ダイソーの競争優位性

百円ショップSeriaの競争優位性
を分析する
ブルオーシャン戦略理論
13-mc007 周曼(シュウ マン)
2013年7月12日
1
百円ショップの興起
販売形式
店舗場所
仕入
商品品質
1960年代の
100円ショッ
プ
催事販売
スーパーマ
ーケットの
駐車場(移
動販売・露
天方式)
問屋からす
べての商品
を70円以下
で仕入れる
品質の限界
がある
1980年代の
100円ショッ
プー(ダイ
ソー)
固定的な販
売
テナント
98円で仕入
れる
100円の範
囲で可能な
限り質にこ
だわる
※ ・100円商品は、安価だが品質は劣るという先入観を払拭するため、仕入れ原価が
100円に近いものや原価割れしている商品も100円として販売する手法を取った。
・テナント形式の店舗により、顧客はいつでも来店して買い物することができ、商品
に問題があった場合は店舗にクレームを申し入れられるようになったため、移動販売に比
べて格段の信頼を得ることにもつながった。
2
なぜ百円ショップが安いのか?
1.値入ミックス手法
例:土鍋:原価が高い
マックカップ:原価が低い
粗利益率が高い商品と粗利益率が低い商品一緒に売れれば、全体的に利益が高く出
ている。
すべて100円だから、特定の商品を買いに入った客は別の商品に目をとめて衝動
ショッピングするケースが多い。
均一価格による値入ミックス
単価
粗利益率
粗利益
商品A
100円
5%
5円
商品B
100円
15%
15円
商品C
100円
40%
40円
平均
20%
3
2.大量生産、仕入、大量販売
粗利益率を高くするためには、製造原価を安く抑えなければならない。つまり、
安く大量に仕入れなければならない。
※ 仕入ルード:
① 国内の大手メーカー品を仕入れる
② 中小メーカーから直接仕入れる
③ 国内の専門卸業者から仕入れる
④ 自社ブランド
3.東南アジア(特に中国)で安価な生産
ダイソー:自社ブランドのうち約70%が海外製品;
セリア:輸入品約50%
キャンドゥ:輸入品約50%
インドネシアなどより、機械化がある程度されていて、大量に生産ができる中
国のほうが安くつく。
※中国で作った商品の原価
・アパレル⋯⋯⋯⋯婦人ショーツ34円;紳士Tシャツ65円;Yシャツ198円
・キッチン用品 ⋯⋯コーヒーポット73円
・食器⋯⋯⋯⋯⋯⋯ガラス製コップ16円;割り箸100膳18円;24ピース食器セット220円
・服飾⋯⋯⋯⋯⋯⋯エプロン78円;スリッパ65円
・その他⋯⋯⋯⋯⋯ヘアドライヤ62円;目覚めし時計90円
4
4.流通コストが低い
【一般小売店の場合】
メーカー
(工場)
小売問
屋
卸問屋
店舗
【100円ショップの場合】
倉庫
工場
店舗
流通経路や輸送コストは一般の小売店と違う。
5.正社員数少ない(=人件費減少)
※バブル崩壊後の日本経済状況には、逆に「成長した業界」という。
出所: 『100ショップの仕組みと経営戦略』 藤津ゆか 駒沢大学
5
各会社の概要と業績
企業名
ダイソー
セリア
キャンドゥ
ワッツ
資本金
27億
12億7833万円
30億28百万円
4億4,029万円
本社所在地
東広島市
岐阜県大垣市
東京新宿区
大阪府大阪市
国内店舗数
2,680店舗
1,067店舗
単体・連結:各
838店舗
806店舗(すべ
て直営)
直営店舗数
非公表
970店舗
海外店舗数
658店舗
フランチャイズ
店舗数
非公表
97店舗
従業員数
10,000名
6,202名
3.779名
563名
正社員数
400名
362名
910名
93名
売上高
3,415億円
982億4600万
円
626億6800万
円
112億円
出所: 「徹底解剖100 円ショップ―日常化するグローバリゼーション」
6
セリアの経営成績
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
百万円
%
百万円
%
百万円
%
百万円
%
平成20年3月
期
63,224
6.5
2,290
22.2
2,362
22.0
1,174
19.9
平成21年3月
期
68,394
8.2
1,551
33.3
1,579
33.1
784
33.2
平成22年3月
期
76,244
11.5
3,314
113.6
3,308
109.4
1494
90.5
平成23年3月
期
83,389
9.4
5,081
53.3
5,075
53.4
2,318
55.1
平成24年3月
期
93,634
12.3
7,722
52.0
7,775
53.2
4,292
85.1
平成25年3月
98,246
4.6
8,314
7.7
8,261
6.3
4,802
11.9
出所:セリアHPより筆者作成
2015/9/30
※
①プライス以上の価値のある商品開発、こだわりの「日本製」が多い。
②より愛される魅力的な商品を届けたくて、商品は「メーカーと共同開発」を行って
いる。
③プライドペートブランド商品など、「お客様の声から生まれた商品」を登場し続けて
いる。
8
セリアの事業領域
商品開発
店舗開発
店舗マネ
ジメント
管理シス
テム
流通シス
テム
9
100円ショップ業界は成長期であり、過当競争が続いていた。(赤い海)
しかし、激しい競争環境でもセリアは業界の第2位の席をキャドゥから取った。
10
セリアは「カラーザデイズ」という店舗ブランドを立ち上げ、「オシャレ100円
雑貨ショップ」という独自のポジショニングを確立した。
①取扱商品をデザイン性の優れた雑貨のみで構成している。
②什器(じゅうき)の高さを抑えて通路も広くし、ゆったりした店内を実現し
た。
③商品点数を絞り込んだ。
つまり、取ったポジションは「オシャレな品揃え×オシャレな店内空間」だ。
しかし、やはり百円ショップに来店客の購入理由の一つは品揃えであうこ
とを否定しない。品揃えの豊かさのために、セリアは什器の数を増やすも
のの、幅を狭くして、通路のスペースを確保する。新たなポジションニング
は「品揃えの多さ×おしゃれの商品&店内空間」。
参考文献:金森 努/経営戦略
11
セリアのバニューイノベーション
買い手に提供する価値を見直して、新しい価値曲線を描くために、四つのアクションという手
法を編み出した。
減らす
業界標準と比べて思
いきり減らすべき要素
は何か
100円の限り
より品質が良い
品種が多い
サービスを
しか提供しない
取り除く
業界常識として製品や
サービスに備わっている要
素のうち、取り除くべきもの
は何か
商品開発とコストを抑えること
によって競争優位をとる
新しい価
値曲線
増やす
業界標準と比べて
大胆に増やすべき要素は何か
顧客は従来の100ショップの
イメージを打破し、
安くても高級感を与えることで
競争優位をとる
付け加える
業界でこれまで提供されてい
ない
今後付け加えるべき要素は
何か
顧客は
ショッピングの
環境に対して
の要求、
また人間として
美を追求
すること
差別化とコスト削減を両立する
コスト
青い海
顧客への価値
セリアは百円ショップ
の優位要因を保つう
えで、自社からユニッ
クな考えを生かし、顧
客には安く、品種が
多く、デザインが上品
でプラス居心地が良
いショップング場所を
提供することにより、
競争が非常に激しい
百円ショップ業界で
「青い海」を作りまし
た。
百円ショップにおけるブルーオシャン戦略の限界
・セリアは「おしゃれ百円ショップ」というポジションを定着し、より低価格で高品質の商
品を提供する。そして、お客さまにはゆったりショッピングできる場所を作ったことにより、
競争の激しい百円ショップ業界で自社なりの競争優位性を持つようになった。しかし、
ザ・ダイソーなど百円ショップの各社も次々高級ブランドを作ったり、店舗を拡大しったり
するので、セリアは見つけた「青い海」は「赤い海」になってしまった。「青い海」によって
の競争優位をとのように持続できるのかが企業組織にとって最も重要な課題だと思う。
・セリアは業界内で競争優位性を取っても百円ショップ業界以外の競争を避けることが
できない。つまり、百円ショップではなく、高品質の商品でゆったり店がある生活用品屋
から脅威性を考えなければならない。ここで、一つ言いたいのがそういう会社に対して
競争相手と思わなく、逆に提携相手とすれば、ダブルwinになるかもしれない。たとえば、
もしセリアは無印良品と提携(両社共同のブランドを作る)できれば、品質と店の雰囲気
に拘りしかもプライスにも気がする顧客の欲求が満たされることができる。セリアにとっ
て、より品質を高めるがコストが抑制できる;無印良品にとって、元の優位性の上で商
品のプライスを下げることが可能になる。両社にとっても、顧客数を増やすことができ、
あるいは、新しいセグメントを発見できると言えるだろう。
2015/9/30