狂牛病(BSE) 1 BSEとは(1) 正式には牛海綿状脳症と言い、牛の脳 がすき間の多い海綿状になる中枢神経病。 脳に沈着する、感染性たんぱく粒子プリオ ンが原因となって感染する。感染すると、2 ~8年の潜伏期間の後、発症。症状は音 に敏感で不安動作をみせ、転倒しやすくな り、症状が進むと立てなくなる。攻撃的な 異常行動がみられ、発症後2週間~6ヶ月 で死亡する。 2 BSEとは(2) 1986年にイギリスで初めて報告され、 1996年には感染牛の内臓や肉を食することで 人間にも感染し、異型のクロイツフェルト・ヤコブ 病*を発症することが認められた。 1988年に感染拡大の原因が飼料である肉骨粉 **にあることが判明している。 *急速に痴呆状態が進行する中枢神経病 **食用の家畜を解体する際に出る骨、皮、内臓など を 化学処理」し、乾燥・粉砕したもの。BSEに感染した牛の 肉骨粉を飼料として使用したことが、同病の感染拡大の 原因とされる。 3 牛肉消費とBSE その症状から狂牛病として新聞等で報じら れ、一般に知られるようになったBSE(牛海 綿状脳症)。1986年にイギリス政府により 新しい病気として認められて以降、その数 は年々増加。1992年には、発生件数が ピークに達し、発生国や輸入国での牛肉 消費量は大幅に減少した。 4 1人あたりの牛肉消費量の増減 (1997年と2002年の比較) 5kg以上の増加 0~5kg未満の増加 0 ~5kgの減少 5kg以上の減少 資料なし 5 BSEクイズ1 次にあげている国や地域の中でBSEの 発症牛が多いところはどこでしょう? 1位2位をあげましょう! 答え・・・ 1位( ) 2位( ) 6 <牛肉消費とBSE (2004年6月現在) > ヨーロッパ カナダ ロシア 中国 アメリカ 日本 インド 中南米 アフリカ イスラエル オーストラリア 7 クイズ1の答え 1位( ヨーロッパ ) 2位( 日本 ) 8 <牛肉消費とBSE(2004年6月現在)> ヨーロッパ カナダ 2頭 ロシア 未発生 中国 未発生 アメリカ 日本 13頭 インド 未発生 アフリカ 未発生 イスラエル 1頭 中南米 未発生 オーストラリア 未発生 9 ヨーロッパとBSE ①イギリス 18万3880頭 ②アイルランド 1400頭 フィンランド 1頭 オランダ 75頭 ベルギー 125頭 ルクセンブルク 2頭 イタリア 117頭 ⑤スペイン 431頭 ④ポルトガル 894頭 デンマーク 13頭 ドイツ 312頭 チェコ 9頭 ポーランド 15頭 スイス 453頭 スロバキア 15頭 ③フランス 905頭 オーストリア 1頭 リヒテンシュタイン 2頭 スロベニア 10 4頭 BSE発症が確認された牛の頭数 (2004年6月現在) イギリス イギリスを除くヨーロッパ 日本 カナダ イスラエル ロシア・中国・インド・オー ストラリア・中南米 18万3880頭 4775頭 13頭 2頭 1頭 未発生 11 ヨーロッパ (最大の発生地だが、検査強化で消費が回復) 1996年にイギリス政府が、BSE が人間へ 感染することを認めて以来、ヨーロッパの牛 肉消費は一時、半減した。その後、検査体制 の見直しが進められ、無症状の牛の脳幹部 組織からも原因病原体プリオンを検出できる 方法が確立。イギリスやフランスなどの大量 発生国では、BSE検査対象をほぼ全ての牛に 規定するなど、検査方法が強化された。 それに伴ない、消費者にも市場に出回って いる牛肉の安全性が認められ、現在、消費は 12 ほぼ回復を示している。 イギリス 最大のBSE発生国イギリスでは、1988 年から感染源である肉骨粉を飼料として使 用することを禁止。以後の発生件数は、 ピーク時の1992年を境に減少している。 2001年からはEU全域と日本でも肉骨粉 の使用が禁止されている。 13 日本(ヨーロッパ以外で初の発生国。 いまだ消費が低迷。) 2001年9月、国内初のBSE感染牛が千葉県で 確認され、大きな衝撃を与えた。翌2002年の牛 肉消費は前年比約15%の減少。政府は消費者 の信頼を回復するため、ヨーロッパの基準より厳 しい「全頭検査」を実施。 その結果、BSE騒動は一時終息したが、2003 年12月に今度はアメリカでBSE感染牛が確認さ れる。政府は直ちに同国からの輸入を禁止した が、再び牛肉の安全性が問われることとなった。 14 輸出大国アメリカでの発生により、 広がる不安 その後、検査診断方法が各国で整備され、 感染の拡大は終息。一時、BSEは21世紀 早々に終焉すると言われ、牛肉消費も回 復に向かう。しかし、その矢先の2003年 12月、牛肉輸出大国アメリカで感染牛2頭 を確認。感染の新たな拡大の不安が生じ るとともに、牛肉の安全性が再び問われて いる。 15 主要国のBSE対策BSE(2004年) 国名 BSE検査の範囲 日本 全頭検査 アメリカ イギリス BSE感染牛の疑いのある「高リスク 牛」、および30ヶ月齢以上の健康 牛のうち約2万頭 30ヶ月齢以上の全ての牛 フランス・ドイツ 24ヶ月齢以上の全ての牛 EU 30ヶ月齢以上の全ての牛 16
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