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第1章 熱流体の物理的な性質
1.1 熱流体の定義 2
1.2 熱流体力学とは 2
1.3 熱流体力学などで扱う物理量の単位 2
1.4 熱流体で使用する物理量の定義と性質 6
1.4.1~1.4.2 密度,比重量,比重,比容積 6~7
1.4.3~1.4.4 等圧比熱,等積比熱, ガス定数 8
1.4.5~1.4.6 粘性,粘度,動粘度,体積弾性係数および圧縮率 11
1.4.7~1.4.8 温度, 熱量 13
1.5 流体の分類 13
1.5.1~1.5.2 粘性流体と非粘性流体,
ニュートン流体と非ニュートン流体 13
1.5.3~1.5.4 圧縮性流体,非圧縮性流体,
マッハ数, 理想流体,実在流体 15
第1章 総合演習問題 15
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熱流体力学第1章
1
1.1 熱流体の定義
☆流体(fluid)とは:水,油,化学薬液などの液体(liquid)と水素,酸
素,空気,都市ガスなどの気体(gas)を総称したものである。
☆流体の特性:
・流体それ自身は多くの場合,固有の熱量(heat)を保有している。
・流体それ自身は定まった形をもたず,鉄,木材,コンクリートなど
の固体(solid)のように外部から加えられた力に抵抗し,もとの形
に戻ろうとする性質,すなわち弾性を示すことがない。
・流体は固体と比べてわずかな力で容易に変形しやすく,変形が
進むことに対しては抵抗を示し,運動する性質をもっている。
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熱流体力学第1章
2
1.3 熱流体力学などで扱う物理量の単位
☆基本単位
各種の物理量を定義するために必要となる基
本単位。具体的に長さ(m),質量(kg),時間
(s)電流(A),温度(K)などが基本単位である。
☆組立単位
基本単位を定めると,多くの物理量はその定
義や法則のもとに組立てることができる。この組
立てられた単位を組立単位という。速度(m/s)な
ど。
☆単位系
基本単位と組立単位を総称して単位系という。
またこの組立単位の指数を次元(dimension)と
いう。
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熱流体力学第1章
3
☆(1)国際単位(SI units)
☆基本単位(SI)
SIの基本単位は7つあ
る。 右の表を参照する
こと。またSIでは,MKS
を基準とする。
☆特に長さ(m),質量(kg),
時間(s)が主要な基本単位
である。
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基本単位
名称
記号
次元
長さ
メートル
m
L
質量
キログラム
kg
M
時間
秒
s
T
電流
アンペア
A
I
熱力学温度
ケルビン
K
θ
物質量
モル
mol
光度
カンデラ
cd
熱流体力学第1章
4
固有名詞をもつ重要なSI組立単位
物理量
名称(読み)
記号
力
ニュートン
圧力(応力)
パスカル
エネルギ(仕事)
ジュール
仕事率(動力)
ワット
電荷
クーロン
電位・電圧
ボルト
電気抵抗
オーム
静電容量
ファラド
N
Pa
J
W
C
V
Ω
F
定義
Kg・m/s2
N/m2
N・m
J/s
A・s
J/C
V/A
C/V
次元
M1L1T-2
M1L-1T-2
M1L2T-2
M1L2T-3
I1T1
M1L2I-1T-3
M1L2I-2T-3
M-1L-2I2T4
5
☆(2)工学単位系(重力単位系)
• 工学単位系は,従来,工学の分野でしばしば用いら
れてきた単位系であり,重力単位系とも呼ばれる。
☆バネはかり,圧力計,体重計
などの目盛りはこの単位系が使用されている場合
が多い。工学実験や機械設計の分野では現在でも
この単位系が使用されている。
・工学単位系では基本単位として,
☆長さ(m),力(kgf),時間(s)
が用いられる。
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熱流体力学第1章
工学単位系(演習:組立単位の空欄を埋めよ)
☆工学単位(kgf)
・地球上の重力による地面を押す力を
基本単位の一つとした単位系
・地球に住む人,たとえば質量60kgの
の人には,Newtonの運動の第2法則
力=質量×加速度により,
力=60(kg)×9.807(kg・m/s2)
の力が働く。これをむりやり,
60(kgf)=60(kg)×9.807(m/s2)
と力(重さ)をkgfで表す古い単位系
である。工学単位における重さ(kgf)
とSIの力,ニュートン(N)の間に
は,
1(kgf)=9.807(N)
の関係がある。
分 類
質量
Kgf・s2/m
密度
kgf・s2/m4
圧力
kgf/m2
Kgf・m
Kgf・m/s
基本単位
時間
仕事
仕事率
熱流体力学第1章
位
温度
力
工学単位
における
組立単位
単
m
kgf
s
K
長さ
重要
忘れないで
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量
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1.3.3 電気分野の単位の紹介
1)電圧と電気抵抗の単位
電圧とは:単位電荷を移動させるために必要なエネルギである。
電気抵抗とは:オームの法則から,電流をA,電圧をVとして電
気抵抗ΩはΩ=V/A。これらをまとめると,
電
2
J
J
J
N

m
kg

m
圧; V  ;電圧Vの組立単位  


C
C A s
A s
A  s3
電気抵抗;   V ;Ωの組立単位
A
J C
J
kg  m 2



A
C  A A2  s 3
ヒント
C=A・s
F=C/V
研究課題:2)電荷Cと静電容量Fについて,その組立単位を求めよ
A  dC ds より
∴
C  A s
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C
F ∴
V
A s
A2  s 2 A2  s 4
F


J A  s 
J
kg  m2
熱流体力学第1章
8
1.4 熱流体で使用する物理量の定義と性質
1.4.1 密度,比重量および比重
☆密 度(density):単位体積あたりの物質の質量で,通常,
記号ρで表す。
☆比重量(specific weight):単位体積あたりの物質の重さ
(重量)で,通常,記号γで表す。
☆比 重(specific gravity):任意物質の密度と水の密度との
比であり,無次元量である。すなわち,比重はつぎのように
定義される。
任意物質の密度

任意物質の比重
(無次元量)
水の密度(4℃ ,1気圧)
ここで,標準大気圧下における水の密度は4℃のとき最大で,
その値は1000kg/m3である。
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熱流体力学第1章
9
表1.7 密度,比重量の例
(温度300K,圧力101.325KPa(標準大気圧)のとき)
密度
分類
液体
気体
物質

密度ρ(SI)
kg / m 
3
(kg/m3)
密度

比重量
密度(工学)
kgf  s

2
4
2
(kgf・s /m4)
/m

kgf / m 
比重量γ3
(kgf/m3)
水
996.62
101.63
996.62
ガソリン
746
76.07
746
潤滑油
867
88.41
867
酸素
1.301
0.1327
1.301
水素
0.0818
0.00834
0.0818
空気
1.176
0.1199
1.176
☆気体の密度は温度,圧力によってどのように変化するか。
☆液体はどうか?
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熱流体力学第1章
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☆1.4.1 密度,比重量などの研究課題
1.温度が高くなると空気の密度は大となるか小となるか。
2.圧力が上がると空気の密度は大となるか小となるか。
3.では問題1.2.を総合して任意温度T,圧力Pにおける空気の密度ρは
どのような式で表されるか考察せよ。ただし,温度0℃で圧力pが大気圧
(p=101.325kPa)のとき,空気の密度はρ=1.293kg/m3とする。
解答:   1.293  273 .15  P
T
101 .325
4.工学密度ρの単位が kgf  s 2 / m4 となることを証明せよ。
5.水の密度は温度や圧力によってどのように変化すると考えられるか。
6.標準状態(温度15℃,圧力101.325kPa)における酸素の比重量は
γ=1.429kgf/m3 である。酸素5kgfはどれだけの体積を占めるか。
7.地球上で体重60kgfの人が地球の1/6の重力加速度を有する月面上に
行ったとき,その人の月面における工学質量,物理質量,月面重量はそ
れぞれいくらになるか。
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熱流体力学第1章
11
1.4.2 比容積と比熱
☆比容積v(specific volume):単位質量(kg)または単位重さ
(kgf)当たり,物質が占める体積(m3)で,記号vで表す。比
容積vと密度ρの間には
熱容量とは
比容積v=1/ρ
M(kg)の物質を温度1K上昇させ
るのに必要なエネルギ(J/k)
という反比例の関係がある。
☆比熱C(等圧比熱,等積比熱)
質量1kgの物質の温度を温度差で1℃(=1K)上昇させるの
に必要なエネルギ(熱量)として定義される。すなわち,
エネルギ

J /kg  K 
比熱C (物質質量) (温度差)
☆ジュールの熱と仕事に関する実験から,仕事と熱量は相互に
換算でき,その関係は第4章に示すように,
重要;必ず暗記し覚えること。
1kcal=4186(J)
表1.8 液体・気体の等圧比熱の例
(温度300K,圧力101.325Pa)
等圧比熱
分類
液体
気体
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Cp
等圧比熱
Cp
物質
kJ /( kg  K )
kcal /( kg  K )
水
4.179
0.998
ガソリン
2.09
4.993×10-4
潤滑油
1.88
4.492×10-4
水素
14.31
3.419×10-3
酸素
0.920
2.198×10-4
空気
1.007
2.406×10-4
熱流体力学第1章
13
☆1.4.3比熱などの研究課題
1.体積が330m3,温度が15℃,圧力が標準大気圧
(101.325kPa)である教室における空気の重さを求
めよ。ただし,0℃における空気の密度は
ρ=1.293kg/m3とする。
2.この教室の温度を15℃から20℃まで上昇させるの
に必要なエネルギは何kcalか。ただし,空気の比熱
は1.007 kJ/(kg・K)とする。
3.0.5kWの電気ポットに15℃の水を0.8リットル入れ
るとき,沸騰開始するまでの時間を求めよ。ただし,
電気ポットに供給された電力の75%が有効に使用
されるものとする。
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熱流体力学第1章
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1.4.4 ガス定数(その1)
☆完全ガス(理想気体)の状態方程式:
気体の状態変化を調べたボイル&シャルル
の法則から,絶対圧力pを,比容積をv,絶対
温度をTとしたとき,気体はつぎの状態変化
の法則に従う。
比熱と同じ単位で,
pv  RT
気体1kgを温度差
R:ガス定数(gas constant)
Rの単位を考えよう。答えは:J/(kg・K)
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熱流体力学第1章
1℃上昇させるの
に必要なエネルギ
だよ。
15
1.4.4 ガス定数(その2)
☆完全ガス(理想気体)の状態方程式:
pv  RT
気体の体積が V (m3),質量が G (kg)であるとき,
両辺に G をかけ,Gv  V であることに注意すれば,
Gpv  GRT
∴
pV  GRT
別表現
pV  nRT
ここで,pは圧力(Pa),vは比容積(m3/kg),Vは体積(m3),nはモル
数(mol),Rはガス定数(J/(kg・K))or(J/(mol・K)),Tは絶対温度(K)を
意味する。
16
1.4.4 ガス定数(その3)
☆アボガドロ(Avogadro)の法則
・「同温,同圧下で,同体積の気体は,その種
類に関係無く,すべて同数の分子を含む」
・「1kmolのガスは同一温度,同一圧力では,
全く同一の容積を占め,特に標準状態
(101.325kPa,0℃)では22.41m3の容積を
有する。 」
☆アボガドロ数
6.022045×1023個
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熱流体力学第1章
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1.4.4 一般ガス定数(その1)
(universal gas constant)
☆完全ガスの状態方程式: pv  RT において,比容積v
(m3/kg)は,気体1kmolあたりの体積をV(m3/kmol),分子量
をM(kg/kmol)(気体質量Gkg=nM(kg))とすれば,
V
v
M
 m 3 kmol 

 なぜなら,
kg
kmol


∴
pV  MRT
気体質量G( nM() kg)
n(km ol) 
分子量M
☆アボガドロの法則から,標準大気圧(101.325kPa),温度
0℃において,すべての気体1kmolの体積は22.41m3であるので,
pV 101.325103  22.41
MR 

 8315J /(km ol K ) 
T
273.15
この一定となる値を一般ガス定数という。
MR  一定
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18
1.4.4 一般ガス定数(その2)
(universal gas constant)
~
☆一般ガス定数 R とは:
アボガドロの法則から,ガス定数Rに気体の分子
量Mをかけた値はすべての気体に対して同一の
値となる。この値を一般ガス定数(universal gas constant)と
いう。
~
R  MR  8315 J / kmol K 
~
R:一般ガス定数
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熱流体力学第1章
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1.4.4 一般ガス定数(その3)
☆任意の気体のガス定数Rは,気体の分子量Mが
~
R

R
/ M から容易に求められる。下
わかっていれば
記の表に気体のガス定数Rの値を示す。
~
R  MR  8315 J / kmol K 
ガス定数
分類
気体
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物質
分子量
R
ガス定数
R
M
kJ / kg  K 
kgf  m /kgf  K 
水素
2.016
4.124
420.57
酸素
31.999
0.260
26.49
窒素
28.013
0.297
30.27
空気
28.964
0.287
29.27
熱流体力学第1章
20
☆1.4.4 ガス定数の研究課題
1.家庭用ガスとして使用されるプロパンC3H8のガス定
数Rはいくらか。ただし,炭素および水素の原子量
はC=12,H=1と仮定する。
2.ある気体のガス定数がR=519.7J/(kg・K)であった。
この気体の名前は何か。
3.圧力200kPa,温度40℃の状態にあるO2の比容積
はいくらか。
~
4. 一般ガス定数 R  MR  8315(J/(kmol・K))を工学
単位(kgf・m/(kmol・K))に換算せよ。
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熱流体力学第1章
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1.4.5 粘性,粘度および動粘度
☆実在する流体には固有の「粘さ」があり,これを粘性とい
う 。面積Am2の上部の板を速度Um/sで移動させるには流
体の粘性による抵抗力に等しい力 Fが必要。図の速度分布
が直線の流れを考える。(クエット流れという)
板を押す力F
は
F
AU
H
その比例定数をμとおいて, F  
上式の両辺を上部板の面積Aでわる
と,
F
U

A
H
F
U

∴  
A
H
一般化して,
du
 
dy
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力F
液体または
気体
H
AU
H
上部板面積
A m2
μの単位を
求めなさい。
y
速度Um/s
速度u
y
ニュートンの粘性法則(重要)という。
μ:粘度(viscosity)または粘性係数という。
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動粘度または動粘性係数ν
(coefficient of kinematic viscosity)
動粘度νの定義:
分類
液体
気体
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
粘度 
=
密度 
その単位は;(m2/s)
粘度μ 
(SI)
粘度 μ(工学)
動粘度ν
Pa  s106
kgf  s / m 10
m s10
水
854.4
87.12
0.857
ガソリン
488
49.76
0.654
潤滑油
10200
1040
11.80
水素
8.96
0.914
109.5
酸素
20.72
2.123
15.93
空気
18.62
1.899
15.83
物質
熱流体力学第1章
2
6
6
2
23
1.4.6 体積弾性係数および圧縮率(その1)
☆気体等を加圧すると図のように体積変化が生じる。このような流体の性質
を圧縮性という。このとき,圧力変化ΔPと体積ひずみΔV/Vの関係は
P   K
V
V
または,微分表示して,
dP   K
dV
V
圧力P+△P
体積V
圧力P
加圧
体積
V-△V
K:体積弾性係数(bulk modulus) (Pa)
その逆数β(=1/K)を圧縮率(compressibility )という。マイナス(-)の符号
は,加圧するときΔP>0にとれば,体積は減少するのでΔV<0であり,そのと
き密度は増加し,Δρ>0となるからである。
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熱流体力学第1章
24
1.4.6 体積弾性係数および圧縮率(その2)
☆さらに加圧前後で質量は保存され,
一定であるから右の式が成り立つ。
V  V (    )  V
この式で,2次の微小量Δv×Δρを無視すれば
 V / V   / 
となり,体積弾性係数Kは
つぎのように密度変化率β,すなわち圧縮性と関係づけられる。
P
P
K  


V V  
1
圧力P+△P
なぜなら,体積弾性率の定義が
P   K
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V
V
体積V
圧力P
加圧
体積
V-△V
だから。
熱流体力学第1章
25
表1.11 水の圧縮率βの値
気 圧
1~25気圧
25~50気圧
0℃
10℃
20℃
β(1/Pa)
β(1/Pa)
β(1/Pa)
5.18×10-10
4.94×10-10
4.84×10-10
5.09×10-10
4.85×10-10
4.70×10-10
注)ここで,またはβ=0またはK=∞の流体,すなわち,密度
ρが一定な流体を非圧縮性流体という。
☆コーヒーブレイク:水の体積を5%圧縮するには?
液体の圧縮率は気体に比べればかなり小さいが,固体金属に比べれ
ばかなり大きい。水は1気圧の空気に比べれば圧縮率は約2万分の1で
あるが,鋼の80倍である。ちなみに,水の体積を5%減らすには約1200
気圧の圧力が必要で,ほとんどの場合,液体は非圧縮性流体とみなし
てよい。
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熱流体力学第1章
26
1.4.7 温度
☆温度計は,
セルシウス(Celsius)によ
る摂氏度(℃),ファーレン
ハイト(G.D.Fahlenheit)
による華氏度( F ),熱力
学で用いられる絶対温度
ケルビン(Lord Kelvin)
(K)等がある。いま,摂氏

をt(℃),華氏をF( F ),
絶対温度ケルビンをT(K)
で表すと,それぞれの関
係は,次のようになる。
5
F  32 
9
9
F  t  32
5
100℃
373.15K
212°F
0℃
273.15K
32°F
-273.15℃
0 K
-459.7°F
t
T  t  273 .15
摂氏℃
ケルビンK
華氏°F
問1.摂氏と華氏の温度計において,目盛りの数値が一致するところがあるか。あるとす
ればその数値はいくらか。
27
問2.1℉の温度差は何℃の温度差に相当するか。また1℃の温度差は何Kの温度差か。
1.4.8 熱量
☆1kcalとは:標準状態,(温度15℃,圧力
101.325kPa)において,純水1kgを14.5℃か
ら15.5℃まで,温度差で1℃(=1K)高めるた
めに必要な熱量
☆任意の質量mの流体または固体をΔT℃
(ΔK)温度上昇させるのに必要な熱量Qは,
物質の比熱をCとおいて,
Q  mCT J 
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熱流体力学第1章
28
1.5 流体の分類
☆粘性がある,ない,による分類
a)粘性流体(viscous fluid) :粘性係数μ≠0とみなす実在流体
b)非粘性流体(inviscid fluid) :粘性係数μ=0とみなす仮想流体
☆ニュートンの粘性法則に従う,従わない,による分類
a)ニュ-トン流体(Newtonian fluid):τ=μdu/dyに従う流体
b)非ニュートン流体(Non Newtonian fluid) : τ≠μdu/dy
☆圧縮性がある,ない,による分類
a)圧縮性流体(compressible fluid)
:(ρ≠一定,β≠0)
b)非圧縮性流体(incompressible fluid):(ρ=一定,β=0)
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熱流体力学第1章
29
1.5.3 圧縮性流体と非圧縮性流体,
マッハ数M
• マッハ数Mの定義(無次元数)
M 
U
a
U:代表速度,a:流体の音速(sonic speed)
音速aは体積弾性係数Kと流体の密度ρを用いて,次式から求められる。
a K 
この証明は現時点では難しい
ので省略する。
マッハ数Mの大小によって流れを分類すれば次のようになる。
M<1 亜音速流れ(subsonic flow)
M≒1 遷音速流れ (transonic flow)
M>1 超音速流れ (supersonic flow)
M>5 極超音速流れ(hypersonic flow)
30
☆1.5.3 マッハ数の研究課題
1.空気(1気圧,20℃)の音速はa=約340m/s
である。体積弾性係数Kはいくらとなるか。
2.地球の半径は6375kmである。海水中で鯨
が仲間を呼んだとき,その音が地球を1周し
て戻ってくるのには何秒かかるか。
3.表1.11に示した水の圧縮率β数値を利用し
て,水(1気圧,20℃)の音速aを求めよ。
1
1
K


 2.07 109
10
解答例3:
 4.8410
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a
熱流体力学第1章
2.07  109

 1438.7

1000
K
31
1.5.4 流体の分類(まとめ)
非粘性流体
(粘度μ=0)
粘性流体
(粘度μ≠0)
非粘性流体
(粘度μ=0)
粘性流体
(粘度μ≠0)
理想流体
非 圧 縮 性 流 体
流 体
密度ρ=一定とみなせる
流体
圧 縮 性 流 体
実在流体
密度ρ≠一定である流体
ここで,
理想流体(ideal flow):粘性および圧縮性がないと考える流体。
実在流体(real flow):粘性および圧縮性があると考える実在する流体
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☆第1章 総合演習問題
1.ある油2m3の重量が1742kgfであるとき,この油の比重量,比容積,工学密度お
よび比重を求めよ。ただし,重力加速度は9.807(m/s2)とする。
2.水銀の比重が13.6であるとき比重量,比容積,密度(SI)を求めよ。
3.標準大気圧,温度-20℃における空気の密度(SI)を求めよ。ただし,空気のガ
ス定数をR=287(J/(kg・K))とする。
4.平板に沿って流れる流体の速度分布が次式
2y y2
u U(  2 )
H H
で与えられるとき平板上y=0mm,およびy=25mmにおける速度こう配du/dyと
せん断応力τを求めよ。ただし,yは平板表面から測定した垂直方向の距離,
U=3m/s,平板間隔はH=3.0m,流体の粘度は μ=1.6×10-6(Pa・s)とする。
5.水の体積を0.2%減少させるために必要な圧力を求めよ。ただし,水の体積弾性
係数は2.2(GPa)とする。
6.標準大気の比熱はおおよそ0.23(kcal/(kg・K))である。300m3の教室に学生40
人が静かに勉強しているとき,教室の空気は1時間で何℃上昇するか。ただし,
教室と外気との間に熱の授受はないものとし,空気の密度は1.3kg/m3,学生1
人が1日に消費(発散)する熱量は2400kcalとする。
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