日本のレアメタルの 安定的な確保のために 0916556c 坂口祐子 東日本大震災の影響 • 原発不信 深刻化 • 電力不足 • 今後ますますクリーンなエネルギーの活用が見直され るのではないか? – 太陽光発電など • 「蓄電」の価値が見直される可能性 – 蓄電池の開発・活用 • 太陽電池と蓄電池に大量に含まれるもの – レアメタル(希少金属) レアメタル、レアアース • 日本では31種類がレアメタルと定義される – 地殻中の存在量が少ない – 鉱石への濃縮が少ない – 単一元素への精錬が困難 レアメタル コモンメタル – 資源が特定の地域に偏在している • そのうち17の元素を含むものがレアアース (主要金属) レアアース • 最先端技術をささえる金属としての重要性 – 『産業のビタミン』と呼ばれる 最先端技術に欠かせないレアメタル • レアメタルの用途 – 電子材料・磁性材料 – 機能性材料 – 構造材への添加 • 液晶パネル‐インジウム • 太陽電池‐インジウム、リチウム • バッテリー(二次電池) ‐リチウム、ニッケル • パソコン‐レアアース • ハードディスクレコーダー‐レアアース • 高層ビルの構造材‐マンガン • ハイブリッド自動車モーター ‐レアアース • LED‐インジウム • ステンレス‐クロム、ニッケル 携帯電話、テレビ、照明、デジカメ、光ファイバー・・・ 年々増え続ける使用量、需要量 レアメタルを使った製品の需要(出荷)と価格の推移 レアメタル需要の動向と日本 • 高性能二次電池の市場が拡大傾向にある。これまでは携帯電話 やノートパソコンをはじめとする各種モバイル機器への搭載が中 心だったが、低炭素社会の実現に向けて今後はハイブリッドを含 めた電気自動車分野が急拡大するのは必至。 • しかし日本は電池生産に不可欠なレアメタル資源の大部分を輸 入に頼る。リサイクル体制の整備や海外権益の取得などを通じ て資産の安定供給を図る必要がある。 (日刊産業 20110317) • 資源争奪の勢いが加速する中、昨秋の中国によるレアアース輸 出問題を契機にさらにヒートアップする様相を見せ、インド、ベト ナム、モンゴルなどとの間で首相、大統領のトップレベル会談が 繰り広げられる事態に至った。 (日刊産業 20110112) レアメタル輸入大国 日本 • レアメタル資源のない日本? – 採掘コストがかかり、利益を見込めない – ある程度以上の元素の獲得を見込める鉱石が少ない – 人件費が高い • 国内使用量のほとんどを輸入に頼っている クロム (Cr) 南アフリカ (57%) カザフスタン (18%) インド (8%) 輸入合計 95% マンガン (Mn) 南アフリカ (44%) 中国 (26%) オーストラリア (22%) 97% タングステン (W) 中国 (79%) ロシア (9%) 韓国 (3%) 95% バナジウム (V) 南アフリカ (68%) 中国 (20%) アメリカ (2%) 94% 特定の地域に偏在している資源 資源ナショナリズム • 資源が偏在していることから、レアメタルが国際的な舞台で戦略 的に利用されることも • (例)レアアース – 通常の鉱山では地下から鉱石を採掘→化学処理をして抽出される • 中国のレアアース産出法 – 酸性の液体を地面に流し込む→溶け込んだレアアースを回収する – 安い労働力と環境無視の採掘法で安価なレアアースを乱開発 • 価格競争に勝利した中国の一人勝ち – 輸出に規制をかけ市場価格を操る (2010年度の輸出量は前年比で4割減・・・2011年度はさらに・・・?) – オーストラリアやカナダの鉱山会社を支配下におく • レアアースの価格は2005年頃からどんどん上昇 • 尖閣諸島問題での禁輸措置=外交カードとしての利用 レアメタルの抱える問題 偏在する地域の寡占によって 価格が不安定 これからも日本が安定した供給を得るには? 既存の技術のさらなる活用によって 需要が拡大 最新技術の開発によって 新たな需要先が拡大 安定確保にむけた日本の取り組み • 総合資源エネルギー調査会鉱業分科会レアメタル対策本部会 「今後のレアメタルの安定供給対策について」 (20070731) – 重点的な探鉱開発の実施と資源外交 • 資源国との友好関係の維持・構築 • 資源国の高付加価値化策に協力 – レアメタルの代替材料開発 • 希少資源元素戦略プロジェクト(レアアース、タングステン、インジウム) – 工程くずの発生抑制とリサイクルの推進 • 3R政策「循環型社会推進基本法」「リサイクル法」 – マテリアルフロー、都市鉱山 – レアメタルの備蓄 • 現在特に重要性の高い7種類が指定されている レアメタルに代わる素材を求めて • 研究案件を広く公募 • 5ヵ年計画でテーマを追求する – 元素戦略プロジェクト(文部科学省) • 透明電極(液晶パネルなど)に使われているインジウムの代替‐熊本大学 • 自動車に使われている貴金属類の代替‐九州大学とトヨタ自動車等 – 希少金属代替材料開発プロジェクト(経済産業省) • 対象をニーズや生産量から考慮してIn、Dy、Wの3種に限定 • 2011年度にも新しいプロジェクトを採択予定 都市鉱山 • 日本国内にあると考えられる使用済み製 品に含まれるレアメタルの推定量 – インジウムは世界埋蔵量の6割 – リチウムは世界消費を7年間補える量 • 必要なのは分離と製錬の技術 レアメタルを利用した 製品の開発 リサイクルの見直しで 回収率を上げる • 使用済み製品から必要なレアメタルのみを 選出する技術 • 取り出したレアメタルを再利用可能な形に する技術 – 天然の鉱石からの分離と違い、鉱物との 組み合わせが一定に決まっていないので 技術が応用できない 使用済み製品から レアメタルのみを分離し 製錬する技術力を得る 日本の都市がレアメタルの鉱山に! • 物質・材料研究機構(NIMS)と企業との共同開発 • 各大学での研究‐大阪府立大学、北海道大学・・・ • 民間企業による都市鉱山プロジェクト 分離段階→ ↓製錬段階 都市鉱山に注目した企業 • 都市鉱山に着目した日本企業 – プラスチック3万5000トン、鉄944.6トンを回収 – ニッケルなど20種類以上のレアメタルを輸出 – 中国・上海にも8000坪の敷地を確保して工場を建設 » 海外での評価が高く、輸出で大成功 • 中国のレアアース輸出規制の問題でレアアース(レアメタル)に 世間の注目が集まり、都市鉱山が再評価される • 今こそ改変のチャンス? 政府主導で法整備→より多くの使用済みレアメタルを回収→ 業者に委託または政府機関によってリサイクル→ より多くのレアメタルを国内で循環させることが出来る マテリアルフローの作成とリサイクル法見直し • レアメタルリサイクル どのようなレアメタルが、具体的に、どの製品にどれだけ含まれているのかという データが不足している • マテリアルフローの作成 – 自然界の天然物質の流れや循環ではなく、人間社会における物質の流れ を示す場合によく用いられる – これを利用することで、需要と供給の状況・動向を把握でき、リサイクルの 対象を設定しやすくなる リサイクル法の改正 • 現行のリサイクル法の問題点 – 家電リサイクル法 • パソコンや自転車は販売価格にリサイクル料金が上乗せされている • テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンは廃棄の際に料金が発生するので、不法投 棄の問題が目立つ→宝の持ち腐れ – 自動車リサイクル法 • 使用済み自動車に含まれるリサイクルできる部品を回収する法律 • トラックやバスなどの大型車が対象外 • 電気自動車に使われるリチウムイオン電池などのリサイクルが民間任せ • 改正案 – マテリアルフローの分析によりリサイクルの対象を具体的に設定する • 適切な対象を設定することでより多くのレアメタルを集める – 料金を無償化、または販売価格に上乗せして消費者の抵抗意識をなくす • 不法投棄、非合法な業者への譲渡を防いでレアメタル回収率のアップ – 電気自動車を含め、新種の自動車についてのリサイクル法を逐次整備する • レアメタルが多く含まれる最先端産業においての法整備を急ぐ リサイクルの見直し • 「リサイクルしないと勿体無い」という意識を身近に – リサイクルをすると消費者にもお得な制度を • 見逃している「都市鉱山」の一角 – (例)携帯電話 • 携帯電話をリサイクルすると、金、銀、銅、パラジウム、コバルトなどの 金属が回収できる – モバイルリサイクルネットワーク • 業界が自主的に組織、顧客にリサイクルを呼びかける • 無償だが消費者側に何もプラスがない • 回収台数 実施前13615台(12年度)→実施後6174台(20年度)?! – 政府も積極的に関与 • ポイント付与、現金還元の制度、システムの透明化などに補助 論点 • 日本は今後レアメタルの安定的な供給のためにどうい った政策を取るべきか • 都市鉱山からのレアメタル回収率をアップさせるために はどうするべきか 参考文献 • • • • • • • 福岡正人 技術評論社 (2009) 『なぞの金属・レアメタル』 金谷年展 ダイヤモンド社 (2011) 『世界を変える、クール・ソリューション』 田中和明 秀和システム (2007) 『よくわかる最新レアメタルの基本と仕組み』 JOGMEC http://www.jogmec.go.jp/mric_web/ レアメタル辞典 http://rare-metal.gray01.com/ NEDO http://www.nedo.go.jp/ Wikipedia 最終閲覧日はすべて5月14日
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