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寄生虫
原虫と蠕虫
寄生虫・・・寄生性の動物
内部寄生虫 → 感染症
外部寄生虫・・・節足動物(ノミ,シラミ,カ,ダニなど)
(内部)寄生虫の生活環
終宿主・・・有性生殖を行う宿主
中間宿主・・・無性生殖または発育を行う宿主
原虫(原生動物)・・・単細胞の動物
寄生性原虫 → 感染症
自由生活型原虫・・・ゾウリムシ,アメーバなど
蠕虫・・・多細胞の(内部)寄生虫
医学(寄生虫学)用語
原虫の分類
胞子虫類・・・運動器官をもたない → 寄生性
マラリア原虫,トキソプラズマ,クリプトスポリジウム
根足虫類(肉質虫類)・・・偽足による運動と捕食(アメーバ型)
赤痢アメーバ
鞭毛虫類・・・鞭毛による運動(ミドリムシ型)
トリコモナス,トリパノソーマ,ランブル鞭毛虫
繊毛虫類・・・繊毛による運動(ゾウリムシ型) 寄生性のものは少ない
大腸バランチジウム
世界の感染症の現状
全死因
推計値(万人)
割合(%)
感染症および寄生虫疾患
下気道感染症
下痢症
HIV/AIDS
結核
マラリア
髄膜炎
麻疹
B型肝炎
脳炎
百日咳
梅毒
685
320
189
159
98
59
41
17
14
9
9
9
12.6
5.9
3.5
2.9
1.8
1.1
0.7
0.3
0.3
0.2
0.2
0.2
悪性新生物
虚血性心疾患
脳梗塞
787
702
625
14.4
12.9
11.4
2011年死因別死亡(WHO)
マラリア原虫 Plasmodium
胞子虫類 ハマダラカが終宿主 → 刺咬感染
流行:熱帯地域 → 輸入感染・・・60人/年
症状:発熱,脾腫,貧血
熱帯熱マラリア P. falciparum
体内発育周期:36~48時間,激しい症状
三日熱マラリア P. vivax
体内発育周期:48時間,比較的良性
四日熱マラリア P. malariae
体内発育周期:72時間,軽症
卵型マラリア P. ovale
三日熱に似た軽症
トキソプラズマ Toxoplasma gondii
胞子虫類 ネコが終宿主,ウシ,ブタ,ニワトリなどが中間宿主
先天性トキソプラズマ症
母親から胎児への経胎盤感染
脈絡網膜炎,脳水腫,脳内石灰化,知能障害
後天性トキソプラズマ症
ネコ糞便中のオーシスト,食肉(非加熱)のシストから感染
多くは不顕在感染
免疫不全症候群患者 → 中枢神経系障害,肺炎,心筋炎
シスト(嚢子):原虫細胞の周囲に被膜,被殻が形成されたもの
接合子由来のものをオーシストと呼ぶ
クリプトスポリジウム Cryptosporidium
胞子虫類 ヒトを含む脊椎動物が宿主
感染源:汚染水系,患者の排泄物,家畜
クリプトスポリジウム症
粘液便・軟便と腹痛
AIDS患者への感染→衰弱死
赤痢アメーバ Entamoeba histolytica
根足虫類
アメーバ赤痢・・・大腸炎,肝膿瘍
熱帯,亜熱帯地域 → 輸入感染
患者の排泄物中の嚢子から経口感染,性感染
自由生活型アメーバ
根足虫類
アカントアメーバ Acanthamoeba
アカントアメーバ角膜炎
コンタクトレンズの保存液中で繁殖
ネグレリア Naegleria
原発性アメーバ性脳髄膜脳炎
米国,オーストラリア プール,湖沼で水泳中に鼻腔感染
ランブル鞭毛虫 Giardia lambria
鞭毛虫類
ジアルジア症・・・腹痛,下痢
熱帯,亜熱帯に分布
サル,ブタ,ネコ,ビーバーの消化管に寄生
トリコモナス Trichomonas vaginalis
鞭毛虫類
膣トリコモナス症・・・膣炎,尿道炎
膣,外陰部に寄生 → 性感染
トリパノソーマ Trypanosoma
鞭毛虫類
哺乳動物の体液中,ツェツェバエの消化管中で増殖
アフリカ睡眠病・・・睡眠周期の乱れ → 朦朧,昏睡状態
ツェツェバエによる刺咬感染
人獣共通感染症
罹患30~50万人/年,死亡2~3万人/年
リーシュマニア Leishmania
鞭毛虫類
哺乳動物のマクロファージ,組織細胞内で増殖
サシチョウバエによる刺咬感染
カラ・アザール病・・・発熱,脾腫 L. donovani
東洋腫瘤・・・皮膚リーシュマニア症 L. tropica
アメリカリーシュマニア症・・・皮膚,粘膜症状 L. braziliensis,L. mexicana
蠕虫の分類
線虫類(線形動物門)
蟯虫,回虫,鞭虫,鉤虫,東洋毛様線虫, アニサキス
吸虫類(扁形動物門吸虫綱)
肝吸虫,肺吸虫,横川吸虫
条虫類(扁形動物門条虫綱)
エキノコックス(多包条虫)
有鉤条虫,無鉤条虫,広節裂頭条虫
蟯虫
線虫類 オス2~5 mm,メス8~13 mm
蟯虫症・・・かゆみ,不眠 → 幼児,児童の神経症
盲腸で生育 → 肛門周囲に産卵 → 痒感
蟯虫卵保有率は児童の1%程度
回虫
線虫類 オス15~30 cm,メス20~35 cm
回虫症・・・一般に無症状,重症例では腹痛,頭痛,めまい,栄養障害
経口感染 → 小腸 → 肝臓 → 肺 → 口 → 小腸で成熟・産卵
寄生率 30~40%(1960年頃) → 0.1%未満
その他の線虫類
鞭虫(ヒト)・・・下痢,腹痛,粘血便
鉤虫(ヒト)・・・咳,貧血
東洋毛様線虫(ヒト)・・・腹痛,下痢
アニサキス・・・腹痛,嘔吐 ← 海洋魚介類
年間感染報告者数第1位
吸虫類
肝吸虫・・・発熱,腹痛,下痢,肝機能障害
コイ,フナなどの淡水魚に寄生
肺吸虫・・・咳,血痰,胸水
モズクガニ,サワガニなどの淡水産のカニに寄生
横川吸虫・・・下痢,腹痛
アユ,シラウオなどに寄生
年間感染報告者数第2位
エキノコックス
条虫類
単包条虫・・・輸入感染症
多包条虫 1~4 mm
イヌ科動物が終宿主(キタキツネ)
糞便中の虫卵から経口感染
肝機能障害,肺障害
放置した場合の5年生存率は30%
その他の条虫類
有鉤条虫 2~3 m
ヒトの小腸に寄生,中間宿主:ブタ
生食で感染・・・腹痛,下痢
有鉤嚢虫症・・・幼虫による感染症
筋肉,皮下,眼球,脳などに寄生し,てんかん,知覚異常
無鉤条虫 4~10 m
ヒトの小腸に寄生,中間宿主:ウシ
生食で感染・・・通常は無症状,腹痛,下痢
広節裂頭条虫 5~10 m 年間感染報告者数第3位
終宿主:ヒトを含む哺乳類
第1中間宿主:ケンミジンコ
第2中間宿主:サケ,マス,スズキなどの魚類
生食で感染・・・腹痛,下痢,貧血
抗寄生虫薬
抗マラリア薬
CF3
Cl
N
N
HN
N
CH3
CH3
HO
CF3
H
N
CH3
クロロキン
過去のマラリア標準薬(経口)
耐性マラリア増加
日本では薬害のため使用禁止
腎炎に適用 → 眼障害
メフロキン
マラリアの治療または予防(経口)
日本で使用できる抗マラリア薬
抗トリコモナス薬
CH3
N
CH3
N
OH
N
O
N
NO2
O
S
NO2
メトロニダゾール
チニダゾール
トリコモナス症(内服錠,膣錠)
内服錠は妊婦禁忌
CH3
抗蠕虫薬
COOH
O
O
CH3
CH3
O
H
CH3
H
N
OH
S
N
OH
CH3
COOH
サントニン
パモ酸ピランテル
回虫駆除(経口)
回虫,鉤虫,蟯虫,
東洋毛様線虫の駆除(経口)
虫体の神経-筋伝達を遮断
抗蠕虫薬
O
H
N
N
H3C
N
O
COOCH3
NH
S
N
アルベンダゾール
プラジカンテル
肝吸虫症,肺吸虫症,横川吸虫症(経口)
併用禁忌:リファンピシン
プラジカンテルの効果減弱
包虫(エキノコックス)症(経口)
妊婦禁忌
副作用:肝機能障害,血液障害