あ ぐ い た か し 安 居 院 高 志

認定獣医師制度の概略
北海道大学大学院医学研究科
附属動物実験施設
有川二郎
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
Hokkaido Univ
実験動物医学専門獣医師の能力の向上
1.科学の進展による専門的知識の量的質的増加
・卒後の専門性を個人で達成維持する事が困難
2.実験動物の福祉を求める社会的な高まり
・獣医師に的確な専門性を発揮することの要求
3.科学技術や企業活動のグローバル化の進展
・国際的なハーモナイゼーション
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
Hokkaido Univ
日本実験動物医学会と認定獣医師制度の歩み
1993年
日本実験動物医学研究会
(日本獣医学会所属分科会として発足)
実験動物学の研究と教育の推進
1996年
日本実験動物医学会に名称変更
1997年
認定制度検討委員会発足
○笠井憲雪、安居院高志、板垣慎一、黒澤 努、
二宮博義、降矢 強、毛利資郎、宮嶌宏彰、八神健一
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Hokkaido Univ
認定制度制定への歩み
1998年
日本実験動物医学会認定獣医師制度発足
第1回認定獣医師認定(暫定認定)
32名
1998年
第2回認定獣医師認定(暫定認定)
11名
1998年
第3回認定獣医師認定(暫定認定)
15名
合計 58名
本制度に移行
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
Hokkaido Univ
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
Hokkaido Univ
暫定制度での必要資格
本制度での必要資格
背景資格:次の3項目を単位として計算
背景資格 :次の2項目を単位として計算
・実験動物医学分野での経験が10年以上
・実験動物医学分野での経験が5年以上
・研究機関で実験動物医学の指導的役割
・博士号を取得
・博士号を取得
論文発表
論文発表
・査読制度のある雑誌に掲載された
査読制度のある生命科学論文を筆頭著者
生命科学論文を単位として計算
として1本以上(必須)
学会活動
・5年以上の会員歴(必須)
・発表回数を単位として計算
研修会
・参加回数を単位として計算
学会活動
3年以上の会員歴(必須)
発表回数を単位として計算
研修会
実験動物医学会主催研修会に2回以上参加(必須)
その他は単位として計算
認定試験(筆記試験)
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認定試験(筆記試験)
□試験の概要
(1)「実験動物医学総論」 必須科目
(2)「実験動物医学各論」
選択科目A:
対象動物主としてゲッシ目並びにウサギ目。
鳥類、爬虫類、両生類、魚類なども含む。
選択科目B: 主としてネコ、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ヒツジなど。
その他中・大動物も含む。
(3)試験問題は全て5肢択一とする。
(4)総論には動物種に限定されない共通問題のほか、各動物種固有の基礎的
各論問題も含まれる。
(5)総論50点、各論50点の計100点満点で、80点以上を合格とする。
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認定獣医師試験問題
日本実験動物医学会ホームページ
http://www.adthree.com/jalam/societies-j/jalam-j.html
認定試験問題及び解答
模擬試験(平成12年度)
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/animal.dir/mogi.html
平成13、14年度本試験
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/animal.dir/H13shiken.html
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/animal.dir/H14shiken.html
参考
日本実験動物協会ホームページ
実験動物技術師認定試験問題
(http://group.lin.go.jp/jsla/test.html)
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問題作成における留意点
1.実験動物医学
実験動物の健康(肉体的・精神的)を守る
疾病(感染症)、麻酔・鎮痛、動物福祉
2.実用的
発生工学、法規
3.動物実験のアドバイザー
実験動物学的知識、動物実験手技
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暫定認定
有効期間 5年間
1998年度 32名
第1回更新
1999年度 11名
・学会活動
2000年度 15名
・論文
計
58名
本制度
2001年度 3名
2002年度 1名
2003年度 2名
計
6名
27名更新
・筆記試験
総計 64名
総計 59名
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認定獣医師制度の問題点
①獣医師だけに限定して良いのか?
実験動物医学とは実験動物の健康を守ることで、獣医学
の一領域である。
②獣医師であれば実験動物の診療が出来るのでは?
オールマイティーな獣医師から専門医制度に分かれてい
くのはより高度な獣医療を実現するために必要である。
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認定獣医師制度の問題点
③認定医になってもbenefitがない
現在の制度は10年先、20年先を見据えて開始したので
あって、今すぐ急に目に見えるbenefitが出てくるわけでは
ない。
認定審査料
認定料
更新認定料
20,000円
10,000円
5,000円
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認定獣医師の所属
年度
認定者数
1999年度 11名
2000年度 15名
2001年度 3名
2002年度 1名
2003年度 2名
27名
計
59 名
新規
更新者
国立大学
・研究所
8
8
1
0
0
18
35名
公私立大学
2
2
0
0
0
8
12名
企業
1
5
2
1
2
1
12名
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動物実験に関連する日本の法律や規制の概要
ならびに動物実験委員会の役割
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動物実験に関連した法律や規制
動物一般について
1) 動物の愛護及び管理に関する法律
(昭和48年制定、平成11年一部改正)
実験動物に関して
2)実験動物の飼養及び保管等に関する基準 昭和55年
動物実験に関して
3) 大学等における動物実験について(文部省国際学術局長通知)昭和62年
4) 北海道大学における動物実験に関する指針 昭和63年
5) 動物実験に関する指針 北海道大学医学研究科 昭和63年
6) 北海道大学医学研究科動物実験委員会内規 昭和63年
7)北海道大学医学研究科指針講習会
(医学研究科・医学部で動物実験に携わる者は必ず受講)
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動物の愛護及び管理に関する法律
(昭和48年制定、平成11年一部改正)
(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の
愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊
重、友愛及び平和の情操の滋養に資するとともに、動物の管理に関する事項
を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを
目的とする。
(基本原則)
第2条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も動物をみだりに殺し、
傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配
慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
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動物の愛護及び管理に関する法律
(昭和48年制定、平成11年一部改正)
(動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置)
第24条 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上
の利用に供する場合には、その利用の必要な限度において、できる限りその動
物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。
2. 動物が科学上の利用に供された後においての回復の見込みのない状態に
陥っている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛
を与えない方法によってその動物を処分しなければならない。
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大学等における動物実験の実施について
各国公私立大学長
各国立大学共同利用機関長
各国公私立高等専門学校長
昭和62年5月25日 文部省学術国際局長 通知
平成6年6月21日改定
動物実験指針の整備を要請
指針整備における原則的な考え方(盛り込むべき項目)
(1)実験計画の立案
(2)供試動物の選択
(3)実験動物飼育管理
(4)実験操作
(5)安全管理に特に注意を払う必要のある実験
①有害物質や病原体を取り扱う動物実験
②遺伝子改変動物を取り扱う動物実験
(6)動物実験委員会の設置:動物実験指針の適正な運用を図る
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動物実験委員会の活動
1.実験計画書の審査、承認
2.動物実験指針の講習会開催
*実験計画書の審査・承認、ならびに講習会開催について、実
施するようにとの具体的通知は行われていないが、通知と指針
の趣旨を理解し、指針の適正な運用を図るために各大学が自主
規制を原則として実施している.
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動物実験を行っている国立大学における
動物実験指針の整備状況
国立大学動物実験施設協議会 平成11年
大学
医学部
合計 88(282 学部)
43
除医学部
239
動物実験指針を制定している
78%
100%
74%
動物実験委員会を設置している
76%
100%
72%
実験計画書の審査をしている
36%
65%
31%
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Hokkaido Univ
日本学術会議
日本の科学者の内外に対する代表機関. 1
949年日本学術会議法により設置. 内閣の
所管.科学の向上発達、行政・産業・国民生
活への科学の反映浸透を目的とし、科学に関
する重要事項を審議し、重要施策を政府に勧
告する.人文・社会科学系の3部と自然科学
系の4部とから成る.
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「教育・研究における動物の取り扱いー倫理
的及び実務的問題点と提言ー」
日本学術会議第16期第7部会
「生命科学の進展と社会的合意の形成特別委員会」
平成9年8月
動物実験遂行上の問題点と提言
(1)生命倫理教育の拡充
生物学・医学の教育・研究に携わる大学等においては、生命倫理
教育の一環として動物実験倫理の教育を行うことを義務づける必
要がある.
(2)動物実験委員会の強化
・・・「動物実験委員会」はその組織、運営においてすでに相当な
実績を上げてはいるが、なお、いくつかの点について改正を行っ
て委員会を一層強化する必要があると思われる.
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
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構成:委員会には、動物実験を行う部局のほか、動物実験を行わない部局(主に
人文社会系)からも相当数の委員を参加させて、幅広い意見を求めるとともに大
学(機関)全体の動物実験の適正な遂行に責任を持つ組織とする.
任務:動物実験を行うには、先ず、実験の目的と必要性、使用する動物の種類と
数、使用する方法、とくに、実験動物が被ると予測される苦痛の程度とその軽減方
法、使用後の処置等を明記した計画書について、委員会の審査を徹底させる.こ
の結果を科研費の申請に反映させることも考えられる.また、動物実験の妥当性
と必要性に関する広報活動も重要な任務である.
権限:動物実験を行う施設を査察し、実験計画を審査するとともに、必要に応じて
実験の遂行状況を調査し、妥当性を欠く実験に対しては中止を含めた改善処置を
指示することができる.多くの生物・医学系の学術雑誌への投稿に際しては実験
動物の倫理的取り扱いが行われた旨を記載することが求められているが、必要に
応じて証明書を発行するなどの対応をする.
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動物実験委員会、動物実験倫理委員会の設置
大学、研究所等
大学等における動物実験について(文部省国際学術局長通知)昭和62年
・個々の大学等の動物実験指針に従って組織した内部委員会(動物実験
委員会、動物実験倫理委員会)で自主的に審査
製薬、安全性試験企業等
厚生労働省からのガイドラインに従い自主的に審査
KALAM2004-2, Prof. Arikawa,
Hokkaido Univ