ネリカ米の普及について - 慶應義塾大学 湘南

ネリカの普及について
総合政策学部3年
舘野美幸
発表の流れ
先学期までの研究のレビュー
先学期の研究を振り返って(筑波を訪問して)
訪問した上で考えられる、ネリカが普及しない新
たな問題点
NGOの視点からネリカの普及を考える
今後の予定
参考文献
課題の設定、手法、研究の意義
研究の目的
→ネリカを普及させるには、どういった
政策が考えられるかを明らかにすること。
手法
→緑の革命との比較
研究の意義
→食料自給率達成、外貨獲得の手段
アフリカの食糧事情と、米の消費動向
万トン
西アフリカにおける米の消費動向
800
700
600
500
400
300
200
100
0
・多くの国が、輸
入に依存してい
る状況にある。
全体消費量
現地供給量
輸入量
1961 67 73 79 85 91 97
年
・米の輸入急増
の要因
なぜ農業か、なぜアフリカか?
農業部門での成功なしに、工業化をするこ
とはできない。
潜在的な成長の可能性
日本の対アフリカ支援
農業分野で
得られた資金
米の輸入増に対する先進国の責任
コーヒー、ココア
アフリカA国
欧米諸国
アフリカC国
アフリカB国
安い食料
→ 以上の理由からも、先進諸国による、アフリカの
稲作支援が求められる
ネリカとは
日本政府
農業研究機関
WARDA
ロックフェラー
財団
UNDP
乾燥や病害虫に強い
西アフリカ種
掛け合わせると
収穫の多いアジア種
ネリカ誕生
ネリカの特徴
肥料を投入しなくても収量が多い
収穫が早い
病害虫や雑草に強い
高たんぱく
ネリカの普及状況
アフリカでの伝統的な稲作
→ダブル・クロッピングシステム
米の品種選考への住民の参加
農民が、農民のために、種子を育てる
ネリカ米は、品種だけでなく、
その導入のされ方も、優れている。
緑の革命の問題点
品種の問題
多額の投資が必要。→所得格差の増大、不公平
感の増大
第三世界から利潤を得ていたのは、農業投入財
を売り込んだ国際多国籍企業である。
緑の革命
国際稲研究所が、1966年、アジアの稲作を
「革命的」に変えた新品種IR-8 を選抜すること
に成功した。
IR-8の特徴
肥料を与えれれば、高収量である
分げつ力が強い
非感光性
生育期間が短い
短稈である。
緑の革命から得られた教訓
・安全が、最大化より優る
・生計維持は商業化より優る。
・農場の資源利用は外部からの投入財より優る。
農民にとって大切なことは、生産性よりも、
“所得最大”である。
→新品種の導入よりも、在来種を生産しつつ、
高所得を得ている農家を真似たほうが
よいのか?
緑の革命(IR-8)とネリカの比較
品種の比較
普及段階での比較
新品種を導入する前の状況の比較
→やはり、ネリカは普及させたほうが
よい!!!
ネリカをより普及させるための提案
品種育成への取り組み
普及の課題
普及に向けた取り組み
研究機関
普及員
農民
ネリカを普及させる手段としての
マイクロクレジット
マイクロクレジットとは
・対象は貧困層の女性
・5人一組の連帯性
・無担保・低利での貸し出し
・返済率は98%を超えている。
従来の金融システムの問題点
マイクロクレジットのアプローチによる分類
最小限アプローチ
EXグラミン銀行
・現金のみを貸し付けている。
統合的アプローチ
・一定のトレーニング期間を条件に、現金を貸し付
けている。
ネリカの普及に、
どのようにマイクロクレジットを導入するか
ネリカの普及のために統合的アプローチ
の提案。
現金だけで
なく、技術も
伝わる。
MC
CBSS
女性農民
女性
農民
そのほかの
普及員など
今後の課題
連作障害についての詳しいデータを入手
特許権について、詳しく知る。
現在入手可能な資料について
筑波にある、農林水産業研究センターへ
の訪問
先学期までの研究を振り返って
(筑波の農林水産業研究センターを訪問して)
緑の革命との比較の誤りの指摘
特許権はなし
マイクロクレジット導入は現実的ではない。
春学期にやった研究の見直し
しかし、留意点として。
研究機関からの視点は、参考にはなるが、
より多面的な見方が必要。
EX 緑の革命の扱い方について
今学期は、より多方面からの
資料の入手をしていく予定。
訪問した上で考えられる
ネリカが普及しない新たな問題点
現場における総合的な技術開発と普及の推進が必要。
足りないのは、肥料と
技術である。
今学期では、先進国のNGOの立場から、
ネリカの普及を考える。
NGOの立場から、どういった支援ができるか
笹川アフリカ協会では、ネリカを支援している。こ
れについて詳しく調べたところ、
緑の革命の推進者であり、ノーベル平和賞受賞
者のノーマン・ボーログ博士が中心となって、支
援をしている。
→そもそも、緑の革命を失敗であったと定義す
ると、ネリカの普及を考えられないのではない
か?
今後の予定
ノーマン・ボーログ博士、緑の革命について
もう一度詳しく調べる。
緑の革命は成功であり、
アフリカでの緑の
革命を目指す。
ネリカは無理だ。アフリカ
の食糧事情改善には
他の策を考える。
緑の革命に比べ、やはりネリカ
には利点がある。
参考文献
蓬原雄三「イネの育種学」(1990) 東京大学出版
増見国弘「農業技術協力ODA/NGO」(2002)農林統計協会
ヴァンダナ・シヴァ「緑の革命とその暴力」(1997)日本経済評論社
石谷孝佑「米の辞典」(2002)幸書房
国際協力研究 2003年2月号
1999年4月号
世界週報 2002年3月23日号
経済セミナー 2001年8月号
法学セミナー 1999年4月号
月刊 アフリカ 2002年11月号
国際開発ジャーナル 2002年11月号
アジア経済 1999年9、10月号
21世紀の国際共同研究戦略の構築 2003年3月
独立行政法人 国際農林水産業研究センター
参考文献
細見眞也 島田周平 池野旬 「アフリカの食糧問題」(1996)
アジア経済研究所
友松篤信 桂井宏一郎 岸本修 「国際農業協力論」 (1994) 古今
書院
「開発援助プロジェクトの最前線」 (2001) 同友館
草野孝久 「村落開発と国際協力」(2002) 古今書院
藤田康樹 「アジアの農業者たち」 (1999) 農林統計協会
鈴木福松 増見国弘 「農業技術協力ODA/NGO」(2001)農林統計
協会
小田紘一郎 「新 データブック 世界の米」(1999) 農林水産技術
情報協会
小田紘一郎 「変わりゆく世界の米事情」(1988) 全国食糧振興会
高須次郎「遺伝子組み換えイネの襲来」(2001)緑風出版
増田萬孝「国際農業開発論」(1996) 農林統計協会
参考URL
www.undp.or.jp/Publications/Nerica.pdf
www.undp.or.jp/environment/021127_1.html
www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/
wssd/type_2/2_3_1.html
www.sahelnet.org/mt/archives/000024.html
www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/
heya/qa/alt/altqa020803.htm
www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/
science/Earth/200208/4week/01.html
www.jica.go.jp/jicapark/frontier/0211/04.html
www.idcj.or.jp/4Publications/QNEWS_%2037.pdf
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/1899097.stm
http://www.warda.cgiar.org/warda1/main/Achi
evements/nerica.htm
http://www.warda.cgiar.org/publications/KBtex
t.pdf
http://www.warda.cgiar.org/publications/NERI
CA8.pdf
http://www.scienceinafrica.co.za/nerica.htm
http://www.mofa.go.jp/policy/environment/wss
d/2002/event31-2.html
http://www.saatokyo.org/japanese/about/birth.html