2つの財政指標の組み合わせ による財政診断(JIAM2008) 関西学院大学 小西砂千夫 [email protected] 2つの財政指標を組み合わせると…… ○○比率 表面的には(当面 は)よいけれども実 際は(将来的には 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 悪い)など 。。。。 高い 単純に 悪い状態 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。 低い 高い 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 。。。。 □ □ 比 率 ちょっと見た感じで は悪いけれども実 質的には悪いなど 単純に よい状態 低い 2 分析1 経常収支比率と実質収支比率で表す財政状況 普通会計の資金 繰りはタイトであり、 厳しい財政運営を 強いられている 資金繰りはタイトである が、資金不足がおきな いように懸命に資金手 当がされている 実質収支比率と経常収支比率 110.0 100.0 経 常 収 支 比 率 90.0 80.0 70.0 投資的経費等が資金繰りを圧 迫している可能性がある あるいは積立金が大きいので実 60.0 質的には資金ショートがおきて いない可能性もある -10.0 -5.0 0.0 5.0 実質収支比率 10.0 15.0 20.0 普通会計の 資金繰りは 良好である 3 分析2 経常収支比率と実質単年度収支の比率で表す財政状況 普通会計の資金 繰りはタイトであり、 単年度の資金不 足が大きく、厳し い財政運営を強 いられている 経 常 収 支 比 率 実質単年度収支と経常収支比率 資金繰りは基調として タイトであるが、経常一 般財源以外の財源が あるなど、単年度で見 ると資金不足がおきて いない 110.0 100.0 90.0 80.0 投資的経費等が資金繰 りを圧迫している可能性 があり、単年度では資 金不足の規模が大きい 70.0 60.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 普通会計の資金繰 りは単年度で見る と良好である 実質単年度収支/標準財政規模 4 分析3 実質収支比率と財政調整基金の規模で表す財政状況 実質収支比率と財政調整基金 普通会計の資金繰 りは当面、良好で ある 40.0 財 政 調 整 基 金 / 標 準 財 政 規 資金不足がはな 模 はだしく、財政運 営は危機的な状 態にある 30.0 20.0 10.0 0.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 実質収支比率 5 分析4 実質単年度収支と財政調整基金の規模で表す財政状況 実質単年度収支と財政調整基金 普通会計の資金繰 りは、当面、実質的 に問題がない 50.0 財 政 調 整 基 金 / 標 準 財 政 決算年度で資金 規 不足がはなはだ しく、財政運営 模 は厳しい状態に ある 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 実質単年度収支/標準財政規模 6 分析5 起債制限比率と実質公債費比率で表す財政状況 起債制限比率と実質公債費率 公営事業会計の負債への普通 会計負担分(繰出金)または一 部事務組合等での負債への負 担金(補助費)のどちらかまたは 30.0 両方が大きい 実 質 公 債 費 比 率 公債費・準公 債費ともに低く、 債務が資金繰 りを圧迫してい ない 公債費と準公債費いず れ加、あるいはその両 方が大きく、も多く、債 務が資金繰りを圧迫し ている 20.0 10.0 繰出金や補助費等 の形での準公債費 は小さい 0.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 起債制限比率 7 分析6 実質公債費比率と経常収支比率で表す財政状況 経常収支比率と実質公債費比率 実質的な公債費+準 公債費は大きいが、 その他の経常費を抑 制している 実 質 公 債 費 比 率 40.0 実質的な公債費+準 公債費が大きく、経常 費が膨らんでいる 30.0 20.0 10.0 実質的な公債費 +準公債費は小 さく、経常費を抑 制している 0.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 実質的な公債費+準 公債費は小さいがそ の他の経常費が大き 110. い0 経常収支比率 8 分析7 起債制限比率と経常収支比率で表す財政状況 経常収支比率と起債制限比率 実質的な公債費は大 きいが、その他の経 常費を抑制している 起 債 制 限 比 率 実質的な公債費が大 きく、経常費が膨らん でいる 30.0 20.0 10.0 実質的な公債費 は小さく、経常費 を抑制されている 0.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 実質的な公債費は小 さいがその他の経常 費が大きい 110.0 経常収支比率 9 分析8 財政力指数と実質公債費比率で表す財政状況 財政力指数と実質公債費比率 税源に恵まれず、潜 在的な償還財源が乏 しいにもかかわらず、 実質的な公債費+準 30.0 公債費が重い 実 質 公 債 費 比 率 税源に恵まれず、潜 在的な償還財源が 乏しいものの、実質 的な公債費+準公 債費が小さい 税源に恵まれ、 償還財源が潜在 的にあるが、公債 費+準公債費も 重い 20.0 10.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 税源に恵まれ、償還財 源が潜在的にあり、実 質的な公債費+準公 1.債費が小さい 2 財政力比率 10 分析9 財政力指数と起債制限比率で表す財政状況 財政力比率と起債制限比率 税源に恵まれず、潜 在的な償還財源が乏 しいにもかかわらず、 実質的な公債費が重 い 起 債 制 限 比 率 税源に恵まれず、潜 在的な償還財源が 乏しいものの、実質 的な公債費が小さい 税源に恵まれ、 償還財源が潜在 的にあるが、公債 費も重い 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 税源に恵まれ、償 還財源が潜在的に あり、実質的な公債 1.2 費が小さい 財政力比率 11 分析10 財政力指数と償還財源-実質的公債費のバランス 税源に恵まれず、潜在的 な償還財源がないものの、 実質的な公債費が償還 財源とバランスしている 4.00 税源に恵まれず、潜在 的な償還財源が乏しい にもかかわらず、実質的 な公債費が償還財下と バランスしていない 財政力指数と留保財源を基準財政需要額に算入され ない公債費で除した割合の相関 税源に恵まれ、潜在的 な償還財源があるうえ に、実質的な公債費が 償還財源とバランスし ている 留 保 れ財 な 源 3.00 いを 公基 債準 費財 2.00 で政 除需 し要 た額 割 に 1.00 合算 入 さ 税源に恵まれ、潜在 的な償還財源がある ものの、実質的な公 債費が償還財源とバ ランスしていない 0.00 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 財政力指数 12 分析11 財政力指数と経常収支比率で表す財政状況 財政力指数と経常収支比率 税源に恵まれる 反面、経常費が 膨張している 税源に恵まれないも 110.0 のの、経常費が膨張 している 100.0 経 常 収 支 比 率 税源に恵まれないが、 経常費の抑制に務め ている 90.0 80.0 70.0 税源に恵まれ、経 常費の抑制に努 めている 60.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 財政力指数 13 分析12 経常収支比率の内訳で表す財政状況 公債費は大きい が、その他の経 費は硬直的でな い(償還財源が 大きい) 公債費・公債費以 外ともに硬直的で なく、償還財源は あるが公債費負担 は小さい 公債費を除く経常収支比率と経常収支比率の公債費分 公債費・公債費以外 ともに硬直的であり、 公債費が大きいもの の、償還財源も乏し い 40.0 経 常 収 支 比 率 の 公 債 費 分 30.0 20.0 公債費は抑制さ れているが、その 他の経費は硬直 的であり、償還財 源が乏しい 10.0 0.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 公債費を除く経常収支比率 14 分析12 経常収支比率の内訳で表す財政状況 公債費を除く経常収支比率と起債制限比率 実質的な公債費 は大きいが、償 還財源が大きい 実質的な公債費が 大きいにもかかわら ず、償還財源が乏し い 20.0 起 債 制 限 比 率 実質的な公債費 は小さいが、償還 財源もある 10.0 実質的な公債費 は抑制されてい るが、償還財源 が乏しい 0.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 公債費を除く経常収支比率 15 分析13 起債制限比率と公債費を除く経常収支比率で表す財政状況 公債費を除く経常収支比率と起債制限比率 実質的な公債費 は大きいが、償 還財源が大きい 実質的な公債費が 大きいにもかかわら ず、償還財源が乏し い 20.0 起 債 制 限 比 率 実質的な公債費 は小さいが、償還 財源もある 10.0 実質的な公債費 は抑制されてい るが、償還財源 が乏しい 0.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 公債費を除く経常収支比率 16 分析14 実質公債費比率と公債費を除く経常収支比率で表す財政状況 公債費を除く経常収支比率と実質公債費比率 実質的な公債 費・準公債費は 大きいが、償還 財源が大きい 30.0 実 質 公 債 費 比 率 実質的な公債費・ 準公債費は小さい が、償還財源もあ る 実質的な公債費・準 公債費が大きいにも かかわらず、償還財 源が乏しい 20.0 10.0 実質的な公債 費・準公債費は 抑制されている が、償還財源が 乏しい 0.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 公債費を除く経常収支比率 17 分析15 地方債残高と公債費を除く経常収支比率で表す財政状況 地方債の残高準 公債費は大きい が、償還財源が 大きい 地 方 債 残 高 の る標 割準 合財 政 規 模 に 地方債の残高債 対 費は小さいが、償 す 還財源もある 公債費を除く経常収支比率と 地方債残高の標準財政規模に対する割合 400.0 地方債の残高が大き いにもかかわらず、 償還財源が乏しい 350.0 300.0 250.0 200.0 150.0 地方債の残高は 小さいものの、償 還財源が乏しい 100.0 50.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 公債費を除く経常収支比率 18 健全化4指標のうち、新しい財政指標 である連結実質赤字比率と将来負担 比率を用いた財政分析のアイデア 19 実質赤字比率と連結実質赤字比率で表す財政状況 連結実質赤字比率 高い 公営事業会計の資金ショートが 大きく、普通会計以外の会計で 資金ショートが大きい 普通会計からの繰出を過度に 抑制し公営事業会計の収支を 悪化させている可能性もある 普通会計と公営事業会計のい ずれかまたは両方で資金ョート が大きい 低い 高い 公営事業会計の資金ショートは 小さいが、普通会計の資金 ショートが大きい 普通会計、公営事業会計ともに 資金ショートが小さい 普通会計からの繰出によって公 営事業会計を支えているケース もある 実 質 赤 字 比 率 低い 20 実質公債費比率と将来負担比率で表す財政状況 将来負担比率 高い 当面の公債費・準公債費は小さ いが、将来に大きな債務償還を 抱えている(償還期間を比較的 長く設定しているか、基金が枯 渇している可能性) フローの公債費・準公債費、ス トックの負債残高いずれで見て も高く、借金に大きく依存してい る、あるいは基金が枯渇してい る 低い 高い 当面の公債費・準公債費を大き いが、将来の債務償還はそれ ほど大きくない(償還期間を比較 的短く設定しているか基金が大 きい可能性) フローの公債費・準公債費も、ス トックの負債残高、いずれも低く、 借金に依存していない 実 質 公 債 費 比 率 低い 21 連結実質赤字比率と将来負担比率で表す財政状況 将来負担比率 高い 資金繰りの状況はよいが、負債 の重さは厳しい(あるいは基金 が枯渇している) 将来的には資金繰りも悪化する 可能性 資金繰り、負債の重さのどちら で見ても財政状況は厳しい 低い 高い 資金繰りの状況はよくないが、 負債の重さは小さい(あるいは 基金が豊富である) 将来的には財政状態は好転す る可能性 資金繰り、負債の重さのどちら でも見ても財政状況は良好であ る 連 結 実 質 赤 字 比 率 低い 22 経常収支比率と実質連結赤字比率で表す財政状況 実質連結赤字比率 高い 投資的経費等が資金繰りを圧 迫している、積立金が大きいの で実質的には資金ショートがお きていない、あるいは繰出金を 抑制して普通会計の収支をよく している、などの可能性がある 全会計を通じて資金繰りはタイト であり、厳しい財政運営を強い られている 低い 高い 資金繰りはタイトであるが、資金 不足がおきないように懸命に資 金手当がされている 全会計を通じて資金繰りは良好 である 経 常 収 支 比 率 低い 23 財政力指数と将来負担比率で表す財政状況 将来負担比率 高い 税源に恵まれるが、借金にも依 存している(あるいは基金が枯 渇している) 税源に恵まれない反面で、借金 に依存している(あるいは基金が 豊富である) 高い 低い 税源に恵まれ内が、借金にも依 存していない(あるいは基金が 豊富である) 税源に恵まれ、借金にも依存し ていない(あるいは基金が枯渇 している) 財 政 力 比 率 低い 24 公債費を除く経常収支比率と将来負担比率で表す財政状 況 将来負担比率 高い 償還財源は大きいが、借金依存 度も大きい(または基金が豊富 である) 償還財源に乏しく、かつ借金依 存度が高い(または基金が枯渇 している) 低い 高い 償還財源には乏しいが借金依 存度は低い(または基金が豊富 である) 償還財源が大きく、かつ借金依 存度が低い(または基金が豊富 である) 公 債 費 を 除 く 経 常 収 支 比 率 低い 25
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