S4 胸部外傷・肺移植 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 胸部外傷 • 致死的となる外傷 – 心・大血管損傷 – 心タンポナーデ – 著しい気道出血 – 大量血胸 – 緊張性気胸 – 開放性気胸 – Flail chest • 胸部以外の多発外傷の合併 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 胸部外傷のプライマリケア • 病歴聴取・バイタルサインチェック – 意識レベル、血圧、脈拍、末梢循環 • 気道確保(頸椎保全) • 換気維持 – 100%酸素投与、呼吸音、胸郭・気管の動き • 循環管理(頻脈、脈圧減少、皮膚冷感な ど) – ショックの主因は、出血、心タンポナーデ、 緊張性気胸 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 胸部外傷のプライマリケア • • • • • • 2カ所以上の太い静脈路確保 ECG、血圧計、パルスオキシメーター 採血(血型、Xマッチを含む) ABG 膀胱カテーテル(尿量) X線撮影 – 頸椎、胸部、腹部・骨盤 – 骨性胸郭の異常、血胸、気胸、皮下気腫、縦隔気 腫、肺野病変など • CT検査(vital安定しているか?) • 超音波検査 – 心機能、心タンポナーデ、血胸など Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 診察のポイント • ショック症状 – 出血、緊張性気胸、心タンポナーデ • 皮下気腫 – 気胸 • 血痰、喀血 – 肺損傷、気道損傷 • 奇異呼吸 – Flail chest • 呼吸音消失 – 無気肺、気胸、血胸 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 穿通性外傷 • ナイフ、包丁などによる刺創が多い • 刃物などが刺さったままの場合、むや みに抜くと、大量出血の危険がある • 手術室など出血に対処できる準備を整 えてから抜去する • 抜去後は開放性気胸となるため、胸腔 ドレナージ後にガーゼ被覆し固定する Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 非穿通性外傷 • 交通事故によるものが最も多い • その他、高所からの転落や重量物の胸 部への落下など • 交通事故・転落などの場合、胸部以外 の多発外傷となる頻度が高く、多臓器 損傷を見逃さず、治療の優先順位を決 定する Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 血胸 • 大量の場合、ショック • 患側の呼吸音減弱、胸部X線、超音波検査に て胸腔内貯留物 • 肋骨骨折などを伴う場合が多い • 肺損傷を伴わなければ、通常ドレナージのみ で治癒可能 • 胸腔ドレナージ(口径の太いチューブで) • ドレナージ不全や持続する出血に対しては開 胸手術 • 抗凝固療法や抗血小板療法中では要注意 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 心タンポナーデ • • • • • 輸液・輸血に反応しないショック症状 頸静脈怒張 超音波検査にて心嚢液貯留所見 心嚢穿刺・心嚢ドレナージ 心・大血管損傷の合併 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 緊張性気胸 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 緊張性気胸 • • • • • 輸液、輸血に反応しないショック症状 患側の呼吸音減弱、健側への気管偏位 陽圧換気による症状の悪化 胸部X線 胸腔穿刺・胸腔ドレナージ • 陽圧換気により気胸が緊張性となるこ とあり Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 気胸 • 患側の呼吸音減弱 • 皮下気腫、血胸、胸壁損傷を合併する こと多い • 軽微なもの以外は、胸腔ドレナージ • 陽圧換気が必要とされる時は、軽微で あっても胸腔ドレナージ • 大量の気漏がある時は、気管・気管支 損傷や大きな肺裂傷が考えられるため 開胸手術 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 皮下気腫と縦隔気腫 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 肺挫傷 • • • • 血痰・喀血、無気肺など 胸壁損傷、血胸など合併 診断には胸部CTが有用 受傷後1-2日は進行する可能性があるの で、経時的観察が必要 • 酸素投与 • 低酸素血症が改善しないなら挿管・人 工呼吸器管理 • 肺出血による気道出血がコントロール できなければ開胸手術 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 気管・気管支損傷 • 胸部の鈍的外傷による気道内圧の急激 な上昇に起因する • 気管分岐部付近に好発 • 多くは胸壁・肺損傷、多発外傷を伴う • 気胸、縦隔気腫、皮下気腫や原因不明 の無気肺などを来す • 診断には気管支鏡 • 軽症例では保存的治療も可能だが、必 要に応じて開胸手術に切り替える Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 胸壁損傷 • 胸骨骨折 – – – – シートベルトによるものが多い 心・縦隔の損傷の除外 通常は安静・鎮痛剤 転移が強い場合は手術 • 肋骨骨折 – 鈍的外傷で最も多い – 合併した臓器損傷が無ければ、バストバンドによ る固定と鎮痛剤 • Frail chest – 3本以上の肋骨が2カ所以上で骨折したり、胸骨と 多発肋骨骨折を合併した場合に起こりやすい – 換気障害を来した場合は、人工呼吸器管理 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. Frail chest 吸気 ・換気効率の低下 ・疼痛・損傷による 胸壁運動の低下 ・合併する肺挫傷 呼気 換気障害 低酸素血症 Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. 横隔膜損傷 • 胸部写真で腹腔内臓器の胸腔内への脱 出を認める • 高頻度に腹部臓器損傷を合併 • 横隔膜の修復術を要する Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ. その他の外傷 • 血管損傷 – 大血管や複数の肋間動脈の損傷は手術が必要 • 心挫傷 – 種々の不整脈、CPK・トロポニンTの上昇 – 軽微なものは保存的、ショックを伴うもので は手術 • 食道損傷 – 縦隔気腫、胸腔ドレーンからの汚染した排液 – 早期の手術を要する Department of Thoracic Surgery Kyoto Univ.
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