日本の少子化対策 - 神戸大学大学院国際文

日本の少子化対策
0926628C
森井めぐみ
少子化の現状
日本…1.37
フランス…1.99
スウェーデン…1.88
アメリカ…2.09
韓国…1.15
(2009年度)
少子化の何が問題?
 総人口の減少
→消滅する地方共同体の続出(文化・伝統の消滅)
社会的機能の維持が不可能に
 税や社会保障の負担が増大
 子供を産みづらい・育てにくい世の中に対する不満
少子化の原因
1. 未婚化の進展 →・出会いの場が少ない
・独身生活でも不便が無い
2. 晩婚化・晩産化の進展
(平均初婚年齢…1975年:夫27.0歳、妻24.7歳
2005年:夫29.8歳、妻28.0歳)
3. 夫婦の子供数の変化 →・晩婚化の影響
・育児・教育コストの負担、両
立の難しさ
少子化のメリット?
1.
2.
3.
4.
5.
住宅問題の解決
通勤地獄の解決
財政の好転
レジャーをより楽しめるようになる
高齢者や女性の基幹的雇用への道が確実になる
(森永卓郎『〈非婚のすすめ〉1997年』)
→単に利用される国土面積、施設が減るだけで問題は解
決されない
人口減少による経済・市場の低成長問題の深刻さには
勝らない
少子化対策の難しさ
 経済的政策と違って、どれか一つの施策を講ずれば出
生率が反転するといった「特効薬」は存在しない。
保育サービスなど地域に
おける子育て支援
両立支援を図るための働
き方の見直しやワーク・ラ
イフ・バランスの推進
少子化対策の
4分野
育児・教育費用の負担軽
減のための経済的支援
子供や子育て家庭を社会
全体で支援するという意
識面での改革
これまでの少子化政策
 1994年 「エンゼルプラン」保育サービスの充実を図る
 1999年 「新エンゼルプラン」雇用、母子保健・相談、教
育等の事業も加える
 2002年 「少子化対策プラスワン」
子育てをする家庭を全体として支える視点から、社会全体が一
体となって総合的な取組へ
 2004年 「子ども・子育て応援プラン」
1o年後目指すべき社会を提示
 2006年 「新少子化対策」
40項目にわたる具体的な施策
少子化政策に対する意見
内閣府政策統括官<H22>
新少子化対策(2006年)
 子育て支援策については、子どもの成長に応じて、「新生児・乳
幼児期」、「未就学期」、「小学生期」、「中学生・高校生・大学生
期」の4期に分けて、新たな施策を中心に20の施策を掲げてい
る。
【保育政策】
○子育て家庭への全戸訪問
○地域における子育て支援拠点施設の拡充
○放課後こどもプラン
○事業所内託児施設に対する支援策
放課後こどもプラン
 H19よりスタート
 文部科学省が厚生労働省と連携して行う総合的な放課
後対策
 放課後や週末等の子どもたちの適切な遊びや生活の場
を確保したり、小学校の余裕教室などを活用して、地域
の方々の参画を得ながら、学習やスポーツ・文化活動、
地域住民との交流活動などの取組を実施。
 「学童保育」とも言われる。
政策として
「放課後こどもプラン」の強化
 全小学校区での義務化
 地域子供教室などとの連携→教育効果を高める
(勉強/スポーツなどの文化活動)
 月~土曜日、学校の空き教室などで実施。
 教員やボランティア、地域の大学生や留学生などを登用。
事例①
大阪府松原市
布忍小学校「土曜地域学校」
 活動日…<水曜日>児童の参加
<土曜日>児童+地域、保護者の人々
 活動内容…自由勉強や運動場での遊び、また休日はス
ポーツ大会やDVD鑑賞、料理教室などの実施
 学習アドバイザーとしては大学生のボランティア、教師な
ど。その他は活動に合わせて地域のコーディネーターが
担当。
 費用は基本的に無料
事例②
兵庫県の市における取り組み
「アフタースクール」
 対象児童…保護者等が労働等により昼間家庭にいない
小学校1年~3年生の児童
(※特別の事情、また定員に余裕があればそれ以上も可)
 開設日…月~土曜日の下校時~午後6時まで
(延長保育は午後7時まで可)
 保護者負担日…平均で月額7000円ほど
これまでの問題
 学童保育における待機児童の問題
e.g.)東京都あきる野市…待機児童108人(19.4.1)
地域によって開催の頻度が異なる
 お稽古ごと、教育費にかかる経済的負担
※これまでの学童保育…公設公営、公設民営、共同保
育(保護者が設立し、運営も行う)などの種類
 放課後、下校時の安全
政策実現性
 予算の問題
 開催頻度、規模
市町村単位のやり方に合わせて、
調整していく必要アリ
待機児童の問題〜スウェーデンとの比較から〜
 日本
 スウェーデン
未だに待機児童の問題は
顕在化
待機児童はほぼ存在しな
い
0歳児への保育の需要が高
い
0〜2歳児で保育の需要の7
割を占める
2歳以上:9割強の子供が
保育サービスを受ける
コスト高の
問題!
0歳児はほとんどが在宅に
よる育児
提案として
 0〜1歳半ほどを目安として、育児休業取得等による在宅
保育を基本
→子育て支援センター、親同士のコミュニティの設置
育児休業法の普及、見直し
*経済面での負担減少
*待機児童の問題の緩和
論点
 政策の是非について
 少子化について多様な対策方法がある中で、今日挙げ
たような政策は妥当か?
また優先順位をつけるならば?
<参考文献>
「これでいいのか少子化対策-政策過程からみる今後の課題-」
増田雅暢,2008
「猪口さん、なぜ少子化が問題なのですか?」猪口邦子、勝間和代,2007
「子どもが減って何が悪いか!」赤川 学,2004