンピュータ
ソフト、コンテンツなどのデジタル著作物の権利保護活動に取り組んでい
る。
– ホームページにおいても、800以上にわたる著作権や情報モラルに関す
るQ&Aを開示し、コンピュータユーザーに情報提供をしている。
http://www.askaccs.ne.jp/xoops/modules/weblinks
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例1
例2
例3
例4
c148 授業でホームページを使いたい
c114 上司の命令で不正にソフトをインストールした。
c136 営利目的でない場合の著作物の利用について。
p4 一度、公表した情報だったので流用した。